sharewiseを軸とした海外上場の中止(2017年・ミンカブ・ジ・インフォノイドの決断)

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ミンカブ・ジ・インフォノイド:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)

何をなぜ決めたか:海外展開から国内金融情報事業への転換と東証マザーズへの進路変更

概要
概要

第11期末の2017年3月、ミンカブ(当時の商号はみんかぶ)は海外市場への上場準備を中止し、国内市場を軸とする事業展開へ方針を転換した。掲げた理由は2つで、狙っていた海外IPO市場が停滞して資本コストの想定が悪化したことと、国内ソリューション事業の急成長で国内の成長可能性の確度が高まったことである。創業者の瓜生憲氏が代表取締役社長を務める時期の決断である。

国内への転換は上場先の変更と組で進めた。髙田隆太郎氏(取材当時 取締役副社長兼CFO)は、それまでの構想を『海外上場をして、海外で資金調達をして海外でのブランドを少しでも高める』という内容だったと明かしている。転換後は東証マザーズへ進路を改め、髙田隆太郎氏はその狙いを『国内での信用やブランドを流動性と共に獲得して価値向上することを目指す』という言葉で示した。

背景
背景

海外展開の始まりは、2013年10月のドイツ法人sharewise GmbHの買収である。これを機にメディア事業の海外展開を成長戦略の主軸の一つに据え、第11期には海外上場を志向していた。海外向けのソフトウエアにも投資を続けている。

その間に、国内の別の事業が育った。2014年8月にインターストラクチャーを連結子会社化して金融機関向けソリューション事業へ参入し、2016年3月にはインベステックの金融情報配信事業部門を取得して商品先物とFXの情報へ広げた。第11期の連結売上高は1,545百万円で、その時点の収益の軸はすでに国内にあった。海外事業は投資段階で、撤退しても収益面の減少は軽微だった。

内容
内容

転換の実行は、海外の整理とグループの簡素化を同時に進める内容だった。第11期と第12期で海外子会社と海外事業を整理し、2017年11月にエムサーフを吸収合併、2018年3月にはその他の完全子会社の清算を決めた。第12期末に連結子会社はなくなり、個別決算の会社となっている。sharewise GmbHは清算手続きに入った。

損失は2期に分かれて表れた。第11期の連結業績は経常損失85百万円に対し、親会社株主に帰属する当期純損失が1,408百万円である。単体の第12期には海外展開整理損失249百万円を計上し、そのうち167百万円は海外企業の買収中止に伴う損失だった。国内上場の準備の時期について、髙田隆太郎氏(取材当時 取締役副社長兼CFO)は『本格的に事業拡大を目的とした今回の上場準備を始めたのは2017年のはじめからでした』と明かしている。

沿革:意思決定前後の出来事12件
考察:海外上場より国内の成長
考察

考察:海外上場より国内の成長

なぜ海外上場を止めたのか。海外IPO市場の停滞だけなら、延期して待つ選択肢もあった。それでも中止を決められたのは、国内に別の成長の根拠が育っていたからである。2014年に参入したソリューション事業が伸び、海外事業は投資段階で収益の減少も軽微だった。海外の構想を捨てても失う売上がほとんど無い。だからこの転換は、撤退というより、すでに伸びていた事業に資源を合わせる選択だったと考えられる。

しかし損失は小さくなかった。第11期の連結純損失1,408百万円は、同期の連結売上高1,545百万円に迫る規模である。海外の投資は売上を生まないまま資産の評価を失い、買収中止の費用まで残した。未上場の会社が海外上場を前提に計画を組んだ分、計画が消えたときの負担は重かった。上場準備を2017年の初めから改めて組み直したことは、国内市場の選択がこの時点の判断であったことも示している。

到達点を見ると、この判断は成功に近い。第13期にマザーズ上場を果たし、2022年3月期の単体売上高は4,304百万円まで増加して、ソリューション事業は連結売上高の過半を占めるに至った。海外については株探の英語版やニュース配信で再開しており、資金調達の場としての海外と、事業の販路としての海外を分けて考えるようになったのだろう。上場先を国内へ改めたことは、その後の国内の成長を支えた判断だったといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年11月

数字で見る

数値:意思決定前後の事業数値2件

ミンカブ・ジ・インフォノイド:単体の損益と総資産の推移

売上高(百万円)経常利益率(%)

第11期の当期純損失1,322百万円の後、第13期には当期純利益253百万円へ回復した

ミンカブ・ジ・インフォノイド:単体の損益と総資産の推移
(百万円)売上高経常利益当期純利益総資産備考
2015年3月期71278651,568
2016年3月期97884661,980
2017年3月期1,04980△1,3222,522期末に海外上場の準備を中止。連結の純損失は1,408
2018年3月期1,370109△1261,985海外展開整理損失249を計上。エムサーフを吸収合併
2019年3月期2,0322082533,926東証マザーズへ上場
2020年3月期2,4904414315,366
2021年3月期3,1045985576,069
2022年3月期4,3046936629,528
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第13期・第14期・第16期【提出会社の経営指標等】
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第13期・第14期・第16期【提出会社の経営指標等】

ミンカブ・ジ・インフォノイド:事業別の売上高の推移

ソリューション事業(百万円)メディア事業(百万円)

ソリューション事業は2019年3月期に1,078百万円となり、メディア事業の953百万円を上回った

ミンカブ・ジ・インフォノイド:事業別の売上高の推移
(百万円)ソリューション事業メディア事業備考
2018年3月期608761単体決算のセグメント情報
2019年3月期1,078953単体決算のセグメント情報
2020年3月期1,4491,341連結の外部顧客への売上高(以下同じ)
2021年3月期2,6231,534
2022年3月期3,1282,353
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第13〜16期(セグメント情報等)
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第13〜16期(セグメント情報等)
参考文献

参考文献

参考

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