戸建分譲の量産は、売る側が価格を決められない商売である。周辺の相場が上限を決め、土地の仕入れ値は競り合いで決まる。残るのは建てる原価で、飯田グループホールディングスが2014年から重ねてきたのは、その原価の内側へ会社ごと入っていく作業であった。木材を挽く会社、ガラスを組む会社、キッチンをつくる会社、ドアと床材をつくる会社——買ったのはいずれも、それまで請求書を送ってきた相手であった。取引条件の交渉を、社内の管理へ置き換えた買い物といえる。
置き換えてみて見えたのは、原価の内側にも読めない部分が残るという事実であった。木材価格の急騰は2021年に自社の仕入れを直撃し、翌年に取得したロシアの森林は戦争によって使いにくくなった。2024年3月期の営業利益率4.1%は、資材メーカーを4社抱えたあとの数字である。垂直統合は買った工程の採算を自分の帳簿へ移す作業で、その工程がさらされる相場そのものを消しはしない。飯田グループホールディングスが次に握ろうとしているのは、加工でも原料でもなく、顧客へ直接売る販売の側にある。