コロナ禍で不採算店舗整理(2020年・ユナイテッドアローズの決断)

更新:
論点赤字下で店舗網をどこまで縮小するか
ユナイテッドアローズ:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
赤字転落を受けた店舗網の縮小と、EC基盤の刷新

何をなぜ決めたか:赤字転落を受けた店舗網の縮小と、EC基盤の刷新

概要

コロナ禍の営業赤字転落を受け、竹田光広社長のもとで始まった構造改革を、2021年4月に就任した松崎善則社長が引き継ぎ、不採算店の整理とEC基盤の刷新を中心に進めた経営判断。2022年3月期に前期末比20店舗の純減を見込み、店頭依存を薄めて店舗とネットの再配分へ動いた。

背景

高感度セレクトショップとして店頭接客を軸に成長した会社は、2021年3月期にコロナで連結売上高が1217億円へ22.7%減少し、当期損益は71億9700万円の赤字となって、1999年の上場以来はじめての最終赤字を計上した。

内容

2020年11月の中期経営計画で当時の全363店のうち1割程度の退店を見込み、選択と集中で2022年3月期に20店舗を純減。銀座店など旗艦級を含む店舗を閉じる一方、EC基盤を刷新して店舗とネットをつなぐOMOを強めた。

含意

2022年3月期に営業黒字へ回復し、その後プライム市場への移行と高付加価値への集中を経て、2026年3月期には連結売上高1646億円と過去最高を更新した。店舗数で成長を測る発想からの転換につながった。

いつ何が起きたか9件
当時の取締役8名

当時の取締役(2020年6月株主総会決議)

考察:守りの整理が描き直した業態の輪郭
考察

考察:守りの整理が描き直した業態の輪郭

コロナ赤字を受けたこの整理は、単なる店じまいや守りの一手という言葉には収まらない。店頭での品ぞろえと接客で規模を追ってきた高感度セレクトの成長モデルそのものを、店舗とネットのあいだで組み替える転換であったと思われる。上場以来初の72億円の赤字を竹田光広社長が計上し、その立て直しと20店舗の純減という重い課題を、2021年4月に就任したばかりの松崎氏が引き継いだところに、この判断の緊張がうかがえる。

もっとも、黒字回復をもって改革が成ったと言い切れるのは、その後の歩みを知っているからにすぎない。2022年3月期の黒字は売上を1183億円へ縮めたうえでの16億円であり、拡大ではなく身を軽くした効き目が先に現れたものであった。店を減らして得た余力を高付加価値とデジタルへ振り向け、数年かけて過去最高の売上へ戻した順序をみれば、危機はこの会社に、店舗数で成長を測る発想からの離脱を促したといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
当時の取締役8名

当時の取締役(2020年6月株主総会決議)

参考文献

参考文献

参考
  • FASHIONSNAP 2020年11月5日
  • WWDJAPAN 2020年11月5日
  • ユナイテッドアローズ 2026年3月期 決算説明会 質疑応答
  • ユナイテッドアローズ 有価証券報告書(2019年3月期〜2026年3月期・連結/【沿革】)

次に読む決断

免責事項およびポリシー