タイムズカー情報漏えいのお見舞金支払い(2026年・パーク24の決断)

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パーク24:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
免許証画像の外部送信を基準とした会員への3,000円相当の補填2026年10月23日、パーク24は取締役会で、連結子会社のタイムズモビリティが運営するカーシェアリング「タイムズカー」への不正アクセスを受け、お見舞金の支払いを決議した。対象は、暗号化された運転免許証等の本人確認書類画像へのアクセスと外部送信の痕跡が確認された会員で、3,000円相当の現金または金券を渡す。渡し方は決まっておらず、決定後に案内するとした。

何をなぜ決めたか:免許証画像の外部送信を基準とした会員への3,000円相当の補填

概要

2026年10月23日、パーク24は取締役会で、連結子会社のタイムズモビリティが運営するカーシェアリング「タイムズカー」への不正アクセスを受け、お見舞金の支払いを決議した。対象は、暗号化された運転免許証等の本人確認書類画像へのアクセスと外部送信の痕跡が確認された会員で、3,000円相当の現金または金券を渡す。渡し方は決まっておらず、決定後に案内するとした。

同じ日に、お見舞金と諸対応費用として特別損失5,500百万円を2026年10月期の第4四半期に計上する見込みを公表した。親会社株主に帰属する当期純利益の通期予想は44,000百万円から38,500百万円へ12.5%引き下げ、売上高・営業利益・経常利益の予想と1株65円の年間配当予想は据え置いている。10月28日には臨時報告書を提出した。

背景

不正アクセスを検知したのは2026年9月25日の9時07分で、侵入の経路は翌26日の7時25分までに遮断した。28日の適時開示では、漏えいしたアカウントを約660万件とし、氏名・住所・運転免許情報・運転免許証画像などの本人確認書類情報が含まれると公表した。クレジットカード情報は漏えいしていない。29日には、本人確認書類が漏えいしたアカウントを約160万件とした。

本人確認書類の画像は、会員登録の際に提出を受け、暗号化したうえで会員期間中と退会後7年間保有していた。会員にこの画像を預かる事業は、2009年3月にマツダレンタカーを取得して始めたモビリティ事業である。2025年10月期末のタイムズカー会員数は3,616千人、モビリティ事業のセグメント利益は14,888百万円であった。

内容

外部の専門機関によるフォレンジック調査は10月23日に終わった。原因はWebシステムに存在した脆弱性で、攻撃者は侵入後にデータベースとファイル領域へ到達していた。氏名・住所などに外部送信の痕跡があったものは6,628,007件、暗号化された本人確認書類の画像では、外部送信の痕跡があったものが1,464,800件、アクセスの痕跡だけのものが891,602件であった。

お見舞金の対象は、画像の外部送信の痕跡があった側に限った。画像は暗号化して保管しており、送信の痕跡があっても中身がただちに閲覧できる状態になったことを意味しない。それでも、外部へ送られた暗号化データは将来の復号の可能性を完全には否定できないことを、対象とした理由に挙げている。

含意

補填と並んで、画像を預かる仕組みそのものも改めた。10月16日、本人確認書類の画像は会員登録の確認が終われば即時に削除する社内ルールへ変え、保有中の画像は申し出の有無にかかわらず10月末までに削除すると公表した。社外取締役を中心に外部専門家を加えた調査委員会が内部統制とガバナンスを検証し、強化策は年内を目処に公表する。

公表の直後、モビリティ事業では会員数の推移に一定の影響がみられた。一方、1日あたりの売上高は事案の前の水準を維持している。特別損失は見込みの段階で、当期の有価証券報告書はまだ提出されていない。2005年5月に価格.comへの不正アクセスでメールアドレスを詐取されたカカクコムは、サイトを5月14日から24日まで閉鎖し、特別損失として復旧費用41百万円を計上している。

いつ何が起きたか12件
筆者考察
考察

考察:保有の判断が決めた補填の範囲

この決断は、漏えいの実害が確認されないうちに、会社がどこまで補填するかという問いへの答えである。パーク24は、氏名や住所に外部送信の痕跡があった6,628,007件のすべてを対象にはせず、暗号化された本人確認書類の画像が外部へ送られた1,464,800件に対象を絞った。暗号化を理由に補填を見送る選択肢もあった。それでも会社は将来の復号の可能性を否定できないと自ら認め、暗号化を免責の根拠にしなかった。損失はまだ見込みの段階にあり、成否は言えない。決着の条件は、流出した画像の悪用が確認されないまま、会員数の推移が事案の前の傾向に戻るかどうかである。

補填の対象を生んだのは、2009年3月にマツダレンタカーを取得してモビリティ事業を始めた決断である。会員に車を貸す事業である以上、登録時の本人確認は欠かせない。パーク24は提出を受けた運転免許証等の画像を暗号化して保管し、会員期間中に加えて退会の後も保有し続けた。2025年10月期末の会員数は3,616千人だったが、漏えいしたアカウントは退会者や入会の手続きを終えていない申込者まで含めて約660万件に達した。事案の後に登録確認後の即時削除へ改めたことは、長期の保有が事業の前提ではなかったことを示しているとみられる。

2005年5月に価格.comへの不正アクセスを受けたカカクコムは、サイトを閉鎖して改ざんの経路を断ち、特別損失は復旧費用の41百万円にとどまった。詐取されたのはメールアドレスで、その他の情報は含まれていない。パーク24が見込む特別損失は5,500百万円で、会員へのお見舞金と諸対応費用からなる。両社の差は攻撃の手口よりも、会社が何を保有していたかにある。運転免許証の画像はメールアドレスと違い、会員が変更して無効にできる情報ではない。漏えいの費用は事案の後ではなく、保有の範囲を決めた時点でおおむね決まっていたと読める。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

数字で見る

パーク24:特別損失と当期純利益の推移

パーク24:特別損失と当期純利益の推移

特別損失合計(百万円)当期純利益(百万円)

見込みの特別損失5,500百万円は、前期の6,064百万円に近い規模

パーク24:特別損失と当期純利益の推移
(百万円)特別損失合計親会社株主に帰属する当期純利益備考
2022年10月期2,3682,476リース契約関連損失1,571百万円を計上
2023年10月期5,14117,542減損損失3,671百万円・訴訟損失引当金繰入額1,090百万円
2024年10月期3,14918,625減損損失2,831百万円
2025年10月期6,06415,917英国子会社の退職給付制度終了損3,350百万円を含む
出所:パーク24 有価証券報告書 第39期(2023年10月期)・第41期(2025年10月期)【連結損益計算書】
出所:パーク24 有価証券報告書 第39期(2023年10月期)・第41期(2025年10月期)【連結損益計算書】
パーク24:タイムズカー会員数とモビリティ事業の利益

パーク24:タイムズカー会員数とモビリティ事業の利益

パーク24:タイムズカー会員数とモビリティ事業の利益
(千人・百万円)タイムズカー会員数(千人)モビリティ事業セグメント利益(百万円)備考
2022年10月期−4,772会員数は第38期の有報で照合できていない
2023年10月期2,42312,655
2024年10月期3,03215,901
2025年10月期3,61614,888会員獲得が想定を下回り、稼働が軟調
出所:パーク24 有価証券報告書 第39期(2023年10月期)・第40期(2024年10月期)・第41期(2025年10月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】【セグメント情報】
出所:パーク24 有価証券報告書 第39期(2023年10月期)・第40期(2024年10月期)・第41期(2025年10月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】【セグメント情報】
当時の取締役8名

取締役8名(2026年1月株主総会議決)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務西川光一取締役:代表取締役業務執行:社長・CEO担当:
川上紀文コンサル取締役:取締役業務執行:専務執行役員・CIO担当:
實貴孝夫会計取締役:取締役業務執行:常務執行役員・CFO担当:
山中新吾金融取締役:監査等委員業務執行:担当:
独立役員大浦善光金融取締役:取締役業務執行:担当:
黒木彰子学者取締役:取締役業務執行:担当:
丹生谷美穂法曹取締役:監査等委員業務執行:担当:
長坂隆会計取締役:監査等委員業務執行:担当:
この一覧は2026年1月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

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