この状態で相手を選べる余地は、実際にはほとんどなかった。それでも北畑稔社長は投資ファンドではなく事業会社を選び、5年間の売買制限条項を付けている。資本を入れて数年で売り抜ける相手ではなく、中国の売り場を一緒に作る相手を求めた選択であり、当時の判断としては筋が通っていた。山東如意が中国政府に模範企業と目される優良企業だったことも、この判断を後押ししただろう。
誤算は、支えるはずの相手が自らも重くなったことにある。山東如意は買収に巨費を投じて資金繰りを詰まらせ、2019年に子会社の売掛金53億円を払えなくなった。連帯債務者でありながら保証を実行しなかった以上、レナウンに打てる手はない。資本で時間を買う判断は、買った相手の体力が続くことを前提にする。事業会社を選んだことがファンドより安全だったとは、この結末を見たあとでは言えないだろう。