欧州で3%のシェアしか持たない会社が、その市場の最大手の全株式を取得した。1974年に置いたピータリー工場は年2,400万個の能力で優良な収益を上げていたものの、SKFが32%を占める市場でその1工場を積み増していく道筋は遠かった。接触から受注まで2年かかる保守的な顧客を相手に、自力で取引を開いていく時間を金で買った判断だったのだろう。世界4位から3位へという半歩の前進は、この方法でなければ届かなかったといえる。
ただし、買ったものは順位だけではなかった。UPI社の工場も、1998年に取得したポーランドの工場も、需要が減少すれば稼働率の重荷に変わる設備であり、2023年には欧州の固定費の大きさが最優先の課題として挙げられている。現地生産を続ける品種を選び直す作業は、30年前に取り込んだ製造網の輪郭を描き直す作業でもある。規模を買う判断は、規模を維持する費用を長く背負う判断と同じものであっただろう。