タカラトミー監査等委員会設置会社への移行:監査役会を廃して監査を取締役会の内側へ移し、業務執行の決定を取締役へ委ねる機関設計の組み替え
更新:
- 概要
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2026年6月25日の第75回定時株主総会で定款を変更し、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移った。監査役4名を置く体制を改め、監査等委員である取締役3名を取締役会の構成員とする形に組み替えている。
取締役会は9名から11名へ増え、うち社外取締役は5名から6名となって過半数を占めた。監査等委員会は3名のうち2名が社外取締役で、委員長は独立社外取締役が務める。
- 背景
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移行前は、取締役9名(うち社外取締役5名)で組織する取締役会に監査役4名が出席する形をとっていた。監査役設置会社として独立役員に指定した社外取締役と社外監査役を複数選任することが、実効性があり適正で効率的な企業経営を行えるという判断である。
ただしこの構成では社外取締役は取締役会の過半数に届かず、監査を担う社外監査役には取締役会の議決権がない。
- 内容
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移行の審議は報酬委員会の記録に残る。2025年11月に監査等委員会設置会社移行に関する審議、12月に移行後の取締役の報酬に関する審議、2026年4月に移行に伴う株主総会議案に関する審議が行われた。
総会には定款一部変更の件、取締役(監査等委員である取締役を除く)8名選任の件、監査等委員である取締役3名選任の件、両者の報酬額決定の件、業績連動型株式報酬制度等の額及び内容決定の件を付議している。監査等委員には和佐原征一郎氏と、弁護士の三村まり子氏、公認会計士・税理士の原夏代氏が就任した。
- 含意
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選択の理由に挙げたのは、監査等委員を取締役会の構成員とすることによる監督機能の一層の強化と、経営の透明性および客観性の向上である。あわせて、重要な業務執行の決定の全部または一部を取締役に委任できる旨の規定を定款に設けた。取締役会は、法令・定款・取締役会規程・タカラトミー決裁基準に記載する事項以外の業務執行の意思決定を取締役へ委ねる。
任意の取締役指名委員会と報酬委員会も、社内取締役1名・独立社外取締役3名の4名構成へ改めている。移行前は社外監査役を含む5名だった。
監査を議決権の内側へ入れる
この移行で実際に動いたのは、監査を担う人に議決権を与えたことだと読み替えられる。監査役会設置会社では、社外監査役3名は取締役会に出席しても議案に票を投じられない。監査等委員である取締役に置き換えれば、同じ人が監督と議決の双方を担う。社外取締役が5名から6名へ増えて過半数に達したのも、監査を担ってきた社外監査役が取締役の側へ移った帰結である。定款上の取締役の員数14名を動かさずに構成だけを入れ替えた点にも、増員ではなく組み替えとしての性格が表れている。
もっとも、監督の強化と意思決定の迅速化は、同じ移行の中では反対方向を向く。取締役会は重要な業務執行の決定を取締役へ委任できるようになり、決裁基準に載らない事項は執行側で完結する。監督の目が増えることと、監督の対象が取締役会の外へ出ていくことが同時に起きているわけで、実効がどちらに振れるかは運用次第だとみられる。委員長を独立社外取締役とし、委員の過半数を独立社外取締役で構成するという監査等委員会の設計は、その振れを抑えるための備えだろう。
Yutaka Sugiura, 2026年9月
経緯と対応
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 機関設計の変更 | 監査役会設置会社 → 監査等委員会設置会社 | 2026年6月25日開催の第75回定時株主総会で移行した |
| 選択の理由(監督) | 取締役会の監督機能の一層の強化 | 社外取締役を過半数とする体制を保ちつつ、監査等委員を取締役会の構成員とする |
| 選択の理由(執行) | 意思決定の迅速化と業務執行の機動性向上 | 重要な業務執行の決定の一部を取締役に委任し、監督と執行を分離する |
| 定款の変更 | 業務執行の決定を取締役へ委任できる旨を新設 | 法令・定款・取締役会規程・タカラトミー決裁基準に載る事項以外を委任する |
| 総会の付議議案 | 定款一部変更の件ほか4件 | 取締役8名選任、監査等委員である取締役3名選任、両者の報酬額決定、株式報酬制度 |
| 取締役会の構成 | 9名 → 11名(うち社外取締役6名) | 社外取締役が過半数を占める。議長は代表取締役社長 |
| 監査機関 | 監査役4名 → 監査等委員3名 | 監査等委員会は社外取締役2名を含み、委員長は独立社外取締役が務める |
| 監査等委員 | 和佐原征一郎氏・三村まり子氏・原夏代氏 | 三村まり子氏は弁護士、原夏代氏は公認会計士・税理士で、ともに独立社外取締役 |
| 任意の委員会 | 各4名(社内取締役1名・独立社外取締役3名) | 取締役指名委員会と報酬委員会。移行前は社外監査役を含む5名で構成していた |
| 定款上の取締役の員数 | 14名 | 移行の前後で変えていない。定款上の取締役の任期は1年 |
| 移行の審議 | 2025年11月〜2026年4月 | 報酬委員会が移行、移行後の取締役の報酬、総会議案の順に審議した |
| 移行前の取締役の報酬枠 | 年額700百万円以内 | うち社外取締役は年額100百万円以内。2025年6月26日の第74回定時株主総会で決議 |
| 移行前の監査役の報酬枠 | 年額70百万円以内 | 2006年6月27日の第55回定時株主総会で決議した枠をそのまま用いていた |
| 移行後の報酬枠 | 会社の公表資料で金額を確認できない | 有価証券報告書は総会へ報酬額決定の件を付議した事実だけを記している |
出所:タカラトミー 有価証券報告書 第75期(2026年3月期)【コーポレート・ガバナンスの状況等】【役員の状況】、コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2025年6月27日・2026年6月26日)
タカラトミー:取締役会と監査機関の員数
| (名) | 取締役 | うち社外取締役 | 監査役・監査等委員 | うち社外 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2022年3月期 | 9 | 5 | 4 | 3 | |
| 2023年3月期 | 9 | 5 | 4 | 3 | |
| 2024年3月期 | 9 | 5 | 3 | 2 | |
| 2025年3月期 | 9 | 5 | 3 | 2 | 提出日の翌日の定時株主総会で社外監査役が1名加わり、監査役は4名に戻った |
| 2026年3月期 | 9 | 5 | 4 | 3 | 有価証券報告書提出日は2026年6月24日で、移行を決める総会の前日にあたる |
| 2027年3月期 | 11 | 6 | 3 | 2 | 2026年6月25日に移行。監査機関の欄は監査等委員である取締役の員数 |
| 2028年3月期 | − | − | − | − | |
| 2029年3月期 | − | − | − | − | |
| 2030年3月期 | − | − | − | − | |
| 2031年3月期 | − | − | − | − | |
| 2032年3月期 | − | − | − | − |
出所:タカラトミー 有価証券報告書 第71〜75期(コーポレート・ガバナンスの概要・提出日現在の員数) / タカラトミー コーポレート・ガバナンスに関する報告書(2026年6月26日)
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