6割という持株比率は、上場した2006年の時点で意図して残されたものであった。分社型会社分割で事業会社を切り出し、旧会社をTKJ株式会社として株式を保有する側に置く設計は、支配権を保ったまま市場から資金を得るために組まれている。その構造が、10年後には処理の速度を決める要因になった。株主責任を負う立場と、再建の意思決定をする立場が同一人物に重なると、どちらを優先しても批判が残る。
高田重久氏が持分を守ろうとした期間に失われたのは、失注と退職者だけではない。自動車メーカーはリコール費用を引き受けたまま求償先の確定を待たされ、被害者への補償も先送りされた。供給を止めずに1億個のインフレータを交換する道筋を、当時どの当事者も描けていなかったこともまた事実であった。