ライブドアへの事業承継と持株会社化(2023年・ミンカブ・ジ・インフォノイドの決断)

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ミンカブ・ジ・インフォノイド:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)

何をなぜ決めたか:買収後の2事業の事業会社への分離と本体の統括機能への移行

概要
概要

2023年2月14日、ミンカブ・ジ・インフォノイドの取締役会は、メディア事業部門を吸収分割で完全子会社のライブドアへ承継させることを決議した。効力発生は4月1日である。ソリューション事業も、4月3日設立のミンカブソリューションサービシーズ(MSS)へ7月1日付で承継し、本体は両社を統括する立場へ移行した。

分割と組で、人事とグループ内の統合も動かした。ライブドア社長の宮本直人氏は6月30日の総会を経て本体の常務取締役となり、MSSの社長には齋藤正勝副社長が就任した。ALISはライブドアへ吸収合併し、ロボット投信もMSSへ統合している。

背景
背景

再編の前提は、ライブドアの買収で事業の性格が2つに分かれたことである。買収により事業領域は投資家層から生活者へ、金融経済情報からあらゆる情報分野へ広がった。2023年5月に公表した中期計画は、2026年3月期に売上高17,000百万円、営業利益3,000百万円を掲げている。

足元の収益力は計画と離れていた。2023年3月期の営業利益は111百万円で前期比87.2%減、経常損益は207百万円の損失である。再編は成長の体制であると同時に、V字回復の手段でもあった。人的リソースの再配置、グループ内マーケティングによる広告宣伝費の削減、減価償却費の圧縮を組織再編の基本方針に結びつけている。

内容
内容

分割は完全子会社との無対価適格分割で、対価の授受はない。承継したメディア事業部門の2022年3月期の売上高は2,353百万円で、流動資産211百万円と固定資産652百万円を移した。Kabutan(株探)事業はソリューション事業との連携を強める観点から同事業の資産とし、株探プレミアムの収益もメディア事業からソリューション事業へ移管した。

法人を分けても、人は本体に多く残った。2024年3月末の提出会社の従業員151名のうち、メディア事業41名とソリューション事業74名が在籍し、全社共通は36名である。第2四半期からはグループ各社よりマネジメントフィーを徴収し、2024年3月期の支払額はメディア事業470百万円、ソリューション事業289百万円となった。

沿革:意思決定前後の出来事12件
考察:成長を前提とした体制の短命
考察

考察:成長を前提とした体制の短命

なぜ買収の翌年に持株会社へ移行したのか。金融情報を法人へ提供する事業と、生活者向けに広告で収益を得るメディア事業では、判断の速さも資源の配り方も異なる。別々の事業会社に権限を委ねれば、2つの事業を同時に伸ばせると考えたのだろう。買収したライブドアをそのまま承継先に使えたことも、分離を選びやすくしたと思われる。売上高17,000百万円を掲げた中期計画にとって、自然な組織の選択だった。

ただ、この体制は成長を前提にしていた。マネジメントフィーは内部取引で連結の損益を変えないが、事業ごとの損益の読み方は複雑になる。2025年3月期にメディア事業が負担した830百万円を戻しても、セグメント損失は1,358百万円に達した。法人を分けながら提出会社に多くの従業員を残した点も、分離が人の配置まで及ばなかったことを示している。権限を委ねる利点より、管理の重さが先に立ったと思われる。

結果は半分の撤回である。2025年10月のMSSの吸収合併で、ソリューション側の分離は2年余りで終わった。ライブドアは2026年9月にSBIグループへの譲渡が決議された。事業会社として切り出してあった点が、メディア事業だけを譲渡できる単位を用意したのだろう。成長のために組んだ体制は、結果として撤退の単位として機能したと考えられる。本体の売上高が2025年3月期に1,123百万円まで減少し、翌期に2,870百万円へ回復した推移も、体制の短さを示している。

Yutaka Sugiura, 2026年11月

数字で見る

数値:意思決定前後の事業数値3件

ミンカブ・ジ・インフォノイド:セグメント利益の推移

メディア事業(百万円)ソリューション事業(百万円)調整額(百万円)

メディア事業のセグメント損益は2025年3月期に2,188百万円の損失となった

ミンカブ・ジ・インフォノイド:セグメント利益の推移
(百万円)メディア事業ソリューション事業調整額営業利益備考
2018年3月期164250△271142単体決算のセグメント情報
2019年3月期294340△378256単体決算のセグメント情報
2020年3月期545409△432523
2021年3月期530738△509759
2022年3月期747786△658874
2023年3月期223762△874111旧区分。株探プレミアムはメディア事業に含む
2024年3月期△706138△131△699新区分。各事業はマネジメントフィー控除後
2025年3月期△2,18899178△1,911新区分。メディア事業のフィー控除前の損失は1,358
2026年3月期83477△11549新区分。2025年10月にMSSを吸収合併
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第13〜20期(セグメント情報等)
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第13〜20期(セグメント情報等)

ミンカブ・ジ・インフォノイド:提出会社の売上高と従業員数の推移

提出会社の売上高(百万円・人)

提出会社の売上高は2025年3月期に1,123百万円まで減少し、吸収合併の期に2,870百万円へ回復した

ミンカブ・ジ・インフォノイド:提出会社の売上高と従業員数の推移
(百万円・人)提出会社の売上高提出会社の従業員数備考
2018年3月期1,37071
2019年3月期2,03285
2020年3月期2,49089
2021年3月期3,10495
2022年3月期4,304114
2023年3月期4,595152
2024年3月期2,088151メディア事業41名、ソリューション事業74名、全社共通36名
2025年3月期1,123241連結の従業員数も241名で同じ
2026年3月期2,8702362025年10月にMSSを吸収合併
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第16期・第20期【提出会社の経営指標等】
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第16期・第20期【提出会社の経営指標等】

ミンカブ・ジ・インフォノイド:マネジメントフィーの推移

メディア事業の支払額(百万円)ソリューション事業の支払額(百万円)

各事業の支払額は2025年3月期に計1,120百万円となった

ミンカブ・ジ・インフォノイド:マネジメントフィーの推移
(百万円)メディア事業の支払額ソリューション事業の支払額
2024年3月期470289
2025年3月期830289
2026年3月期492219
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第18〜20期【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
出所:ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第18〜20期【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
人物:意思決定前後の取締役10名

取締役10名(2022年6月株主総会決議)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務瓜生憲金融取締役:代表取締役社長兼CEO業務執行:担当:
伴将行金融取締役:取締役業務執行:担当:
髙田隆太郎会計取締役:取締役業務執行:担当:
齋藤正勝金融取締役:取締役副社長兼COO業務執行:担当:
独立役員野間潔取締役:取締役(注)1業務執行:担当:
澄田誠コンサル取締役:取締役会長(注)1業務執行:担当:
槇徳子取締役:取締役(注)1業務執行:担当:
吉村貞彦会計取締役:取締役(監査等委員)(注)1.2.業務執行:担当:
石橋省三コンサル取締役:取締役(監査等委員)(注)1.2.業務執行:担当:
濱野信也商社取締役:取締役(常勤監査等委員)(注)1.2.業務執行:担当:
この一覧は2022年6月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第17期(2023年3月期)【経営上の重要な契約等】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第17期(2023年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド ニュースリリース「当社グループの事業推進体制に関するお知らせ」(2023年7月3日)
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド ニュースリリース「役員人事に関するお知らせ」(2023年5月30日)
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第18期(2024年3月期)【関係会社の状況】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第17期(2023年3月期)【サステナビリティに関する考え方及び取組】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第17期(2023年3月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第18期(2024年3月期)【セグメント情報等】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第18期(2024年3月期)【従業員の状況】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第18期(2024年3月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第17期(2023年3月期)【企業結合等関係】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第18期(2024年3月期)【沿革】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第19期(2025年3月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第20期(2026年3月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 適時開示「連結子会社の異動を伴う株式譲渡に関するお知らせ(開示事項の経過)」(2026年9月17日)
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第13〜20期(セグメント情報等)
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第16期・第20期【提出会社の経営指標等】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書 第18〜20期【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 適時開示「役員人事に関するお知らせ」
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 適時開示「当社グループの事業推進体制に関するお知らせ」
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 適時開示「子会社「株式会社ミンカブソリューションサービシーズ」の吸収合併完了のお知らせ」
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 決算説明会資料「2023年3月期 決算短信補足説明資料」
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書「第17期(2023年3月期)【経営上の重要な契約等】【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】」
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書「第18期(2024年3月期)【セグメント情報等】【従業員の状況】」
  • ミンカブ・ジ・インフォノイド 有価証券報告書「第20期(2026年3月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】【重要な後発事象】」

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