この子会社化で新たな現金がほとんど動いていない点に、案件の性格が表れているとみられる。取得原価475億17百万円の中身は、企業結合の直前に所有していた普通株式と優先株式の時価であり、過半を取るために払った買収代金ではない。持分法で積み上げてきた投資の含みが、段階取得に係る差益85億98百万円として一度に表へ出ただけである。2015年の業務提携から4年、優先株式の転換請求権が行使可能になる日を待って議決権の過半へ踏み出した形で、交渉の相手も価格も当初から手の内にあったことになる。
もっとも、連結で何が変わったのかは慎重に読む必要がある。通期換算した売上高1,896億74百万円は当時の連結売上高の1割に達する規模だが、建築・土木事業のセグメント利益率は5%前後で、住宅事業の水準には遠い。数字の上では、規模を足す一方で採算が薄まる取り込みである。それでも請負型ビジネスへ協業を広げる狙いを掲げた以上、問われるのは利益率ではなく受注の入口が増加したかどうかなのだろう。2020年10月に持株会社を合併で外したのは、その距離を詰める手当てだったと読める。