英本社主導の純減とボーダフォンの上場廃止
2004年〜 英本社主導で起きた純減と、グリーン・津田・モローの3代の社長
2004年〜英本社主導で起きた純減と、グリーン・津田・モローの3代の社長
2004年6月23日付で、ボーダフォン日本法人の社長ダリル・グリーンが一身上の都合を理由に職を退いた。英ボーダフォン・グループは同年4月、オランダ法人の社長をCOOとして日本へ送り込んでいた。日本側が用意した3G向けのデータ定額制は、英国側の慎重な姿勢から発表が先送りされていた。2003年10月に始めた土日の割安通話は半年で実質値上げに転じ、テレビ電話も通話の1.8倍に戻した。2004年3月期の純増は103万9100件で、auとドコモのどちらの半分にも届かなかった。日本の売り方を知る社長が本国の方針を覆せなくなったことが、辞任の引き金になったとみられる。
- 日経ビジネス 2004年7月5日
- [1]グリーンは2004年6月23日付で「一身上の都合」を理由に日本法人・持株会社の社長を辞任
- [2]英ボーダフォングループは2004年4月、オランダ法人社長デイビッド・ジョーンズをCOOとして日本に派遣
- [4]2003年10月開始の「ハッピータイム」を半年で実質値上げ、テレビ電話は通話の1.8倍に再引き上げ
- 日経ビジネス 2004年8月30日
- [3]他社が導入済みの3G向け定額制データ通信は発表直前に先送り。英国本社の意向とされる
- 政財界 26(10) 2004年11月 溝上幸伸「苦戦するボーダフォンの迷走の原因は?」
- [5]2004年3月期の純増はボーダフォン103万9100件、au290万9700件、ドコモ206万5700件
2004年8月16日、ボーダフォンはNTTドコモ前副社長の津田志郎を次期社長に迎えると発表した。津田はドコモで3Gサービスの開始を指揮したが、社長人事が覆って6月に子会社の社長へ転じていた。その7月、ボーダフォンの総契約数はJ-フォン時代を含めて初めて純減に転じた。6月に募った600人の希望退職は全社員の約18%に当たり、受け付け初日に定員へ達した。2004年4〜8月の純増は12万1600件にとどまり、auの約105万件、ドコモの約82万件と開いた。津田は持株会社と事業会社の合併を経て、12月1日に新会社の社長兼CEOに就任する段取りとなった。3Gへの移行で後れを取った局面で、ドコモの3G立ち上げを率いた経歴が買われたのだろう。
- 日経ビジネス 2004年8月30日
- [6]2004年8月16日の会見で前ドコモ副社長の津田志郎が次期社長に決定
- [7]津田はドコモで3Gサービス開始を指揮、社長最有力とされたが人事が覆り6月にドコモ子会社社長へ
- [8]2004年7月、ボーダフォンの総契約数が旧J-フォン時代を含め初の純減
- [9]全社員の約18%に当たる600人の希望退職を6月28日受付開始、即日定員
- [11]持株会社と事業会社は10月に合併し、津田は12月1日に新会社の社長兼CEOとなる予定
- 政財界 26(10) 2004年11月 溝上幸伸「苦戦するボーダフォンの迷走の原因は?」
- [10]2004年4〜8月の純増はボーダフォン12万1600件、au約105万件、ドコモ約82万件
2005年4月、ウィリアム・T・モローがボーダフォンの代表執行役社長に就任した。モローは2001年12月から2年間持株会社の社長を務め、ボーダフォンUKの経営を経て戻った人物だった。2004年度の純増数は8万9,300契約にとどまっていた。2005年11月には、指定した1件との通話とメールが定額になるLOVE定額を始めた。2005年度の純増は16万9,200契約に戻ったが、業界全体の純増に占める割合は3.5%だった。新規客1件の獲得費用は4万5,000円に上った。販売促進費がかさみ、経常利益は51.5%減の744億円に減少した。契約を積むたびに利益が削られる構図が、英本社に日本からの撤退を考えさせたと推察される。
- ボーダフォン 有価証券報告書 第20期(2006年3月期)【沿革】【役員の状況】
- [12]モローは2005年4月に代表執行役社長兼カスタマーサービス本部長、同年6月取締役・代表執行役社長
- [13]モローは2001年12月代表取締役社長、2003年12月退任、2004年2月ボーダフォンUKチーフエグゼクティブ
- ボーダフォン ニュースリリース「2006年3月期決算を発表」2006年5月
- [14]2004年度(2005年3月期)の純増数は89,300契約
- [16]2005年度の純増数169,200契約、携帯電話全体の純増数の3.5%
- [18]2006年3月期の経常利益は販売促進費の増加などで51.5%減の744億円
- ボーダフォン 決算説明会 常務執行役 財務本部長(CFO)2006年5月
- [15]2005年11月に「LOVE定額」を導入
- [17]2005年度の新規顧客獲得費用45,000円
2005年〜 上場廃止で英本社の直轄となったボーダフォンと、1.75兆円のソフトバンクへの売却
2005年〜上場廃止で英本社の直轄となったボーダフォンと、1.75兆円のソフトバンクへの売却
2004年3月期、ボーダフォンの経常利益は33.3%減の1812億円となり、最終損益は約1000億円の赤字だった。英ボーダフォンの持株会社は同年7月、日本法人株式の公開買付けで持株比率を96.1%に高めた。この買付けには約5000億円が投じられた。10月には持株会社と事業会社を合わせてボーダフォン株式会社とし、2005年8月に東証・大証の上場を廃止した。暫定で社長を兼ねた取締役会議長ブライアン・クラークの言葉では、買付けの狙いは『(日本法人を)100%コントロールできた方が戦略を確実に素早く実行できるし、グループの相乗効果も出しやすい』というものだった。上場をやめれば少数株主への配慮は要らず、2004年の時点で一部の数字の開示も止めていた。上場を外したことで、翌年の売却は少数株主を交えず親会社の一存で決められるようになったと思われる。
- 日経ビジネス 2004年7月5日
- [19]ボーダフォンホールディングスの2004年3月期は経常利益33.3%減の1812億円、最終赤字1000億円
- [23]取締役会議長クラークはTOBの狙いを100%支配による戦略の迅速な実行とグループの相乗効果と説明
- ボーダフォン 有価証券報告書 第20期(2006年3月期)【沿革】【役員の状況】
- [20]2004年7月、ボーダフォン・インターナショナル・ホールディングスB.V.の公開買付けで親会社側の持株比率96.1%
- [22]2004年10月に(旧)ボーダフォンと合併しボーダフォン株式会社へ。2005年8月東証一部・大証一部上場廃止
- 政財界 26(10) 2004年11月 溝上幸伸「苦戦するボーダフォンの迷走の原因は?」
- [21]完全子会社化・上場廃止のため約5000億円を投じた
- [24]上場廃止で少数株主への配慮と開示義務がなくなり、すでに一部の数字を開示しなくなっていた
2006年3月17日、英ボーダフォン側は、保有するボーダフォン株式会社の普通株式97.7%をソフトバンクへ売る契約を結んだ。株式価値は、有利子負債と調整項目を勘案して約1.75兆円とされた。翌4月、ソフトバンクの完全子会社BBモバイルによる公開買付けを経て、ボーダフォンはソフトバンクのグループに入った。10月1日には商号をソフトバンクモバイルへ改め、ブランドもソフトバンクへ替えた。英国の通信会社の手を離れた法人は、以後ソフトバンクの通信子会社として歩みを続けることになった。
- ソフトバンク「~To the Next Stage~」ボーダフォン日本法人買収の説明会 2006年3月17日
- [25]2006年3月17日に最終契約。ソフトバンク全額出資子会社がボーダフォン普通株式97.7%を取得、売主はボーダフォン インターナショナル ホールディングスB.V.等
- [26]株式価値約1.75兆円の予定(有利子負債および調整項目を勘案)
- ボーダフォン ニュースリリース「2006年3月期決算を発表」2006年5月
- [27]2006年4月、ソフトバンク間接保有の完全子会社BBモバイルの公開買付の結果、ソフトバンクグループ入り
- [28]2006年10月1日より商号をソフトバンクモバイル株式会社に変更、ブランドもソフトバンクへ
業績の推移
業績の推移
売上構成 データなし
売上構成 データなし
業績表
業績表
| 決算期 | 区分 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 純利益 | ||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 億円 | YoY | 億円 | 億円 | 利益率 | 億円 | ||
| 2004年03月期 | 連結 | 16,556 | n/a | n/a | 1,812 | 10.9% | n/a |
| 2005年03月期 | 連結 | 14,700 | ▲11.2% | n/a | 1,534 | 10.4% | 1,620 |
| 2006年03月期 | 連結 | 14,675 | ▲0.2% | 763 | 744 | 5.1% | 494 |
出所:有価証券報告書
経営陣 データなし
経営陣 データなし
大株主 データなし
大株主 データなし
出典・参考 7件
- [1]ボーダフォン 有価証券報告書 第20期(2006年3月期)【沿革】【役員の状況】
- [2]ボーダフォン ニュースリリース「2006年3月期決算を発表」2006年5月
- [3]ボーダフォン 決算説明会 常務執行役 財務本部長(CFO)2006年5月
- [4]日経ビジネス 2004年7月5日
- [5]日経ビジネス 2004年8月30日
- [6]政財界 26(10) 2004年11月 溝上幸伸「苦戦するボーダフォンの迷走の原因は?」
- [7]ソフトバンク「~To the Next Stage~」ボーダフォン日本法人買収の説明会 2006年3月17日