決断
繊維産業が斜陽化する中で、あえて先端投資を続けた点が特異であった。1951年6月、米デュポンとナイロンの技術提携を締結した。資本金の1.5倍の前払金を投じて得たのは特許の実施許諾が中心で、量産は名古屋工場の試行錯誤に委ねられた。自前で立ち上げた経験はここで刻まれ、1971年8月には炭素繊維「トレカ」を世界で最初に量産した。用途はゴルフシャフトや釣り竿にとどまり、赤字はおよそ40年続いた。1975年9月、繊維各社が非繊維へ多角化する不況期に藤吉次英社長は「脱繊維」を否定して繊維に残ると決めた。1987年就任の前田勝之助氏は自社を「大企業病」と診断して評論家的な社員の入れ替えに踏み切り、繊維と先端材料へ資源を集中した。赤字の年数を撤退の理由にしなかったことが、現在ボーイング787の機体へ炭素繊維を供給する立場につながっている。
2022年1月 UL認証不正の公表と処分
機能化成品事業の売上収益と事業利益率2021 2022 2026 売上収益(億円) 7,204 9,100 8,944 事業利益率(%) 9.3 10.0 6.3 2018年3月 テンカーテを買収
TCACに配分されたのれんと無形資産2019 2024 のれん(百万円) 60,459 82,480 顧客関連資産(百万円) 38,192 38,882 2014年 米ゾルテックを買収
米ゾルテックを買収航空機向けに偏っていた炭素繊維事業を、風力発電の翼など産業用途のラージトウへ拡大するための初の大型買収。584百万米ドルで米ゾルテックの議決権100%を取得したが、風力発電翼用途の需要が想定どおりには伸びず、2024年3月期に減損した同じ経営論点に直面した企業 | M&A・買収のれんと無形固定資産2013 2014 2019 のれん(百万円) 29,767 72,300 85,712 のれん以外の無形固定資産(百万円) 12,853 27,784 85,537 2006年3月 ファーストリテイリングと提携
業績の推移2005 2006 2011 売上高(兆円) 1.3 1.4 1.5 純利益率(%) 2.6 3.3 3.8 1975年9月 脱繊維路線への不参加
業績の推移1974 1975 1980 売上高(億円) 3,625 3,509 4,810 純利益率(%) 5.2 2.4 2.9 1971年8月 「トレカ」の事業化
「トレカ」の事業化国の研究所が発明した炭素繊維を東レが世界で最初に量産・商品化したものの、用途はスポーツ用品にとどまり、約40年におよぶ赤字を歴代社長が引き継いで抱え続けた技術投資同じ経営論点に直面した企業 | 新規事業・多角化業績の推移1970 1971 1976 売上高(億円) 2,888 3,070 3,743 純利益率(%) 6.1 4.7 0.4 1963年3月 タイで合弁2社設立
業績の推移1962 1963 1968 売上高(億円) 1,148 1,297 2,268 純利益率(%) 9.8 9.5 5.9 1957年2月 英ICIから技術導入
業績の推移1956 1957 1962 売上高(億円) 410 538 1,148 純利益率(%) 8.8 10.0 9.8