Alcoa Fujikuraの合弁解消(2005年・フジクラの決断)

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フジクラ:業績の推移
売上高(億円)当期純利益率(%)
米国の自動車事業を相手に渡し、情報通信事業を100%子会社として引き取る選択2005年1月5日、フジクラは米国Alcoa Inc.との合弁会社Alcoa Fujikura Ltd.(AFL)について、合弁解消の基本合意書に調印したと公表した。AFLはフジクラが49%、Alcoaが51%を出資し、自動車用組電線と通信ケーブル・部品の製造販売、通信工事の設計施工を営んでいた。解消の理由は、フジクラが中核の情報通信事業を、Alcoaが中核の自動車事業を、それぞれ単独で展開すると合意したことにある。公表時の社長は辻川昭氏である。

何をなぜ決めたか:米国の自動車事業を相手に渡し、情報通信事業を100%子会社として引き取る選択

概要

2005年1月5日、フジクラは米国Alcoa Inc.との合弁会社Alcoa Fujikura Ltd.(AFL)について、合弁解消の基本合意書に調印したと公表した。AFLはフジクラが49%、Alcoaが51%を出資し、自動車用組電線と通信ケーブル・部品の製造販売、通信工事の設計施工を営んでいた。解消の理由は、フジクラが中核の情報通信事業を、Alcoaが中核の自動車事業を、それぞれ単独で展開すると合意したことにある。公表時の社長は辻川昭氏である。

具体的な契約は米国時間2005年3月31日に発効した。AFLは情報通信事業と日系顧客向けの自動車事業を新会社America Fujikura Ltd.へ分社し、フジクラの米国持株会社Fujikura USA Inc.が保有するAFL株式49%と、AFLが保有する新会社株式100%を交換した。新会社の評価額はAFL全事業の評価額の49%とし、切り出す事業の評価額との差は現金176百万ドルを新会社に付けて調整した。

背景

AFLは1984年に設立され、解消の公表時点で売上高1,683百万ドル、従業員35,000名を抱えていた。2000年のアニュアルレポートでは、米国でAlcoa Fujikura Ltd.を拡大・強化する方針を掲げている。

ただし、AFLの損益は持分法でしか取り込めなかった。持分法による投資損益は2001年3月期の6,921百万円の利益から、2002年3月期は654百万円、2003年3月期は4,245百万円の損失に転じた。2002年3月期の経常利益の減少には、アルコアフジクラリミテッドを中心とする持分法適用会社の純損失が響いた。2004年11月にも、同社の業績悪化を理由に経常利益の予想を125億円へ下げた。同じ2005年1月には、電力事業全般をビスキャスへ営業譲渡し、古河電気工業との統合を完了した。古河電気工業は2001年11月に米国ルーセント・テクノロジー社の光ファイバ・ケーブル部門を買収していた。

内容

再編後、AlcoaはAFLを100%保有して欧米顧客向けの自動車事業を引き継ぎ、フジクラはFujikura USA Inc.を通じて新会社America Fujikura Ltd.を100%保有した。フジクラが引き取ったのは、情報通信事業・日系顧客向けの自動車事業・現金176百万ドルの組み合わせである。2005〜2007年度のAFLの業績次第で、新会社が追加の現金を受け取るアーンアウト条項も付いた。

会計上は損失を先に計上した。情報通信事業の拠出価額が帳簿価額を下回ることによる持分損失37億円、株式交換による売却益20億円、為替換算調整勘定の取り崩しによる損失14億円を合わせ、合弁解消損失31億円を2005年3月期の特別損失に計上した。単体決算への影響はなく、この損失を織り込んで連結当期純利益の予想を50億円に下げた。

含意

2006年3月期、情報通信部門の営業利益は前期比116億円増の89億円となり、2002年度以来の営業黒字となった。米国を含む所在地「その他」の外部顧客向け売上高は、2005年3月期の12,420百万円から2006年3月期の49,278百万円へ増加した。どちらも会社はAmerica Fujikura Ltd.の米国事業の好調を理由に挙げている。

AFLの収益はその後も伸びた。傘下のAFL Telecommunications LLCの売上高は2022年3月期の87,143百万円から2025年3月期の257,886百万円へ、経常利益は5,843百万円から47,144百万円へ増加した。2026年10月28日、フジクラはAmerica Fujikura Ltd.から利益剰余金の配当250百万ドル(397億円)を受け取ることになり、2027年3月期の個別財務諸表で営業外収益に計上する。この間の2023年5月、フジクラは情報インフラなど3分野を掲げた2025年中期経営計画を決議している。

いつ何が起きたか12件
筆者考察
考察

考察:合弁の持分を通信事業と取り替える

この決断は、少数出資の海外合弁を相手と事業ごとに分け合い、単独の支配に切り替える型の答えである。49%の持分では、AFLの損益は持分法の一行でしか連結に入らず、2003年3月期には4,245百万円の損失として取り込んだ。フジクラは自動車事業の大半をAlcoaに渡し、情報通信事業を100%の子会社として持った。結果は成功と言い切れる。翌2006年3月期に情報通信部門は89億円の営業黒字となり、2025年3月期には傘下のAFL Telecommunications LLCが経常利益47,144百万円を上げた。

同じ2005年1月、フジクラは電力事業全般をビスキャスへ営業譲渡し、古河電気工業との統合を完了した。国内の電力ケーブルは合弁へ出し、米国の通信事業は合弁から引き取った。向きは逆でも、伸びる事業を単独で持ち、売上の戻らない事業を他社と分け持つという同じ選別である。その選別の先に、2023年5月の2025年中期経営計画がある。情報通信へ資源を配分したとき、米国の拠点は2005年から自前で育てたものだった。2026年10月、America Fujikura Ltd.は397億円の配当を親会社へ支払う。

同業の古河電気工業は、2001年11月に米国ルーセント・テクノロジー社の光ファイバ・ケーブル部門を買収した。米国の光通信で事業を持つという狙いは同じでも、手段が違う。古河電気工業は事業部門を買収し、フジクラは合弁の持分と交換して事業を切り出した。フジクラが受け取った新会社は全事業の評価額の49%に合わせ、差額は現金176百万ドルで埋めた。違いの理由は、通信事業がすでに合弁の中にあったことに尽きる。新たな買収代金を払わずに済んだため、解消時の損失は合弁解消損失31億円にとどまったとみられる。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

数字で見る

フジクラ:米国を含む所在地「その他」と持分法による投資損益の推移

フジクラ:米国を含む所在地「その他」と持分法による投資損益の推移

所在地「その他」の外部顧客向け売上高(百万円)所在地「その他」の営業利益率(%)

所在地「その他」の売上高は2005年3月期の12,420百万円から翌期49,278百万円へ

フジクラ:米国を含む所在地「その他」と持分法による投資損益の推移
(百万円)所在地「その他」の外部顧客向け売上高所在地「その他」の営業利益持分法による投資損益備考
2000年3月期−−5,455所在地別の値は手元の決算短信で照合できていない
2001年3月期−−6,921所在地別の値は手元の決算短信で照合できていない
2002年3月期20,610318△654AFLを中心とする持分法適用会社が純損失を計上
2003年3月期9,775△353△4,245
2004年3月期11,594171,778
2005年3月期12,4202681,349合弁解消で基本合意。AFLは期末まで持分法、解消損失31億円を計上
2006年3月期49,2781,138644America Fujikuraを連結した最初の通期
2007年3月期75,7692,543869
2008年3月期93,611△7691,099「その他」にスペインが加わる
2009年3月期85,087△707578
2010年3月期71,3832,7411,885
出所:フジクラ 決算短信(2000年3月期〜2004年3月期) / フジクラ 有価証券報告書 第158期〜第162期(所在地別セグメント情報、連結損益計算書)
出所:フジクラ 決算短信(2000年3月期〜2004年3月期) / フジクラ 有価証券報告書 第158期〜第162期(所在地別セグメント情報、連結損益計算書)
参考文献

参考文献

参考

  • フジクラ Annual Report 2000「To Our Shareholders」
  • フジクラ 決算短信(2002年3月期・2003年3月期)
  • フジクラ 決算短信(2002年3月期)
  • フジクラ 有価証券報告書 第178期(2026年3月期)【沿革】
  • 古河電気工業 有価証券報告書 第184期(2006年3月期)【沿革】
  • フジクラ 有価証券報告書 第158期(2006年3月期)【業績等の概要】
  • フジクラ 有価証券報告書 第158期(2006年3月期)【セグメント情報】
  • フジクラ 有価証券報告書 第174期(2022年3月期)・第177期(2025年3月期)【関係会社の状況】
  • フジクラ 有価証券報告書 第175期(2023年3月期)【注記事項】(重要な後発事象)
  • フジクラ 有価証券報告書 第177期(2025年3月期)【沿革】
  • フジクラ 有価証券報告書 第177期(2025年3月期)【関係会社の状況】
  • フジクラ 決算短信(2000年3月期〜2004年3月期)
  • フジクラ 有価証券報告書 第158期〜第162期(所在地別セグメント情報、連結損益計算書)
  • フジクラ 適時開示「業務上の提携の解消に関するお知らせ」
  • フジクラ 適時開示「平成17年3月期 業績予想の修正に関するお知らせ」
  • フジクラ 決算短信「平成14年3月期・平成15年3月期・平成16年3月期 決算短信(連結)」
  • フジクラ 統合報告書「Annual Report 2000「To Our Shareholders」」
  • フジクラ 有価証券報告書「第158期(2006年3月期)【業績等の概要】【セグメント情報】」
  • フジクラ 有価証券報告書「第177期(2025年3月期)【沿革】【関係会社の状況】」
  • フジクラ 臨時報告書「臨時報告書(第19条第2項第12号)」

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