リガク・ホールディングス の歴史

創業

1951年

創業者

志村義博

創業地

東京都千代田区有楽町

直近売上高(2025/12)

942億円

長期業績と転換点(1996/12〜2025/12)
売上高(億円純利益率(%)
Q なぜ1951年に設立された理学電機は、研究者の注文が製品を決める会社になったのか
A 装置の買い手が大学と研究機関に限られる市場では、標準品を並べて待つより、研究者が求める仕様をその都度形にするほうが売れる。1951年12月、東京都千代田区有楽町に国産X線装置の製造販売を目的として理学電機が設立された。初代社長の志村義博氏は1960年に東京大学から工学博士の学位を受けた研究者でもあり、自ら研究室を回って動向を聞いた。国産初となった1954年の自動記録式X線回折装置は東京大学の高良和武氏との協働から生まれ、1967年にはNHK放送科学基礎研究所からの発注が世界最大級の強力X線源につながった
Q なぜ2021年に創業家は、事業会社への売却ではなく投資ファンドとの共同出資を選んだのか
A 株式をすべて手放せば従業員が散り、親族に継がせれば内紛を招きかねない。どちらも避けたい売り手にとって、買い手と並んで株主に残る形だけが条件を満たした。志村晶氏はマサチューセッツ工科大学の在学中に父の跡を継ぎ、以後50年にわたり全株式を保有したまま経営したが、後継者を社内に置いていなかった。2021年3月、カーライル・グループが約80%、志村氏が約20%を持つ持株会社がリガク株の過半を取得した。志村氏は従業員を主役にすることを買い手選びの基準に挙げている
Q なぜ2026年に、投資ファンドの持分を市場ではなく米Onto Innovationへ譲ったのか
A ファンドの持分を市場で売り切れば需給が崩れ、株主は不特定のまま残る。事業の相手に渡せば、出口の処理が事業上の提携にもなる。リガクはX線の計測に強く、Onto Innovationは解析ソフトウェアと先端パッケージの検査に強い。2026年4月、カーライル系のAtom Investmentが持つ株式のうち27%をOnto Innovationへ譲ることで合意し、議決権比率は42.03%から15.03%へ下がる川上潤社長は、安定した事業パートナーを株主に迎えることで上場会社としての自主性と独立性を保てると説明した

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1951年〜 戦前の会社を整理して再出発した国産X線装置メーカー(1951〜1970)

  1. 1951年 国産X線装置の製造販売を目的に東京・有楽町で理学電機を設立
  2. 1952年 回転対陰極型X線発生装置を開発
  3. 1954年 自動記録式X線回折装置を開発
  4. 1957年 自動記録式熱分析装置を開発
  5. 1960年 東京都昭島市松原町に拝島工場を新設
  6. 1961年 大阪府高槻市赤大路町に理学電機工業を設立

学究の徒が引き受けた再出発と研究室との近さ

理学電機は1951年12月、東京都千代田区有楽町に設立された[1]。事業目的は国産のX線装置の製造と販売[2]である。ただしこれは何も無いところから始めた創業ではなく、戦前からあった旧理学電機を整理したうえでの再出発[3]だった。当時、東京工業大学の物理教室でX線発生装置を組み立てていた星埜禎男氏は、1948年ごろに旧理学電機の未封入管球を使っており[4]、その会社が戦前の事業を整理して新しく出発すると聞いて三鷹の工場の倉庫を見に行った。倉庫には古い粉末カメラなどが残っていたものの、めぼしいものは見当たらなかった。初代社長には志村義博[6]が就いた。 [5]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [1]理学電機は1951年12月に東京都千代田区有楽町で設立された
    • [2]設立時の事業目的は国産X線装置の製造・販売
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [3]1951年の設立は戦前からあった旧理学電機(東京理学電機)を整理しての再出発だった
    • [4]星埜禎男氏は1948年ごろに旧理学電機の未封入管球を使用していた
    • [5]星埜氏は三鷹の工場の倉庫を見に行ったが、古い粉末カメラなどがあるだけでめぼしいものはなかった
  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
    • [6]初代社長は志村義博氏

志村義博社長は経営者でありながら研究者の側に身を置いた人物だった。同時代の研究者はその人柄を経済人には珍しい学究の徒[8]と評し、自ら大学の研究室に足を運んで研究動向を聞いて回る姿[9]を書き残した。実績は学位にも表れており、1960年12月に東京大学から工学博士の学位を受けた[10]。学位論文の題は「連続自動記録高低温X線回折装置の研究とその冶金学的応用[11]」であり、自社が売る装置そのものが研究対象だった。日本物理学会でも1957年から1969年にかけてX線回折装置や回転対陰極X線源に関する発表を重ねた[12][7]

  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [7]同時代の研究者は志村義博氏を「経済人には珍しい学究の徒」と評した
    • [8]同時代の研究者は志村義博氏を「経済人には珍しい学究の徒」と評した
    • [9]志村義博氏は自ら研究室に足を運び研究動向を聞いて回った
  • 国立国会図書館サーチ 書誌(NDLビブID 000008568244、請求記号 UT51-48-D1554)
    • [10]志村義博氏は1960年12月14日に東京大学から工学博士の学位を授与された
    • [11]学位論文は「連続自動記録高低温X線回折装置の研究とその冶金学的応用」
  • 国立国会図書館サーチ 著者検索(志村義博)2026年8月9日取得
    • [12]志村義博氏は日本物理学会で1957年から1969年にかけてX線回折装置・回転対陰極X線源の発表を重ねた

再出発した時点の日本には、X線装置そのものが無かったわけではない[13]。島津製作所は1950年にX線回折装置SX-50形を出しており[14]、X線装置そのものは遅くとも戦中から国産されていた。足りなかったのは自動で記録する装置のほうである。自動記録式のX線回折装置は1949年に輸入品として現れ、国産品が出るのは1954年[16]まで待つことになる。理学電機が年表に最初に登場するのは1952年で、回転対陰極形X線発生装置ロータフレックスがそれにあたる[17]。国内では島津製作所の回転対陰極X線発生装置が翌1953年[18]であり、この方式では理学電機が先行した。もっとも星埜氏は、理学電機が進めていたのは英国のTaylorが示した縦型ドラム式の回転対陰極X線発生装置の開発だった[19]と記しており、その1号機は後に東京大学物性研究所へ納められた。 [15]

  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [13]分析機器年表では1943年に日本のX線装置の歴史が始まり、輸入に頼っていたのは自動記録式の回折装置だった
    • [14]島津製作所は1950年にX線回折装置SX-50形を発売した
    • [15]自動記録式X線回折装置は1949年の輸入品が最初で、国産品の登場は1954年だった
    • [16]自動記録式X線回折装置は1949年に輸入品として登場し、国産品は1954年
    • [17]理学電機の年表初出は1952年の回転対陰極形X線発生装置ロータフレックス
    • [18]島津製作所の回転対陰極X線発生装置は1953年で、理学電機が1年先行した
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [19]星埜禎男氏は理学電機がTaylor型の縦型ドラム式回転対陰極X線発生装置を開発しており、その1号機が東京大学物性研究所へ納入されたと記した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [1]理学電機は1951年12月に東京都千代田区有楽町で設立された
    • [2]設立時の事業目的は国産X線装置の製造・販売
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [3]1951年の設立は戦前からあった旧理学電機(東京理学電機)を整理しての再出発だった
    • [4]星埜禎男氏は1948年ごろに旧理学電機の未封入管球を使用していた
    • [5]星埜氏は三鷹の工場の倉庫を見に行ったが、古い粉末カメラなどがあるだけでめぼしいものはなかった
    • [7]同時代の研究者は志村義博氏を「経済人には珍しい学究の徒」と評した
    • [8]同時代の研究者は志村義博氏を「経済人には珍しい学究の徒」と評した
    • [9]志村義博氏は自ら研究室に足を運び研究動向を聞いて回った
    • [19]星埜禎男氏は理学電機がTaylor型の縦型ドラム式回転対陰極X線発生装置を開発しており、その1号機が東京大学物性研究所へ納入されたと記した
  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
    • [6]初代社長は志村義博氏
  • 国立国会図書館サーチ 書誌(NDLビブID 000008568244、請求記号 UT51-48-D1554)
    • [10]志村義博氏は1960年12月14日に東京大学から工学博士の学位を授与された
    • [11]学位論文は「連続自動記録高低温X線回折装置の研究とその冶金学的応用」
  • 国立国会図書館サーチ 著者検索(志村義博)2026年8月9日取得
    • [12]志村義博氏は日本物理学会で1957年から1969年にかけてX線回折装置・回転対陰極X線源の発表を重ねた
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [13]分析機器年表では1943年に日本のX線装置の歴史が始まり、輸入に頼っていたのは自動記録式の回折装置だった
    • [14]島津製作所は1950年にX線回折装置SX-50形を発売した
    • [15]自動記録式X線回折装置は1949年の輸入品が最初で、国産品の登場は1954年だった
    • [16]自動記録式X線回折装置は1949年に輸入品として登場し、国産品は1954年
    • [17]理学電機の年表初出は1952年の回転対陰極形X線発生装置ロータフレックス
    • [18]島津製作所の回転対陰極X線発生装置は1953年で、理学電機が1年先行した

国産初の自動記録式X線回折装置と垂直軸の選択

1954年、理学電機は国産初の自動記録式X線回折装置ガイガーフレックス[20]を製品化した。1948年の時点でラボ用のX線回折装置の世界シェア首位はオランダ製の輸入品であり[21]、1949年に日本へ入った自記式の装置も輸入に頼っていた[22]。国産化の相手はフィリップス[23]だった。設計には東京大学の高良和武氏[24]が関わった。1960年2月には東京都昭島市松原町に拝島工場を新設[25]した。この地には後に1986年のリガク、1989年の理学メカトロニクス、1992年のX線研究所が置かれ、2021年には本社も移る[26]。フィリップスがガイガー計数管式の粉末X線回折強度測定装置を開発したことを知った高良氏が、理学電機でも造ろうという相談を受けた[27]のが始まりである。輸入品をそのまま写す道もあったが、両者は装置の基本構成で異なる選択をした[28]

  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [20]1954年の自動記録式X線回折装置(ガイガーフレックス)は国産初
    • [21]1948年のラボ用X線回折装置はシェア世界トップが輸入品(オランダ製)だった
    • [22]1949年の自記式X線回折装置はコロンビヤ貿易/ノレルコの輸入品だった
    • [23]1948年に世界シェア首位だったラボ用X線回折装置はフィリップス製で、1949年に輸入された自記式装置もコロンビヤ貿易/ノレルコ(フィリップス系)だった
  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
    • [24]設計に東京大学の高良和武氏が関与した
    • [27]フィリップスがガイガー計数管式の粉末X線回折強度測定装置を開発したことを知り、高良氏が理学電機から相談を受けた
    • [28]フィリップスは試料と計数管の回転軸を水平、理学電機は垂直軸とし、装置の基本構成が異なった
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [25]1960年2月に東京都昭島市松原町へ拝島工場を新設した
    • [26]昭島市松原町には1986年9月にリガク、1989年2月に理学メカトロニクス、1992年4月にリガクX線研究所が置かれ、2021年6月に本社が移転した

フィリップスは試料と計数管の回転軸を水平に置いていたのに対し、理学電機は垂直軸を選んだ[29]。この選択によって試料の加熱炉を据えるのが容易になり、測定装置の回転運動の精度も上がった[30]と高良氏は伝えている。精度を支える部品も国内で探した。高良氏は大枚を投じて米国から回転機構を持ち帰っていたが、まもなく米国が輸出を禁じた。そこで米国製に負けない精度を求めて全国の大学や民間会社を回り、日本精工が既製品のなかから出した最高のものが米国製に劣らないと確かめた[32]。精密測定のために恒温で無震動の実験室まで理学電機が用意しており[33]志村義博社長は後に、贅沢過ぎるものを造ったと語った。 [31]

  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
    • [29]フィリップスは回転軸を水平、理学電機は垂直軸を採用した
    • [30]垂直軸の採用で試料の加熱炉の設置が容易になり、回転運動の精度も向上した
    • [31]高良和武氏は大枚を投じて米国製ボールベアリングを日本へ持ち帰ったが、まもなく米国が輸出禁止とし、国内で代替を探した
    • [32]高良和武氏が全国の大学や民間会社を回り、日本精工の既製品が米国製に劣らない精度を持つと確認した
    • [33]精密測定用に恒温・無震動の実験室を理学電機が用意した

選択の当否は海外で確かめられた。高良氏が米国のベル研究所を訪ねた際、X線回折の権威であるバッターマン教授から、理学電機とフィリップスの回折装置を比べると理学電機のほうが優れていたと告げられた[35]。装置の系列もこの時期に広がった。1954年には回折装置に付ける走査型蛍光X線分析装置K-3、1955年にはX線応力測定装置ストレンフレックスが加わり[37]、1957年の自動記録式熱分析装置サーモフレックスは分析機器年表の熱分析装置欄で最初に載る国産機となった[38]。島津製作所の自記示差熱分析装置DT-1Aは翌1958年[39]である。 [34][36]

  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
    • [34]高良和武氏は米ベル研究所でX線回折の世界的権威バッターマン教授から評価を伝えられた
    • [35]高良和武氏はベル研究所でバッターマン教授から理学電機の装置のほうが優れていたと言われた
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [36]1954年に走査型蛍光X線分析装置K-3が加わり製品系列が広がった
    • [37]1954年に走査型蛍光X線分析装置K-3、1955年にX線応力測定装置ストレンフレックスを製品化した
    • [38]1957年の自動記録式熱分析装置サーモフレックスは分析機器年表の熱分析装置欄で最初のエントリ
    • [39]島津製作所の自記示差熱分析装置DT-1Aは1958年
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [20]1954年の自動記録式X線回折装置(ガイガーフレックス)は国産初
    • [21]1948年のラボ用X線回折装置はシェア世界トップが輸入品(オランダ製)だった
    • [22]1949年の自記式X線回折装置はコロンビヤ貿易/ノレルコの輸入品だった
    • [23]1948年に世界シェア首位だったラボ用X線回折装置はフィリップス製で、1949年に輸入された自記式装置もコロンビヤ貿易/ノレルコ(フィリップス系)だった
    • [36]1954年に走査型蛍光X線分析装置K-3が加わり製品系列が広がった
    • [37]1954年に走査型蛍光X線分析装置K-3、1955年にX線応力測定装置ストレンフレックスを製品化した
    • [38]1957年の自動記録式熱分析装置サーモフレックスは分析機器年表の熱分析装置欄で最初のエントリ
    • [39]島津製作所の自記示差熱分析装置DT-1Aは1958年
  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
    • [24]設計に東京大学の高良和武氏が関与した
    • [27]フィリップスがガイガー計数管式の粉末X線回折強度測定装置を開発したことを知り、高良氏が理学電機から相談を受けた
    • [28]フィリップスは試料と計数管の回転軸を水平、理学電機は垂直軸とし、装置の基本構成が異なった
    • [29]フィリップスは回転軸を水平、理学電機は垂直軸を採用した
    • [30]垂直軸の採用で試料の加熱炉の設置が容易になり、回転運動の精度も向上した
    • [31]高良和武氏は大枚を投じて米国製ボールベアリングを日本へ持ち帰ったが、まもなく米国が輸出禁止とし、国内で代替を探した
    • [32]高良和武氏が全国の大学や民間会社を回り、日本精工の既製品が米国製に劣らない精度を持つと確認した
    • [33]精密測定用に恒温・無震動の実験室を理学電機が用意した
    • [34]高良和武氏は米ベル研究所でX線回折の世界的権威バッターマン教授から評価を伝えられた
    • [35]高良和武氏はベル研究所でバッターマン教授から理学電機の装置のほうが優れていたと言われた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [25]1960年2月に東京都昭島市松原町へ拝島工場を新設した
    • [26]昭島市松原町には1986年9月にリガク、1989年2月に理学メカトロニクス、1992年4月にリガクX線研究所が置かれ、2021年6月に本社が移転した

研究者の注文が製品を決めた強力X線源

理学電機の製品は、研究者からの注文が先にあって形になることが多かった[40]。1965年には計算機を組み込んだ単結晶自動X線回折装置を製品化した[41]。星埜禎男氏は、1968年ごろには米国のGEやオランダのフィリップスに次いで計算機で制御する単結晶4軸自動X線回折装置の商品化に至り、名実ともに世界的な専門メーカーへ成長した[42]と書き残した。注文が装置を生んだ例もある。1967年、当時NHK放送科学基礎研究所にいた千川純一氏が世界最大級の回転対陰極X線源の製作を発注した[44]。千川氏は後年、研究のニーズから新製品をという情熱を志村義博社長が掲げ、研究者の夢に応える社風があった[45]と振り返り、社長自身が強力X線発生装置は是非とも作りたい、どこからか開発依頼が来るのをずっと待っていた[46]と応じたと記した。 [43]

  • 理学電機ジャーナル 28巻1号(1997年4月)千川純一「飛んで火に入る夏の虫」
    • [40]千川純一氏は志村義博社長が「研究のニーズから新製品を」と情熱を掲げ研究者の夢に応える社風だったと回想している
    • [43]千川純一氏は1967年に世界最大級の回転対陰極X線発生装置を理学電機へ発注した
    • [44]1967年にNHK基礎研究所の千川純一氏が世界最大級の回転対陰極X線源を発注した
    • [45]千川氏は「研究のニーズから新製品を」という志村義博社長の姿勢と、研究者の夢に応える社風を回想している
    • [46]志村義博社長は強力X線発生装置の開発依頼を待っていたと応じた
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [41]1965年に計算機を組み込んだ単結晶自動X線回折装置(AFC)を製品化した
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [42]星埜禎男氏は1968年頃にGE・Philipsに次いで計算機制御の単結晶4軸自動X線回折装置を商品化し「名実共に世界的な専門メーカーに成長して行った」と評価した

注文は装置の水準を押し上げた。1968年、志村義博社長らは60キロボルト・500ミリアンペア、陽極直径400ミリメートルの回転対陰極X線発生装置を発表した[48]。この装置はそれまでのものと比べてX線の出力を飛躍的に増やし、出力で約10倍、真空度でおよそ2桁の向上を果たした[49]。強力なX線源を使って確立された高速X線トポグラフィ装置は米国、ソ連、ドイツへ輸出され、国内では北海道大学、東北大学、名古屋大学をはじめ主な大学に順に設置された[50]。半導体企業でも結晶品質や工程の改善に使われ、成果は1972年の京都での国際結晶学会で発表された[51]。その席では英国の研究者から、強いX線を使うのは卑怯だと評された[52]。1969年には日本原子力研究所のJRR-3原子炉[53]に置かれた中性子回折用の小型回折装置についても、ゴニオメーターヘッドを据える回転台を理学電機が製作した。 [47]

  • 理学電機ジャーナル 28巻1号(1997年4月)千川純一「飛んで火に入る夏の虫」
    • [47]千川純一氏の1967年の発注を受けて1968年の60kV・500mA回転対陰極X線発生装置が生まれた
    • [50]高速X線トポグラフィ装置は米国・ソ連・ドイツへ輸出され、国内では北海道大学・東北大学・名古屋大学など主要大学に設置された
    • [51]半導体企業でも結晶品質や工程改善に利用され、1972年の京都の国際結晶学会で成果が発表された
    • [52]1972年京都の国際結晶学会での発表に対し英国の著名な研究者が「強いX線を使うのは卑怯」と発言した
  • 日本結晶学会誌 40巻4号(1998年)小野勝男「強力X線発生装置の変遷」
    • [48]1968年に60kV・500mA、陽極直径400mmの回転対陰極X線発生装置を発表した
    • [49]従来装置に比べ出力は約10倍、真空度は約2桁向上した
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [53]1969年に日本原子力研究所JRR-3の中性子回折用小型回折装置のゴニオメーターヘッド設置回転台を製作した
  • 理学電機ジャーナル 28巻1号(1997年4月)千川純一「飛んで火に入る夏の虫」
    • [40]千川純一氏は志村義博社長が「研究のニーズから新製品を」と情熱を掲げ研究者の夢に応える社風だったと回想している
    • [43]千川純一氏は1967年に世界最大級の回転対陰極X線発生装置を理学電機へ発注した
    • [44]1967年にNHK基礎研究所の千川純一氏が世界最大級の回転対陰極X線源を発注した
    • [45]千川氏は「研究のニーズから新製品を」という志村義博社長の姿勢と、研究者の夢に応える社風を回想している
    • [46]志村義博社長は強力X線発生装置の開発依頼を待っていたと応じた
    • [47]千川純一氏の1967年の発注を受けて1968年の60kV・500mA回転対陰極X線発生装置が生まれた
    • [50]高速X線トポグラフィ装置は米国・ソ連・ドイツへ輸出され、国内では北海道大学・東北大学・名古屋大学など主要大学に設置された
    • [51]半導体企業でも結晶品質や工程改善に利用され、1972年の京都の国際結晶学会で成果が発表された
    • [52]1972年京都の国際結晶学会での発表に対し英国の著名な研究者が「強いX線を使うのは卑怯」と発言した
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [41]1965年に計算機を組み込んだ単結晶自動X線回折装置(AFC)を製品化した
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [42]星埜禎男氏は1968年頃にGE・Philipsに次いで計算機制御の単結晶4軸自動X線回折装置を商品化し「名実共に世界的な専門メーカーに成長して行った」と評価した
    • [53]1969年に日本原子力研究所JRR-3の中性子回折用小型回折装置のゴニオメーターヘッド設置回転台を製作した
  • 日本結晶学会誌 40巻4号(1998年)小野勝男「強力X線発生装置の変遷」
    • [48]1968年に60kV・500mA、陽極直径400mmの回転対陰極X線発生装置を発表した
    • [49]従来装置に比べ出力は約10倍、真空度は約2桁向上した

1971年〜 二代目の継承と世界の専門メーカーへの成長(1971〜1995)

  1. 1971年 米国マサチューセッツ州に営業所 Rigaku USA を開設
  2. 1972年 Rigaku USA を支店に格上げ
  3. 1972年 Rigaku USA を法人化し Rigaku USA, Inc. を設立
  4. 1975年 東京都西多摩郡羽村町に理学流通サービスセンターを設立
  5. 1978年 超強力X線発生装置 RU-1500 を開発
  6. 1978年 東京都文京区本郷に日本インスツルメンツを設立
  7. 1980年 東京都西多摩郡瑞穂町に理学瑞穂製作所を設立

MITから呼び戻された二代目と同じ年の米国進出

1971年、志村義博社長が急逝した[54]。長く付き合いのあった研究者が突然の訃報に接するほどの急な死[55]だった。東京大学の高良和武氏は、1番2番を競わず誰もやらないことをやろうと考えるようになった自らの志を支えた恩人の一人として志村義博社長を挙げ[56]、回転対陰極X線源や回折装置を貸してもらった際に、会社が潰れそうになったら取り返しに来ますからと笑って言われた[57]と書き残した。跡を継いだのは長男の志村晶氏である。当時マサチューセッツ工科大学の3年に在学中で、学業の途中で社長に就いた。志村晶氏はこの年から2021年6月に社長を退くまで、およそ50年にわたって同社を率いた[59]。2021年1月の時点で72歳[60]であり、経営者としての生涯のほとんどをこの一社に費やした。 [58]

  • 理学電機ジャーナル 28巻1号(1997年4月)千川純一「飛んで火に入る夏の虫」
    • [54]志村義博社長は1971年に逝去した
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [55]星埜禎男氏は「1971年に、突然志村さんの訃報に接することになった」と記している
  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
    • [56]高良和武氏は「1番2番を競わない、誰もやらないことをやろう」という志を支えた恩人の一人に志村義博氏を挙げた
    • [57]志村義博氏は高良氏に回転対陰極X線源や回折装置を貸し、「会社が潰れそうになったら、取り返しに来ますから」と笑って言った
  • MARR 2021年5月号「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(2021年4月15日)
    • [58]二代目社長は長男の志村晶氏で、MIT3年在学中の1971年に就任した
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日
    • [59]志村晶氏は1971年から2021年6月に社長を退くまで約50年にわたり同社を率いた
  • 日刊工業新聞 2021年1月25日「X線分析装置世界大手の中小企業、米カーライルの出資を受け入れ」
    • [60]志村晶氏は2021年1月時点で72歳、約50年間トップを務めた

代替わりと同じ1971年10月、理学電機は米国マサチューセッツ州に営業所Rigaku USAを置いた[61]。翌1972年3月にこれを支店へ格上げし[62]、同年7月には現地の法人として法人化した。国内の研究者を相手にしてきた会社が、創業から20年で海外の顧客に直接向き合う体制へ移った。就任したばかりの二代目が米国に拠点を置いた背景には、装置がすでに海外で通用していたという事実がある。前年までに納めた強力X線源と高速X線トポグラフィ装置は、米国やソ連へ渡っていた[64]。営業所を置いてから現地法人にするまでに要した時間は9か月[65]だった。1975年7月には東京都西多摩郡羽村町に理学流通サービスセンターを設け[66]、納めたあとの部品供給と保守を担わせた[67][63]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [61]1971年10月に米国マサチューセッツ州にRigaku USA営業所を設立した
    • [62]1972年3月に支店化、同年7月にRigaku USA, Inc.として法人化した
    • [63]1951年12月の設立から20年後の1971年10月に、二代目社長のもとで米国マサチューセッツ州へ営業所を設けた
    • [65]1971年10月の営業所設立から1972年7月の法人化まで9か月だった
    • [66]1975年7月に東京都西多摩郡羽村町へ理学流通サービスセンターを設立した
  • 理学電機ジャーナル 28巻1号(1997年4月)千川純一「飛んで火に入る夏の虫」
    • [64]高速X線トポグラフィ装置は米国・ソ連などへ輸出されていた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
    • [67]既納製品に対する消耗品・交換部品の供給や修理・点検等のアフター・サービスを提供している

装置の大型化はその後も続き、1978年には出力90キロワットの超強力X線発生装置RU-1500を製品化した[68]。1968年の60キロボルト・500ミリアンペア機が30キロワットにあたる[69]ので、10年で出力は3倍になった。X線技術史をたどった研究は、同じ1978年に名古屋大学へ設置された90キロワット級の装置を、回転陽極に電子を当ててX線を得る方式として世界最大級とし、20年を経た1998年の時点でもなお世界の首位に置いている[70]。ただしその装置の製造者は明示されておらず[71]、RU-1500と同じものかどうかは確かめられない。1952年のロータフレックスから四半世紀をかけて[72]、理学電機は強力X線源の出力を押し上げ続けた。

  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [68]1978年に超強力X線発生装置RU-1500(90kW)を製品化した
    • [72]分析機器年表での理学電機の初出は1952年のロータフレックスで、1978年に90kWのRU-1500を製品化した
  • 日本結晶学会誌 40巻4号(1998年)小野勝男「強力X線発生装置の変遷」
    • [69]1968年機は60kV・500mAで30kW相当、1978年のRU-1500は90kWで、10年間に出力は3倍になった
    • [70]1978年設置の90kW級装置は回転陽極方式として世界最大級であり、20年後も世界チャンピオンと評された
    • [71]小野論文は当該装置を「名古屋大学実験施設(1978)」と記すのみで、装置名RU-1500を明示していない
  • 理学電機ジャーナル 28巻1号(1997年4月)千川純一「飛んで火に入る夏の虫」
    • [54]志村義博社長は1971年に逝去した
    • [64]高速X線トポグラフィ装置は米国・ソ連などへ輸出されていた
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
    • [55]星埜禎男氏は「1971年に、突然志村さんの訃報に接することになった」と記している
  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
    • [56]高良和武氏は「1番2番を競わない、誰もやらないことをやろう」という志を支えた恩人の一人に志村義博氏を挙げた
    • [57]志村義博氏は高良氏に回転対陰極X線源や回折装置を貸し、「会社が潰れそうになったら、取り返しに来ますから」と笑って言った
  • MARR 2021年5月号「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(2021年4月15日)
    • [58]二代目社長は長男の志村晶氏で、MIT3年在学中の1971年に就任した
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日
    • [59]志村晶氏は1971年から2021年6月に社長を退くまで約50年にわたり同社を率いた
  • 日刊工業新聞 2021年1月25日「X線分析装置世界大手の中小企業、米カーライルの出資を受け入れ」
    • [60]志村晶氏は2021年1月時点で72歳、約50年間トップを務めた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [61]1971年10月に米国マサチューセッツ州にRigaku USA営業所を設立した
    • [62]1972年3月に支店化、同年7月にRigaku USA, Inc.として法人化した
    • [63]1951年12月の設立から20年後の1971年10月に、二代目社長のもとで米国マサチューセッツ州へ営業所を設けた
    • [65]1971年10月の営業所設立から1972年7月の法人化まで9か月だった
    • [66]1975年7月に東京都西多摩郡羽村町へ理学流通サービスセンターを設立した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
    • [67]既納製品に対する消耗品・交換部品の供給や修理・点検等のアフター・サービスを提供している
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [68]1978年に超強力X線発生装置RU-1500(90kW)を製品化した
    • [72]分析機器年表での理学電機の初出は1952年のロータフレックスで、1978年に90kWのRU-1500を製品化した
  • 日本結晶学会誌 40巻4号(1998年)小野勝男「強力X線発生装置の変遷」
    • [69]1968年機は60kV・500mAで30kW相当、1978年のRU-1500は90kWで、10年間に出力は3倍になった
    • [70]1978年設置の90kW級装置は回転陽極方式として世界最大級であり、20年後も世界チャンピオンと評された
    • [71]小野論文は当該装置を「名古屋大学実験施設(1978)」と記すのみで、装置名RU-1500を明示していない

X線回折と蛍光X線という二つの製品系列

理学電機のもうひとつの系列は大阪にあった。1961年5月、大阪府高槻市赤大路町に設立した理学電機工業[74]は、蛍光X線分析を軸に独自の製品を並べた[75]。1964年に走査型蛍光X線分析装置IKF-3[76]、1968年に複数の元素を同時に測るサイマルティックスI型、1969年に計算機で制御する全自動蛍光X線装置CSXと超軟X線分析装置、1970年に放射性同位元素で励起する携帯型のポータリックスを出した。東京の理学電機がX線回折を、大阪の理学電機工業が蛍光X線を担う二本立ての構成[77]が、以後およそ半世紀続いた。 [73]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [73]1961年5月に大阪府高槻市赤大路町へ理学電機工業を設立した
    • [74]1961年5月に大阪府高槻市赤大路町へ理学電機工業を設立した
    • [77]理学電機工業は1961年5月の設立から2008年10月の統合まで別会社として存続した
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [75]理学電機工業は蛍光X線分析を軸に独自の製品系列を持った
    • [76]1964年IKF-3、1968年サイマルティックスI型、1969年CSXと超軟X線分析装置、1970年ポータリックスを製品化した

会社の数は事業の広がりとともに増えた。1975年に理学流通サービスセンター、1978年に日本インスツルメンツ、1980年に理学瑞穂製作所、1983年に理学サービス、1989年に理学メカトロニクス[79]と、機能ごとに別法人を立てた。1985年4月には理学瑞穂製作所を東京都武蔵村山市伊奈平へ移し、1986年9月には東京都昭島市松原町にリガクを設立して、製造を担う理学電機と販売を担うリガクを分ける体制を採った[80]。1990年10月には山梨県北杜市須玉町に須玉工場を新設し[81]、1992年4月には昭島市にリガクX線研究所を置いた。 [78]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [78]1975年7月に理学流通サービスセンターを設立するなど、機能ごとに別法人を設けた
    • [79]1975年理学流通サービスセンター、1978年日本インスツルメンツ、1980年理学瑞穂製作所、1983年理学サービス、1989年理学メカトロニクスを設立した
    • [81]1990年10月に須玉工場を新設、1992年4月にリガクX線研究所を新設した
  • 設立はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、製造と販売の分担はリガク公式サイト「グループ沿革」(2026年8月9日閲覧)
    • [80]1986年9月に東京都昭島市松原町へ販売会社の株式会社リガクを設立し、製造は理学電機、販売はリガクが担う体制とした

装置1台あたりの単価は高く、買い手は大学や研究機関、企業の研究部門に限られる[82]。小さな市場で高い占有率を握るというこの事業の性格[83]は、1980年代には社外からも名指しされていた。1987年12月には、その戦略が転機を迎えたとして日経ビジネス[84]の中堅・中小企業の欄に取り上げられた。競合はドイツのブルカーとオランダのパナリティカル[85]で、実質は3社の寡占に近い。2021年の時点で世界のX線分析装置市場は約2000億円、うち同社の占有率は約25%[86]、日本市場は約250億円で約60%[87]だった。装置を納めたあとにも商いは続いた。精密な機械を長く高い精度で使いたい顧客に対し、消耗品や交換部品の供給、ハードとソフトの更新、修理や点検、予防保守の契約、機器の移設支援[89]を提供している。 [88]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
    • [82]製品の販売先は大学や研究機関、企業の研究部門や品質管理部門及び製造部門である
    • [88]既納製品に対する消耗品・交換部品の供給等のアフター・サービスを提供している
    • [89]既納製品への消耗品・交換部品供給、ハード/ソフトの更新、修理・点検、予防保守契約、移設サポートをアフターサービスとして提供している
  • 日経ビジネス 1987年12月7日号「理学電機『小市場、高シェア』戦略の転機」
    • [83]日経ビジネスは理学電機を「小市場、高シェア」戦略の企業として取り上げた
    • [84]日経ビジネス1987年12月7日号が理学電機を「小市場、高シェア」戦略の企業として中堅・中小企業欄で取り上げた
  • MARR 2021年5月号「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(2021年4月15日)
    • [85]主要競合はドイツのBrukerとオランダのPANalyticalで、実質3社の寡占に近い
    • [86]2021年時点で世界のX線分析装置市場は約2000億円、リガクのシェアは約25%
    • [87]2021年時点で日本市場は約250億円、リガクのシェアは約60%
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [73]1961年5月に大阪府高槻市赤大路町へ理学電機工業を設立した
    • [74]1961年5月に大阪府高槻市赤大路町へ理学電機工業を設立した
    • [77]理学電機工業は1961年5月の設立から2008年10月の統合まで別会社として存続した
    • [78]1975年7月に理学流通サービスセンターを設立するなど、機能ごとに別法人を設けた
    • [79]1975年理学流通サービスセンター、1978年日本インスツルメンツ、1980年理学瑞穂製作所、1983年理学サービス、1989年理学メカトロニクスを設立した
    • [81]1990年10月に須玉工場を新設、1992年4月にリガクX線研究所を新設した
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
    • [75]理学電機工業は蛍光X線分析を軸に独自の製品系列を持った
    • [76]1964年IKF-3、1968年サイマルティックスI型、1969年CSXと超軟X線分析装置、1970年ポータリックスを製品化した
  • 設立はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、製造と販売の分担はリガク公式サイト「グループ沿革」(2026年8月9日閲覧)
    • [80]1986年9月に東京都昭島市松原町へ販売会社の株式会社リガクを設立し、製造は理学電機、販売はリガクが担う体制とした
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
    • [82]製品の販売先は大学や研究機関、企業の研究部門や品質管理部門及び製造部門である
    • [88]既納製品に対する消耗品・交換部品の供給等のアフター・サービスを提供している
    • [89]既納製品への消耗品・交換部品供給、ハード/ソフトの更新、修理・点検、予防保守契約、移設サポートをアフターサービスとして提供している
  • 日経ビジネス 1987年12月7日号「理学電機『小市場、高シェア』戦略の転機」
    • [83]日経ビジネスは理学電機を「小市場、高シェア」戦略の企業として取り上げた
    • [84]日経ビジネス1987年12月7日号が理学電機を「小市場、高シェア」戦略の企業として中堅・中小企業欄で取り上げた
  • MARR 2021年5月号「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(2021年4月15日)
    • [85]主要競合はドイツのBrukerとオランダのPANalyticalで、実質3社の寡占に近い
    • [86]2021年時点で世界のX線分析装置市場は約2000億円、リガクのシェアは約25%
    • [87]2021年時点で日本市場は約250億円、リガクのシェアは約60%

1996年〜 買収による要素技術の内製化とグループの一本化(1996〜2020)

  1. 1996年 米国テキサス州の Molecular Structure Corporation を買収
  2. 2000年 米国の Osmic, Inc. を買収
  3. 2001年 Rigaku USA が MSC を統合し Rigaku/MSC に商号変更
  4. 2004年 理学電機がリガクを統合し社名をリガクへ変更
  5. 2008年 リガクが理学電機工業を統合
  6. 2015年 アジレント・テクノロジーズのX線回折事業を買収
  7. 2019年 イスラエルのXwinSys Technology Development買収と、半導体量産ラインのX線計測への参入 研究室に置く分析機器か、量産ラインに据える計測機器か——リガクはX線技術の顧客をどう替えたか

単結晶解析と多層膜ミラーを買って得た要素技術

1996年4月、理学電機は米国テキサス州のMolecular Structure Corporationを買収した[90]。2001年3月にはRigaku USA, Inc.がこの会社を統合し[91]、Rigaku/MSC, Inc.へ商号を変更した。2000年3月には米国のOsmic, Inc.を買収した。Osmicは多層膜X線ミラーを持つ会社で、2006年3月にRigaku Innovative Technologies, Inc.へ商号を変更した。2008年5月にはその欧州拠点としてチェコのプラハにRigaku Innovative Technologies Europeを設立した[93][92]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [90]1996年4月に米テキサス州のMolecular Structure Corporationを買収した
    • [91]2001年3月にRigaku USA, Inc.がMSCを統合しRigaku/MSC, Inc.へ商号変更した
    • [93]2008年5月にチェコ・プラハにRigaku Innovative Technologies Europeを設立した
  • 買収と商号変更はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、多層膜X線ミラーは同【事業の内容】
    • [92]2000年3月に米Osmic, Inc.を買収し、2006年3月にRigaku Innovative Technologies, Inc.へ商号変更した

二つの買収で手に入れたのは、いずれも装置の性能を決める部品と解析の技術である。リガクは現在、X線発生装置、光学素子、X線検出器、解析ソフトウェアといった要素技術に重点的に投資し、それらを部品として自社で生産することで製品の高性能化と開発期間の短縮を実現している[95]と説明する。買った技術を外販にも回しており、多層膜ミラーは半導体製造のためのEUVマスク検査機器に欠かせない部品として半導体製造機器メーカーへ供給されている[96]。研究開発には博士号を持つ者を含むおよそ300名のX線技術者[97]が携わる。 [94]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
    • [94]リガクはX線発生装置・光学素子・X線検出器・解析ソフトウェアの要素技術に重点投資し、要素部品を自社生産している
    • [95]リガクはX線発生装置・光学素子・X線検出器・解析ソフトウェアの要素技術に重点投資し、部品を自社生産している
    • [96]先端多層膜ミラーは半導体製造のEUVマスク検査機器に不可欠な部品として半導体製造機器メーカーへ供給されている
    • [97]研究開発にはPhD学位保持者をはじめ約300名のX線技術者が携わる
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [90]1996年4月に米テキサス州のMolecular Structure Corporationを買収した
    • [91]2001年3月にRigaku USA, Inc.がMSCを統合しRigaku/MSC, Inc.へ商号変更した
    • [93]2008年5月にチェコ・プラハにRigaku Innovative Technologies Europeを設立した
  • 買収と商号変更はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、多層膜X線ミラーは同【事業の内容】
    • [92]2000年3月に米Osmic, Inc.を買収し、2006年3月にRigaku Innovative Technologies, Inc.へ商号変更した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
    • [94]リガクはX線発生装置・光学素子・X線検出器・解析ソフトウェアの要素技術に重点投資し、要素部品を自社生産している
    • [95]リガクはX線発生装置・光学素子・X線検出器・解析ソフトウェアの要素技術に重点投資し、部品を自社生産している
    • [96]先端多層膜ミラーは半導体製造のEUVマスク検査機器に不可欠な部品として半導体製造機器メーカーへ供給されている
    • [97]研究開発にはPhD学位保持者をはじめ約300名のX線技術者が携わる

製造と販売を分けた体制の解消と二社の統合

2004年4月、理学電機が販売会社のリガクを統合し[98]、社名をリガクへ改めた。これにより1986年から18年続いた製造と販売の分離が解消された[99]。2008年10月には、リガクが大阪の理学電機工業[100]を統合した。1961年の設立から47年にわたり別会社としてX線回折と蛍光X線を分けて担ってきた[101]二つの事業体が、ここでひとつになった。統合の翌年にあたる2009年4月には、理学瑞穂製作所をリガク山梨へ商号変更して山梨工場内へ移した[102]。創業以来の社名だった理学電機はこの過程で消え[103]、製品ブランドとして先に使われていたリガクが法人の名になった。

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [98]2004年4月に理学電機が販売会社リガクを統合し、社名をリガクへ変更した
    • [100]2008年10月にリガクが理学電機工業を統合した
    • [101]理学電機工業は1961年設立で、統合まで47年間別会社だった
    • [102]2009年4月に理学瑞穂製作所をリガク山梨へ商号変更し山梨工場内へ移転した
    • [103]1986年9月に設立した販売会社の商号「リガク」が、2004年4月の統合で本体の社名となった
  • 統合はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、製造と販売の分担はリガク公式サイト「グループ沿革」(2026年8月9日閲覧)
    • [99]1986年に始めた製販分離体制を2004年の統合で解消した

国内の統合と並行して、販売と製造の拠点を世界へ置いた。2009年3月に中国北京、2009年4月に米国テキサス州、2010年3月に香港、2010年5月にドイツのベルリン、2015年4月にポーランドのヴロツワフ、2016年6月にシンガポールへ拠点を設けた[105]。2010年2月には米国のNewton Scientificを買収し[106]、2011年10月には米国カリフォルニア州にRigaku Raman Technologiesを設立してラマン分光へ領域を広げた。2015年5月にはアジレント・テクノロジーズのX線回折事業を買収し、単結晶X線分析機器の世界販売を強めた。この事業はもともとOxford Diffractionで、開発と製造はポーランドと日本で続けられた。 [104][107]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [104]2009年3月に中国北京、2009年4月に米国テキサス州へ拠点を設けた
    • [105]2009年から2016年にかけて北京・米テキサス州・香港・ベルリン・ヴロツワフ・シンガポールへ拠点を設けた
    • [106]2010年2月に米Newton Scientificを買収、2011年10月にRigaku Raman Technologiesを設立した
  • リガク プレスリリース 2015年3月31日「アジレント・テクノロジーズ・インクのX線回折事業を買収」
    • [107]2015年にアジレント・テクノロジーズのX線回折事業(旧Oxford Diffraction)を買収し、開発・製造はポーランドと日本で継続した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [98]2004年4月に理学電機が販売会社リガクを統合し、社名をリガクへ変更した
    • [100]2008年10月にリガクが理学電機工業を統合した
    • [101]理学電機工業は1961年設立で、統合まで47年間別会社だった
    • [102]2009年4月に理学瑞穂製作所をリガク山梨へ商号変更し山梨工場内へ移転した
    • [103]1986年9月に設立した販売会社の商号「リガク」が、2004年4月の統合で本体の社名となった
    • [104]2009年3月に中国北京、2009年4月に米国テキサス州へ拠点を設けた
    • [105]2009年から2016年にかけて北京・米テキサス州・香港・ベルリン・ヴロツワフ・シンガポールへ拠点を設けた
    • [106]2010年2月に米Newton Scientificを買収、2011年10月にRigaku Raman Technologiesを設立した
  • 統合はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、製造と販売の分担はリガク公式サイト「グループ沿革」(2026年8月9日閲覧)
    • [99]1986年に始めた製販分離体制を2004年の統合で解消した
  • リガク プレスリリース 2015年3月31日「アジレント・テクノロジーズ・インクのX線回折事業を買収」
    • [107]2015年にアジレント・テクノロジーズのX線回折事業(旧Oxford Diffraction)を買収し、開発・製造はポーランドと日本で継続した

半導体計測への参入と手つかずの承継問題

2019年7月、リガクはイスラエルのXwinSys Technology Developmentを買収した[108]。この会社は半導体などの産業向けに、X線技術と自動光学の2次元・3次元検査を組み合わせた計測ソリューションを設計・製造していた[109]志村晶社長はこの独自の技術を得たことを半導体部門を広げる重要な一歩と位置づけ[110]、前工程と後工程の双方で能力を強めると述べた。買収から5年後の2024年12月、この会社はRigaku Semiconductor Instrumentsへ社名を変えた[111]。半導体X線計測機器の世界市場で、リガクは2024年に38%の占有率を持つ首位の供給者[112]となっている。

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [108]2019年7月にイスラエルのXwinSys Technology Developmentを買収した
    • [111]XwinSysは2024年12月にRigaku Semiconductor Instruments LTD.へ社名変更した
  • 株式会社リガク プレスリリース 2019年7月「Rigaku to Acquire XwinSys Technology Development Ltd.」
    • [109]XwinSysはX線技術と自動光学2D/3D検査を組み合わせたハイブリッド計測ソリューションを設計・製造していた
    • [110]志村晶社長はXwinSysの技術獲得を半導体部門拡大における重要な一歩と述べた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
    • [112]半導体X線計測機器のグローバル市場で2024年に38%の市場シェアを持つマーケット・リーダーである

事業が世界へ広がる一方で、資本は創業家に閉じたままだった。リガクは2024年まで一度も株式を公開しておらず、志村晶社長が全株式を保有していた[114]。後継者を会社に入れておらず、この事業を誰にどのような形で引き継ぐかを10年ほど悩んでいた[115]と、後に買い手となったカーライル・グループの日本法人は説明する。会社の規模はすでに中小企業と呼べる水準を超えていた。カーライルが出資する直前の売上高は441億円、営業利益率は約15%[117]で、顧客の所在で数えれば売上の3分の2ほどを海外で得ていた[118]。製品の納入先は90か国を超え[119]、X線回折と蛍光X線を中心とする分野で国内首位、海外でも上位を占めていた[120]。地域別の売上収益は連結子会社の所在地を基礎に区分されるため、その集計では日本が6割を超える[121][113][116]

  • 日本プライベート・エクイティ協会「2024年度JPEAアウォード 受賞案件インタビュー(エグジット賞)」2026年2月17日
    • [113]志村晶氏がリガクの全株式を保有する同族企業だった
    • [114]リガクは2024年10月まで一度も上場しておらず、志村晶氏が全株式を保有していた
    • [115]志村晶氏は後継者を会社に入れておらず、事業の引き継ぎ方を10年ほど悩んでいた
  • 日刊工業新聞 2021年1月25日「X線分析装置世界大手の中小企業、米カーライルの出資を受け入れ」
    • [116]カーライル出資直前の売上高は441億円だった
    • [117]カーライル出資直前の売上高は441億円、営業利益率は約15%
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日
    • [118]買収時点で売上の約3分の2が海外だった
    • [120]X線回折(XRD)・蛍光X線分析(XRF)を中心に国内トップ、海外でもトップクラスの地位を確立していた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
    • [119]製品は90か国を超える世界各国へ納入されている
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【連結財務諸表注記】セグメント情報
    • [121]有報の地域別開示は連結子会社の所在地を基礎とし、2025年12月期の日本は売上収益94,193百万円のうち59,726百万円で6割を超える
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [108]2019年7月にイスラエルのXwinSys Technology Developmentを買収した
    • [111]XwinSysは2024年12月にRigaku Semiconductor Instruments LTD.へ社名変更した
  • 株式会社リガク プレスリリース 2019年7月「Rigaku to Acquire XwinSys Technology Development Ltd.」
    • [109]XwinSysはX線技術と自動光学2D/3D検査を組み合わせたハイブリッド計測ソリューションを設計・製造していた
    • [110]志村晶社長はXwinSysの技術獲得を半導体部門拡大における重要な一歩と述べた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
    • [112]半導体X線計測機器のグローバル市場で2024年に38%の市場シェアを持つマーケット・リーダーである
  • 日本プライベート・エクイティ協会「2024年度JPEAアウォード 受賞案件インタビュー(エグジット賞)」2026年2月17日
    • [113]志村晶氏がリガクの全株式を保有する同族企業だった
    • [114]リガクは2024年10月まで一度も上場しておらず、志村晶氏が全株式を保有していた
    • [115]志村晶氏は後継者を会社に入れておらず、事業の引き継ぎ方を10年ほど悩んでいた
  • 日刊工業新聞 2021年1月25日「X線分析装置世界大手の中小企業、米カーライルの出資を受け入れ」
    • [116]カーライル出資直前の売上高は441億円だった
    • [117]カーライル出資直前の売上高は441億円、営業利益率は約15%
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日
    • [118]買収時点で売上の約3分の2が海外だった
    • [120]X線回折(XRD)・蛍光X線分析(XRF)を中心に国内トップ、海外でもトップクラスの地位を確立していた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
    • [119]製品は90か国を超える世界各国へ納入されている
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【連結財務諸表注記】セグメント情報
    • [121]有報の地域別開示は連結子会社の所在地を基礎とし、2025年12月期の日本は売上収益94,193百万円のうち59,726百万円で6割を超える

2021年〜 共同出資による事業承継から事業会社株主への交代(2021〜2026)

リガク・ホールディングスの業績推移

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2021年 カーライル・グループとの共同出資による株式譲渡と、創業家持分約20%の残置 全部を売るか、一部を残すか——後継者を社内に置かなかった創業家二代目は、従業員の離散をどう避けようとしたか
  2. 2021年 株式交換によるリガクの完全子会社化
  3. 2021年 志村晶社長が会長へ退き池田俊幸氏が社長に就任
  4. 2021年 オランダの MILabs を買収
  5. 2023年 川上潤氏が代表取締役社長に就任
  6. 2024年 東京証券取引所プライム市場に上場
  7. 2026年 米Onto Innovationとの資本業務提携と、カーライル系ファンド保有株27%の同社への譲渡 ファンドの出口を市場に流すか、事業会社へ託すか——筆頭株主の入れ替えと半導体計測の連合

身売りを選ばなかった事業承継と共同出資という形

2020年12月、Atom Investment, L.P.が東京都千代田区丸の内にアトム・ホールディングスを設立した[122]。カーライル・グループがリガクの株式を取得することで合意したと公表したのは2021年1月6日である[123]。出資はカーライルが約80%、志村晶社長が約20%を持つ共同出資[124]の形を採った。投資に使われたのは日本向けバイアウトの第4号ファンドである。取得金額は公表されていない。2021年3月にアトム・ホールディングスがリガク株式の過半を取得[126]して社名をリガク・ホールディングスへ改め、同年4月に株式交換でリガクを完全子会社とした。 [125]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [122]2020年12月にAtom Investment, L.P.がアトム・ホールディングスを設立した
    • [126]2021年3月に過半を取得してリガク・ホールディングスへ商号変更し、4月に株式交換で完全子会社化した
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日
    • [123]カーライル・グループによる株式取得の合意公表は2021年1月6日
    • [124]出資比率はカーライル約80%、志村晶氏約20%の共同出資
    • [125]投資主体は日本向けバイアウト第4号ファンドCarlyle Japan Partners IV。取得金額は非公表

売り手が投資ファンドを選んだ理由は、値段だけではなかった。志村晶社長が挙げたのは、感染症の流行下で経営の求心力を保つことが課題になっていたこと、親族での経営を続ければ内紛を招きかねないこと、そして事業会社へ完全に売却すれば従業員が散ってしまうという判断の三つ[128]である。志村晶社長は従業員を主役にしてくれることが事業承継の重要な点だと述べ[129]、買い手選びの基準に置いた。買い手の側もこの案件を通常の企業買収とは違う類型として扱った。カーライル・ジャパンで案件を担当した富岡隆臣氏は、オーナー系企業への大型投資のモデルケースになると述べ[131]、複合企業からの事業切り出しと並ぶ投資の型に数えた。富岡氏は過半取得と同じ2021年3月に、リガク・ホールディングスの社外取締役へ就いた[132][127][130]

  • 日刊工業新聞 2021年1月25日「X線分析装置世界大手の中小企業、米カーライルの出資を受け入れ」
    • [127]志村晶氏は売却理由として求心力維持・内紛への懸念・従業員離散の回避の三点を挙げた
    • [128]売却理由はコロナ下での求心力維持、親族経営継続による内紛への懸念、完全な身売りによる従業員離散の回避の三点
  • MARR 2021年5月号「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(2021年4月15日)
    • [129]志村晶氏は「従業員を主役にしてくれることが事業承継の非常に重要なポイント」と述べた
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日および日本経済新聞 2021年1月6日「カーライル、リガクへの投資を発表 1000億円規模」
    • [130]案件を担当したのはカーライル・ジャパン副代表の富岡隆臣氏である
    • [131]案件担当はカーライル・ジャパン副代表の富岡隆臣氏で、オーナー系企業の大型投資案件のモデルケースになると述べた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【役員の状況】
    • [132]富岡隆臣氏は2025年12月時点でリガク・ホールディングスの社外取締役を務めている

買い手との関係は突然できたものではない。カーライル・ジャパンの日本代表とはマサチューセッツ工科大学の同窓という縁があり、接点は約10年前にさかのぼる[134]。2019年には東京でカーライルの共同創業者ビル・コンウェイ氏と会談し[135]、話が具体化した。志村晶社長自身も、カーライルとは過去10年にわたり信頼関係を築いてきた[136]とコメントした。カーライルが掲げた成長の筋道は、独立した企業集団として維持すること、アジアの高成長市場で事業を広げること、新製品を投入すること、外部から経営幹部級の人材を招くこと、そして持株会社を数年以内に上場させること[137]だった。 [133]

  • MARR 2021年5月号「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(2021年4月15日)
    • [133]志村晶氏とカーライル・ジャパン日本代表はMIT同窓で、接点は約10年前にさかのぼる
    • [134]カーライル・ジャパン日本代表とはMIT同窓の縁があり、接点は約10年前にさかのぼる
    • [135]2019年に東京でカーライル共同創業者ビル・コンウェイ氏と会談して具体化した
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日
    • [136]志村晶氏は「カーライルとは過去10年に亘り信頼関係を構築してきました」とコメントした
    • [137]カーライルは独立企業集団としての維持、アジア高成長市場での拡大、新製品投入、外部からの経営幹部招聘、数年以内の上場を成長シナリオに掲げた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [122]2020年12月にAtom Investment, L.P.がアトム・ホールディングスを設立した
    • [126]2021年3月に過半を取得してリガク・ホールディングスへ商号変更し、4月に株式交換で完全子会社化した
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日
    • [123]カーライル・グループによる株式取得の合意公表は2021年1月6日
    • [124]出資比率はカーライル約80%、志村晶氏約20%の共同出資
    • [125]投資主体は日本向けバイアウト第4号ファンドCarlyle Japan Partners IV。取得金額は非公表
    • [136]志村晶氏は「カーライルとは過去10年に亘り信頼関係を構築してきました」とコメントした
    • [137]カーライルは独立企業集団としての維持、アジア高成長市場での拡大、新製品投入、外部からの経営幹部招聘、数年以内の上場を成長シナリオに掲げた
  • 日刊工業新聞 2021年1月25日「X線分析装置世界大手の中小企業、米カーライルの出資を受け入れ」
    • [127]志村晶氏は売却理由として求心力維持・内紛への懸念・従業員離散の回避の三点を挙げた
    • [128]売却理由はコロナ下での求心力維持、親族経営継続による内紛への懸念、完全な身売りによる従業員離散の回避の三点
  • MARR 2021年5月号「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(2021年4月15日)
    • [129]志村晶氏は「従業員を主役にしてくれることが事業承継の非常に重要なポイント」と述べた
    • [133]志村晶氏とカーライル・ジャパン日本代表はMIT同窓で、接点は約10年前にさかのぼる
    • [134]カーライル・ジャパン日本代表とはMIT同窓の縁があり、接点は約10年前にさかのぼる
    • [135]2019年に東京でカーライル共同創業者ビル・コンウェイ氏と会談して具体化した
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日および日本経済新聞 2021年1月6日「カーライル、リガクへの投資を発表 1000億円規模」
    • [130]案件を担当したのはカーライル・ジャパン副代表の富岡隆臣氏である
    • [131]案件担当はカーライル・ジャパン副代表の富岡隆臣氏で、オーナー系企業の大型投資案件のモデルケースになると述べた
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【役員の状況】
    • [132]富岡隆臣氏は2025年12月時点でリガク・ホールディングスの社外取締役を務めている

外部から招いた経営者と4年間の増収

経営陣の入れ替えは二段階で進んだ。志村晶氏は2021年6月に社長を退いて会長となり、後任には日立製作所出身で日立ハイテク代表執行役専務兼CTOを務めた池田俊幸氏が就いた。池田氏は出資に先立つ2020年4月にリガクへ招かれており[139]、上場に向けた体制の整備を担って2023年1月31日に辞任した。後任の川上潤氏は、リガクと持株会社リガク・ホールディングスの代表取締役社長[140]を同時に引き受けた。川上社長は1987年にブーズ・アレン・アンド・ハミルトンへ入り、GE横河メディカルシステム取締役副社長を経てGEヘルスケア・ジャパンの社長兼CEOを務めた[141]。2017年にアルテリア・ネットワークスの社長CEOとなり[142]、翌2018年に同社を東証一部へ上場させた。2020年からカーライル・ジャパンのシニア・アドバイザーを務め[143]、2021年3月にリガク・ホールディングスの取締役に就いていた。 [138]

  • 日刊工業新聞 2021年6月22日「リガク、社長に池田俊幸氏」
    • [138]志村晶氏は2021年6月に社長を退いて会長となり、池田俊幸氏が社長に就任した
  • 株式会社リガク プレスリリース 2023年1月25日「リガク代表に川上潤氏が就任」
    • [139]池田俊幸氏は2020年4月にリガクへ招聘され、2023年1月31日付で辞任した
    • [140]川上潤氏は2023年2月1日付で株式会社リガクとリガク・ホールディングスの代表取締役社長に就任した
    • [141]川上潤氏は1987年にブーズ・アレン・アンド・ハミルトンへ入社し、GE横河メディカルシステム取締役副社長、GEヘルスケア・ジャパン社長兼CEOを歴任した
    • [142]2017年7月にアルテリア・ネットワークス社長CEOに就任し、2018年12月に同社を東証一部へ上場させた
    • [143]2020年よりカーライル・ジャパンのシニア・アドバイザー、2021年3月よりリガク・ホールディングス取締役

傘下に入ってからの4年余りで、事業の規模は目に見えて変わった。連結の売上収益は2022年12月期の627億円から2025年12月期の942億円へ増え[145]、営業利益は63億円から167億円になった[146]。従業員数も1,575名から1,971名へ増えた[147]。会社は2021年3月期から2024年12月期までの3年9か月について、売上収益の年平均成長率を21%と開示した[148]。組織も並行して整理された。2022年1月に理学メカトロニクスと理学サービスを、同年7月にリガク山梨を本体へ統合し、2023年12月には米国の5社をRigaku Americas Holdingへ吸収合併[150]して北米の運営を一本化した。2021年8月にはオランダのMILabsを買収し[151]、ライフサイエンス領域へ入った。 [144][149]

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【主要な経営指標等の推移】
    • [144]連結売上収益は2022年12月期627.01億円から2025年12月期941.93億円へ増加した
    • [145]連結売上収益は2022年12月期627.01億円から2025年12月期941.93億円へ増加した
    • [146]連結営業利益は2022年12月期63.31億円から2025年12月期167.09億円へ増加した
    • [147]従業員数は2022年12月期1,575名から2025年12月期1,971名へ増加した
  • リガク・ホールディングス「中期経営計画ハイライト(2025年2月開示版)」2025年3月19日
    • [148]会社は2021年3月期から2024年12月期までの3.75年間の売上収益CAGRを21%と開示した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [149]2022年1月に理学メカトロニクスと理学サービスを統合した
    • [150]2022年1月に理学メカトロニクスと理学サービス、同年7月にリガク山梨を統合し、2023年12月に米国5社をRigaku Americas Holdingへ吸収合併した
    • [151]2021年8月にオランダのMILabs B.V.を買収した

2024年10月25日、リガク・ホールディングスは東京証券取引所プライム市場[152]へ上場した。創業から数えて73年目[153]、初めての株式公開である。公開価格は仮条件の上限である1,260円に決まった[154]が、初値は1,205円と公開価格を4.4%下回り、初日の終値は1,130円だった[155]。公募はなく、売出しのみ[156]で構成された。オーバーアロットメントを含む売出総額は1,291億円[157]で、2024年の国内の新規上場では東京メトロに次ぐ2番目の規模となった。上場前に75.48%を持っていたAtom Investment, L.P.は42.23%へ[158]、21.08%を持っていた志村晶氏は11.32%へ持分を下げた。カーライルと創業家がそろって売り手に回った[159]上場だった。

  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】および【主要な経営指標等の推移】注記
    • [152]2024年10月25日に東京証券取引所プライム市場へ上場した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [153]1951年12月の設立から2024年10月の上場まで73年目で、初めての株式公開だった
  • Bloomberg 2024年10月17日「米カーライル傘下のリガク、公開価格は1260円に決定-仮条件上限」
    • [154]公開価格は仮条件1,230〜1,260円の上限1,260円に決定した
  • Bloomberg 2024年10月24日「X線分析のリガクHD、初値は公開価格割れ-東京メトロに続けず」
    • [155]初値1,205円は公開価格を4.37%下回り、初日終値は1,130円だった
  • Forbes JAPAN 2024年10月28日「理化学機器の『リガク』が上場、東京メトロに次ぐ今年2番目のIPOに」
    • [156]公募はなく全額売出しだった
    • [157]公募はなく全額売出しで、オーバーアロットメントを含む売出総額は1,291億円、2024年の国内IPOで東京メトロに次ぐ2番目の規模だった
  • 上場前の比率はリガク・ホールディングス 有価証券届出書(2024年9月20日提出)、上場後の比率は同社 有価証券報告書(2025年3月27日提出)【大株主の状況】
    • [158]上場でAtom Investmentは75.48%から42.23%へ、志村晶氏は21.08%から11.32%へ持分を下げた
    • [159]上場でAtom Investment, L.P.と志村晶氏の双方が持分を下げ、ともに売出しに応じた
  • 日刊工業新聞 2021年6月22日「リガク、社長に池田俊幸氏」
    • [138]志村晶氏は2021年6月に社長を退いて会長となり、池田俊幸氏が社長に就任した
  • 株式会社リガク プレスリリース 2023年1月25日「リガク代表に川上潤氏が就任」
    • [139]池田俊幸氏は2020年4月にリガクへ招聘され、2023年1月31日付で辞任した
    • [140]川上潤氏は2023年2月1日付で株式会社リガクとリガク・ホールディングスの代表取締役社長に就任した
    • [141]川上潤氏は1987年にブーズ・アレン・アンド・ハミルトンへ入社し、GE横河メディカルシステム取締役副社長、GEヘルスケア・ジャパン社長兼CEOを歴任した
    • [142]2017年7月にアルテリア・ネットワークス社長CEOに就任し、2018年12月に同社を東証一部へ上場させた
    • [143]2020年よりカーライル・ジャパンのシニア・アドバイザー、2021年3月よりリガク・ホールディングス取締役
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【主要な経営指標等の推移】
    • [144]連結売上収益は2022年12月期627.01億円から2025年12月期941.93億円へ増加した
    • [145]連結売上収益は2022年12月期627.01億円から2025年12月期941.93億円へ増加した
    • [146]連結営業利益は2022年12月期63.31億円から2025年12月期167.09億円へ増加した
    • [147]従業員数は2022年12月期1,575名から2025年12月期1,971名へ増加した
  • リガク・ホールディングス「中期経営計画ハイライト(2025年2月開示版)」2025年3月19日
    • [148]会社は2021年3月期から2024年12月期までの3.75年間の売上収益CAGRを21%と開示した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
    • [149]2022年1月に理学メカトロニクスと理学サービスを統合した
    • [150]2022年1月に理学メカトロニクスと理学サービス、同年7月にリガク山梨を統合し、2023年12月に米国5社をRigaku Americas Holdingへ吸収合併した
    • [151]2021年8月にオランダのMILabs B.V.を買収した
    • [153]1951年12月の設立から2024年10月の上場まで73年目で、初めての株式公開だった
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】および【主要な経営指標等の推移】注記
    • [152]2024年10月25日に東京証券取引所プライム市場へ上場した
  • Bloomberg 2024年10月17日「米カーライル傘下のリガク、公開価格は1260円に決定-仮条件上限」
    • [154]公開価格は仮条件1,230〜1,260円の上限1,260円に決定した
  • Bloomberg 2024年10月24日「X線分析のリガクHD、初値は公開価格割れ-東京メトロに続けず」
    • [155]初値1,205円は公開価格を4.37%下回り、初日終値は1,130円だった
  • Forbes JAPAN 2024年10月28日「理化学機器の『リガク』が上場、東京メトロに次ぐ今年2番目のIPOに」
    • [156]公募はなく全額売出しだった
    • [157]公募はなく全額売出しで、オーバーアロットメントを含む売出総額は1,291億円、2024年の国内IPOで東京メトロに次ぐ2番目の規模だった
  • 上場前の比率はリガク・ホールディングス 有価証券届出書(2024年9月20日提出)、上場後の比率は同社 有価証券報告書(2025年3月27日提出)【大株主の状況】
    • [158]上場でAtom Investmentは75.48%から42.23%へ、志村晶氏は21.08%から11.32%へ持分を下げた
    • [159]上場でAtom Investment, L.P.と志村晶氏の双方が持分を下げ、ともに売出しに応じた

米国企業を筆頭株主に迎えるという出口の設計

2026年4月21日、リガク・ホールディングスは米国のOnto Innovationとの資本業務提携を公表した[160]。Atom Investment, L.P.が持つ株式のうち61,123,436株、自己株式を除く発行済株式総数の27.00%をOnto Innovationへ譲る[161]内容である。これによりAtomの議決権比率は42.03%から15.03%へ下がって第2位となり、Onto Innovationが27.00%で筆頭株主となる[162]。実行は関係当局の許認可を得たうえで2026年下半期を予定する。譲渡価格は開示されていない。 [163]

  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年4月21日「Onto Innovation Inc.との資本業務提携の締結、並びに主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」
    • [160]2026年4月21日にOnto Innovationとの資本業務提携を開示した
    • [161]譲渡対象はAtom Investment保有株のうち61,123,436株、自己株式を除く発行済株式総数の27.00%
    • [162]Atomの議決権比率は42.03%から15.03%へ低下し第2位、Onto Innovationが27.00%で筆頭株主となる
    • [163]実行は関係当局の許認可取得後、2026年下半期を予定。譲渡価格は非開示

川上社長はこの提携に三つの意味があると説明した[164]。第一に、半導体プロセス・コントロール機器事業を軸とする成長に直接効くこと[165]。X線の高い精度と光学の高速・高感度を組み合わせたハイブリッド計測を先んじて実現でき[166]、Ontoが強い先端パッケージ分野へも入れる。第二に、競合が激しくなる半導体計測の業界で連合を組み、新しい位置を取ること[167]。第三に資本政策として、安定した事業パートナーを株主に迎えることで資本構成を安定させ、上場会社としての経営の自主性と独立性を保つこと[168]である。ハードウェアに強いリガクと解析ソフトウェアに強いOntoという組み合わせ[169]が、この設計の前提にある。会社は2030年の時点で約3億ドル相当の市場を新たに生み出す確度が高まった[170]としている。

  • リガク・ホールディングス「2026年12月期第1四半期決算説明会」質疑応答 2026年5月14日
    • [164]川上潤社長は提携の意味を成長戦略への直接効果、業界内での新たなポジショニング、資本政策の三点で説明した
    • [165]川上潤社長は提携の一つ目の意味として半導体プロセス・コントロール機器事業を軸とする成長戦略への直接的な効果を挙げた
    • [166]X線の高精度と光学の高速・高感度を組み合わせたハイブリッド計測を先駆けて実現し、Ontoが強い先端パッケージ領域へも事業を広げる
    • [167]川上潤社長は二つ目の意味として、競合が激しくなる半導体プロセス・コントロール分野でOntoと連合を組み業界内で新たなポジショニングを確立したことを挙げた
    • [168]安定的な事業パートナーを株主にすることで資本構成を安定させ、上場会社としての経営の自主性・独立性を維持強化する
    • [169]リガクはハードウェアに強く、Onto Innovationは解析ソフトウェアに強い
    • [170]会社は2030年時点で約3億ドル相当の市場創出の蓋然性が高まったと説明した

提携の公表から1か月後の2026年5月22日、Atom Investment, L.P.を売出人とする株式の売出しが決議された[171]。6月1日には売出価格が1株2,738円に決まり[172]、売出価格の総額は809億9,086万円となった。上場時の公開価格1,260円のおよそ2.2倍[173]にあたる。5年をかけた投資ファンドの出口が、事業会社への株式譲渡と市場での売出しという二つの経路[174]で終わりに近づいた。もっとも足元の利益は伸びていない[175]。2025年12月期は増収ながら営業利益が9.0%減り[176]、2026年12月期の上半期も営業利益は前年同期比54.9%減の25億円にとどまった[177]。会社は2027年12月期に売上収益1,150億円から1,200億円という目標[178]を掲げている。

  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」
    • [171]2026年5月22日にAtom Investment, L.P.を売出人とする株式売出しを決議した
    • [172]2026年6月1日に売出価格1株2,738円、売出価格総額809億9,086万1,400円が決定した
  • 売出価格はリガク・ホールディングス 適時開示 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」、公開価格はBloomberg 2024年10月17日「米カーライル傘下のリガク、公開価格は1260円に決定-仮条件上限」
    • [173]2026年6月1日の売出価格1株2,738円は2024年10月の公開価格1,260円の約2.2倍にあたる
  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年4月21日「Onto Innovation Inc.との資本業務提携の締結、並びに主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」および同 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」
    • [174]Atom Investment, L.P.は2026年4月にOnto Innovationへの27.00%譲渡で合意し、2026年6月に市場での売出しを実施した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【主要な経営指標等の推移】
    • [175]連結営業利益は2024年12月期183.67億円から2025年12月期167.09億円へ減少した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
    • [176]2025年12月期は売上収益941.93億円で増収、営業利益167.09億円で前期比9.0%減
  • リガク・ホールディングス「2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信」2026年8月7日
    • [177]2026年12月期中間期の営業利益は25.79億円で前年同期比54.9%減
  • リガク・ホールディングス「中期経営計画ハイライト(2025年2月開示版)」2025年3月19日
    • [178]中期経営計画は2027年12月期に売上収益1,150〜1,200億円を目標とする
  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年4月21日「Onto Innovation Inc.との資本業務提携の締結、並びに主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」
    • [160]2026年4月21日にOnto Innovationとの資本業務提携を開示した
    • [161]譲渡対象はAtom Investment保有株のうち61,123,436株、自己株式を除く発行済株式総数の27.00%
    • [162]Atomの議決権比率は42.03%から15.03%へ低下し第2位、Onto Innovationが27.00%で筆頭株主となる
    • [163]実行は関係当局の許認可取得後、2026年下半期を予定。譲渡価格は非開示
  • リガク・ホールディングス「2026年12月期第1四半期決算説明会」質疑応答 2026年5月14日
    • [164]川上潤社長は提携の意味を成長戦略への直接効果、業界内での新たなポジショニング、資本政策の三点で説明した
    • [165]川上潤社長は提携の一つ目の意味として半導体プロセス・コントロール機器事業を軸とする成長戦略への直接的な効果を挙げた
    • [166]X線の高精度と光学の高速・高感度を組み合わせたハイブリッド計測を先駆けて実現し、Ontoが強い先端パッケージ領域へも事業を広げる
    • [167]川上潤社長は二つ目の意味として、競合が激しくなる半導体プロセス・コントロール分野でOntoと連合を組み業界内で新たなポジショニングを確立したことを挙げた
    • [168]安定的な事業パートナーを株主にすることで資本構成を安定させ、上場会社としての経営の自主性・独立性を維持強化する
    • [169]リガクはハードウェアに強く、Onto Innovationは解析ソフトウェアに強い
    • [170]会社は2030年時点で約3億ドル相当の市場創出の蓋然性が高まったと説明した
  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」
    • [171]2026年5月22日にAtom Investment, L.P.を売出人とする株式売出しを決議した
    • [172]2026年6月1日に売出価格1株2,738円、売出価格総額809億9,086万1,400円が決定した
  • 売出価格はリガク・ホールディングス 適時開示 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」、公開価格はBloomberg 2024年10月17日「米カーライル傘下のリガク、公開価格は1260円に決定-仮条件上限」
    • [173]2026年6月1日の売出価格1株2,738円は2024年10月の公開価格1,260円の約2.2倍にあたる
  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年4月21日「Onto Innovation Inc.との資本業務提携の締結、並びに主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」および同 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」
    • [174]Atom Investment, L.P.は2026年4月にOnto Innovationへの27.00%譲渡で合意し、2026年6月に市場での売出しを実施した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【主要な経営指標等の推移】
    • [175]連結営業利益は2024年12月期183.67億円から2025年12月期167.09億円へ減少した
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
    • [176]2025年12月期は売上収益941.93億円で増収、営業利益167.09億円で前期比9.0%減
  • リガク・ホールディングス「2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信」2026年8月7日
    • [177]2026年12月期中間期の営業利益は25.79億円で前年同期比54.9%減
  • リガク・ホールディングス「中期経営計画ハイライト(2025年2月開示版)」2025年3月19日
    • [178]中期経営計画は2027年12月期に売上収益1,150〜1,200億円を目標とする

リガク・ホールディングスの沿革1951〜2026年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
志村義博国産X線装置の製造販売を目的に東京・有楽町で理学電機を設立★★★
志村義博回転対陰極型X線発生装置を開発★★
志村義博自動記録式X線回折装置を開発★★
志村義博自動記録式熱分析装置を開発★★
志村義博東京都昭島市松原町に拝島工場を新設
志村義博大阪府高槻市赤大路町に理学電機工業を設立★★
志村晶米国マサチューセッツ州に営業所 Rigaku USA を開設★★
志村晶Rigaku USA を支店に格上げ
志村晶Rigaku USA を法人化し Rigaku USA, Inc. を設立
志村晶東京都西多摩郡羽村町に理学流通サービスセンターを設立
志村晶超強力X線発生装置 RU-1500 を開発★★
志村晶東京都文京区本郷に日本インスツルメンツを設立
志村晶東京都西多摩郡瑞穂町に理学瑞穂製作所を設立
志村晶大阪府高槻市赤大路町に理学サービスを設立
志村晶理学瑞穂製作所を東京都武蔵村山市伊奈平へ移転
志村晶東京都昭島市松原町にリガクを設立
志村晶東京都昭島市松原町に理学メカトロニクスを設立
志村晶山梨県北杜市須玉町に須玉工場を新設
志村晶東京都昭島市松原町にリガクX線研究所を新設
志村晶米国テキサス州の Molecular Structure Corporation を買収★★
志村晶米国の Osmic, Inc. を買収★★
志村晶Rigaku USA が MSC を統合し Rigaku/MSC に商号変更
志村晶理学電機がリガクを統合し社名をリガクへ変更★★★
志村晶Osmic を Rigaku Innovative Technologies に商号変更
志村晶チェコ・プラハに Rigaku Innovative Technologies Europe を設立
志村晶リガクが理学電機工業を統合★★
志村晶中国北京市に理学電企儀器(北京)を設立
志村晶米国テキサス州に Applied Rigaku Technologies を設立
志村晶理学瑞穂製作所をリガク山梨に商号変更し山梨工場内へ移転
志村晶米国の Newton Scientific を買収
志村晶中国香港に Rigaku Asia and Pacific を設立
志村晶ドイツ・ベルリンに Rigaku Europe SE を設立
志村晶米国カリフォルニア州に Rigaku Raman Technologies を設立
志村晶ブラジル・サンパウロ市に Rigaku Latin America を設立
志村晶米国テキサス州に Rigaku Americas Holdings Company を設立
志村晶ポーランド・ヴロツワフに Rigaku Polska を設立
志村晶アジレント・テクノロジーズのX線回折事業を買収★★
志村晶シンガポールに Rigaku Asia Pacific を設立
志村晶イスラエルのXwinSys Technology Development買収と、半導体量産ラインのX線計測への参入研究室に置く分析機器か、量産ラインに据える計測機器か——リガクはX線技術の顧客をどう替えたか 詳細を読む★★★
志村晶Atom Investment が東京・丸の内にアトム・ホールディングスを設立
池田俊幸カーライル・グループとの共同出資による株式譲渡と、創業家持分約20%の残置全部を売るか、一部を残すか——後継者を社内に置かなかった創業家二代目は、従業員の離散をどう避けようとしたか 詳細を読む★★★
池田俊幸株式交換によるリガクの完全子会社化★★
池田俊幸本社を東京都昭島市松原町へ移転
池田俊幸志村晶社長が会長へ退き池田俊幸氏が社長に就任★★
池田俊幸オランダの MILabs を買収★★
池田俊幸リガクが理学メカトロニクスと理学サービスを統合
池田俊幸英国マーシーサイド州に Rigaku UK を設立
池田俊幸リガクがリガク山梨を統合
川上潤フランス・ストラスブール市に Rigaku France を設立
川上潤川上潤氏が代表取締役社長に就任★★
川上潤Rigaku Latin America を閉鎖
川上潤中国上海市に理学電企(上海)儀器を設立
川上潤ブラジル・サンパウロ市に Rigaku do Brasil を設立
川上潤インド・ムンバイ市に Rigaku India を設立
川上潤米国5社を Rigaku Americas Holding へ吸収合併★★
川上潤台湾に支店として理学科技台灣分公司を設立
川上潤中南米の営業部門を Rigaku do Brasil へ移管
川上潤東京証券取引所プライム市場に上場★★★
川上潤台湾新竹県に理学股分有限公司を設立
米Onto Innovationとの資本業務提携と、カーライル系ファンド保有株27%の同社への譲渡ファンドの出口を市場に流すか、事業会社へ託すか——筆頭株主の入れ替えと半導体計測の連合 詳細を読む★★★
Atom Investment による株式2,958万株の売出し★★
出典・参考
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】
  • 理学電機ジャーナル 29巻1号(1998年4月)星埜禎男「回折装置の思い出 ―理学電機との関わりを中心として―」
  • リガクジャーナル 43巻2号(2012年10月)高良和武「現代結晶学100年にあたって」
  • 国立国会図書館サーチ 書誌(NDLビブID 000008568244、請求記号 UT51-48-D1554)
  • 国立国会図書館サーチ 著者検索(志村義博)2026年8月9日取得
  • 日本分析機器工業会「分析機器年表」(創立50周年記念)
  • 理学電機ジャーナル 28巻1号(1997年4月)千川純一「飛んで火に入る夏の虫」
  • 日本結晶学会誌 40巻4号(1998年)小野勝男「強力X線発生装置の変遷」
  • MARR 2021年5月号「X線分析・測定・検査機器のトップメーカー『リガク』がカーライルと組んで描く成長戦略」(2021年4月15日)
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日
  • 日刊工業新聞 2021年1月25日「X線分析装置世界大手の中小企業、米カーライルの出資を受け入れ」
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【事業の内容】
  • 設立はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、製造と販売の分担はリガク公式サイト「グループ沿革」(2026年8月9日閲覧)
  • 日経ビジネス 1987年12月7日号「理学電機『小市場、高シェア』戦略の転機」
  • 買収と商号変更はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、多層膜X線ミラーは同【事業の内容】
  • 統合はリガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】、製造と販売の分担はリガク公式サイト「グループ沿革」(2026年8月9日閲覧)
  • リガク プレスリリース 2015年3月31日「アジレント・テクノロジーズ・インクのX線回折事業を買収」
  • 株式会社リガク プレスリリース 2019年7月「Rigaku to Acquire XwinSys Technology Development Ltd.」
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
  • 日本プライベート・エクイティ協会「2024年度JPEAアウォード 受賞案件インタビュー(エグジット賞)」2026年2月17日
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【連結財務諸表注記】セグメント情報
  • カーライル・グループ プレスリリース 2021年1月6日および日本経済新聞 2021年1月6日「カーライル、リガクへの投資を発表 1000億円規模」
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【役員の状況】
  • 日刊工業新聞 2021年6月22日「リガク、社長に池田俊幸氏」
  • 株式会社リガク プレスリリース 2023年1月25日「リガク代表に川上潤氏が就任」
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【主要な経営指標等の推移】
  • リガク・ホールディングス「中期経営計画ハイライト(2025年2月開示版)」2025年3月19日
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【沿革】および【主要な経営指標等の推移】注記
  • Bloomberg 2024年10月17日「米カーライル傘下のリガク、公開価格は1260円に決定-仮条件上限」
  • Bloomberg 2024年10月24日「X線分析のリガクHD、初値は公開価格割れ-東京メトロに続けず」
  • Forbes JAPAN 2024年10月28日「理化学機器の『リガク』が上場、東京メトロに次ぐ今年2番目のIPOに」
  • 上場前の比率はリガク・ホールディングス 有価証券届出書(2024年9月20日提出)、上場後の比率は同社 有価証券報告書(2025年3月27日提出)【大株主の状況】
  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年4月21日「Onto Innovation Inc.との資本業務提携の締結、並びに主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」
  • リガク・ホールディングス「2026年12月期第1四半期決算説明会」質疑応答 2026年5月14日
  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」
  • 売出価格はリガク・ホールディングス 適時開示 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」、公開価格はBloomberg 2024年10月17日「米カーライル傘下のリガク、公開価格は1260円に決定-仮条件上限」
  • リガク・ホールディングス 適時開示 2026年4月21日「Onto Innovation Inc.との資本業務提携の締結、並びに主要株主である筆頭株主及びその他の関係会社の異動に関するお知らせ」および同 2026年6月1日「売出価格等の決定に関するお知らせ」
  • リガク・ホールディングス 有価証券報告書(2026年3月24日提出)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • リガク・ホールディングス「2026年12月期第2四半期(中間期)決算短信」2026年8月7日

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