三井住友フィナンシャルグループの直近の動向と展望
三井住友フィナンシャルグループの直近の業績・経営課題・市場ポジションと、今後の展望をまとめたページです。
セグメント構成や中期的な論点を、現経営陣の発信と有価証券報告書の記述をもとに整理しています。
直近の動向と展望
太田純の「脱金融」路線と政策保有株式削減の加速
2019年4月、太田純が社長に就任した。「別に銀行である必要はない」「社長製造業になりたい」(Sustainable Brands Japan 2020/09/10)と述べ、銀行業務にとらわれない価値創造を掲げた。2023年度決算では中期経営計画の最終年度目標を初年度で上回り、期中1000億円の上方修正後にさらに400億円超上振れて着地した。太田は後に「期初に保守的なガイダンスを発表したことで、業績に対する自信の欠如や投資家に非公開のリスク要因があるという誤解を与えていたのではないかと反省している」(決算説明会 FY2023)と述べ、保守ガイダンス方針を転換した。銀行業界では珍しいほど踏み込んだ対外発信が、太田時代の三井住友の特徴として定着した。リスクや反省も含めた経営の言葉が、機関投資家との対話の質を変えた。
政策保有株式削減も加速した。現中計3年間で簿価2000億円の削減計画を1年半で前倒し達成し、新計画では次期中計を含む5年間で6000億円の削減を単年度1200億円ペースで進める方針を打ち出した。2029年3月末には簿価ベースでSMBC設立当初比93%削減、時価ベースでは純資産対比16%程度まで減少する見込みで、政策保有株式の削減はいよいよ最終段階に入る。太田は2023年11月に急逝し、同年12月に中島達が社長に就任した。太田体制の「脱金融」路線と政策保有株式削減の加速は、それまでの日本のメガバンクの常識を塗り替え、収益構造と資本運営の両面で次期経営陣への土台となった。太田個人のリーダーシップが短期間で同行の方向性を変えた時期でもあった。
- 有価証券報告書
- 決算説明会 FY2023
- 決算説明会 FY2024-2Q
- 決算説明会 FY2024
- Sustainable Brands Japan 2020/9/10
- 読売新聞 2026/3/30
中島達が掲げた国内トップとグローバルピア挑戦
中島体制下で業績は過去最高を更新した。2024年3月期は経常利益1兆4661億円・純利益9629億円、2025年3月期は経常利益1兆7195億円・純利益1兆1780億円と、マイナス金利解除後の金利上昇局面で国内ビジネスが収益拡大を牽引した。2024年11月には24年度ボトムライン目標を1兆1600億円に引き上げ、通期政策保有株式売却益4000億円超、自己株取得通期2500億円という過去最大の株主還元を打ち出した。国内ビジネスの収益力が、金利正常化と政策株削減の合わせ技で高まった時期にあたる。2025年5月には2028年度ROE10%、2030年頃にはROE11%・ボトムライン利益2兆円を長期目標として公表し、グローバルピアに伍する水準を掲げた。長期目標の公表は、グローバル水準の収益性を狙う新たな指針となった。
成長投資と事業ポートフォリオ入替も進んだ。2025年にはインドYES Bankへの出資(PBR1.4倍)、米航空機リース大手Air Lease Corporationの買収(住友商事・投資家との共同出資スキームで1年で資本回収可能な設計)を発表した。一方で低採算アセットの売却、欧州プロジェクトファイナンスや米国貨車リース事業の売却も進めた。成長投資とポートフォリオ入替を同時に走らせる運営は、太田時代の脱金融路線を中島が継承・加速する構図として定着しつつある。中島は「いよいよ国内ビジネスでのトップと、世界で存在感を有するプレーヤーを本気で目指せるところにきた」(読売新聞 2026/3/30)と述べ、「グローバルなプレゼンスを持つ金融グループを目指す以上はROE11%では物足りず、欧米行が開示するROTEで10%台半ばまで引き上げなければグローバルピアに伍するとは言えない」(決算説明会 FY2024)と長期目線を引き上げた。
- 有価証券報告書
- 決算説明会 FY2023
- 決算説明会 FY2024-2Q
- 決算説明会 FY2024
- Sustainable Brands Japan 2020/9/10
- 読売新聞 2026/3/30