アンリツ 米Wiltron社を買収 米国拠点の取り込みによる計測器事業のグローバル化への踏み出し
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何をなぜ決めたか
- 概要
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1990年2月、アンリツが米国の計測器メーカーWiltron Companyを買収し、北米での技術ブランドと販売網を一挙に取り込んだ経営判断。当時の純利益約60億円に対し260億円を投じた"社運を賭けた"買収で、同社のグローバル化の足場となった。
- 背景
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安立電気からアンリツへ改称して間もない同社は、電電公社向けの通信機器と国内中心の計測事業を主軸としていた。通信のグローバル化で顧客が世界へ広がるなか、米HPなど世界大手と伍する海外の足場を持たないことが弱みとなっていた。
- 内容
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米Wiltronを買収し、北米市場でのマイクロ波・RF計測の拠点と米国大手通信機器メーカーへのパイプを得た。買収したAnritsu Companyは、以後の通信計測のグローバル供給の重要拠点となった。
- 含意
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純利益の4倍を超える資金を海外企業の買収へ投じた点に、国内依存から抜け出す覚悟がうかがえる。日本と海外拠点のシナジー創出には時間を要したが、この足場が1990年代の2G・3G移動体通信の世界展開を牽引した。
いつ何が起きたか 4件
筆者の見解
身の丈を超える買収が運んだもの
この判断の重さは、金額そのものよりも、賭けの性格にある。国内で堅実に稼いできた会社が、純利益の4倍を超える資金を海外企業の買収へ投じるのは、失敗すれば経営を揺るがしかねない選択であった。それでも踏み込んだのは、通信が世界へ広がる時代に、国内の強みだけでは早晩通用しなくなるという読みがあったためと推察される。守って稼ぐより、世界へ出る足場を先に押さえるという発想が、ここにうかがえる。
もっとも、買うことと、根づかせることは別であった。シナジーが実るまでに十数年を要した事実は、海外企業の買収が資金だけでは完結せず、人材と運営のノウハウを地道に積む時間を必要とすることを示している。それでも、この足場がなければ、2Gから5Gへと続く移動体通信の世界市場でアンリツが主役の一角を占めることは難しかった。社運を賭けた一手は、すぐの果実ではなく、次の時代の主力を運ぶ土台として実ったといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
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参考文献
- アンリツ 有価証券報告書(2025年3月期)【沿革】
- アンリツ アニュアルレポート2008
- 情報通信ジャーナル 2000年9月号「塩見昭社長インタビュー」
- アンリツ 会社年鑑(単体業績)