ユニキャリアHD取得(2015年・三菱ロジスネクストの決断)

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論点国内同業の買収で海外網を得るか
三菱ロジスネクスト:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
買収を機とした商号変更と、三菱ロジスネクストとしての再出発

何をなぜ決めたか:買収を機とした商号変更と、三菱ロジスネクストとしての再出発

概要

2015年7月31日の取締役会で決議し、2016年3月31日に完了した、ユニキャリアホールディングス㈱株式35.0%の取得。取得価額は約404億8千5百万円で、残る65.0%は親会社の三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス㈱が同日に取得した。2017年1月にその65.0%を767億78百万円で買い取って完全子会社とし、同年10月に社名を三菱ロジスネクストへ変更した。

内容

産業革新機構・日立建機・日産自動車らが保有するユニキャリアホールディングスの全株式を、親会社と分け合う方式で譲り受けた。まず35.0%を持ち持分法適用関連会社とし、翌期に残りを買い取って連結子会社化したうえで、ニチユ・三菱・ユニキャリアという国内の主要ブランドを一社に集約した。

含意

国内フォークリフト再編の総仕上げにあたる買収で世界シェア3位群を固めた一方、連結開始時に計上した689億54百万円ののれんの償却が、その後の利益を毎期数十億円単位で押し下げた。

いつ何が起きたか7件
考察:規模を利益へ変える作業の始まり
考察

考察:規模を利益へ変える作業の始まり

この買収を、単なる規模拡大の一手と読むと像を結ばない。ニチユ三菱フォークリフトは2013年の事業承継ですでに世界3位群へ届いていたが、地盤の国内需要は頭打ちで、海外の顧客基盤なしに次の成長は描けなかった。産業革新機構・日立建機・日産という別の系譜が育てたユニキャリアを、親会社と分け合う方式で取り込んだ判断の芯は、規模そのものより、単独では届かない海外販売網と複数ブランドを一度に獲得することにあっただろう。

もっとも、統合することと統合し直すことは同じではない。国内で競い合ってきたニチユ・三菱・ユニキャリアの三つの系譜を一社に集めた結果、同社はブランドの併存と海外拠点の重複という重い課題を抱えた。改称後に欧米の統括会社を相次いで整え、国内販売会社を再編し続けたのは、買収で増加した事業をひとつの企業として動かすまでに時間を要したことの裏返しといえる。連結開始時に計上した689億54百万円ののれんは毎期の利益を押し下げ続け、同社が中期経営計画の目標を「のれん償却前営業利益率7%」と置いたこと自体が、その重さを示していた。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る3表

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図と表

三菱ロジスネクスト:のれんと無形固定資産、総資産の推移

のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)
三菱ロジスネクスト:のれんと無形固定資産、総資産の推移
(百万円)のれん無形固定資産総資産備考
2011年3月期−−59,837のれんは2013年3月期まで該当事項なし
2012年3月期−−63,287
2013年3月期−−65,269
2014年3月期1,7634,663156,457三菱重工業からの事業承継で総資産が2.4倍になった期
2015年3月期1,6724,739162,878
2016年3月期1,2255,903192,16335.0%の取得は持分法適用にとどまり、のれんではなく投資勘定に載った
2017年3月期66,50986,032366,915完全子会社化で68,954を計上し、当期に2,102を償却した
2018年3月期59,10278,157374,940吸収分割でユニキャリアの事業を承継。のれん当期増加額は27,316
2019年3月期50,37168,022367,662
2020年3月期41,51063,219373,492
2021年3月期35,60954,472363,357
出所:ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書 第110期〜第116期(連結貸借対照表、セグメント情報等) / 三菱ロジスネクスト 有価証券報告書 第117期〜第120期(連結貸借対照表)
出所:ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書 第110期〜第116期(連結貸借対照表、セグメント情報等) / 三菱ロジスネクスト 有価証券報告書 第117期〜第120期(連結貸借対照表)

三菱ロジスネクスト:売上高と利益の推移

売上高(百万円)経常利益(百万円)
三菱ロジスネクスト:売上高と利益の推移
(百万円)売上高経常利益親会社株主に帰属する当期純利益備考
2011年3月期71,9181,163421
2012年3月期82,0061,991869
2013年3月期83,3672,1381,035
2014年3月期205,8047,9302,608
2015年3月期260,2378,9574,480
2016年3月期242,5199,5984,713ユニキャリアは持分法適用関連会社。売上高には含まれない
2017年3月期270,9698,9783,635連結は2017年1月から。3か月分の寄与とのれん償却が同時に立った
2018年3月期433,0928,4252,941通期連結で売上高が1,621億円増。のれん償却等の負担は98億円
2019年3月期448,38113,7147,077のれん償却等の負担が軽くなり営業利益は131億5千6百万円へ回復
2020年3月期448,9186,896△5,392
2021年3月期391,4962,014△2,683
出所:ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書 第110期〜第116期(連結損益計算書) / 三菱ロジスネクスト 有価証券報告書 第117期〜第120期(連結損益計算書)
出所:ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書 第110期〜第116期(連結損益計算書) / 三菱ロジスネクスト 有価証券報告書 第117期〜第120期(連結損益計算書)

買収の条件

買収の条件
科目概要備考
被取得企業の名称ユニキャリアホールディングス㈱2011年11月7日設立、川崎市幸区。2016年9月にユニキャリア㈱へ商号変更
被取得企業の事業の内容各種運搬機の開発・製造及び販売フォークリフト、コンテナキャリア、トランスファークレーン等
株式取得の相手先㈱産業革新機構、日立建機㈱、日産自動車㈱ほかに2名。全株式を三菱重工グループ2社で分けて譲り受けた
第1段階の決議と契約2015年7月31日取締役会で35.0%の取得を決議し、同日に株式譲渡契約を締結した
第1段階の取得株式数132,125株取得後の持分比率は35.0%。同日に親会社が残る65.0%を取得した
第1段階の取得価額約404億8千5百万円連結貸借対照表では株式取得価額407億5千2百万円の増加として表れた
第1段階の取得時期2016年3月31日持分法適用関連会社。取得日が期末のため持分法投資損益は翌期から
第1段階の資金調達金融機関からの借入同期の短期借入金は316億8千2百万円増加した
第2段階の決議と契約2016年9月29日取締役会で親会社からの追加取得と完全子会社化を決議し、同日に契約
企業結合日2017年1月1日支配株主である三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボHDとの取引
企業結合の法的形式現金を対価とする株式譲受会計上は共通支配下の取引として処理した
取得した議決権比率65.00%譲受直前の議決権比率は35.00%、譲受後は100.00%
第2段階の取得原価76,778百万円対価の種類は現金及び預金
企業結合日までの取得原価41,341百万円第2段階の76,778百万円と合わせた取得原価の累計は118,119百万円
第2段階の資金調達三菱重工業㈱からの借入株式取得資金の全額76,778百万円を金銭消費貸借契約により調達した
借入金の借換え総額400億円・期間10年2017年3月24日に三菱東京UFJ銀行をアレンジャーとするタームローン
受け入れた資産107,617百万円連結開始時の流動資産85,602百万円と固定資産22,015百万円
引き受けた負債99,021百万円流動負債74,418百万円と固定負債24,603百万円。ほかに非支配株主持分168百万円
のれん68,954百万円連結開始時に計上。2017年3月期末の未償却残高は66,509百万円
のれんの償却方法と期間20年以内の均等償却個々の投資の実態に合わせた投資回収見込み年数。初年度の償却額は2,102百万円
経営統合2017年10月1日ユニキャリアの国内販売以外の事業を吸収分割で承継し、商号を変更した
出所:ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書 第115期(2016年3月期)【経営上の重要な契約等】・第116期(2017年3月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】
出所:ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書 第115期(2016年3月期)【経営上の重要な契約等】・第116期(2017年3月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】
参考文献

参考文献

参考
  • ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書 第115期・第116期【沿革】【経営上の重要な契約等】【企業結合等関係】
  • 三菱ロジスネクスト 有価証券報告書 第117期・第118期【企業結合等関係】
  • ニチユ三菱フォークリフト/三菱ロジスネクスト 有価証券報告書 第110期〜第120期(連結財務諸表)
  • ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書「第115期(2016年3月期)【経営上の重要な契約等】」
  • ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書「第116期(2017年3月期)【企業結合等関係】」
  • ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書「第116期(2017年3月期)【連結キャッシュ・フロー計算書関係】」
  • ニチユ三菱フォークリフト 有価証券報告書「第116期(2017年3月期)【経営上の重要な契約等】」
  • 三菱ロジスネクスト 有価証券報告書「第117期(2018年3月期)【企業結合等関係】」
  • 三菱ロジスネクスト 有価証券報告書「第118期(2019年3月期)【企業結合等関係】」

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