ルートKDDの国内延伸(1997年・KDDの決断)

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KDD:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
企業向け国内電話への参入と、列島周回海底ケーブルの敷設1997年6月に国際電信電話株式会社法が改正され、KDDが同年7月に国内の電気通信サービスを始めた経営判断。まず法人向けの国内専用線サービスから入り、個人向けの国内電話は1998年7月に"通話料6秒1円"の料金で始めた。国際通信の顧客と海底ケーブルの技術を、そのまま国内へ持ち込む参入であった。

何をなぜ決めたか:企業向け国内電話への参入と、列島周回海底ケーブルの敷設

概要

1997年6月に国際電信電話株式会社法が改正され、KDDが同年7月に国内の電気通信サービスを始めた経営判断。まず法人向けの国内専用線サービスから入り、個人向けの国内電話は1998年7月に"通話料6秒1円"の料金で始めた。国際通信の顧客と海底ケーブルの技術を、そのまま国内へ持ち込む参入であった。

背景

KDDの営業利益率はここ20年で20%から5%へ下がり、1997年3月期には初めて5%を下回った。同期の営業利益は前期から50.1%減少した。国際電話を米国発にして割安にするコールバックの業者は30社を超え、国際専用線の両端に公衆網をつなぐ国際公専公の解禁も年内に控えていた。同じ法改正で、NTTも子会社を通じて国際通信に出られるようになった。

内容

足場は二つあった。一つは国際回線と顧客企業を専用線で直接結ぶルートKDDで、3000社7600回線がつながっていた。対象地域は秋までに19から35へ広げた。もう一つは列島を環状に囲む海底光ケーブルのJIHで、総延長1万300km・総建設費1300億円の計画であった。

陸揚げした回線は、東京通信ネットワークをはじめ地域系の新電電9社の網で利用者へつなぐ業務提携を締結した。国内の足回りはNTTの回線に依存して接続料を年に約300億円払っており、JIHでこのうち100億円を減らせるとみていた。

含意

西本正社長は参入の前に『国際通信のシェアが奪われるのは避けられないが、新規参入する国内通信と海外事業の増収分で補える』と見通しを語り、ルートKDDの顧客を国内の最初の客に数えていた。JIHは1999年4月に運用を始めた。

ただ、個人向けの秒単位の料金は、短時間のデータ通信でNTTへの接続料が収入を上回る"逆ザヤ"を抱えた。自前の足回りを持たない参入である限り、値下げの余地は接続料に縛られた。

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筆者考察
考察

考察:手持ちの資産を、そのまま国内へ延ばす

3000社7600回線のルートKDDと、海底に線を敷く技術。KDDが国内へ出るときに手にしていたのは、この二つであった。営業網も市内回線もない会社が国内へ参入するには、すでにある資産を延ばすほかなかったのだろう。法人向けを先にして個人向けを1年後に回した順番も、国内の幹線を海に敷いた選び方も、そこから素直に導かれる。西本正社長が国際通信を主力に据えたまま国内を足したのは、国際で付き合いのある企業をそのまま国内の客として数えられるとみていたからと思われる。

もっとも、海に敷いた幹線は家庭や事務所の手前で終わる。足回りはNTTに依存し、接続料は年に約300億円かかっていた。JIHで減らせるとみたのはそのうち100億円にとどまる。秒単位の安い料金で客を集めるほど、短い通話では接続料が収入を上回った。国内の幹線だけでは参入の採算は決まらず、陸上の網と足回りを持つ相手を必要とする構図が、この時点で既に見えていたといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
参考文献

参考文献

参考

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