AZ-COM丸和HDへ商号変更(2022年・AZ-COM丸和ホールディングスの決断)

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論点 経営体制と多角化
売上高(億円)営業利益率(%)
純粋持株会社体制への移行による、事業会社と統括機能の分離

純粋持株会社体制への移行による、事業会社と統括機能の分離

概要

2022年10月1日、丸和運輸機関は純粋持株会社体制へ移行し、商号をAZ-COM丸和ホールディングス株式会社に変更した。同時に、営んでいた物流事業(サードパーティ・ロジスティクス、輸配送サービス)およびそれに付帯する一切の事業を、同年4月22日に設立した完全子会社へ吸収分割によって承継させ、承継会社は丸和運輸機関分割準備株式会社から株式会社丸和運輸機関へ商号を変更した。

同じ月には株式会社ドラゴン(現東海丸和ロジスティクス)の発行済株式の全てを取得し完全子会社化している。分割は共通支配下の取引として会計処理され、承継会社は完全子会社であるため連結業績に与える影響は軽微であった。

背景

移行の理由に挙げたのは、物流業界でM&Aや業務提携による業界再編という今までにない変化が起こり、そうした環境変化に対応できる経営体制づくりが急務になっていたことである。中長期的な視点でグループ戦略を立案する純粋持株会社と、責任と権限を明確にして迅速に意思決定する事業会社とを分離する形が選ばれた。

実際、移行に先立つ半年ほどの間に、2022年3月のファイズホールディングス株式公開買付け、7月のM・Kロジ完全子会社化、9月の上組との資本業務提携が続いており、連結子会社は2022年3月期末の17社から2023年3月期末に20社へ増えている。

内容

2022年4月22日の取締役会で分割準備会社の設立と吸収分割契約が承認され、同日付で会社の設立と契約の締結が行われた。6月27日の第49回定時株主総会で分割契約が承認され、10月1日を効力発生日として分割が実行された。

承継会社は分割に際して普通株式6,400株を発行し、その総数を分割会社へ割当て交付した。分割会社の資本金26億6,742万円に増減はなく、承継会社の資本金は設立時の3,000万円から3億5,000万円となった。債務の承継は重畳的債務引受の方法によっている。

含意

提出会社の従業員数は2022年3月期の1,621名から2023年3月期には57名へ減り、臨時雇用者2,909名も承継会社へ移った。事業の遂行は新しい丸和運輸機関が担い、持株会社の収入は子会社・関連会社等からの配当、経営指導料、不動産賃貸料、貸付金利息等となった。

連結側の人員は減っておらず、連結従業員数は移行期の4,815名から2026年3月期の5,462名まで増え続けている。持株会社へ体制を入れ替えたうえで規模を伸ばす構図である。

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筆者の見解 事業の広がりと持株会社という選択
筆者の見解

事業の広がりと持株会社という選択

この判断の核心は、組織図の書き換えではなく、買い続けるための持株会社の仕組みを用意したことにあっただろう。ファイズホールディングス、M・Kロジ、上組との提携を半年のうちに畳みかけ、その締めくくりとして10月1日に持株会社化とドラゴンの完全子会社化を同じ日に置いた運びは、拡大の速度そのものを制度に変える手つきである。提出会社の従業員が1,621名から57名へ減少した一方で、連結の人員も子会社数も減っていない。事業の実体はそのまま動かし、意思決定と資本配分だけを上へ抜き取ったことになる。

もっとも、会社の形を替えることと事業を伸ばすことは別である。中期経営計画2025の最終年度にあたる2025年3月期は、売上高が計画240,000百万円に対し13.2%、営業利益が35.9%の未達に終わった。大型拠点の閉鎖や統廃合の一時費用が響いた期で、グループ戦略の立案に専念するはずの持株会社が、事業会社の拠点の出入りに業績を左右される構図はなお残っている。2026年3月期に売上高230,531百万円と過去最高を更新して増収増益へ戻したことをどう読むかは、次の中期経営計画2028が終わるころに定まるのだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年7月

数字で見る 3表
会社分割の条件

会社分割の条件

科目 概要 備考
分割の方式 吸収分割 分割会社は丸和運輸機関、承継会社は完全子会社の丸和運輸機関分割準備株式会社
対象となった事業 物流事業(3PL、輸配送サービス) 付帯する一切の事業を含む。資産・債務・雇用契約その他の権利義務を承継
吸収分割契約の締結日 2022年4月22日 同日に分割準備会社の設立と、設立および分割契約を承認する取締役会を実施
株主総会の承認 2022年6月27日 第49回定時株主総会
企業結合日 2022年10月1日
割当ての内容 承継会社の普通株式6,400株 承継会社が発行し、その総数を分割会社へ割当て交付
分割会社の資本金 2,667,424,550円 本件会社分割による増減はない。商号はAZ-COM丸和ホールディングスへ変更
承継会社の資本金 350,000,000円 設立時は30,000,000円。商号は株式会社丸和運輸機関へ変更
債務の承継の方法 重畳的債務引受 承継する資産の額が負債の額を上回る見込みとして債務履行の見込みを判断
会計処理 共通支配下の取引
連結業績への影響 軽微 承継会社が完全子会社であるため

出所:AZ-COM丸和ホールディングス 有価証券報告書 第49期(2022年3月期)【重要な後発事象】・第50期(2023年3月期)【企業結合等関係】

提出会社と連結の従業員数の推移

AZ-COM丸和ホールディングス:提出会社と連結の従業員数の推移

(名) 連結従業員数提出会社の従業員数臨時雇用者数 備考
2018年3月期 2,7401,2694,028
2019年3月期 2,8431,3214,121
2020年3月期 3,0311,2324,452
2021年3月期 3,6301,4644,832
2022年3月期 4,5891,6216,458 提出会社の臨時雇用者は2,909名。移行前で物流事業を自ら営んでいた最後の期
2023年3月期 4,815576,565 10月1日に物流事業を承継会社へ移管。提出会社の臨時雇用者はゼロとなった
2024年3月期 5,037617,252
2025年3月期 5,241688,009
2026年3月期 5,462778,223
連結従業員数(名)提出会社(名)

出所:AZ-COM丸和ホールディングス 有価証券報告書 第49期・第53期【主要な経営指標等の推移】(連結・提出会社)

連結業績の推移

AZ-COM丸和ホールディングス:連結業績の推移

(百万円) 売上高経常利益親会社株主に帰属する当期純利益 備考
2018年3月期 74,3594,7523,044
2019年3月期 85,5906,0463,901
2020年3月期 98,3487,3924,818
2021年3月期 112,1138,2625,536
2022年3月期 133,0009,1396,125 3月にファイズホールディングスを公開買付けで取得し連結子会社化
2023年3月期 177,82911,9497,780 10月1日に純粋持株会社体制へ移行。連結子会社は17社から20社へ
2024年3月期 198,55414,4989,119
2025年3月期 208,37011,6457,284 中期経営計画2025の最終年度。売上高は計画240,000に対し13.2%の未達
2026年3月期 230,53112,5307,448 第53期に企業結合の暫定処理が確定し、前期は経常11,633・純利益7,276へ修正
売上高(百万円)経常利益率(%)

出所:AZ-COM丸和ホールディングス 有価証券報告書 第45〜53期【主要な経営指標等の推移】(連結)

参考文献
出典・参考
  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2022
  • AZ-COM丸和ホールディングス 統合報告書 2025
  • AZ-COM丸和ホールディングス 中期経営計画 2028
  • 丸和運輸機関 有価証券報告書「第49期(2022年3月期)【重要な後発事象】(吸収分割による純粋持株会社制への移行)」
  • AZ-COM丸和ホールディングス 有価証券報告書「第50期(2023年3月期)【企業結合等関係】(共通支配下の取引等)」
  • AZ-COM丸和ホールディングス 有価証券報告書「第53期(2026年3月期)【主要な経営指標等の推移】」
  • AZ-COM丸和ホールディングス 有価証券報告書「第52期(2025年3月期)【経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容】」

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