山田昇氏の三度の社長交代(2016年・ヤマダHDの決断)

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創業者が社長を託しては引き取る、9年におよぶ交代と復帰の反復2016年4月から2025年4月までの9年で、ヤマダの社長は4度替わった。桑野光正氏が2年2か月、三嶋恒夫氏が3年3か月で社長の座を離れ、間に創業者の山田昇氏が3年7か月にわたって会長のまま社長を兼ねた。2025年4月に上野善紀氏が代表取締役社長兼COOへ就任するまで、社長の椅子は創業者との間を往復し続けている。

何をなぜ決めたか:創業者が社長を託しては引き取る、9年におよぶ交代と復帰の反復

概要

2016年4月から2025年4月までの9年で、ヤマダの社長は4度替わった。桑野光正氏が2年2か月、三嶋恒夫氏が3年3か月で社長の座を離れ、間に創業者の山田昇氏が3年7か月にわたって会長のまま社長を兼ねた。2025年4月に上野善紀氏が代表取締役社長兼COOへ就任するまで、社長の椅子は創業者との間を往復し続けている。

背景

山田昇氏は1983年9月から2008年6月まで社長を務め、一宮忠男氏に譲ったのち2013年6月に復帰、2016年4月に代表取締役会長兼取締役会議長へ退任した。2011年のエス・バイ・エル子会社化から家電以外への展開が続き、2020年10月には持株会社体制へ移行してグループの形が大きく変わる時期に、社長の交代が重なった。

内容

桑野光正氏は2005年12月に執行役員として加わって10年余りののち社長へ、三嶋恒夫氏は2017年1月の会長付け顧問から1年5か月で社長へ就任した。三嶋恒夫氏は持株会社移行後も社長を続けたが、2021年9月に山田昇氏が代表取締役会長兼社長CEOとなり交代する。上野善紀氏は2014年4月にベスト電器から入社し、ヤマダデンキ社長を経て2025年4月に持株会社の社長へ就任した。

含意

交代の理由は会社の公表資料に記されておらず、就任と退任の年月だけが役員の状況に残る。任意の指名・報酬委員会が置かれたのは2024年6月の監査等委員会設置会社への移行時で、桑野光正氏と三嶋恒夫氏の交代はいずれもその仕組みの外で決まっている。創業者が28,924千株を保有する筆頭株主でもある会社で、後継の選定がどう行われたかは開示されていない。

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考察:社長が空席になるのではなく、創業者が戻る
考察

考察:社長が空席になるのではなく、創業者が戻る

9年で4度という交代の速さよりも、交代のたびに椅子が創業者のもとへ戻る形のほうが、この会社の承継を言い当てているように思われる。桑野光正氏の2年2か月も三嶋恒夫氏の3年3か月も、任期の途中で終わったわけではない。だが両氏が退いたあと、社長の座は次の候補へ渡らず、会長のままの山田昇氏が兼ねた。2021年9月から2025年4月までの3年7か月は、後継が決まらないあいだの暫定ではなく、創業者が会長と社長とCEOを一人で持つ体制そのものだった。承継とは、託す相手を選ぶことである以上に、託したあとに戻らないことなのだと、この反復は逆から示している。

もっとも、2025年4月の交代はそれまでと質が違うのかもしれない。上野善紀氏はベスト電器から2014年に入り、取締役、商品本部長、営業商品本部長を経てヤマダデンキの社長を3年務めたのちに持株会社の社長へ就任した。就任前に事業会社を率いた経験を持つ初めての社長であり、その就任の前年には任意の指名・報酬委員会が置かれている。ただし交代の理由は今も公表されておらず、外から見えるのは年月だけである。仕組みが整ったことと、それが実際に働いたこととの間には、まだ確かめようのない距離が残っている。

Yutaka Sugiura, 2026年9月
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図と表

ヤマダHD:歴代社長の在任月数

在任月数(か月)
ヤマダHD:歴代社長の在任月数
(か月)在任月数備考
一宮忠男氏(2008年6月〜2013年6月)60山田昇氏が代表取締役会長兼代表執行役員CEOとして残るなかでの社長
山田昇氏(2013年6月〜2016年4月)34創業社長としての復帰。2015年5月に46店の一斉閉店を実施した
桑野光正氏(2016年4月〜2018年6月)26就任の10年余り前に執行役員として加入。退任後は執行役員副会長
三嶋恒夫氏(2018年6月〜2021年9月)39加入から1年5か月で就任。持株会社移行後も社長を続けた
山田昇氏(2021年9月〜2025年4月)43会長のまま社長を兼ねた3度目の在任。代表取締役会長兼社長CEO
出所:ヤマダホールディングス 有価証券報告書 第41〜49期【役員の状況】(各氏の略歴)
出所:ヤマダホールディングス 有価証券報告書 第41〜49期【役員の状況】(各氏の略歴)

経緯と対応

経緯と対応
科目概要備考
桑野光正氏の社長就任2016年4月代表取締役社長兼代表執行役員COO。2005年12月に当社執行役員礎生塾塾長として加わっていた
桑野光正氏の社長退任2018年6月取締役兼執行役員副会長へ。社長の在任は2年2か月。2019年度中に取締役も退いた
三嶋恒夫氏の社長就任2018年6月2017年1月に会長付け顧問、同年6月に執行役員副社長。加入から1年5か月での就任
山田昇氏の役職2019年6月に代表取締役会長2016年4月から務めた取締役会議長を外れ、代表取締役会長のみとなった
持株会社体制への移行2020年10月1日三嶋恒夫氏は持株会社の代表取締役社長を続け、ヤマダデンキの代表取締役社長も務めた
山田昇氏のCEO復帰2021年4月代表取締役会長兼CEO。三嶋恒夫氏は代表取締役社長兼COOとなった
山田昇氏の社長復帰2021年9月代表取締役会長兼社長CEO。三嶋恒夫氏の社長在任は3年3か月で、取締役からも退いた
上野善紀氏のヤマダデンキ社長就任2022年4月2014年4月にベスト電器から当社へ入社し、2016年6月に取締役兼上席執行役員
上野善紀氏の持株会社代表就任2024年6月代表取締役兼副社長執行役員。同月に監査等委員会設置会社へ移行している
上野善紀氏の社長就任2025年4月代表取締役社長兼COO。山田昇氏の3度目の社長在任は3年7か月で終わった
指名委員会の関与2024年6月27日に設置任意の指名・報酬委員会。桑野光正氏と三嶋恒夫氏の交代時には置かれていない
交代の理由会社の公表資料に記載なし役員の状況は就任・退任の年月を記すのみで、交代の経緯や理由には触れていない
出所:ヤマダホールディングス 有価証券報告書 第41〜49期(2018年3月期〜2026年3月期)【役員の状況】【コーポレート・ガバナンスの状況等】
出所:ヤマダホールディングス 有価証券報告書 第41〜49期(2018年3月期〜2026年3月期)【役員の状況】【コーポレート・ガバナンスの状況等】
参考文献

参考文献

参考
  • ヤマダ電機 有価証券報告書「第41期(2018年3月期)【役員の状況】」
  • ヤマダホールディングス 有価証券報告書「第44期(2021年3月期)【役員の状況】」
  • ヤマダホールディングス 有価証券報告書「第45期(2022年3月期)【役員の状況】」
  • ヤマダホールディングス 有価証券報告書「第48期(2025年3月期)【役員の状況】」
  • ヤマダホールディングス 有価証券報告書「第47期(2024年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」

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