丸井グループとの合弁とCDXO兼務(2022年・グッドパッチの決断)

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グッドパッチ:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)

何をなぜ決めたか:Muture設立から、土屋尚史社長の丸井グループ取締役就任まで

概要
概要

2022年4月14日、グッドパッチの取締役会は丸井グループとの合弁会社の設立を決議し、同月27日にMutureを設立した。出資は丸井グループ60%、グッドパッチ40%で、事業はフィンテック・小売・OMOの領域のDX支援となる。土屋尚史社長はMutureの取締役に就任し、2023年6月には丸井グループの執行役員CDXO(非常勤)を兼務した。

2026年6月、土屋尚史社長は丸井グループの取締役に就任した。候補者の表示に社外取締役・独立役員の記載は無く、社外でなく執行役員を兼務する社内側の取締役となる。ただし職務は非常勤で、グッドパッチの代表取締役社長CEOは続けている。

背景
背景

土屋尚史氏が2011年9月に創業したグッドパッチは、2020年6月に東証マザーズへ上場し、2021年8月期の売上高は2,741百万円、営業利益は406百万円となった。丸井グループには2021年7月からデザインパートナー事業としてDX推進を支援し、経営課題の特定や戦略策定に取り組んだ。

丸井グループの課題は、DXに必要なデザイン/デジタル人材の採用と育成にあった。自社には、そうした人材に対する知見が無かった。支援では10の事業部の現場から経営層まで30名に聞き取り、目指す人材像と組織像を示したうえで、採用の受け入れ先にもなる新会社を共同出資で設ける案に至った。

内容
内容

案件ごとに進めてきた支援を、合弁会社を中心とする定常的な人材の提供へ切り替えた。グッドパッチは資金とデザイン人材を、丸井グループは資金と事業人材を出す。グッドパッチには初の合弁で、Mutureは持分法適用関連会社となり、土屋尚史社長が取締役を、槇島俊幸氏が監査役を兼ねた。デザイン人材が創業時から経営に関与するデザイン経営を掲げ、丸井グループ外への展開も検討するとした。

執行役員への就任の理由は、DX戦略の構築の加速とデジタル人材の育成にある。2026年5月、丸井グループは経営メンバーの世代交代を掲げて新任の取締役候補を公表し、取締役会の平均年齢は前年差で7歳下がった。土屋尚史氏を選んだ理由には『執行役員として当社のDX戦略の立案・実行に関与してきた実績』を挙げている。6月27日の定時株主総会で賛成率96.94%で選任された。

沿革:意思決定前後の出来事12件
考察:発注側と受注側を兼ねる社長
考察

考察:発注側と受注側を兼ねる社長

なぜ社外取締役や顧問ではなく、執行役員を兼ねる取締役だったのか。社外の肩書なら、役割は監督と助言にとどまる。丸井グループが求めたのは助言よりも、デザイン/デジタル人材に対する知見と、その人材を採用し育てる組織であろう。DX戦略の立案と実行に関与した実績を選任の理由に挙げた点からも、社内側に置くこと自体が狙いだったと思われる。グッドパッチにとっても、案件ごとの受託より長い関係を経営の席から築ける。

ただ、社内側に入るほど利害の整理は難しくなる。丸井グループはグッドパッチとMutureに制作やデザインを委託し、土屋尚史社長は発注側と受注側の双方で取締役を務める。丸井グループは関係を注記で開示するが、取引額は開示に無い。時間配分の問題もある。兼職は6社に及び、グッドパッチの取締役で社外でないのは土屋尚史社長1人である。非常勤という留保は、この重なりへの配慮かもしれない。

到達点はまだ数字で判じられない。持分法投資損益は7百万円から23百万円へ増加したが、2社の合計であり、連結の営業利益447百万円に比べて小さい。決着の条件は2つある。Mutureが検討を掲げた丸井グループ外への展開が実現するか。取締役に就任した土屋尚史社長の下で、丸井グループのDXの成果が数字で語られるようになるか。どちらも見えないうちは、この関係の評価は取引額の見えない信頼関係に依存するほかないのだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年11月

数字で見る

数値:意思決定前後の事業数値1件

グッドパッチ:グッドパッチの業績と持分法投資損益の推移

売上高(千円)営業利益率(%)

持分法投資損益は2026年8月期に23百万円となったが、Mutureとエックスポイントワンの2社の合計で、営業利益447百万円に比べて小さい

グッドパッチ:グッドパッチの業績と持分法投資損益の推移
(千円)売上高営業利益持分法投資損益備考
2017年8月期643,694−−単体。営業利益は有報で照合できていない
2018年8月期1,371,260−−この期から連結。営業利益は有報で照合できていない
2019年8月期1,683,26975,405−
2020年8月期2,143,511216,604−2020年6月に東証マザーズへ上場
2021年8月期2,741,275406,211−2021年7月に丸井グループの支援を開始
2022年8月期3,724,512394,154△565Mutureとエックスポイントワンを持分法適用に追加。持分法投資損益は以後この2社の合計
2023年8月期3,928,524298,6307,775土屋尚史社長が丸井グループの執行役員CDXOに就任
2024年8月期3,942,96734,52615,160
2025年8月期5,085,553557,48321,741
2026年8月期5,197,259447,01723,131土屋尚史社長が丸井グループの取締役に就任。決算短信の値
出所:グッドパッチ 有価証券報告書 第9期(2020年8月期)〜第14期(2025年8月期)【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】【セグメント情報等】 / グッドパッチ 2026年8月期 決算短信(2026年10月15日)
出所:グッドパッチ 有価証券報告書 第9期(2020年8月期)〜第14期(2025年8月期)【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】【セグメント情報等】 / グッドパッチ 2026年8月期 決算短信(2026年10月15日)
人物:意思決定前後の取締役5名

取締役5名(2021年11月株主総会決議)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務土屋尚史取締役:代表取締役社長業務執行:担当:
松岡毅取締役:取締役執行役員業務執行:担当:
實方ボリス取締役:取締役業務執行:担当:
槇島俊幸取締役:取締役執行役員CFO業務執行:担当:
独立役員山口拓己取締役:取締役業務執行:担当:
この一覧は2021年11月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

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