富士通 半導体事業をオンセミへ売却 会津の200mm工場を段階的に渡し、前工程の製造を自前で抱えることをやめた
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何をなぜ決めたか
- 概要
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富士通セミコンダクターは2017年10月、福島県会津若松市に持つ200mm製造会社、会津富士通セミコンダクターマニュファクチャリング(AFSM)の株式30%をオン・セミコンダクターへ追加譲渡することで合意した。オン・セミコンダクターの出資比率は2018年4月1日に40%、同年10月1日に60%となり、2020年前半を目途に100%まで引き上げる計画が示された。AFSMの資産と負債は売却目的で保有する資産に分類され、デバイスソリューションから外れていった。
- 背景
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LSI事業の構造改革は2013年2月に決めた再編方針から始まった。2013年3月期はLSI事業だけで903億円の特別損失を計上し、岩手工場をデンソーへ、後工程製造拠点をジェイデバイスへ渡したうえで、システムLSIはパナソニックとの統合へ、三重の300mmラインは新たなファウンドリ企業への移管へと向かった。
2014年12月には三重と会津若松の製造拠点をそれぞれ分社してファウンドリ専業会社とし、三重にはユナイテッド・マイクロエレクトロニクス、会津若松の200mmラインにはオン・セミコンダクターが一部資本参加した。製造を持ち続けるかどうかの答えは、この分社の時点で半ば決まっていた。
- 内容
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譲渡は一度に行われず、出資比率を段階的に引き上げる形をとった。2014年12月の一部資本参加に30%を積み増して2018年4月1日に40%、同年10月1日に60%、2020年前半を目途に100%という順である。受取対価も移転損益も開示されていない。
同じ時期、三重の300mm製造会社である三重富士通セミコンダクターは2018年6月29日にユナイテッド・マイクロエレクトロニクスへの全株式譲渡で合意し、2019年10月1日に手続きを終えた。会津と三重の二つの譲渡で、前工程の製造は手元から消えた。
- 含意
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デバイスソリューションの売上収益は2014年3月期の6,002億円から2021年3月期の2,938億円へ半分以下になり、従業員は2013年3月期の24,416人から8,204人へ3分の1に減った。残ったのは新光電気工業を中心とする電子部品で、2023年3月期は営業利益790億円、営業利益率20.7%と、規模を縮めたあとのほうが利益率は高い。半導体を作る会社であることをやめた結果、デバイスは細いが確実に稼ぐ区分へ変わった。
いつ何が起きたか 8件
筆者の見解
工場を止めずに退く段取り
会津の200mm工場をオン・セミコンダクターへ渡した判断は、半導体からの撤退というより、前工程の製造設備を自前で抱える経営の終わりと推察される。作って売る垂直統合は、DRAMでもシステムLSIでも、需要の波と投資額の重さに耐えられなくなっていた。一部資本参加から始めて40%、60%、100%と持分を順に渡していく段取りは、工場を止めずに担い手だけを入れ替える方法であり、稼働と雇用を保ったまま退く道を選んだのだろう。三重をユナイテッド・マイクロエレクトロニクスへ、会津をオン・セミコンダクターへ、いずれも既に資本を入れていた相手へ渡した点に一貫性がある。
もっとも、この退き方には代償も伴った。デバイスソリューションの売上収益は7年で半分以下になり、従業員は3分の1に減った。残った電子部品は営業利益率20%を超える良い商売だが、規模はかつてに遠く及ばない。手放す判断そのものより、手放したあとに何を置くかが問われ続け、その答えがFujitsu Uvanceという形で示されるまでには、さらに数年を要した。捨てる速さに、残す構想が追いついていなかったのではないか。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
譲渡の条件
譲渡の条件
| 科目 | 概要 | 備考 |
|---|---|---|
| 譲渡した会社 | 会津富士通セミコンダクターマニュファクチャリング | 福島県会津若松市の200mm製造会社。富士通セミコンダクターの子会社 |
| 譲渡先 | オン・セミコンダクター | 本社は米国アリゾナ州フェニックス |
| 追加譲渡の合意 | 2017年10月 | 富士通セミコンダクターが保有株式の30%を追加譲渡することで合意した |
| 相手方の出資比率(第1段階) | 40% | 2018年4月1日。2014年12月の一部資本参加に30%を積み増した |
| 相手方の出資比率(第2段階) | 60% | 2018年10月1日。富士通セミコンダクター側の持分は40%となった |
| 出資比率の引き上げ計画 | 100% | 2020年前半を目途とする計画 |
| 会計上の取扱い | 売却目的で保有する資産 | 資産及び負債を分類。セグメントはデバイスソリューションに含まれていた |
| 分社の経緯 | 2014年12月 | 会津若松市の200mm製造ラインを分社し、ファウンドリ専業会社として事業を開始した |
出所:富士通 有価証券報告書 第118期(2018年3月期)・第119期(2019年3月期)【売却目的で保有する資産】
デバイスソリューションの売上収益と営業利益
富士通:デバイスソリューションの売上収益と営業利益
| (億円) | 売上収益 | 営業利益 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2014年3月期 | 6,002 | 115 | IFRSの比較期間。日本基準では営業利益283億円 |
| 2015年3月期 | 5,956 | 369 | 三重・会津若松の製造拠点を分社し、両工場に戦略パートナーが一部資本参加 |
| 2016年3月期 | 6,039 | 303 | |
| 2017年3月期 | 5,443 | 42 | スマートフォン向けLSIの所要が落ち、営業利益率は0.8%まで下がった |
| 2018年3月期 | 5,600 | 136 | 期中の2017年10月にオン・セミコンダクターへの30%追加譲渡で合意 |
| 2019年3月期 | 4,870 | 45 | 半導体販売子会社の譲渡と電子部品事業子会社の再編で13.0%の減収 |
| 2020年3月期 | 3,170 | △34 | 三重工場の譲渡などLSI事業の再編で約1,750億円の減収 |
| 2021年3月期 | 2,938 | 298 | 翌期有報の前期欄は売上収益3,084億円・営業利益△32億円へ組み替えられている |
| 2022年3月期 | 3,759 | 783 | 半導体需要の高まりで電子部品が好調に推移した |
| 2023年3月期 | 3,826 | 790 | 営業利益率20.7%。区分は新光電気工業を中心とする電子部品だけになった |
出所:富士通 有価証券報告書 第114〜123期(セグメント別の売上収益及び営業利益)
デバイスソリューションの従業員数
富士通:デバイスソリューションの従業員数
| (名) | 従業員数 |
|---|---|
| 2013年3月期 | 24,416 |
| 2014年3月期 | 21,174 |
| 2015年3月期 | 18,150 |
| 2016年3月期 | 18,019 |
| 2017年3月期 | 17,848 |
| 2018年3月期 | 15,666 |
| 2019年3月期 | 10,762 |
| 2020年3月期 | 8,903 |
| 2021年3月期 | 8,204 |
| 2022年3月期 | 8,321 |
| 2023年3月期 | 8,398 |
出所:富士通 有価証券報告書 第113〜123期(セグメントの名称別の従業員数)
同じ問いに直面した会社
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参考文献
- 富士通 有価証券報告書「第113期(2013年3月期)【業績等の概要】」
- 富士通 有価証券報告書「第115期(2015年3月期)【業績等の概要】」
- 富士通 有価証券報告書「第118期(2018年3月期)【業績等の概要】【売却目的で保有する資産】」
- 富士通 有価証券報告書「第119期(2019年3月期)【売却目的で保有する資産】」
- 富士通 有価証券報告書「第120期(2020年3月期)【業績等の概要】【売却目的で保有する資産】」