三井住友フィナンシャルグループ プロミスの完全子会社化 銀行が消費者金融を丸ごと抱えた再編

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時期 2011年9月
当時の社長 宮田孝一
論点 消費者金融事業の取り込みとグループ再編
何をなぜ決めたか
概要

2011年9月30日、三井住友フィナンシャルグループは持分法適用会社だった消費者金融大手プロミスを完全子会社化する基本方針を決議し、3社で基本契約を締結した。三井住友銀行が公開買付けで議決権の72%を買い集め、フィナンシャルグループが1,200億円の第三者割当増資を全額引き受けて、12月に議決権98%の連結子会社とした。

取得原価は2,134億円、生じたのれんは573億円。2012年4月に株式交換で完全子会社とし、7月に商号をSMBCコンシューマーファイナンスへ改めた。

背景

2006年以降の過払い金返還請求と、2010年6月に完全施行された改正貸金業法が、消費者金融の収益基盤を崩した。総量規制と上限金利の引き下げで市場は1年で1兆円縮み、2010年9月には最大手の武富士が会社更生法を申請する。約2割を出資してきたプロミスも、財務のてこ入れを迫られていた。

内容

既に持つ議決権22%を除く株式を三井住友銀行が公開買付けで買い集め、買い切れない分は持株会社を完全親会社とする株式交換で吸収する二段構えをとった。買付けの対象は普通株式だけでなく、株式報酬型ストック・オプション3種と2015年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債にも及んでいる。

並行してプロミスは1,200億円を増資し、過払い金の負担に耐える財務へ立て直した。受け入れた負債1兆5,120億円のうち3,672億円は利息返還損失引当金である。

含意

武富士の破綻、アコムの三菱UFJ傘下入り、新生銀行のレイク統合と続いた、銀行が消費者金融を傘下に収める再編の一つとなった。連結の利息返還損失引当金は598億円から4,012億円へ跳ね上がり、過払い金の重荷がそのまま親会社の貸借対照表に現れている。

引当金は2017年3月期に1,567億円まで減り、SMBCコンシューマーファイナンスはグループの個人向け金融を担う。2024年には三井住友カードのもとへ移り、再び組み替えられた。

いつ何が起きたか 9件
筆者の見解
筆者の見解

銀行は、なぜ消費者金融を丸ごと抱えたか

この判断の核心は、規制で市場が縮むなか、銀行が消費者金融を切り離さず、完全子会社として保有する道を選んだ点にある。過払い金の返還は、過去の高い金利がそのまま将来の支払いに化ける重荷であった。単独で耐えられる会社は限られ、武富士は力尽き、アコムやプロミスは銀行の資本に寄って生き延びる。三井住友フィナンシャルグループにとって完全子会社化は、取得原価2,134億円で3,672億円の返還引当金ごと引き取り、あわせて個人向けの顧客と貸出の網を手にする選択であった。

もっとも、傘下に収めたのは成長事業ではなく、縮む市場と過払い金の負担でもあった。連結の返還引当金は取り込みの年度に4,012億円へ膨らみ、いったん減ったあと2016年3月期に再び積み増されている。増資で財務を支え、商号を替えてグループの色に染めても、消費者金融そのものが再び伸びる保証はない。その後グループは、この会社をカード事業と統合し、決済と結びつけて使い道を広げていく。銀行が個人にお金を貸す接点をどこに置き、どの会社で運ぶか——プロミスの取り込みは、その問いに資本で答えた一手であり、答えはいまも組み替えられている。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
完全子会社化の条件

完全子会社化の条件

科目 概要 備考
被取得企業 プロミス 消費者金融業。企業結合前は三井住友フィナンシャルグループの持分法適用関連会社
基本契約の締結日 2011年9月30日 三井住友FG・三井住友銀行・プロミスの3社。完全子会社化に向けた基本方針を決議
取得の法的形式 公開買付けと第三者割当増資の引受け 三井住友銀行が公開買付け、三井住友フィナンシャルグループが増資を全額引受け
公開買付期間 2011年10月18日〜11月30日 普通株式、株式報酬型ストック・オプション3種、2015年満期ユーロ円建CBが対象
第三者割当増資の引受日 2011年12月26日 三井住友フィナンシャルグループが全額引き受けた
企業結合日 2011年12月7日 みなし取得日は12月31日。4〜12月の損益は持分法投資損益に計上している
結合直前の議決権比率 22% 2004年1月の業務・資本提携以来の持分
追加取得した議決権比率 76% 公開買付けで72%、第三者割当増資の引受けで4%
取得後の議決権比率 98% 残る株式は株式交換で取得した
取得原価 213,369百万円 既保有分の時価21,699、公開買付分70,995、増資引受分119,999、直接費用674
段階取得に係る差益 25,050百万円 取得原価と取引ごとの取得原価の合計額188,318百万円との差額
のれん 57,300百万円 20年間の均等償却。取得原価と当社持分相当額との差額
受け入れた資産 1,671,681百万円 うち貸出金795,148百万円、支払承諾見返564,528百万円
引き受けた負債 1,511,980百万円 うち利息返還損失引当金367,220百万円、借用金300,884百万円
通期換算した経常収益の増加 143,349百万円 期首に結合したと仮定した場合の概算額
通期換算した経常損益の増減 △152,690百万円 同じ概算で当期純利益は△186,332百万円
株式交換の決議日 2011年12月21日 公開買付けで発行済株式の全てを取得できなかったため
株式交換の効力発生日 2012年4月1日 三井住友フィナンシャルグループが完全親会社、プロミスが完全子会社となった
株式交換比率 プロミス1株:当社0.36株 公開買付けの買付価格と同一の価格を基準に協議。交付株式数は45,660千株
追加取得した株式の取得原価 7,794百万円 普通株式の時価7,733百万円と取得に直接要した支出額60百万円
株式交換で生じたのれん 3,916百万円 20年間の均等償却。取得原価と当社持分増加額との差額

出所:三井住友フィナンシャルグループ 有価証券報告書 第10期(2012年3月期)【経営上の重要な契約等】【企業結合等関係】・第11期(2013年3月期)【企業結合等関係(共通支配下の取引等関係)】

利息返還損失引当金の推移

三井住友フィナンシャルグループ:利息返還損失引当金の推移

(百万円) 利息返還損失引当金 備考
2011年3月期 59,812
2012年3月期 401,276 プロミスの連結で367,220が加わり、前期の6.7倍に膨らんだ
2013年3月期 245,423
2014年3月期 190,182
2015年3月期 166,793
2016年3月期 228,741 返還請求の減り方が想定を下回り、引当金を積み増した期
2017年3月期 156,775
利息返還損失引当金
利息返還損失引当金(百万円)

出所:三井住友フィナンシャルグループ 有価証券報告書 第9〜16期(連結貸借対照表)

のれんと無形固定資産の推移

三井住友フィナンシャルグループ:のれんと無形固定資産の推移

(百万円) のれん無形固定資産総資産 備考
2007年3月期 100,850234,896100,858,309
2008年3月期 178,645332,525111,955,918
2009年3月期 186,793361,884119,637,224
2010年3月期 363,507626,248123,159,513 日興コーディアル証券ほか17社の連結でのれん167,607を計上した期
2011年3月期 352,790674,216137,803,098
2012年3月期 397,537799,773143,040,672 プロミス分57,300を計上。セディナ等の償却が進み純増は44,747
2013年3月期 385,625790,860148,696,800 株式交換で追加ののれん3,916が生じた期
2014年3月期 377,145819,895161,534,387
2015年3月期 351,966819,560183,442,585
2016年3月期 339,185878,265186,585,842
2017年3月期 318,578946,506197,791,611
のれんと無形固定資産
のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)

出所:三井住友フィナンシャルグループ 有価証券報告書 第6〜16期(連結貸借対照表)

同じ問いに直面した会社

同じ問いに直面した会社

上場廃止2005年メディパルホールディングス日用品卸最大手を株式交換で取り込む医薬・日用品の二本柱化事業構成と収益源
2020年ソニー3,967億円を投じた公開買付けによる上場子会社の取り込み金融事業の位置づけと資本再編
2025年大成建設海洋土木大手の取り込みと完全子会社化海洋土木の取り込みと事業ポートフォリオの拡張
2025年豊田合成シートベルト大手を傘下に収める完全子会社化セーフティシステム事業の統合
2026年加賀電子純資産を下回る1株1,580円の据え置きと、下限引き下げによる72.45%の取得簿価を下回る価格での同業商社の取り込み
隣接領域への展開2011年アドバンテストSoCテスタの取り込み──メモリからSoCへ、テスタ世界首位の確立メモリとSoC(非メモリ)の複線化
2011年リコー祖業のカメラを外から補い、品ぞろえと技術を埋める選択消費者向けカメラ事業の確立とラインナップ補完
2011年イオン中四国トップの食品スーパーの取り込みによる地盤の獲得手薄だった中四国の食品スーパー基盤の獲得
2012年旭化成22.1億ドルを投じた、クリティカルケア事業への参入ヘルスケア領域の拡大とクリティカルケア事業への参入
2012年MARUWA企業再生支援機構からの全株式7億円での引き受けLED照明事業の販路とブランドの獲得
参考文献
出典・参考
  • 三井住友フィナンシャルグループ SMBCグループ二十年史
  • 三井住友フィナンシャルグループ 有価証券報告書「第10期(2012年3月期)【経営上の重要な契約等】」
  • 三井住友フィナンシャルグループ 有価証券報告書「第10期(2012年3月期)【企業結合等関係】」
  • 三井住友フィナンシャルグループ 有価証券報告書「第11期(2013年3月期)【企業結合等関係】共通支配下の取引等関係」
  • 三井住友カード ニュースリリース「三井住友カードおよびSMBCコンシューマーファイナンスのファイナンスビジネス再編実施に関するお知らせ」

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