三栄建築設計を子会社化(2023年・オープンハウスグループの決断)

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論点 経営不安の同業を完全子会社化するか
オープンハウスグループ:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
公開買付けによる株式取得と、完全子会社としての取り込み

何をなぜ決めたか:公開買付けによる株式取得と、完全子会社としての取り込み

概要

2023年8月、オープンハウスグループは三栄建築設計の全株式を取得して完全子会社とするため、公開買付けを始めた。10月5日に19,735,327株を取得して議決権の93.02%を握り、11月6日に株式売渡請求で残る6.98%を取得した。取得原価は429億63百万円、1株あたりの対価は2,025円である。

背景

三栄建築設計はデザイン性に優れた戸建を供給する首都圏の戸建分譲会社であった。オープンハウスグループが有価証券報告書で挙げた理由は、商品ラインナップの拡充、スケールメリットを生かした各種購買力強化によるコスト競争力の向上、そして同社の金融機関取引の円滑化・安定化である。公開買付けの目的を、同社の再建と両社の企業価値の向上と記している。

内容

企業結合日に受け入れた資産は1,462億71百万円、引き受けた負債は873億88百万円で、時価純資産が取得原価を上回ったことから負ののれん発生益127億66百万円を認識した。取得関連費用は4億90百万円、支払いは全額自己資金による。みなし取得日は2023年9月1日とし、2024年3月1日に商号を株式会社メルディアへ改めた。

含意

供給力に優れる同業を取り込み、オープンハウスグループの販売力と組み合わせる狙いであった。翌2024年9月期の連結売上高は1兆2,959億円へ伸び、メルディアは売上高1,348億11百万円・セグメント利益37億31百万円の独立した報告セグメントとなった。ただし連結営業利益は前期の1,423億円から1,191億円へ減った。

いつ何が起きたか 6件
当時の取締役 9名

当時の取締役(2022年12月株主総会決議)

考察:純資産を下回る価格で引き受けた再建
考察

考察:純資産を下回る価格で引き受けた再建

この買収の性格は、2018年のホーク・ワンとは異なる。あちらはのれん23億円を負って伸びている会社を取り込んだ取引であり、こちらは受け入れた純資産588億83百万円に対して取得原価が429億63百万円にとどまり、差額127億66百万円が負ののれん発生益として立った取引であった。オープンハウスグループが有価証券報告書で挙げた理由には、商品ラインナップの拡充やコスト競争力の向上と並んで、相手の金融機関取引の円滑化・安定化が含まれる。自社の信用を貸すことと引き換えに、時価純資産を下回る価格で株式を得た取引であったと思われる。

引き受けた側にとって、供給力の高い会社をこの機会に取り込めた意味は小さくない。ただし、取引先や金融機関からの信用は資産として買えるものではなく、買った後に作り直すほかない。2024年9月期は連結売上高が1兆2,959億円へ伸びる一方で営業利益が1,191億円へ下がり、メルディアのセグメント利益は売上高1,348億円に対し37億円にとどまった。翌2025年9月期には報告セグメントとしてのメルディアを廃して戸建関連事業などへ配分しており、買った会社を独立した箱として見る段階は1期で終えている。同業をまとめて買う手段を繰り返してきた会社が、買った先を自社の売り方に馴染ませられたかどうかは、戸建関連事業の利益率が10.7%から7.8%へ落ち、翌期に10.4%へ戻した軌跡に表れている。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る 3表

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図と表

オープンハウスグループ:戸建関連事業セグメントの推移

売上高(百万円)セグメント利益率(%)
オープンハウスグループ:戸建関連事業セグメントの推移
(百万円) 売上高セグメント利益 備考
2019年9月期 340,52832,620
2020年9月期 379,65640,677
2021年9月期 446,95962,294
2022年9月期 516,55463,014
2023年9月期 590,34263,178 みなし取得日は2023年9月1日だが、この期の損益に三栄建築設計は含まれない
2024年9月期 652,75550,777 第29期の組替後。提出時は589,053/49,668でメルディアが別セグメント
2025年9月期 671,33969,507 メルディアを廃止し戸建関連事業など4区分へ配分した後の数値
出所:オープンハウスグループ 有価証券報告書 第23期〜第29期(セグメント情報、外部顧客への売上高およびセグメント利益)
出所:オープンハウスグループ 有価証券報告書 第23期〜第29期(セグメント情報、外部顧客への売上高およびセグメント利益)

オープンハウスグループ:連結の売上高・営業利益・総資産の推移

売上高(百万円)営業利益率(%)
オープンハウスグループ:連結の売上高・営業利益・総資産の推移
(百万円) 売上高営業利益総資産 備考
2019年9月期 540,37657,781445,904 第24期有報の前期欄。提出時の営業利益は57,779であった
2020年9月期 575,95162,129569,038
2021年9月期 810,540101,103879,913
2022年9月期 952,686119,3581,031,174
2023年9月期 1,148,484142,3301,198,668 初めて連結売上高が1兆円を超えた期。取得原価42,963は自己資金で賄った
2024年9月期 1,295,862119,0881,282,090 メルディアは売上高134,811・セグメント利益3,731の独立した報告セグメント
2025年9月期 1,336,468145,9331,412,001
出所:オープンハウスグループ 有価証券報告書 第23期〜第29期(連結損益計算書、連結貸借対照表)
出所:オープンハウスグループ 有価証券報告書 第23期〜第29期(連結損益計算書、連結貸借対照表)

買収の条件

買収の条件
科目 概要 備考
被取得企業 株式会社三栄建築設計 事業の内容は戸建分譲事業、注文住宅及び請負事業 等
企業結合を行った主な理由 デザイン性に優れた戸建による商品ラインナップの拡充 購買力強化によるコスト競争力の向上と、金融機関取引の円滑化・安定化
企業結合日(支配権獲得時) 2023年10月5日 みなし取得日は2023年9月1日。公開買付けによる取得
企業結合日(追加取得時) 2023年11月6日 みなし取得日は2023年11月30日。株式売渡請求による取得
企業結合の法的形式 現金を対価とした株式取得 取得企業を決定した根拠も、現金を対価に議決権の93.02%を取得したこと
取得した議決権比率 93.02% 売渡請求で6.98%を追加取得し、追加取得後の議決権比率は100%
公開買付けで取得した株式数 19,735,327株 対価39,964百万円を株式数で割った1株あたりの金額は2,025円
売渡請求で追加取得した株式数 1,481,382株 第27期有報では1,481,534株としており、第28期で152株減っている
取得の対価(支配権獲得時) 39,964百万円 現金及び預金
取得の対価(追加取得時) 2,999百万円 現金及び預金
取得原価 42,963百万円 第27期有報では取得価額の総額を42,964百万円としていた
主要な取得関連費用 490百万円 アドバイザリー費用等。決議期の有報では未確定としていた
支払資金の調達 全額、自己資金 第27期有報の記載。借入による調達は挙げていない
受け入れた資産合計 146,271百万円 流動資産131,364百万円、固定資産14,907百万円
引き受けた負債合計 87,388百万円 流動負債53,711百万円、固定負債33,676百万円
負ののれん発生益 12,766百万円 企業結合時の時価純資産が取得原価を上回ったため差額を認識した
実施する会計処理 一連の株式取得を一体の取引として取扱う 支配獲得後に追加取得した持分も支配獲得時にのれんが計上されたものとする
連結に含めた業績の期間 2023年9月1日から2024年8月31日 期首をみなし取得日としたため、通期換算の影響額は該当なしとしている
結合後企業の名称 株式会社メルディア 2024年3月1日に商号変更
公開買付価格と買付期間 記載なし 第27期・第28期の【経営上の重要な契約等】はいずれも該当事項なしとする
出所:オープンハウスグループ 有価証券報告書 第27期(2023年9月期)【重要な後発事象】・第28期(2024年9月期)【企業結合等関係】
出所:オープンハウスグループ 有価証券報告書 第27期(2023年9月期)【重要な後発事象】・第28期(2024年9月期)【企業結合等関係】
当時の取締役 9名

当時の取締役(2022年12月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考
  • オープンハウスグループ 有価証券報告書(2023年9月期・連結)【重要な後発事象】
  • オープンハウスグループ 有価証券報告書(2024年9月期・連結)【企業結合等関係】【事業の内容】
  • オープンハウスグループ 有価証券報告書(2025年9月期・連結)【事業の内容】【セグメント情報】
  • オープンハウスグループ 有価証券報告書「有価証券報告書 第27期(2023年9月期)」
  • オープンハウスグループ 有価証券報告書「有価証券報告書 第28期(2024年9月期)」
  • オープンハウスグループ 有価証券報告書「有価証券報告書 第29期(2025年9月期)」

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