ヤマダホールディングス指名・報酬委員会の新設:監査等委員会設置会社への移行と、役員人事と報酬の決定に社外の目を通す仕組みの設置

更新:

時期 2024年6月
当時の社長 山田昇
論点 機関設計と役員人事・報酬の決定過程
概要

2024年6月27日の第47回定時株主総会の承認を得て、ヤマダホールディングスは監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。あわせて任意の諮問機関として指名・報酬委員会を新設し、取締役会は監査等委員でない取締役7名と監査等委員である取締役5名の計12名、うち独立社外取締役5名という構成になった。

背景

移行前の取締役会は取締役8名(うち独立社外3名)と監査役4名で、任意の委員会は置かれていなかった。取締役会の実効性評価では議事進行や意思決定の速さが評価される一方、プライム上場企業として任意の指名・報酬委員会の設置や内部通報制度の独立化によるガバナンス体制の整備が必要だと認識され、ガバナンス体制の強化が重点課題の筆頭に掲げられた。

内容

移行の目的は、更なる持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向けた監査・監督機能の充実に置かれた。指名・報酬委員会はグループの経営幹部に対するけん制機能を強化するための諮問機関で、設置時は取締役5名、過半数の3名が独立性のある監査等委員である社外取締役。2025年3月期には取締役8名、うち5名が独立社外取締役という構成へ広がっている。

含意

定款では監査等委員でない取締役を7名以内、監査等委員である取締役を5名以内と定めた。同じ総会で譲渡制限付株式報酬の枠を短期・長期それぞれ年額4億50百万円以内、合計年額9億円以内と決議している。2025年3月期は取締役会17回、指名・報酬委員会5回を開催し、代表取締役会長兼CEOの山田昇氏はいずれにも全回出席している。

筆者の見解

監督の器と、決める人

この移行で実際に増えたのは、監督に携わる社外の人数だと思われる。監査役会設置会社の時代、社外の目は独立社外取締役3名と社外監査役2名に分かれ、取締役会の議決権を持つのは3名だけだった。監査等委員会へ移ると監査役という席は消え、その役目は取締役会のなかの5名へ移る。取締役12名のうち独立社外が5名、41.7%。議決権を持つ社外の比率は、移行の前後でおよそ倍になった。加えて役員人事と報酬に諮問機関が挟まり、決定の過程が一段増えた。器としては、たしかに前より開いている。

もっとも、器が開くことと、決め方が変わることは同じではない。指名・報酬委員会は諮問機関であり、答申を受けて決めるのは取締役会である。2025年3月期にこの委員会が開かれたのは5回、取締役会は17回で、代表取締役会長兼CEOの山田昇氏は両方に全回出席している。創業者が筆頭株主であり、社長を自ら3年7か月務めたのちに次の社長へ引き継いだ会社で、新しい仕組みがどの場面でどう働いたのかは、開催回数と出席率の先にある。そこは今のところ外から確かめようがない。

Yutaka Sugiura, 2026年9月

経緯と対応

科目 概要 備考
移行の決議 2024年6月27日 第47回定時株主総会の承認により、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行
移行の目的 監査・監督機能の充実 更なる持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目的として掲げた
移行を促した認識 取締役会の実効性評価の重点課題 プライム上場企業として任意の指名・報酬委員会設置などの整備が必要と認識した
指名・報酬委員会の設置 2024年6月27日 任意の諮問機関。グループの経営幹部に対するけん制機能の強化を図るため
移行前の取締役会 取締役8名、監査役4名 2023年6月時点。取締役のうち独立社外取締役は3名、監査役のうち社外監査役は2名
移行後の取締役会 取締役12名 監査等委員でない取締役7名(うち独立社外2名)、監査等委員である取締役5名(うち3名)
独立社外取締役の比率 41.7% 取締役12名のうち独立性のある社外取締役は5名
監査等委員会の構成 監査等委員である取締役5名 うち独立性のある社外取締役3名。原則として毎月1回開催する
指名・報酬委員会の構成 設置時は取締役5名 過半数の3名は独立性のある監査等委員である社外取締役。2025年3月期は8名中5名
定款の員数枠 取締役7名以内、監査等委員5名以内 監査等委員である取締役を除く取締役を7名以内と定めた
譲渡制限付株式報酬の枠 年額9億円以内 短期4億50百万円以内と長期4億50百万円以内の合計。2024年6月27日決議
監査機関の開催 監査役会3回、監査等委員会10回 2025年3月期。移行前が監査役会、移行後が監査等委員会
取締役会と委員会の開催 取締役会17回、指名・報酬委員会5回 2025年3月期。山田昇氏の出席率はいずれも100%

出所:ヤマダホールディングス 有価証券報告書 第47期(2024年3月期)・第48期(2025年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】、コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2024年6月28日)

ヤマダホールディングス:取締役会と監査機関の構成

(人) 取締役うち独立社外取締役監査役 備考
2021年12月(監査役会設置会社) 924 監査役4名のうち社外監査役は2名。任意の委員会は置いていない
2022年6月(監査役会設置会社) 834
2023年6月(監査役会設置会社) 834
2023年11月(監査役会設置会社) 834
2024年6月(監査等委員会設置会社) 125 移行により監査役を置かず、監査等委員である取締役5名が監査を担う
2025年6月(監査等委員会設置会社) 125
2026年6月(監査等委員会設置会社) 125
取締役会の構成
うち独立社外取締役(人)社内取締役(人)

出所:ヤマダホールディングス コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2021年12月2日〜2026年7月1日)

同じ問いに直面した会社

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出典・参考
  • ヤマダホールディングス コーポレート・ガバナンスに関する報告書「コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2024年6月28日)」
  • ヤマダホールディングス 有価証券報告書「第47期(2024年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】」
  • ヤマダホールディングス 有価証券報告書「第48期(2025年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】【役員の報酬等】」

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