AZ-COM丸和ホールディングス の歴史

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創業 1973年
創業者 和佐見勝
創業地 埼玉県吉川市
創業
1973年8月、和佐見勝氏が埼玉県北葛飾郡吉川町(現吉川市)に有限会社丸和運輸機関を設立した。一般区域貨物自動車運送を目的とする地場の運送会社で、1978年10月に株式会社へ組織を変更している。転機は1990年で、総合スーパーが店舗網を広げるなかイトーヨーカ堂向けに店舗別配送センターの運営を受注し、貨物を運ぶだけの立場からセンター運営と配送を一体で担う3PLへ移った。外資系が先行していた市場に、地場の運送会社が小売専属に近い位置で参入した形である。2006年にはイトーヨーカ堂のネットスーパー配送を受託し、2014年4月に東京証券取引所市場第二部へ上場、翌2015年4月に市場第一部へ指定された。
決断
小売の店舗へ運ぶ仕組みを、そのまま個人の玄関先へ向け直した。2006年に受託したネットスーパー配送は当時の採算では割に合わなかったが、常温と冷蔵を混載して即日で届けるラストマイルの運用が残った。2017年にヤマト運輸が引き受けを制限すると、その運用を持ってアマゾンジャパンとの配送取引を始め、2018年にNS丸和ロジスティクスを設立して専用拠点を運営し、2019年には専用ドライバー1万人の計画を掲げた。2022年3月にEC倉庫のファイズホールディングスを公開買付で子会社化し、9月に港湾大手の上組と資本業務提携を結び、10月に純粋持株会社へ移行して商号をAZ-COM丸和ホールディングスへ改めた。収益化が難しいとされた店舗発の即日配送を10年続けたことが、宅配大手の引き受けが絞られた2017年に荷物を受け取る条件を作った。
現況
報告セグメントはひとつで、売上の3割は1社の荷物が占める。2026年3月期の連結売上高は2,305億円、営業利益119億円、純利益74億円である。物流事業が売上2,274億円・利益117億円で、中身は小売向けの常温・低温物流、医薬医療物流、ECラストワンマイル配送に分かれる。2025年3月期はアマゾンジャパン向けが売上623億円で、物流事業の外部売上2,055億円の3割にあたった。同じ2025年3月期の連結従業員5,241人に対し臨時雇用者は8,009人で、配送の実務は請負と傭車へ広く外に出ている。2030年度に売上高5,000億円という目標に対し2026年3月期は2,305億円で、達成には規模を倍にする買収が要る。その判断を、創業から52年社長を務め続ける和佐見勝氏が一人で担っている。
競合
低温物流を取り合った相手に、提示できる価格で並べなかった。2024年3月、低温食品物流のC&Fロジホールディングスへ1株3,000円で同意なきTOBを実施した。これに対し佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが91%高い1株5,740円で対抗し、6月に価格を引き上げない方針を表明して不成立に終わった。C&Fは相手方の完全子会社となっている。EC配送では宅配大手が引き受けを絞った荷物を取り込んで伸びたが、その相手が資本を投じる場面では劣位に置かれた。運ぶ量では競えても、買収の価格で競うだけの資金力をまだ持っていない。
AZ-COM丸和ホールディングス:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2012年3月期2026年3月期

創業ストーリー トラック1台から始めた小売特化型3PLへの転身 (1973年〜)

埼玉県吉川町の運送会社が直面した参入障壁

1973年8月、創業者の和佐見勝氏は埼玉県北葛飾郡吉川町[1](現吉川市)に有限会社丸和運輸機関を設立し[2]、一般区域貨物自動車運送事業を事業目的に掲げた。トラック1台で物流業界に飛び込んだという創業時のエピソードは、後年の統合報告書でも繰り返し語られている同社のアイデンティティである。1970年代の貨物自動車運送事業は免許制で、一般区域貨物運送の新規免許取得は地場の運送業者連合の反対調整を経る必要があり、新規参入は容易ではなかった。1978年10月には組織変更して株式会社丸和運輸機関[3]となり、株式会社として事業基盤を整えた。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [1]1973年8月 和佐見勝氏が埼玉県北葛飾郡吉川町に有限会社丸和運輸機関を設立(一般区域貨物自動車運送事業)
    • [3]1978年10月 株式会社丸和運輸機関に組織変更
  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【役員の状況】
    • [2]創業者は和佐見勝(1945年5月23日生)

1980年代の貨物運送業界は規制緩和前夜で、運賃は実勢に近い数字で交渉される一方、特定荷主との結びつきが受注量を左右する構造だった。同社の事業規模は当時のJGAAP連結ベースでは把握できないが、1990年代に入って初めて全国展開の足がかりを得る。1993年7月に昭和通運(現丸和通運)の株式を取得[4]して関東圏内の集荷網を補強し、同年12月に株式会社関西丸和サービス(現関西丸和ロジスティクス)の株式を取得[5]して関西圏への進出を果たした。1997年8月には岩手県紫波郡紫波町に株式会社東北丸和サービス(現東北丸和ロジスティクス)を設立し[6]、東北エリアの拠点も自前で構えた。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [4]1993年7月 昭和通運㈱(現㈱丸和通運)の株式を取得し連結子会社化
    • [5]1993年12月 ㈱関西丸和サービス(現㈱関西丸和ロジスティクス)の株式を取得し連結子会社化
    • [6]1997年8月 岩手県紫波郡紫波町に㈱東北丸和サービス(現㈱東北丸和ロジスティクス)を設立

地域子会社を順次設立・買収するこの拡張パターンを、同社は以後の M&A 戦略でも繰り返した。本社を埼玉県吉川市に置いたまま、関西・東北・九州・北海道の各エリアに地場会社を抱える分散配置型の経営体制が、2000年代の3PL展開を可能にする物理的な拠点網として整備された。1973年の創業から1990年代までの20年余りは、貨物運送会社として地域ごとに法人を立ち上げる『面の確保』の時期にあたる。よって創業時のトラック1台が、20年で全国の主要地域に拠点を持つ運送会社へ拡張する基礎が固まった。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [1]1973年8月 和佐見勝氏が埼玉県北葛飾郡吉川町に有限会社丸和運輸機関を設立(一般区域貨物自動車運送事業)
    • [3]1978年10月 株式会社丸和運輸機関に組織変更
    • [4]1993年7月 昭和通運㈱(現㈱丸和通運)の株式を取得し連結子会社化
    • [5]1993年12月 ㈱関西丸和サービス(現㈱関西丸和ロジスティクス)の株式を取得し連結子会社化
    • [6]1997年8月 岩手県紫波郡紫波町に㈱東北丸和サービス(現㈱東北丸和ロジスティクス)を設立
  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【役員の状況】
    • [2]創業者は和佐見勝(1945年5月23日生)

イトーヨーカ堂取引が変えた請負運送から3PLへの軸

同社の事業構造を決定づけたのは、1990年のイトーヨーカ堂との取引開始だった[7]。イトーヨーカ堂は当時、関東圏で店舗網を急拡大していた総合スーパーで、店舗向け商品配送の頻度と精度が小売業の競争力を直接左右する局面に入っていた。同社はイトーヨーカ堂向けに店舗別配送センター運営を受注し、単純な貨物運送から『センター運営+配送』を一体提供するサードパーティ・ロジスティクス(3PL)の業態に踏み込んだ。1990年代初頭の日本ではまだ3PLという言葉も一般的でなく、外資系大手物流会社が先行する領域だったが、地場運送会社の同社が小売特化型でこの市場に参入した点が独自のポジションを生んだ。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [7]1990年 イトーヨーカ堂との取引を開始(店舗別配送センター運営を受注)

1991年には株式会社ダスキンとの取引が始まり[8]、1995年には株式会社マツモトキヨシ(現マツキヨココカラ&カンパニー)[9]との取引が開始された。ダスキンはレンタル・清掃事業、マツモトキヨシはドラッグストアチェーンで、いずれも小売業に分類される顧客である。同社は1990年代を通じて『小売業の物流インフラ』という顧客セグメントを定義し、特定の小売チェーンに専属する物流子会社のような立ち位置を獲得した。マツモトキヨシ取引が医薬品流通の物流ノウハウの蓄積につながり、後年の医薬・医療3PL事業の業務基盤となった。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [8]1991年 ㈱ダスキンとの取引開始
    • [9]1995年 ㈱マツモトキヨシ(現マツキヨココカラ&カンパニー)との取引開始

1990年代の小売業は POS データに基づく在庫管理と多頻度小口配送が競争力の源泉となり、店舗側は物流コストを下げつつ欠品も回避できる物流パートナーを必要としていた。同社はチェーンごとに専用センターを構え、店別・カテゴリー別の仕分けと配送を一括受託する仕組みを整えた。この受託モデルが2014年の上場時点まで売上高の主柱であり、同社の3PL事業の収益の中核を成した。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [7]1990年 イトーヨーカ堂との取引を開始(店舗別配送センター運営を受注)
    • [8]1991年 ㈱ダスキンとの取引開始
    • [9]1995年 ㈱マツモトキヨシ(現マツキヨココカラ&カンパニー)との取引開始

イトーヨーカ堂ネットスーパーが先導した EC 物流の早期参入

2004年10月、同社は埼玉県吉川市に株式会社アズコムデータセキュリティ(現連結子会社)を設立し[10]、機密文書保管・廃棄を含む情報セキュリティ関連の周辺事業にも進出した。2005年10月には福岡県福岡市東区に株式会社九州丸和[11]ロジスティクス(現連結子会社)を設立し、北海道を除く本州・四国・九州の主要エリアに自前の地域子会社を配置する体制を完成させた。2006年4月には埼玉県吉川市旭7番地1に本社を移転し[12]、関東圏の物流の中心地である吉川エリアに自社施設を集約した。1973年の創業地から33年を経ても本社所在地は埼玉県吉川市から動かなかった。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [10]2004年10月 埼玉県吉川市に㈱アズコムデータセキュリティを設立(文書管理・データ保管事業)
    • [11]2005年10月 福岡県福岡市東区に㈱九州丸和ロジスティクスを設立
    • [12]2006年4月 ㈱丸和運輸機関本社を埼玉県吉川市旭7番地1へ移転

そして2006年、イトーヨーカ堂のネットスーパー配送業務を受託[13]したことが、後の EC 物流専業化への分岐点となった。当時、ネットスーパーは小売業者が試験的に始めた事業領域で、配送効率の低さから収益化が難しい新業態と見られていた。同社はこの低収益とされた領域に経営資源を投入し、店舗からの即日配送と常温・冷蔵の混載というネットスーパー特有の運用ノウハウを早期に蓄積した。2006年の受託は2017年のアマゾンジャパンとの取引、そして2017年から始まる『EC ラストワンマイル当日お届けサービス』[引用元]へと地続きでつながる実践だった。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [13]2006年 イトーヨーカ堂のネットスーパー配送業務を受託

2008年3月には株式会社ジャパンクイックサービス(現連結子会社)、株式会社ジャパンタローズ(現非連結子会社)、株式会社アズコムビジネスサポート(現非連結子会社)、株式会社北海道丸和ロジスティクス(現連結子会社)の4社を株式交換または株式取得で連結子会社化し[14]、北海道を含む全国カバレッジを完成させた。同社の連続 M&A 戦略は2008年に最初のピークを迎え、地域子会社の取り込みと本社直営事業の補完を並行して進める運営パターンが定着した。1990年のイトーヨーカ堂取引から始[15]まった小売特化型3PLは、15年で全国施工体制を備えた専門物流会社へと変貌した。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [14]2008年3月 ㈱ジャパンクイックサービス・㈱ジャパンタローズ・㈱アズコムビジネスサポート・㈱北海道丸和ロジスティクスの4社を株式交換/株式取得で連結子会社化
  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [15]1990年のイトーヨーカ堂取引から15年で全国体制を備えた専門物流会社へ
  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [10]2004年10月 埼玉県吉川市に㈱アズコムデータセキュリティを設立(文書管理・データ保管事業)
    • [11]2005年10月 福岡県福岡市東区に㈱九州丸和ロジスティクスを設立
    • [12]2006年4月 ㈱丸和運輸機関本社を埼玉県吉川市旭7番地1へ移転
    • [14]2008年3月 ㈱ジャパンクイックサービス・㈱ジャパンタローズ・㈱アズコムビジネスサポート・㈱北海道丸和ロジスティクスの4社を株式交換/株式取得で連結子会社化
  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [13]2006年 イトーヨーカ堂のネットスーパー配送業務を受託
    • [15]1990年のイトーヨーカ堂取引から15年で全国体制を備えた専門物流会社へ

2014年東証二部上場と低温食品3PLの立ち上げ

2010年8月に株式会社丸和通運の全株式を取得して完全子会社化し[16]、関東圏の集荷・配送機能を内製化した。これを足がかりに、同社は2013年に低温食品物流事業を[17]専門セグメントとして立ち上げた。低温食品物流は冷蔵・冷凍温度帯の管理を要する食品流通の特殊領域で、生鮮品・乳製品・冷凍食品それぞれに別の温度帯設備と専用車両が必要となる。同社は小売チェーン向けの常温食品配送で培ったセンター運営ノウハウを低温帯に転用し、生鮮スーパー向けの低温3PL事業を新たな成長軸として走らせた。さらに2014年以降の生鮮 EC・ネットスーパー向け配送の需要拡大も、この低温物流の運用基盤が支えた。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [16]2010年8月 ㈱丸和通運の全株式を取得し完全子会社化
  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [17]2013年 低温食品物流事業を立ち上げ

2014年4月、東京証券取引所市場第二部に上場し[18]、創業から41年で資本市場での資金調達手段を得た。同年3月期(FY13)の連結売上高は515億円、経常利益28億円、親会社株主に帰属する当期純利益16億円という規模だった。上場直後の FY14(2015年3月期)には売上高540億円、営業利益29億円、有利子負債58億円、自己資本139億円という財務状態で、上場による調達資金は地域子会社の物流センター新設と冷蔵設備投資に投入された。2015年4月には東京証券取引所市場第一部銘柄に指定され[19]、創業以来の地場運送会社が約2年で本則市場への上場昇格を果たした。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [18]2014年4月 東京証券取引所市場第二部に上場
    • [19]2015年4月 東京証券取引所市場第一部銘柄に指定

2014年から2018年までの4年間で、連結売上高は515億円から744億円へ1.4倍に拡大し、営業利益率は5〜6%台で推移した。物流事業セグメントだけで売上の98%超を占める単一セグメント構造で、規模の拡大と新領域への投資が並行した。FY16(2017年3月期)には連結売上高672億円、営業利益44億円を計上し、有利子負債は50億円台まで圧縮された。よって上場直後の連続増収と財務体質の改善が同時に進み、その後の M&A による新事業領域取り込みを実行する原資が整った。上場から4年で財務基盤の入れ替えと事業構成の拡張が並行する局面に至る。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [16]2010年8月 ㈱丸和通運の全株式を取得し完全子会社化
    • [18]2014年4月 東京証券取引所市場第二部に上場
    • [19]2015年4月 東京証券取引所市場第一部銘柄に指定
  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [17]2013年 低温食品物流事業を立ち上げ

Amazon取引とECラストワンマイル当日配送の構築

2017年、同社はアマゾンジャパン合同会社との取引を開始[20]し、EC 物流の主役プレイヤーへと業態を転換させる起点を得た。アマゾンの取引基準は厳しく、配送遅延率・破損率・顧客満足度の数値目標が契約条件に組み込まれる業界として知られる。同社は2006年のイトーヨーカ堂ネットスーパー受託で蓄積したラストマイル運用の実績を提案資料に持ち込み、首都圏での当日配送センターの運営を受託した。同年には『EC ラストワンマイル当日お届けサービス』[引用元]を商品化し[21]、EC 事業者向けの当日配送プラットフォームを自社サービスとして外販する体制も整えた。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [20]2017年 アマゾンジャパン合同会社との取引を開始
    • [21]2017年「EC ラストワンマイル当日お届けサービス」を商品化

2018年3月には株式会社国際トランスサービス及び関東運送株式会社から『商品個配事業』を事業譲受で取得し[22]、首都圏のラストワンマイル配送網を拡張した。同年5月には東京都荒川区に株式会社NS丸和ロジスティクス[23](現連結子会社)を設立し、アマゾン向け配送拠点を専門に運営する子会社を立ち上げた。EC 物流の特徴は需要変動が激しく、ピーク期には平常時の数倍の配送量を捌く必要がある点にある。同社はパート・アルバイトを2018年時点で4,028名雇用する配送オペレーションと、固定的な地域子会社で運営する小売向け3PL を組み合わせ、需要変動への対応力を強化した。

  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [22]2018年3月 ㈱国際トランスサービス及び関東運送㈱から商品個配事業を事業譲受で取得
    • [23]2018年5月 東京都荒川区に㈱NS丸和ロジスティクスを設立

FY17(2018年3月期)の連結売上高は744億円、営業利益45億円で、低温食品物流事業と EC ラストワンマイル事業の両輪が回り始めた。連結従業員数は2,740名、臨時雇用者数は4,028名で、後者が前者を上回るパート依存型の労働力構成が浮かんだ。FY18(2019年3月期)には売上高856億円、営業利益58億円と前期比15%・29%の伸びを記録し、上場時点では想定されていなかった EC 物流の急成長が業績を押し上げた。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [20]2017年 アマゾンジャパン合同会社との取引を開始
    • [21]2017年「EC ラストワンマイル当日お届けサービス」を商品化
  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
    • [22]2018年3月 ㈱国際トランスサービス及び関東運送㈱から商品個配事業を事業譲受で取得
    • [23]2018年5月 東京都荒川区に㈱NS丸和ロジスティクスを設立

BCP事業の立ち上げと AZ-COM ネットワーク

2015年4月、同社は一般社団法人『AZ-COM 丸和・支援ネットワーク』[引用元](AZ-COM ネット)を組織し[24]、中小運送会社との相互支援体制の整備に着手した。トラックドライバー不足が業界全体の構造課題となるなかで、特定の繁忙期や災害時に協力会社のトラック・人員を動員できる仕組みを自社グループの外側に整備する狙いだった。2022年8月時点で AZ-COM ネット会員数[25]は1,771社に達し、同社グループの実質的な配送能力を会員企業のリソースで増幅する仕組みが整った。会員企業向けには共同購買・教育・経営相談などの相互支援メニューも組み込み、運送業界の弱小事業者の経営を支える緩やかな連合体としても運営された。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [24]2015年4月 一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワーク(AZ-COMネット)を組織
    • [25]2022年8月時点 AZ-COMネット会員数1,771社

2019年には株式会社セブン-イレブン・ジャパン及びコカ・コーラボトラーズジャパン[26]株式会社と『大規模災害時における支援活動に関する協定』[引用元]を締結し、BCP(事業継続計画)物流事業を新たな事業の柱に据えた。BCP 物流は地震・台風などの災害時に、自治体や大手小売・飲料会社の物資輸送を担う仕組みで、平時の収益事業というよりも社会インフラに近い役割を担う。同社はこの社会貢献的事業を『事業化型 BCP』として収益化する独自路線を選び、2022年8月までに10都道府県と23市町村との協定締結[27]を進めた。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [26]2019年 ㈱セブン-イレブン・ジャパン及びコカ・コーラボトラーズジャパン㈱と大規模災害時の支援活動協定を締結(コカ・コーラとは2019年12月締結)
    • [27]2022年8月までにBCP協定を10都道府県・23市町村と締結

物流業界の人手不足とドライバーの労働時間規制(2024年問題)が顕在化する2010年代後半、同社は自社雇用の正社員と協力会社、AZ-COM ネット会員、BCP 協定先という4層の労働力配置を組み上げた。よって2015年から始まったネットワーク整備は、2017年以降の EC 物流急成長の運用基盤を支えた。FY18(2019年3月期)には連結従業員数2,843名に対して臨時雇用者数が4,121名と1.5倍に達し、4層構造の最外周層の規模が EC 取扱量を直接規定する関係が定着した。

  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
    • [24]2015年4月 一般社団法人AZ-COM丸和・支援ネットワーク(AZ-COMネット)を組織
    • [25]2022年8月時点 AZ-COMネット会員数1,771社
    • [26]2019年 ㈱セブン-イレブン・ジャパン及びコカ・コーラボトラーズジャパン㈱と大規模災害時の支援活動協定を締結(コカ・コーラとは2019年12月締結)
    • [27]2022年8月までにBCP協定を10都道府県・23市町村と締結

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AZ-COM丸和ホールディングスの沿革1973〜2025年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1973〜2005年トラック1台から始めた小売特化型3PLへの転身丸和運輸機関を設立
和佐見勝丸和運輸機関に組織変更
和佐見勝昭和通運を子会社化
和佐見勝関西丸和サービスを子会社化
和佐見勝東北丸和サービスを設立
和佐見勝アズコムデータセキュリティを設立
2006〜2018年東証一部上場と低温食品・EC ラストワンマイル物流の二輪体制和佐見勝ジャパンクイックサービスの全株式を株式交換にて取得し完全子会社化
和佐見勝ジャパンタローズの全株式を株式交換にて取得し完全子会社化
和佐見勝アズコムビジネスサポートの株式を株式交換にて取得し完全子会社化
和佐見勝北海道丸和ロジスティクスを完全子会社化
和佐見勝丸和通運を完全子会社化
和佐見勝東京証券取引所市場第二部に上場
和佐見勝アマゾンジャパンとの取引開始と専用ドライバー1万人体制への経営資源集中

2017年、丸和運輸機関はアマゾンジャパンとの配送取引を開始し、東京23区を中心に配送車1万台体制の確立を目指す方針を打ち出した。2006年のイトーヨーカ堂ネットスーパー配送受託で培ったラストマイル運用のノウハウを軸に、EC物流専業化へ経営資源を集中させた判断である。

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★★★
和佐見勝配送車1万台体制の確立方針を発表★★
和佐見勝国際トランスサービス・関東運送から商品個配事業を事業譲受けにより取得★★
2019〜2025年持株会社移行とM&A加速、5,000億円ビジョン和佐見勝ファイズHDの株式を公開買付にて取得し子会社化★★
和佐見勝純粋持株会社体制への移行と商号変更(AZ-COM丸和ホールディングス誕生)

2022年10月1日、丸和運輸機関は純粋持株会社体制へ移行し、商号をAZ-COM丸和ホールディングス株式会社に変更した。物流事業は新設の丸和運輸機関(分割準備会社)へ承継され、同月には株式会社ドラゴン(現東海丸和ロジスティクス)も完全子会社化した経営判断である。

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★★★
和佐見勝低温食品物流の取り込みを狙ったC&Fロジホールディングスへの同意なきTOBと、佐川急便との争奪戦での撤退

2024年3月21日、AZ-COM丸和ホールディングスは、低温食品物流大手のC&Fロジホールディングスに対し、同社取締役会の同意を得ないまま1株3,000円でTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。しかし佐川急便を傘下に持つSGホールディングスが1株5,740円で対抗TOBを開始し、丸和HDは6月6日に価格を引き上げない方針を表明、6月20日にTOBは不成立に終わった。

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★★★
出典・参考
  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2025
  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【沿革】
  • 株式会社丸和運輸機関 有価証券報告書(東京証券取引所上場時)【役員の状況】
  • AZ-COM丸和ホールディングス 中期経営計画 2025
  • AZ-COM丸和ホールディングス 中期経営計画 2028

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