1948年に渋谷昇氏が広島県福山市で設立した福山貨物運送が起源。
1960年に大阪〜東京間の特別積合せを始めて太平洋ベルト地帯を一本で貫き、2013年には専用貨物列車「福山レールエクスプレス号」を走らせた。提携と合併でつないだ路線網で全国を覆う、特別積合せ輸送の大手である。
前身は1948年設立の福山貨物運送。
1950年に福山通運へ商号を変更し、2004年に株式交換で地域の福山通運3社を完全子会社化した。2009年に王子運送を、2016年にE.H.UTARA HOLDINGSを子会社化。M&Aによる水平統合で、国内外の輸送網を広げた。
福山通運の源流は、第二次世界大戦前に広島県福山市を中心として小規模に営業していた運送業者12社が合同して設立した備後陸運株式会社にある。第二次世界大戦の勃発で広島県下のトラック業界は一様に企業合同を強いられ、備後陸運を含む7社が合同して広島県貨物自動車株式会社が設立され、備後陸運はそのなかで福山支店として残った。終戦とともに広島県貨物自動車は合同前の地域的独立企業体へ改組還元され、福山支店は1948年9月13日、福山貨物運送株式会社として発足した。設立時の資本金は1,100千円。社長は渋谷昇氏が務めた。明治37年9月の生まれである。
一般区域貨物自動車運送事業とは、荷主ごとに契約を結んで車を仕立てる貸切のトラック便のことである。発足した福山貨物運送は、この区分の事業会社として福山市を拠点に営まれた。一台分の荷をまとめて出せる荷主がいてこそ成り立つ商売だが、同社が発足から扱ってきたのは、特定の大口荷主の専属便ではなく、不特定多数の荷主から集めた雑貨類であった。行き先も出し手も散る小口の荷を貸切で運べば、車は満たないまま走る。同社はまもなく路線事業に重点を置き、路線網を拡大し、営業所を各地に置いた。
路線事業に踏み出すには、走る区間ごとに免許が要る。1949年12月、同社は尾道〜大阪間、大阪〜広島間などの路線免許を受けた。1950年4月、笠岡市〜大阪市間で特別積合せ(定期便)事業を開始。特別積合せは、複数の荷主の小口貨物を一台に積み合わせ、定めた区間を定めた時刻で走らせる運び方である。荷主が一台分を用意できなくても、集めれば一台になる。区域事業では荷主の都合が一便の中身を決めるのに対し、定期便では時刻表が先にあり、荷は後から載る。笠岡と大阪を結んだこの一本が、同社の主業を決めた。
通運事業法による通運事業は、国鉄の貨物駅を発着する荷について取次と集配を担う仕事である。同社がその免許を国鉄福山駅で得たのは1950年8月で、あわせて社名を福山通運株式会社へ改めた。自社の路線が届かない先へは鉄道が運び、駅から荷主までの末端をトラックがつなぐが、路線に区間ごとの免許が要るのと同様に、国鉄の駅と結ぶにも免許が要る。この免許は、国鉄の貨物網に自社のトラックをつなぐ許しにあたる。福山貨物運送の名から"貨物運送"が消え、"通運"が入ったのは、この免許と同じ月である。設立から2年たたないうちに、同社は貸切だけの会社ではなくなった。
路線を伸ばすには車と営業所が要る。同社は資本金を設立時の1,100千円から、1950年2月に2,750千円、同年6月に5,500千円、1951年8月に15,500千円、1952年2月に22,000千円へと積み増した。4年で20倍である。一方で1955年6月には、山南・鞆・上下・小畑・油木の5営業所を分離し、資本金を18,960千円へ減資した。分離した免許路線は合計243kmにのぼる。同じ日に再評価積立金を資本へ組み入れて22,000千円に戻し、同年8月には従業員への第三者割当80,800株を加えて45,000千円とした。
広げ方は自前の免許取得だけではなかった。同社は吉備運輸から児島〜津山間の路線を引き取り、新日本急送から広島〜下関間の路線を譲り受けた。備南運輸は1956年10月1日を合併期日として吸収合併し、株式会社と有限会社を合わせて5社を自社に取り込んでいる。他社が敷いた区間を免許ごと引き取れば、申請から積み上げるより速く網がつながる。同社はこれと並行して、他社にさきがけて鉄筋コンクリート高層建ての近代的ターミナル施設を山陽道各地に建てた。この施設が後年のトラックターミナルの基礎となった。
1959年11月、同社は大阪〜東京間の路線免許を取得した。国道1号線に沿うこの区間には、当時の日本の貨物が最も濃く流れていた。笠岡から大阪までは1950年に開いた定期便がすでに走っている。そこへ大阪から東京までが継ぎ足され、山陽道を東へ走ってきた路線は大阪で終わらなくなった。資本金は同じ1959年の6月30日に148,000千円。設立時の1,100千円から11年で134倍である。合同を解かれた会社の一支店を引き継ぎ、貸切一本で始まった福山貨物運送は、この11年で路線事業者へ姿を変えた。
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事実根拠:出所(福山通運)