ヨーロッパ撤退とGoodpatch GmbH解散(2022年・グッドパッチの決断)

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グッドパッチ:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)

何をなぜ決めたか:ベルリンに設立した子会社を7年で解散し、特別損失を計上

概要
概要

2022年10月14日、グッドパッチの取締役会は連結子会社Goodpatch GmbHの解散を決議した。同社は2015年5月にベルリンで設立した全額出資の子会社で、ドイツを中心にヨーロッパ諸国へデザイン支援を提供してきた。事業の終了は2022年12月31日、解散は2023年8月31日を予定とした。

決議の時点で、2022年8月期に減損損失47百万円と関係会社整理損失引当金繰入額72百万円の計119百万円を特別損失として見積もった。税効果61百万円を差し引いた当期純利益への影響は△58百万円となる。事業は2023年1月に終了し、清算は2025年1月に結了した。

背景
背景

ヨーロッパへの進出は2011年9月の創業から4年を待たずに始まった。2017年9月にはドイツ子会社でVR/ARを活用したデザインツール「Athena」の開発を始め、2018年8月にミュンヘンスタジオを開設した。2020年8月期には、子会社の売上高が内部取引を除いて連結の10%を超えていた。

新型コロナウイルスの感染拡大で事業環境は暗転した。2020年8月期の子会社は売上高266百万円、営業損失57百万円となり、余剰人員を抱えてドイツ政府の労働時間短縮補助制度を利用した。それでも海外展開を強化する方針は維持している。2021年8月期は下半期からプロジェクトの獲得が大幅に増加し、売上高344百万円、営業利益41百万円へ回復した。

内容
内容

回復は続かなかった。2022年8月期の第2四半期に主要プロジェクトが完了して赤字へ転じ、第4四半期も売上高が前年同期比45百万円減、営業損失18百万円となった。Athenaは6月30日に終了し、ミュンヘンスタジオは9月に閉じている。9月21日の業績予想の修正では、月額平均顧客単価と顧客社数の低下からドイツ子会社の赤字を見込んだ。

解散の判断材料は資金繰りの見通しまで及ぶ。セールスパイプラインは枯渇し、売上高は過去数年の平均月額売上に対して前年比30〜50%まで低下することが判明した。2023年8月期中に資金が不足して追加出資が必要になる一方、短期の回復は困難と判断した。2022年8月期の子会社は売上高321百万円、営業損失44百万円、当期純損失162百万円で終わった。

沿革:意思決定前後の出来事12件
考察:資金不足の見通しが決めた撤退
考察

考察:資金不足の見通しが決めた撤退

なぜ解散だったのか。追加出資で事業を持ちこたえる選択もあったはずである。2020年8月期の赤字は、翌期に黒字へ回復した前例がある。それでも今回は売上高が前年比30〜50%まで低下する見通しで、悪化の深さが前回とは異なった。子会社の売上高321百万円は連結の3,724百万円の1割に満たない。ドイツの回復を待つより、国内の成長に経営資源を回すほうが確実と映ったのだろう。

ただ、撤退の判断は事業の悪化より遅れて出た。2020年8月期の時点で余剰人員を抱えていたが、方針は海外展開の強化のままであった。2022年4月に赤字が見えた後も、Athenaの終了とミュンヘンの閉鎖という部分的な縮小が続く。解散を決めたのは、資金不足が2023年8月期中と見えてからである。1期の黒字回復が、撤退の議論を先へ送ったのではないか。事業整理損の内訳は主に人員整理費用で、早く決めれば負担は小さく済んだのかもしれない。

結果は部分的な成功と読む。経営資源の配分としては当たった。撤退後の2025年8月期に営業利益は557百万円と過去最高を更新している。ただし2024年8月期には34百万円まで縮小しており、過去最高を撤退だけの成果とは言えない。ヨーロッパの事業は7年で清算に至り、解散関連の特別損失は128百万円に達した。進出は失敗に終わったが、追加出資を重ねずに損失を区切った決断である。

Yutaka Sugiura, 2026年11月

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数値:意思決定前後の事業数値2件

グッドパッチ:Goodpatch GmbHの業績の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)

2022年8月期の売上高は321百万円で、営業損失は44百万円となった

グッドパッチ:Goodpatch GmbHの業績の推移
(百万円)売上高営業利益当期純利益備考
2020年8月期266△57△62新型コロナウイルスの影響で赤字
2021年8月期3444147黒字に回復
2022年8月期321△44△162期後の2022年10月に解散を決議
出所:グッドパッチ 適時開示「連結子会社(Goodpatch GmbH)の解散に関するお知らせ」(2022年10月14日)
出所:グッドパッチ 適時開示「連結子会社(Goodpatch GmbH)の解散に関するお知らせ」(2022年10月14日)

グッドパッチ:グッドパッチの連結業績の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)

撤退後の2025年8月期に、連結売上高は5,085百万円へ拡大した

グッドパッチ:グッドパッチの連結業績の推移
(百万円)売上高営業利益特別損失備考
2017年8月期643−−単体。営業利益と特別損失は照合できていない
2018年8月期1,371−−営業利益と特別損失は照合できていない
2019年8月期1,683750
2020年8月期2,14321610
2021年8月期2,7414060
2022年8月期3,724394246特別損失は解散関連128と投資有価証券評価損118の計
2023年8月期3,9282980清算手続きに伴う特別利益46を計上
2024年8月期3,942340
2025年8月期5,0855570売上高と営業利益が過去最高
2026年8月期5,19744757決算短信の値
出所:グッドパッチ 有価証券報告書 第9期(2020年8月期)〜第14期(2025年8月期)【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】 / グッドパッチ 2026年8月期 決算短信
出所:グッドパッチ 有価証券報告書 第9期(2020年8月期)〜第14期(2025年8月期)【主要な経営指標等の推移】【連結損益計算書】 / グッドパッチ 2026年8月期 決算短信
人物:意思決定前後の取締役5名

取締役5名(2021年11月株主総会決議)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務土屋尚史取締役:代表取締役社長業務執行:担当:
松岡毅取締役:取締役執行役員業務執行:担当:
實方ボリス取締役:取締役業務執行:担当:
槇島俊幸取締役:取締役執行役員CFO業務執行:担当:
独立役員山口拓己取締役:取締役業務執行:担当:
この一覧は2021年11月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

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