監査等委員会設置会社への移行(2026年・鹿島建設の決断)

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論点社外取締役を半数にして監督を強めるか
鹿島建設:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
監査役会を廃止し、監督する側に社外取締役7名を据える体制への組み替え2026年6月26日開催の第129期定時株主総会で定款一部変更の件が承認され、同日付で監査役制度を採用する監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。総会には定款の変更と併せて、取締役(監査等委員である取締役を除く。)9名選任の件と、監査等委員である取締役5名選任の件が議案として提案されている。

何をなぜ決めたか:監査役会を廃止し、監督する側に社外取締役7名を据える体制への組み替え

概要

2026年6月26日開催の第129期定時株主総会で定款一部変更の件が承認され、同日付で監査役制度を採用する監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行した。総会には定款の変更と併せて、取締役(監査等委員である取締役を除く。)9名選任の件と、監査等委員である取締役5名選任の件が議案として提案されている。

移行によって取締役は11名から14名へ、社外取締役は5名から7名へ増加した。監査役5名(うち社外3名)が置かれていた枠は、監査等委員である取締役5名(うち社外4名)に置き換わっている。

背景

移行前の体制は長く動いていなかった。取締役は2021年12月時点の12名から2022年6月に13名へ増加したのち12名に戻り、社外取締役は2022年6月に4名から5名になってから移行の直前まで5名のままだった。監査役も5名・うち社外3名で据え置かれている。

取締役会の実効性評価では、成長戦略・経営戦略に関する議論の充実など取締役会付議事項の在り方、取締役会の構成、取締役会資料等の事前共有時期について課題の指摘があった。移行のタイミングを踏まえ、これらの課題を含めて実効性をさらに高めていくことを2026年6月度の取締役会で確認している。

内容

監査等委員会は取締役5名で構成し、うち4名が社外取締役で、全員が東京証券取引所及び名古屋証券取引所に届け出ている独立役員である。委員長は互選により決定し、常勤の監査等委員である小林俊明氏が務める。

職務を補助する組織として監査等委員会室を設け、補助者5名を置いた。補助者は監査等委員会の指示に従って職務を行い、業務の執行に係る役職は兼務しない。人事異動と評価については監査等委員会と事前に協議する。内部監査部門である監査部は、その活動状況を取締役会と監査等委員会に直接報告する。

含意

同じ総会で決めたのは機関設計だけではない。定款の変更により、会社法第459条第1項の規定に基づいて剰余金の配当等の決定を取締役会の決議で行えるようになった。報酬も枠を組み直し、監査等委員である取締役には月例報酬のみを年1.8億円以内で支給する方式に分けている。

業務執行にあたる取締役の報酬は、月例報酬が年6億円以内、賞与が年8億円以内、株式報酬が3事業年度で36億円以内。賞与は当期純利益・安全成績・従業員エンゲージメントを70対15対15で評価し、株式報酬は直近3か年の当期純利益の平均とROEの平均を50対50で評価する。株式報酬には譲渡制限期間の満了後3年間の返還条項を置いた。

いつ何が起きたか5件
当時の取締役11名

当時の取締役(2026年6月株主総会決議)

考察:動いたのは監査ではなく決議の所在
考察

考察:動いたのは監査ではなく決議の所在

監査役を取締役に置き換える組織の入れ替えとして読むと、この移行は小さく見える。だが同じ総会で剰余金の配当等の決定が取締役会へ移り、報酬の枠が監査等委員である取締役とそれ以外に分かれたことを合わせて見ると、動いたのは監査の形ではなく決議の置き場だったと思われる。監督する側に議決権を持つ取締役を5名据え、そのうち4名を独立役員で埋める一方、業務執行にあたる取締役では賞与と株式報酬の指標を利益・安全成績・エンゲージメント・ROEへ割り振った。監督と執行を別の物差しで測る体制が、機関設計と報酬の両方で同時に立ち上がっている。

もっとも、なぜこの時期に移行したのかは示されていない。取締役会の実効性評価が挙げた課題は付議事項の在り方・取締役会の構成・資料の事前共有時期で、いずれも監査役会設置会社のままでも手が打てるものだった。社外取締役が5名で4年近く据え置かれていた体制が、一度に7名へ動いたことの説明も見当たらない。監査等委員会室に補助者5名を置き、人事と評価を監査等委員会との事前協議に係らしめた設計は、監督の独立を形の上では確かに支えている。それが運用として効くかどうかは、この体制で最初の1年をどう回したかが出てくるまで分からない。

Yutaka Sugiura, 2026年9月
数字で見る2表

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図と表

鹿島建設:取締役会と監査体制の構成

取締役(名)うち社外取締役率(%)
鹿島建設:取締役会と監査体制の構成
(名)取締役うち社外取締役監査役うち社外監査役備考
2021年12月12453
2022年6月13553社外取締役が4名から5名になった
2023年6月12553
2024年6月12553
2025年6月12553
2026年2月11553
2026年6月147−−監査等委員会設置会社へ移行。監査等委員である取締役5名のうち4名が社外
出所:鹿島建設 コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2021年12月8日〜2026年6月提出分)
出所:鹿島建設 コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2021年12月8日〜2026年6月提出分)

経緯と対応

経緯と対応
科目概要備考
移行の承認2026年6月26日第129期定時株主総会。定款一部変更の件の承認をもって同日付で移行した
移行前の体制監査役会設置会社取締役11名(うち社外5名)、監査役5名(うち社外3名)で構成していた
取締役の員数14名以内定款。うち監査等委員である取締役は5名以内と別枠で定める
移行後の取締役会取締役14名・社外取締役7名議長は会長。原則として毎月1回、その他必要に応じて開催する
監査等委員会の構成取締役5名中4名が社外社外4名は全員が東京証券取引所及び名古屋証券取引所に届け出ている独立役員
監査等委員会の委員長小林俊明氏常勤の監査等委員。互選により監査等委員会で決定した
監査等委員会室補助者5名業務の執行に係る役職を兼務せず、人事異動と評価は監査等委員会と事前に協議する
ガバナンス・報酬委員会社外取締役7名移行前は社外取締役5名と社外監査役3名。全員が社外取締役の構成に改まった
剰余金の配当等の決定取締役会の決議定款の変更により、会社法第459条第1項の規定に基づいて決められる
監査等委員の報酬年1.8億円以内月例報酬のみ。各人の額は監査等委員である取締役の協議により定める
取締役の月例報酬年6億円以内監査等委員である取締役を除く9名が対象。うち社外取締役は1億円以内
取締役の賞与年8億円以内当期純利益・安全成績・従業員エンゲージメントを70対15対15で評価する
取締役の株式報酬3事業年度36億円以内直近3か年の当期純利益の平均とROEの平均を50対50で評価し、返還条項を置く
実効性評価での確認2026年6月度の取締役会移行のタイミングを踏まえ、付議事項の在り方などの課題に取り組むと確認した
出所:鹿島建設 有価証券報告書 第129期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの概要】【監査の状況】【役員の報酬等】・コーポレート・ガバナンスに関する報告書
出所:鹿島建設 有価証券報告書 第129期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの概要】【監査の状況】【役員の報酬等】・コーポレート・ガバナンスに関する報告書
当時の取締役11名

当時の取締役(2026年6月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考
  • 鹿島建設 有価証券報告書「第129期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの概要】」
  • 鹿島建設 有価証券報告書「第129期(2026年3月期)【監査の状況】」
  • 鹿島建設 有価証券報告書「第129期(2026年3月期)【役員の報酬等】【剰余金の配当等の決定に関する方針】」
  • 鹿島建設 コーポレート・ガバナンスに関する報告書「2026年6月提出」
  • 鹿島建設 コーポレート・ガバナンスに関する報告書「2021年12月8日〜2026年2月2日提出」

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