ヤマギワ株式を取得(2012年・MARUWAの決断)

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論点照明の販路とブランドを買収で得るか
MARUWA:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
企業再生支援機構からの全株式7億円での引き受け

何をなぜ決めたか:企業再生支援機構からの全株式7億円での引き受け

概要

2012年12月3日、MARUWAはヤマギワ株式会社の発行済株式10,000株の全部を株式会社企業再生支援機構から取得し、議決権比率100%の子会社とした。対価は現金7億円で、アドバイザリー費用等5,000万円を含めた取得原価は7億5,000万円であった。

背景

MARUWAは2005年4月にMARUWA SHOMEIを設けてLED高輝度照明業界へ進出し、2011年12月にはマレーシアにも照明の生産子会社を設立した。だが照明機器事業の売上高は2012年3月期で22.89億円にとどまり、光源を作る技術はあっても設計と販路が自前では育っていなかった。

内容

有価証券報告書は企業結合の理由を、ヤマギワのブランド力と照明ソリューション力を活用してLED市場での事業基盤をさらに拡げ、グローバルな事業成長を遂げるためと記す。2013年3月31日付で商号を株式会社YAMAGIWAへ改め、MARUWA SHOMEIが製造、YAMAGIWAが仕入商品の販売を担う二社体制を組んだ。

含意

照明機器事業の売上高は2014年3月期に121.96億円まで伸び、連結の36%を占めた。ただ利益率は低く、翌期はセグメント損失0.82億円となった。2026年3月期には106.79億円・セグメント利益21.41億円と過去最高を更新したが、本業のセラミックが伸びた分、連結比率は14%へ下がった。

いつ何が起きたか8件
考察:取得したのは市場ではなく名前だった
考察

考察:取得したのは市場ではなく名前だった

成長するLED照明市場に賭けた多角化と読むと、この買収は的を外す。MARUWAは2005年から自社でLED光源を作り、マレーシアに生産子会社まで置きながら、照明機器事業の売上高は22億円で止まっていた。足りなかったのは市場でも技術でもなく、施設や住宅の照明設計に入り込む販路と、設計者が知っている名前であった。有価証券報告書が結合の理由の筆頭に「ブランド力」と「照明ソリューション力」を挙げていることは、それを裏づけているとみられる。

数字の上では、7億5,000万円の取得原価に対して発生したのれんは1億3,827万円にすぎない。だが連結貸借対照表に立ったのれんは10億円で、以後5年にわたり年2億9,018万円ずつ償却され、2015年3月期の照明機器事業はそのぶんセグメント損失に沈んだ。買った側の損益に効いてきたのは取得価額そのものではなく、この償却負担であった。そして二本目の柱としては半端に終わった。照明の連結売上比率は2014年3月期の36%から2026年3月期の14%へ下がり、自前で立てたマレーシアの照明生産子会社は清算され、残ったのは買ってきた名前の方であった。償却が終わった2018年3月期以降、照明機器事業は安定して利益を出し続けている以上、この判断が外れだったとは言えない。ただそれは、本業のセラミックがそれ以上の速さで伸び、二本目の柱を必要としなくなった話でもあるといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る3表

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図と表

MARUWA:のれんと無形固定資産の推移

のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)
MARUWA:のれんと無形固定資産の推移
(百万円)のれん無形固定資産備考
2008年3月期0225連結貸借対照表にのれんの科目はない
2009年3月期0186
2010年3月期0233
2011年3月期0221
2012年3月期0221のれんの欄は「-」
2013年3月期1,0061,374企業結合で発生したのれんは138。連結の期末残高1,006は全額が照明機器事業
2014年3月期7161,126当期償却額290。2016年3月期まで同額の償却が続く
2015年3月期426877
2016年3月期136569
2017年3月期21300
2018年3月期0275のれんの欄は「-」。減損はなく5年の均等償却で残高が消えた
出所:MARUWA 有価証券報告書 第35期〜第45期(連結貸借対照表) / MARUWA 有価証券報告書 第40期〜第42期(報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報)
出所:MARUWA 有価証券報告書 第35期〜第45期(連結貸借対照表) / MARUWA 有価証券報告書 第40期〜第42期(報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報)

MARUWA:照明機器事業の推移

売上高(百万円)セグメント利益率(%)
MARUWA:照明機器事業の推移
(百万円)売上高セグメント利益セグメント資産備考
2008年3月期2,156△61,2422010年3月期までは事業の種類別セグメント情報による
2009年3月期1,777221,490
2010年3月期1,8181041,545
2011年3月期1,9501361,728
2012年3月期2,2892472,332
2013年3月期5,1501909,038YAMAGIWAの連結は3か月分。セグメント資産が2,332から9,038へ増えた
2014年3月期12,1964269,181YAMAGIWAの通期連結初年度。連結売上高334.75億円の36%を占めた
2015年3月期11,422△828,548のれん償却290を含み、セグメント損失に転じた
2016年3月期9,3331217,403
2017年3月期9,4556407,235
2018年3月期9,2077976,961のれんの償却が終わった期
出所:MARUWA 有価証券報告書 第35期〜第45期(セグメント情報等)
出所:MARUWA 有価証券報告書 第35期〜第45期(セグメント情報等)

買収の条件

買収の条件
科目概要備考
被取得企業ヤマギワ株式会社照明器具の企画・開発・製造・販売、照明・インテリア計画、照明・家具の輸入販売
企業結合を行った主な理由ブランド力と照明ソリューション力の活用LED市場での事業基盤をさらに拡げ、グローバルな事業成長を遂げるため
企業結合日2012年12月3日連結損益計算書に含めた業績の期間は2013年1月1日から3月31日までの3か月
企業結合の法的形式株式の取得譲渡人は株式会社企業再生支援機構。取得した株式数は10,000株
取得した議決権比率100%企業結合時に発行済株式の全部を取得した
取得企業を決定するに至った根拠現金を対価として株式を取得したため
取得原価750,000千円現金による対価700,000千円と、アドバイザリー費用等の直接費用50,000千円
受け入れた資産4,511,402千円流動資産3,135,227千円、固定資産1,376,175千円
引き受けた負債3,899,673千円流動負債1,539,612千円、固定負債2,360,061千円
発生したのれん138,271千円取得原価が時価純資産(当社持分)を上回った差額。5年間にわたる均等償却
結合後企業の名称株式会社YAMAGIWAヤマギワ株式会社が2013年3月31日付で商号を変更した
取得による資金の純増364,965千円の収入取得価額750,000千円に対し、受け入れた現金及び現金同等物が1,114,965千円
期首に完了したと仮定した影響額売上高7,906,794千円経常利益266,191千円、当期純利益227,898千円。概算額は監査証明を受けていない
出所:MARUWA 有価証券報告書 第40期(2013年3月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書】【関係会社の状況】
出所:MARUWA 有価証券報告書 第40期(2013年3月期)【企業結合等関係】【連結キャッシュ・フロー計算書】【関係会社の状況】
参考文献

参考文献

参考
  • MARUWA 有価証券報告書【沿革】【事業の内容】【関係会社の状況】
  • MARUWA 有価証券報告書(2008年3月期〜2026年3月期・連結およびセグメント情報)
  • MARUWA 有価証券報告書「第40期(2013年3月期)【企業結合等関係】」
  • MARUWA 有価証券報告書「第40期(2013年3月期)【関係会社の状況】【連結キャッシュ・フロー計算書】」
  • MARUWA 有価証券報告書「第40期(2013年3月期)【経営上の重要な契約等】」
  • MARUWA 有価証券報告書「第35期〜第45期(連結貸借対照表、セグメント情報等)」
  • MARUWA 有価証券報告書「第50期(2023年3月期)【連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項】」

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