第2章 年〜年

SBIホールディングス:住信SBIネット銀行の開業と現代スイス貯蓄銀行の買収による海外展開

三大新事業の開業から香港上場・韓国貯蓄銀行へ

2007年〜株式市況に依存しない収益体質を目指した三つの新事業

二つの証券会社を一社へ統合する

2007年10月、SBIイー・トレード証券株式会社を存続会社として同社とSBI証券株式会社が合併し、2008年7月に商号を株式会社SBI証券へ改めた。翌8月には株式交換により完全子会社としている。2007年8月にはSBIジャパンネクスト証券株式会社が夜間の私設取引システムを開業し、2008年10月からは昼間取引も始めた。取引所の外に自前の売買の場を持つ試みで、当時の課題は参加者の増加と流動性の向上にあった。会社は株式会社SBI証券の取引シェアを背景に、ホールセール分野とインベストメントバンキング分野の強化も課題に挙げていた。オンラインと対面に分かれていた証券会社を一社へ統合したことで、グループ内で顧客を融通する余地が生まれた。

  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第18期(2016年3月期)【沿革】
    • [1]2007年10月、SBIイー・トレード証券株式会社を存続会社として同社とSBI証券株式会社が合併し、2008年7月にSBIイー・トレード証券株式会社は株式会社SBI証券へ商号変更した
    • [2]2008年8月、株式交換により株式会社SBI証券を完全子会社化した
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【対処すべき課題】
    • [3]SBIジャパンネクスト証券株式会社が運営する私設取引システムは2007年8月に夜間取引を開始し、2008年10月から昼間取引を開始した
    • [4]私設取引システムについて、今後はさらなる参加者の増加・流動性の向上により投資家に支持され続ける運営を目指すとしていた
    • [5]株式会社SBI証券における圧倒的な取引シェアを背景に、引き続きホールセール分野・インベストメントバンキング分野での強化を図るとしていた
相場に従わない収入を三社で並べる

2007年9月、住友信託銀行株式会社との折半出資で住信SBIネット銀行株式会社が開業した。2008年1月にはSBI損害保険株式会社が、続いてSBIアクサ生命保険株式会社が営業を始め、会社はこの三社を三大新事業と呼んでいる。狙いは明快で、株式市況のみに立脚しない収益体質の構築を目指す新規事業だと有価証券報告書に書かれた。証券の手数料も投資の評価損益も相場に従って振れるため、預金と保険料という別の入り方をする収益を並べる必要があった。2008年11月には、外国為替証拠金取引の流動性を株式会社SBI証券へ供給するSBIリクイディティ・マーケット株式会社も開業している。

  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第18期(2016年3月期)【沿革】
    • [6]2007年9月、住信SBIネット銀行株式会社が開業した
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【対処すべき課題】
    • [7]平成19年から平成20年にかけて住信SBIネット銀行株式会社、SBI損害保険株式会社、SBIアクサ生命保険株式会社の三大新事業が開業した
    • [8]ファイナンシャル・サービス事業においては株式市況のみに立脚しない収益体質の構築を目指し、新たな事業の柱として開業した三大新事業を早期に育成し早期に収益化することが重要な課題だと記載されている
    • [9]平成20年11月に開業したSBIリクイディティ・マーケット株式会社は、FX取引における流動性を株式会社SBI証券へ提供している
送客し合う生態系として組織を組み立てる

2008年3月期の連結売上高は2,226億円、営業利益は426億円で、売上は前期の1,446億円から1.5倍に増えた。一方で当期純利益は前期の464億円から42億円へ減少している。会社は自らをインターネットを中心とした世界的にも極めてユニークな金融コングロマリットと位置づけ、構成企業が互いに送客し合う企業生態系の形成を組織構築の基本に据えていた。住宅ローンのSBIモーゲージ株式会社、保険比較サイトの保険の窓口インズウェブ、電子商取引の決済を担うSBIベリトランス株式会社と、証券以外の入口を並べたのも同じ考えによる。グループの成長を根幹より支える基盤として、システムソリューション事業も自前で抱えていた。

  • SBIホールディングス pl_long(有価証券報告書)・連結JGAAP
    • [10]2008年3月期の連結売上高は2,226億円、営業利益は426億円で、2007年3月期の連結売上高は1,446億円だった
    • [11]当期純利益は2007年3月期464億円、2008年3月期42億円だった
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【対処すべき課題】
    • [12]当企業グループはインターネットを中心とした世界的にも極めてユニークな金融コングロマリットを目指すと記載している
    • [13]住宅不動産関連事業のSBIモーゲージ株式会社、マーケットプレイス事業の「保険の窓口インズウェブ」、電子商取引・クレジットカード決済のSBIベリトランス株式会社をグループ内に置いていた
    • [14]システムソリューション事業について、当企業グループの成長を根幹より支える基盤として事業を展開すると記載している
参考文献[1]-[14]
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第18期(2016年3月期)【沿革】
    • [1]2007年10月、SBIイー・トレード証券株式会社を存続会社として同社とSBI証券株式会社が合併し、2008年7月にSBIイー・トレード証券株式会社は株式会社SBI証券へ商号変更した
    • [2]2008年8月、株式交換により株式会社SBI証券を完全子会社化した
    • [6]2007年9月、住信SBIネット銀行株式会社が開業した
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【対処すべき課題】
    • [3]SBIジャパンネクスト証券株式会社が運営する私設取引システムは2007年8月に夜間取引を開始し、2008年10月から昼間取引を開始した
    • [4]私設取引システムについて、今後はさらなる参加者の増加・流動性の向上により投資家に支持され続ける運営を目指すとしていた
    • [5]株式会社SBI証券における圧倒的な取引シェアを背景に、引き続きホールセール分野・インベストメントバンキング分野での強化を図るとしていた
    • [7]平成19年から平成20年にかけて住信SBIネット銀行株式会社、SBI損害保険株式会社、SBIアクサ生命保険株式会社の三大新事業が開業した
    • [8]ファイナンシャル・サービス事業においては株式市況のみに立脚しない収益体質の構築を目指し、新たな事業の柱として開業した三大新事業を早期に育成し早期に収益化することが重要な課題だと記載されている
    • [9]平成20年11月に開業したSBIリクイディティ・マーケット株式会社は、FX取引における流動性を株式会社SBI証券へ提供している
    • [12]当企業グループはインターネットを中心とした世界的にも極めてユニークな金融コングロマリットを目指すと記載している
    • [13]住宅不動産関連事業のSBIモーゲージ株式会社、マーケットプレイス事業の「保険の窓口インズウェブ」、電子商取引・クレジットカード決済のSBIベリトランス株式会社をグループ内に置いていた
    • [14]システムソリューション事業について、当企業グループの成長を根幹より支える基盤として事業を展開すると記載している
  • SBIホールディングス pl_long(有価証券報告書)・連結JGAAP
    • [10]2008年3月期の連結売上高は2,226億円、営業利益は426億円で、2007年3月期の連結売上高は1,446億円だった
    • [11]当期純利益は2007年3月期464億円、2008年3月期42億円だった

2008年〜サブプライムで露わになった投資事業の脆さとペンタゴン経営

投資有価証券の損で最終赤字を出す

2009年3月期、連結売上高は1,309億22百万円と前年度比41.2%減少し、営業利益は44億3百万円で同89.7%の減少、経常利益は37百万円と99.9%減った。特別損失には投資有価証券売却損120億40百万円と投資有価証券評価損75億47百万円を計上し、当期純損失は183億75百万円となって前年度の当期純利益42億28百万円から転落した。米国のサブプライム・ローン問題に端を発した世界的な金融経済の混乱で企業業績が大幅に悪化し、設備投資も個人消費も低調に推移していた。アセットマネジメント事業の売上高は580億8百万円から159億81百万円へ落ち、構成比は26.1%から12.2%へ下がっている。

  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【業績等の概要】
    • [15]2009年3月期の連結売上高は130,922百万円(前年度比41.2%減少)、営業利益は4,403百万円(同89.7%減少)、経常利益は37百万円(同99.9%減少)だった
    • [16]2009年3月期は特別損失に投資有価証券売却損12,040百万円と投資有価証券評価損7,547百万円を計上し、当期純損失は18,375百万円(前連結会計年度は当期純利益4,228百万円)となった
    • [17]2009年3月期の国内経済は米国サブプライム・ローン問題に端を発した世界的な金融経済の混乱を受けて企業業績が大幅に悪化し、設備投資や個人消費も低調に推移して景気は極めて厳しい状況となった
    • [18]アセットマネジメント事業の売上高は2008年3月期58,008百万円(構成比26.1%)から2009年3月期15,981百万円(同12.2%)へ減少した
逆風の年に投資をアジアへ振り向ける

会社は極めて厳しい経済環境を、投資の好機をうまく捉えることで将来の収益拡大につながる局面でもあると位置づけた。アセットマネジメント事業では国内の株式市場のみに依存しない収益基盤の確立を掲げ、アジア地域を中心とした潜在成長力の高い新興諸国での投資機会を重要課題として、シンガポールや香港に海外拠点網を整えた。割安になった上場株式への投資も組み合わせ、ファンドの運用成績を引き上げる方針だった。2010年3月期の連結売上高は1,245億円と横ばいだったが、当期純利益は24億円で黒字へ回復している。2010年2月16日には保有するSBIアクサ生命保険株式会社の全株式をアクサ ジャパン ホールディング株式会社へ譲渡し、売却価額は190億18百万円にのぼった。

  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【対処すべき課題】
    • [19]極めて厳しい経済環境・市場環境は、投資の好機をうまく捉えていくことで将来の収益拡大につながる局面ともなっていると記載している
    • [20]アセットマネジメント事業では国内の株式市場のみに依存しない収益基盤の確立を目指し、アジア地域を中心とした潜在成長力の高い新興諸国での投資機会を捉えることを重要課題とし、シンガポールや香港など海外拠点網を整えつつあると記載している
    • [21]割安となった上場株式への投資も組み合わせることでファンドのパフォーマンスを向上させ、事業の一層の拡大を図るとしていた
  • SBIホールディングス pl_long(有価証券報告書)・連結JGAAP
    • [22]2010年3月期の連結売上高は1,245億円、当期純利益は24億円だった
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第12期(2010年3月期)【事業等のリスク】【連結キャッシュ・フロー計算書 注記】
    • [23]2010年2月16日、当社が保有するSBIアクサ生命保険株式会社の全株式をアクサ ジャパン ホールディング株式会社に譲渡し、株式の売却価額は19,018百万円だった
金融の中核を五つの箱に決める

2011年3月期の有価証券報告書で、会社はインターネットを通じた金融サービスを中核に据えた総合金融グループとしての事業構築を、日本国内において既にほぼ完成させたと記した。そのうえで、形成された金融生態系のうち証券・銀行・損害保険・生命保険・決済サービスの五つを金融サービス事業のコア事業とするペンタゴン経営を推進するとしている。住信SBIネット銀行株式会社との連携を中心にグループ内の金融各社と結び、インターネットによる金融ワンストップサービスを展開する方針だった。ネットとリアルの融合を図り、仲介業を活用してコストを抑えた対面型チャネルの拡大も続けるとしている。五つの箱のどこが空いているかが、以後の買収と出資の順番を決めていくことになる。

  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【対処すべき課題】
    • [24]インターネットを通じた金融サービスを中核に据えた総合金融グループとしての事業構築を、日本国内において既にほぼ完成させたと記載している
    • [25]形成された金融生態系のうち「証券」「銀行」「損害保険」「生命保険」「決済サービス」を金融サービスの5つのコア事業とする「ペンタゴン経営」を推進するとしている
    • [26]住信SBIネット銀行株式会社との連携を中心にグループ内の金融各社と連携を強め、インターネットによる金融ワンストップサービスの展開を図るとしていた
    • [27]「ネット」と「リアル」の融合を図り、仲介業を積極的に活用してコストを抑制できる形態での対面型チャネル拡大を継続するとしていた
参考文献[15]-[27]
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【業績等の概要】
    • [15]2009年3月期の連結売上高は130,922百万円(前年度比41.2%減少)、営業利益は4,403百万円(同89.7%減少)、経常利益は37百万円(同99.9%減少)だった
    • [16]2009年3月期は特別損失に投資有価証券売却損12,040百万円と投資有価証券評価損7,547百万円を計上し、当期純損失は18,375百万円(前連結会計年度は当期純利益4,228百万円)となった
    • [17]2009年3月期の国内経済は米国サブプライム・ローン問題に端を発した世界的な金融経済の混乱を受けて企業業績が大幅に悪化し、設備投資や個人消費も低調に推移して景気は極めて厳しい状況となった
    • [18]アセットマネジメント事業の売上高は2008年3月期58,008百万円(構成比26.1%)から2009年3月期15,981百万円(同12.2%)へ減少した
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【対処すべき課題】
    • [19]極めて厳しい経済環境・市場環境は、投資の好機をうまく捉えていくことで将来の収益拡大につながる局面ともなっていると記載している
    • [20]アセットマネジメント事業では国内の株式市場のみに依存しない収益基盤の確立を目指し、アジア地域を中心とした潜在成長力の高い新興諸国での投資機会を捉えることを重要課題とし、シンガポールや香港など海外拠点網を整えつつあると記載している
    • [21]割安となった上場株式への投資も組み合わせることでファンドのパフォーマンスを向上させ、事業の一層の拡大を図るとしていた
  • SBIホールディングス pl_long(有価証券報告書)・連結JGAAP
    • [22]2010年3月期の連結売上高は1,245億円、当期純利益は24億円だった
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第12期(2010年3月期)【事業等のリスク】【連結キャッシュ・フロー計算書 注記】
    • [23]2010年2月16日、当社が保有するSBIアクサ生命保険株式会社の全株式をアクサ ジャパン ホールディング株式会社に譲渡し、株式の売却価額は19,018百万円だった
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【対処すべき課題】
    • [24]インターネットを通じた金融サービスを中核に据えた総合金融グループとしての事業構築を、日本国内において既にほぼ完成させたと記載している
    • [25]形成された金融生態系のうち「証券」「銀行」「損害保険」「生命保険」「決済サービス」を金融サービスの5つのコア事業とする「ペンタゴン経営」を推進するとしている
    • [26]住信SBIネット銀行株式会社との連携を中心にグループ内の金融各社と連携を強め、インターネットによる金融ワンストップサービスの展開を図るとしていた
    • [27]「ネット」と「リアル」の融合を図り、仲介業を積極的に活用してコストを抑制できる形態での対面型チャネル拡大を継続するとしていた

2011年〜香港預託証券の上場と韓国・生命保険への展開

日本企業として初めて香港へ重複上場する

2011年4月14日、普通株式を原株とする香港預託証券を香港証券取引所のメインボード市場へ上場した。募集したのは普通株式1,750,000株にあたる17,500,000香港預託証券で、1香港預託証券が普通株式0.1株を表章した。日本の上場企業が香港証券取引所メインボード市場へ上場したのはこれが初めてで、狙いは上場に伴うアジア地域での信用力と知名度の向上を、同地域での事業の拡大へつなげることにあった。しかし2014年3月4日に上場廃止を決議し、同年6月25日に廃止となっている。上場から3年2か月での撤退であり、香港市場で得た信用と知名度は、二重上場の維持に見合うものにはならなかった。

  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第18期(2016年3月期)【沿革】
    • [28]2011年4月、当社普通株式を原株とする香港預託証券(HDR)を香港証券取引所のメインボード市場に上場した
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【募集株式の発行】
    • [29]香港預託証券の募集は普通株式1,750,000株(17,500,000HDR)で、1HDRは普通株式0.1株を表章する
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【対処すべき課題】
    • [30]2011年4月14日に日本における上場企業として初めて香港証券取引所メインボード市場へ上場し、上場に伴うアジア地域での信用力と知名度の向上を最大限に活用して当企業グループのアジア地域におけるさらなる事業の発展へつなげるとしていた
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第16期(2014年3月期)【株式の総数等】
    • [31]香港証券取引所については2014年3月4日に上場廃止の決議を行い、同年6月25日に上場廃止となった
韓国の貯蓄銀行の増資を引き受けて経営に入る

2013年3月、純投資目的で株式を保有していた韓国の株式会社現代スイス貯蓄銀行の株式を追加取得し、その子会社である株式会社現代スイス2貯蓄銀行の株式も取得して、両行を連結子会社とした。韓国の貯蓄銀行業界では政府主導の規制強化と再編促進が進み、現地当局が両行にガバナンスの強化と自己資本比率の改善を求めていたところへ、増資を引き受けた形である。会社は責任者を派遣してガバナンスを整え、グループ各社との連携を通じた収益力の改善を進めた。同行の税引前利益は2014年3月期の40億円から2015年3月期には約167億円まで伸び、アセットマネジメント事業の業績を牽引するまでになった。

  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第15期(2013年3月期)【事業等のリスク】
    • [32]2013年3月、純投資目的で株式を保有していた韓国の株式会社現代スイス貯蓄銀行の株式を追加取得し、その子会社である株式会社現代スイス2貯蓄銀行の株式も取得して連結子会社とした
    • [33]韓国の貯蓄銀行業界において政府主導の規制強化・再編促進が進むなか、現地当局によりガバナンス強化及び自己資本比率の改善を求められていた両行の増資を当企業グループが引き受けた
    • [34]現代スイス貯蓄銀行グループへ当企業グループから責任者を派遣するなどガバナンス強化を進め、グループ各社との連携等を通じて収益力を改善し企業価値の向上を目指すとしていた
  • SBIホールディングス 2015年3月期 決算説明会資料(2015年5月12日)
    • [35]SBI貯蓄銀行の税引前利益は2014年3月期に40億円、2015年3月期に約167億円を計上し、アセットマネジメント事業の業績を牽引した
生命保険の枠を買収で埋める

2015年2月、プルデンシャル・ファイナンシャルグループ傘下の日本法人であるピーシーエー生命保険株式会社の株式を取得して子会社とし、同社は同年5月1日にSBI生命保険株式会社へ商号を変えた。買収に伴う負ののれん発生益として20億円を認識している。証券・銀行・損害保険・生命保険・決済サービスという五つのコアのうち、生命保険の枠がこれで埋まった。2015年3月期の連結売上高は2,474億円、営業利益は682億円、当期純利益は457億円で、183億75百万円の損失を出した2009年3月期から六期で立て直した。株式会社SBI証券の口座数は2014年6月にオンライン証券として初めて300万口座を超え、2015年3月末には324万6千口座に達している。相場に左右されない収益源を並べるという2008年の課題に、ここで一応の答えが出た。

  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第17期(2015年3月期)【企業結合等関係】
    • [36]2015年2月、プルデンシャル・ファイナンシャルグループ傘下の日本法人であるピーシーエー生命保険株式会社の株式を取得して子会社化し、同社は2015年5月1日付でSBI生命保険株式会社へ商号変更した
  • SBIホールディングス 2015年3月期 決算説明会資料(2015年5月12日)
    • [37]SBI生命(旧ピーシーエー生命)の買収に伴う負ののれん発生益として20億円を認識した
    • [40]株式会社SBI証券の口座数は2014年6月27日にオンライン証券として初めて300万口座を突破し、2015年3月末現在で3,246千口座となった
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【対処すべき課題】
    • [38]金融サービス事業のコア事業は証券・銀行・損害保険・生命保険・決済サービスの5つと定められていた
  • SBIホールディングス pl_long(有価証券報告書)・連結IFRS
    • [39]2015年3月期の連結売上高は2,474億円、営業利益は682億円、当期純利益は457億円だった
参考文献[28]-[40]
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第18期(2016年3月期)【沿革】
    • [28]2011年4月、当社普通株式を原株とする香港預託証券(HDR)を香港証券取引所のメインボード市場に上場した
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【募集株式の発行】
    • [29]香港預託証券の募集は普通株式1,750,000株(17,500,000HDR)で、1HDRは普通株式0.1株を表章する
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【対処すべき課題】
    • [30]2011年4月14日に日本における上場企業として初めて香港証券取引所メインボード市場へ上場し、上場に伴うアジア地域での信用力と知名度の向上を最大限に活用して当企業グループのアジア地域におけるさらなる事業の発展へつなげるとしていた
    • [38]金融サービス事業のコア事業は証券・銀行・損害保険・生命保険・決済サービスの5つと定められていた
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第16期(2014年3月期)【株式の総数等】
    • [31]香港証券取引所については2014年3月4日に上場廃止の決議を行い、同年6月25日に上場廃止となった
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第15期(2013年3月期)【事業等のリスク】
    • [32]2013年3月、純投資目的で株式を保有していた韓国の株式会社現代スイス貯蓄銀行の株式を追加取得し、その子会社である株式会社現代スイス2貯蓄銀行の株式も取得して連結子会社とした
    • [33]韓国の貯蓄銀行業界において政府主導の規制強化・再編促進が進むなか、現地当局によりガバナンス強化及び自己資本比率の改善を求められていた両行の増資を当企業グループが引き受けた
    • [34]現代スイス貯蓄銀行グループへ当企業グループから責任者を派遣するなどガバナンス強化を進め、グループ各社との連携等を通じて収益力を改善し企業価値の向上を目指すとしていた
  • SBIホールディングス 2015年3月期 決算説明会資料(2015年5月12日)
    • [35]SBI貯蓄銀行の税引前利益は2014年3月期に40億円、2015年3月期に約167億円を計上し、アセットマネジメント事業の業績を牽引した
    • [37]SBI生命(旧ピーシーエー生命)の買収に伴う負ののれん発生益として20億円を認識した
    • [40]株式会社SBI証券の口座数は2014年6月27日にオンライン証券として初めて300万口座を突破し、2015年3月末現在で3,246千口座となった
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第17期(2015年3月期)【企業結合等関係】
    • [36]2015年2月、プルデンシャル・ファイナンシャルグループ傘下の日本法人であるピーシーエー生命保険株式会社の株式を取得して子会社化し、同社は2015年5月1日付でSBI生命保険株式会社へ商号変更した
  • SBIホールディングス pl_long(有価証券報告書)・連結IFRS
    • [39]2015年3月期の連結売上高は2,474億円、営業利益は682億円、当期純利益は457億円だった

筆者考察

資本から独立した会社が最初に手を付けたのは、稼ぎの振れを止めることだった。証券の手数料も投資先の評価損益も相場の上下にそのまま従う。だから2007年から2008年にかけて、住信SBIネット銀行・SBI損害保険・SBIアクサ生命保険という三つの会社を続けて開業させ、有価証券報告書には株式市況のみに立脚しない収益体質の構築と書いた。預金と保険料は、相場が下がっても入ってくる種類の収入である。証券・銀行・損害保険・生命保険・決済サービスの五つを金融の中核に据えるペンタゴン経営は、この考えを箱の形で言い直したものだった。

備えは間に合わなかった。2009年3月期、売上高は41.2%減の1,309億円、経常利益は99.9%減の37百万円まで落ち、投資有価証券の売却損と評価損で183億75百万円の当期純損失を出す。新しい三社はまだ収益を生む段階になく、支えたのは結局のところ証券だった。以後の六年は、空いていた箱を外から埋める作業に費やされる。2013年の韓国・現代スイス貯蓄銀行は現地当局の求める増資の引き受けであり、2015年のピーシーエー生命保険は生命保険の枠の穴埋めだった。2015年3月期に当期純利益457億円まで戻したとき、収益源は五つに分かれていた。

連結売上高 2007年3月期〜2015年3月期(億円)

1,446 07.3 2,226 08.3 1,309 09.3 1,245 10.3 1,411 11.3 1,424 12.3 1,176 13.3 2,333 14.3 2,474 15.3 収益源を分ける動き 住信SBIネット銀行 現代スイス貯蓄銀行 ピーシーエー生命
  • 2007年9月 住友信託銀行との折半出資で開業
  • 2013年3月 韓国の貯蓄銀行2行を連結子会社化
  • 2015年2月 生命保険会社を子会社化
  • 棒はすべて連結。2012年3月期までは日本基準、2013年3月期からは国際財務報告基準。
  • 棒の出所は有価証券報告書(pl_long)。

2007年〜2015年の業績

決算期 区分 売上高 営業利益経常利益純利益 主な投資
億円 YoY 億円 億円 億円 利益率
2007年03月期 連結 1,446 n/a 231 907 464 32.1% n/a
2008年03月期 連結 2,226 +53.9% 426 357 42 1.9% n/a
2009年03月期 連結 1,309 ▲41.2% 44 0 ▲184 ▲14.1% n/a
2010年03月期 連結 1,245 ▲4.9% 34 11 24 1.9% n/a
2011年03月期 連結 1,411 +13.3% 89 35 45 3.2% n/a
2012年03月期 連結 1,424 +0.9% 76 22 25 1.8% n/a
2013年03月期 連結 1,176 ▲17.4% 166 ▲177 ▲91 ▲7.7% n/a
2014年03月期 連結 2,333 +98.4% 422 n/a 214 9.2% n/a
2015年03月期 連結 2,474 +6.0% 682 n/a 457 18.5% n/a

出典・参考

12件
出典・参考
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【対処すべき課題】
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第11期(2009年3月期)【業績等の概要】
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第12期(2010年3月期)【事業等のリスク】【連結キャッシュ・フロー計算書 注記】
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【対処すべき課題】
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第13期(2011年3月期)【募集株式の発行】
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第15期(2013年3月期)【事業等のリスク】
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第16期(2014年3月期)【株式の総数等】
  • SBIホールディングス 2015年3月期 決算説明会資料(2015年5月12日)
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第17期(2015年3月期)【企業結合等関係】
  • SBIホールディングス 有価証券報告書 第18期(2016年3月期)【沿革】
  • SBIホールディングス pl_long(有価証券報告書)・連結JGAAP
  • SBIホールディングス pl_long(有価証券報告書)・連結IFRS

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