この統合を、格上の三菱重工業がニチユを傘下に収めた資本再編とだけ読むと、事の芯を取り逃す。動いた事業の実体は、国内で屋内電動車を磨いてきたニチユが、海外とエンジン車という自力では届かなかった領域をひとまとめに引き受けたところにある。世界8番手にとどまり単独では成長市場へ踏み込めなかった二社が、地域も車種も重ならない弱みを互いの強みで塞いだ。前川篤取締役が"パーフェクトな補完関係"と呼んだ言葉は、規模の論理を超えて、両社が抱えていた不足を言い当てていたと推察される。
もっとも、補完が理想どおりに働くには、承継の後に長い時間がかかった。2013年に統合したのは資本と事業の枠組みであり、ニチユ・三菱・ユニキャリアという複数の系譜を一つのブランドと海外拠点へ整え直す作業は、2017年の三菱ロジスネクストへの改称を経てなお続いた。加えて、屋内電動車という当初の強みは、中国製のリチウムイオン電池を積んだ車両の参入で価格競争にさらされていく。世界3位群という座は承継が用意したものだが、その座を利益へ変えられるかは、統合の初年ではなく、その後の集約し直しにかかっていたと思われる。