NDS等3社を子会社化(2018年・コムシスHDの決断)

更新:
論点 3社を子会社化し全国体制を確立するか
コムシスHD:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
株式交換による3社同時の完全子会社化と全国体制の確立

何をなぜ決めたか:株式交換による3社同時の完全子会社化と全国体制の確立

概要

2018年10月1日、コムシスホールディングスは株式交換によりNDS・SYSKEN・北陸電話工事の上場3社を同時に完全子会社化した。名古屋市中区・熊本市中央区・石川県金沢市に本社を置く通信工事会社が一度にグループへ入った。

背景

有価証券報告書は当時の経営環境について、通信事業者の投資構造がインフラ整備からコンテンツ等のサービスへ転換したことで設備投資の減少が見込まれる、と記していた。同社は成長戦略「コムシスビジョン2020」の実現へ向けて構造改革と民需系事業の拡大、M&A等によるトップライン拡大に努め、目標を2018年度に早期達成している。

内容

現金を使わず、企業結合日に交付した自社株の時価55,554百万円を取得原価とした。連結の株主資本は54,815百万円増え、内訳は資本剰余金30,313百万円と自己株式24,501百万円で、資本金は動いていない。連結従業員は前期末比5,119名増の16,700名となり、NDS3,066名・SYSKEN981名・北陸電話工事717名が加わった。

含意

連結売上高はFY17の3,800億円からFY18の4,817億円へ、営業利益は303億円から353億円へ増えた。企業結合時の時価純資産が取得原価を上回ったため、負ののれん発生益5,159百万円が特別利益に立った。

いつ何が起きたか 9件
当時の取締役 16名

当時の取締役(2017年6月株主総会決議)

  • 小川亮夫:取締役
  • 伊東則昭:取締役
  • 西山剛:取締役(監査等委員)
  • 熊谷仁:取締役
  • 坂本繁実:取締役
  • 加賀谷卓:社長
  • 佐藤謙一:取締役
  • 尾﨑秀彦:取締役
  • 成宮憲一:取締役(監査等委員)
  • 大村佳久:取締役
  • 宮下正彦:取締役(監査等委員)
  • 青山明彦:取締役
  • 須田憲雄:取締役
  • 上脇晃一郎:取締役(監査等委員)
  • 三枝隆治:取締役(監査等委員)
  • 小野原一賀:取締役(監査等委員)
考察:名前を消さなかった統合
考察

考察:名前を消さなかった統合

この統合で現金は動いていない。取得原価55,554百万円は全額が、企業結合日に交付した自社株の時価であった。連結の株主資本は54,815百万円増えたが、その内訳は資本剰余金30,313百万円と自己株式24,501百万円で、資本金10,000百万円は1円も動いていない。すでに買い戻して手元に持っていた株を対価に充て、足りない分を資本剰余金で処理した形になる。そのうえ企業結合時の時価純資産が取得原価を上回り、負ののれん発生益5,159百万円が特別利益に立った。前年のカンドーでは逆にのれん5,966百万円が立って7年償却に入っている。同じ株式交換でも、相手の株価と帳簿の純資産の関係次第で、買い手の損益計算書に出てくる符号は反対になる。

実行の側で目を引くのは、統合後の形であった。3社はそれぞれNDSグループ・SYSKENグループ・北陸電話工事グループとして報告セグメントに新設され、8つのセグメントのうち3つを占めた。連結従業員は1年で5,119名増えて16,700名となり、2019年3月期に6か月ぶんだった3社の売上高は、通期化した2020年3月期にNDS835億円・SYSKEN318億円・北陸電話工事136億円へ伸びている。合併して1社に集約する道は選ばれず、統括事業会社を並べる持株会社の構えがそのまま拡張された。地域ごとの発注関係と施工体制を抱えたまま傘下に置くことが、この統合の設計であったといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る 3表

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図と表

コムシスHD:取得3社のセグメント売上高の推移

NDSグループ(百万円)
コムシスHD:取得3社のセグメント売上高の推移
(百万円) NDSグループSYSKENグループ北陸電話工事グループ 備考
2019年3月期 43,53616,7237,076 連結は10月から。売上高は6か月分で、3グループを第3四半期から新設した
2020年3月期 83,52231,83213,633 通期で連結した最初の期
2021年3月期 79,21333,47316,186
2022年3月期 77,76332,48116,909
2023年3月期 78,44929,78916,124
2024年3月期 83,79931,47716,412
出所:コムシスホールディングス 有価証券報告書 第16期〜第21期(セグメント情報等)
出所:コムシスホールディングス 有価証券報告書 第16期〜第21期(セグメント情報等)

コムシスHD:連結売上高と営業利益の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)
コムシスHD:連結売上高と営業利益の推移
(百万円) 売上高営業利益 備考
2014年3月期 331,34127,570
2015年3月期 328,63127,674
2016年3月期 320,65423,849
2017年3月期 334,16325,036
2018年3月期 380,02430,347 2017年7月のカンドー完全子会社化を通期でなく9か月分含む
2019年3月期 481,78335,267 3社の売上を10月から6か月分含む。負ののれん発生益5,159は特別利益
2020年3月期 560,88238,953 3社を通期で連結した最初の期
2021年3月期 563,25241,572
2022年3月期 589,02842,963
2023年3月期 563,29532,104
2024年3月期 571,18639,221
出所:コムシスホールディングス 有価証券報告書 第15期〜第21期(主要な経営指標等の推移、連結損益計算書)
出所:コムシスホールディングス 有価証券報告書 第15期〜第21期(主要な経営指標等の推移、連結損益計算書)

統合の条件

統合の条件
科目 概要 備考
企業結合の法的形式 株式交換 3社ともコムシスホールディングスを株式交換完全親会社とする。現金対価はない
取締役会決議と契約締結 2018年5月8日 3件の株式交換を各々決議し、同日付で各々株式交換契約を締結した
企業結合日 2018年10月1日 3社とも同日。3社はその直前の2018年9月26日に上場廃止となった
取得した議決権比率 100% 3社とも。取得企業と決めた根拠は当社が株式交換で議決権100%を取得したこと
取得原価 55,554百万円 企業結合日に交付した当社普通株式の時価。3社合計で、社別の内訳は開示がない
株式交換比率(NDS) NDS1株に当社2.07株 交付株式数12,352,269株。2018年3月期のグループ売上高は78,013百万円
株式交換比率(SYSKEN) SYSKEN1株に当社1.04株 交付株式数2,637,277株。2018年3月期のグループ売上高は28,088百万円
株式交換比率(北陸電話工事) 北陸電話工事1株に当社0.178株 交付株式数1,519,943株。2018年3月期のグループ売上高は13,447百万円
交換比率の算定方法 第三者算定機関の算定を参考 各社が依頼した独立の機関の算定とデュー・ディリジェンスの結果を踏まえ個別に協議
主要な取得関連費用 423百万円 アドバイザリー費用等。3社分の合計として記載されている
負ののれん発生益 5,159百万円 企業結合時の時価純資産が取得原価を上回った差額。2019年3月期の特別利益
受け入れた資産(NDS) 70,617百万円 流動資産35,820、固定資産34,796。引き受けた負債合計は25,709
受け入れた資産(SYSKEN) 21,268百万円 流動資産11,012、固定資産10,256。引き受けた負債合計は10,104
受け入れた資産(北陸電話工事) 9,912百万円 流動資産5,511、固定資産4,400。引き受けた負債合計は4,254
連結株主資本の増加 54,815百万円 資本剰余金30,313と自己株式24,501の増加による。資本金10,000百万円は不変
業績に含めた期間 2018年10月1日から 2019年3月31日までの6か月。3社とも同じ期間を連結損益計算書に含める
出所:コムシスホールディングス 有価証券報告書 第16期(2019年3月期)【企業結合等関係】【連結株主資本等変動計算書】・第15期(2018年3月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】
出所:コムシスホールディングス 有価証券報告書 第16期(2019年3月期)【企業結合等関係】【連結株主資本等変動計算書】・第15期(2018年3月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】
当時の取締役 16名

当時の取締役(2017年6月株主総会決議)

  • 小川亮夫:取締役
  • 伊東則昭:取締役
  • 西山剛:取締役(監査等委員)
  • 熊谷仁:取締役
  • 坂本繁実:取締役
  • 加賀谷卓:社長
  • 佐藤謙一:取締役
  • 尾﨑秀彦:取締役
  • 成宮憲一:取締役(監査等委員)
  • 大村佳久:取締役
  • 宮下正彦:取締役(監査等委員)
  • 青山明彦:取締役
  • 須田憲雄:取締役
  • 上脇晃一郎:取締役(監査等委員)
  • 三枝隆治:取締役(監査等委員)
  • 小野原一賀:取締役(監査等委員)
参考文献

参考文献

参考
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書(2018年3月期・連結)
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書(2019年3月期・連結)
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書(2020年3月期・連結)
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書(2024年3月期・連結)
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書「第16期(2019年3月期)【企業結合等関係】」
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書「第16期(2019年3月期)【連結株主資本等変動計算書】【従業員の状況】【セグメント情報等】」
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書「第15期(2018年3月期)【経営上の重要な契約等】【重要な後発事象】」
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書「第15期(2018年3月期)【企業結合等関係】」
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書「第15期〜第21期(主要な経営指標等の推移、セグメント情報等)」
  • コムシスホールディングス 有価証券報告書「第16期(2019年3月期)【沿革】【関係会社の状況】【対処すべき課題】」

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