ZOZO ZOZOTOWNへ一本化 セレクトショップ17店舗の統合と、受託販売モールへの転換

更新:

時期 2004年12月
当時の社長 前澤友作
論点 単一ドメインへの事業集約
何をなぜ決めたか
概要

2004年12月、輸入CD・レコードの通信販売から出発したスタートトゥデイが、前澤友作社長の主導で、それまでブランドのジャンルごとに分けて運営していたセレクトショップ17店舗を統合し、単一のショッピングサイト「ZOZOTOWN」の運営を開始した。同じ月に、iモード・EZweb・Vodafone(現SoftBank)の公式サイトにも登録している。既存の売り場をいったん畳んで一つのモールへ集約する、事業モデルそのものの転換であった。

背景

2000年10月、アパレル商材を中心としたEC事業のさきがけとしてセレクトショップ「EPROZE」を開設してファッション領域へ参入し、複数ブランドから仕入れて自社在庫を持つ買取型で売り場を増やしていった。2004年には取扱いが250ブランド・17店舗へ広がる。しかしサイトがショップごとに分かれて集客と世界観の統一に課題があり、在庫を自社で抱える買取型は成長に伴う在庫リスクも重くなっていた。売上高は2004年3月期で1,244百万円、経常利益は18百万円にとどまる。

内容

17店舗をZOZOTOWNへ統合し、出店者に自由なページ作成を許す楽天市場型ではなく、出店審査と見せ方の編集権を運営側が握る設計を採った。売り方は二つに分かれる。自ら仕入れて在庫を持つストア企画開発事業(自社販売)は「EPROZE」「QUNIEE」としてモール内に残した。

新たに加えたストア運営管理事業(受託販売)では、テナント形式で出店を誘致し、掲載商品を受託在庫として預かるため、運営側は在庫リスクを負担しない。マーチャンダイジングはテナント側が担い、運営側は販売された商品の手数料を受託販売手数料として売上高に計上する。商品撮影と採寸は自社で行い、情報をデータベース化した。

含意

受託販売では、モールを通った商品の代金がそのまま売上高に立たない。2008年3月期のストア運営管理事業は、商品取扱高11,323百万円に対して売上高は手数料の2,685百万円で、流通総額と会計上の売上高が分離した。この構造のまま商品取扱高は2010年3月期に37,054百万円へ拡大し、総会員数は2004年3月末の72,671人から2010年3月末の2,028,707人になる。既存売上の毀損を賭けた集約が、2005年のユナイテッドアローズ出店と2006年のZOZOBASE開設へ連なる土台となった。

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筆者の見解
筆者の見解

既存の売り場を畳んで得たもの

この判断の核心は、財務の危機に迫られた再建ではなく、まだ伸びていた買取型の売り場を自らの手でいったん畳み、一つの受託販売モールへ集約した点にある。稼働していた17店舗を廃してZOZOTOWNへ統合することは、既存売上の一時的な毀損という危険を引き受ける選択であった。前澤友作社長は、目先の売上よりも、出店審査と見せ方の編集権を運営側が握るファッション特化型モールという事業の骨格を優先したとみられる。在庫を抱えて磨いた目利きを、受託販売モールの審査と世界観づくりへ移し替えた連続性に、この転換の特徴がうかがえる。

もっとも、集約それ自体が売上を生んだわけではない。受託販売では商品取扱高がそのまま売上高に立たず、2008年3月期の受託分は取扱高11,323百万円に対して売上高は手数料の2,685百万円にとどまる。会計上の売上が細るこの形を選べたのは、在庫リスクを負わない代わりに撮影・採寸から受注・発送までを握り、出店ブランドが自前では持てない売り場をつくる勝算があったからだろう。楽天市場が出店者にページと運営を委ねて規模を追ったのに対し、スタートトゥデイは編集と物流を自ら握る道を選んだ。後発が模倣しにくいプラットフォームの原型を早い時期に描いた選択であったといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

業績の推移
集約の条件

集約の条件

科目 概要 備考
集約の時期 2004年12月 セレクトショップ17店舗を統合し、ショッピングサイト「ZOZOTOWN」の運営を開始した
畳んだ売り場 セレクトショップ17店舗 2000年10月にEC事業のさきがけとして開設した「EPROZE」を含む
集約先 ショッピングサイト「ZOZOTOWN」 開設と同月にiモード・EZweb・Vodafone(現SoftBank)公式サイトへ登録した
残した売り方 ストア企画開発事業(自社販売) 複数ブランドから仕入れて自社在庫を持つ。「EPROZE」「QUNIEE」はモール内に存続
加えた売り方 ストア運営管理事業(受託販売) テナント形式で出店を誘致し掲載商品を受託在庫として預かる。在庫リスクは負担しない
受託販売の収益 受託販売手数料 販売された商品の手数料を売上高に計上する。商品取扱高そのものは売上高に立たない
出店時の収益 初期出店料 新たなテナントが出店する際に、テナント側から初期費用として受領する
品揃えの決定権 テナント側が実施 商品管理システムをテナントに開放し、販売商品の選択・登録はテナントが行う
運営側が担う機能 商品撮影・採寸と受注・発送 撮影・採寸で商品情報をデータベース化し、商品管理と発送は自社の物流センターが担う
取扱高と売上高 17,095百万円と8,584百万円 2008年3月期。受託販売分は取扱高11,323百万円に対し売上高2,685百万円

出所:スタートトゥデイ 有価証券報告書 第10期(2008年3月期)【沿革】【事業の内容】【生産、受注及び販売の状況】

売上高と利益の推移

ZOZO:売上高と利益の推移

(千円) 売上高経常利益当期純利益 備考
2004年3月期 1,244,29918,6448,591 第6期。買取型のセレクトショップを複数運営していた最後の通期
2005年3月期 1,825,85496,31053,154 第7期。2004年12月にZOZOTOWNの運営を開始した期
2006年3月期 3,388,551127,62566,740
2007年3月期 6,068,444814,434461,399
2008年3月期 8,584,5651,724,9841,039,434
2009年3月期 10,696,5562,211,3681,264,813 第11期から連結財務諸表を作成。表は提出会社の経営指標等で統一した
2010年3月期 17,159,6583,242,8011,856,329
売上高と経常利益率
売上高(千円)経常利益率(%)

出所:スタートトゥデイ 有価証券報告書 第10期(2008年3月期)・第12期(2010年3月期)【主要な経営指標等の推移】

商品取扱高と受託販売手数料の推移

ZOZO:商品取扱高と受託販売手数料の推移

(百万円) 商品取扱高うち受託販売受託販売手数料 備考
2007年3月期 −−1,486 事業部門別売上高の受託販売手数料。商品取扱高はこの期まで開示がない
2008年3月期 17,09511,3232,685
2009年3月期 21,89614,9503,540
2010年3月期 37,05426,6536,486
商品取扱高の内訳と受託販売の手数料率
うち受託販売(百万円)自社販売分(百万円)受託販売手数料率(%)

出所:スタートトゥデイ 有価証券報告書 第10期(2008年3月期)〜第12期(2010年3月期)【生産、受注及び販売の状況】【業績等の概要】

総会員数の推移

ZOZO:総会員数の推移

(人) 総会員数 備考
2004年3月期 72,671 各期末時点の会員数
2005年3月期 119,452
2006年3月期 246,601
2007年3月期 479,397
2008年3月期 818,448
2009年3月期 1,265,478
2010年3月期 2,028,707
総会員数
総会員数(人)

出所:スタートトゥデイ 有価証券報告書 第10期(2008年3月期)・第12期(2010年3月期)【事業の内容】

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参考文献
出典・参考

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