グッドサイクルシステムの子会社化(2023年・イーエムシステムズの決断)

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イーエムシステムズ:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
電子薬歴の同業を別法人のまま連結に加える段階取得2023年2月27日、イーエムシステムズは取締役会で、持分法適用関連会社のグッドサイクルシステムを子会社化すると決議した。翌28日に第三者割当増資の引受けと発行済株式の取得を実行し、議決権比率は38.85%から60.16%へ上がった。グッドサイクルシステムは保険薬局支援システムの設計・開発・販売・保守を営み、電子薬歴システムで約5,000件の顧客を持つ。

何をなぜ決めたか:電子薬歴の同業を別法人のまま連結に加える段階取得

概要

2023年2月27日、イーエムシステムズは取締役会で、持分法適用関連会社のグッドサイクルシステムを子会社化すると決議した。翌28日に第三者割当増資の引受けと発行済株式の取得を実行し、議決権比率は38.85%から60.16%へ上がった。グッドサイクルシステムは保険薬局支援システムの設計・開発・販売・保守を営み、電子薬歴システムで約5,000件の顧客を持つ。

自社にも薬局向けの「MAPs for PHARMACY DX」がありながら、相手の会社と顧客をそのまま残して連結に加えた。目的に掲げたのは、MAPs for PHARMACY DXの共同開発を通じた連携の強化と、薬局向けシステム事業の展開の加速である。その後、2026年10月16日の取締役会で、同社を2027年1月1日付で親会社に吸収合併すると決めた。

背景

両社の関係は提携から始まった。2021年2月26日に業務提携の検討を開始し、同年3月10日に協業に関する基本合意書を締結した。2021年12月13日の取締役会決議に基づき、2022年1月5日に株式を追加取得して持分法適用関連会社とした。関連会社だった2022年12月期には、持分法による投資損失218百万円を計上している。

買収した会社を別法人のまま運営し、数年後に吸収する手順は以前にもとっている。2013年9月にユニコン、2014年10月にコスモシステムズ、2019年2月にエムウィンソフトを子会社化し、ユニコン(同月にEMソリューションへ改称)とエムウィンソフトを2020年10月に、コスモシステムズを2021年4月に吸収合併した。2020年7月には共同新設分割で開発に特化したEMテクノロジー研究所を新設した。

内容

取得原価は903百万円である。内訳は企業結合の直前に保有していた株式636百万円、第三者割当増資に伴う現金250百万円、株式の追加取得に伴う現金16百万円で、段階取得に係る差損140百万円を計上した。のれんは532百万円で、5年で均等償却する。

企業結合日に受け入れた資産は890百万円、引き受けた負債は944百万円で、負債が資産を上回っていた。連結の対象は2023年4月からの業績で、1〜3月分は持分法で取り込んだ。2024年6月20日には非支配株主から残りの株式を316百万円で取得し、完全子会社とした。

含意

2023年12月期の調剤システム事業は売上高16,159百万円(前期比19.4%増)、営業利益2,939百万円(同3.0%減)だった。2024年12月期は売上高20,699百万円、営業利益5,255百万円となり、グッドサイクルシステムとユニケソフトウェアリサーチの連結による課金売上高の増加を理由に挙げた。グッドサイクルシステム単体の売上高は2023年12月期の1,879百万円から2025年12月期に2,286百万円、営業利益は59百万円から185百万円へ増加した。

2026年10月の合併決議は、PMIの加速と、企画・開発・営業・サービスを一元化した体制づくりを目的とし、効力発生日は子会社化から約4年後の2027年1月1日を予定する。似た経路をとった例に、2015年4月に共同株式移転で持株会社を設立して2社を並立させ、2020年10月にマクニカが富士エレクトロニクスを吸収合併したマクニカ・富士エレホールディングスがある。

いつ何が起きたか12件
筆者考察
考察

考察:別法人で迎え、時を置いて吸収する型

この子会社化は、自社と同じ市場に製品を持つ会社を買収したとき、組織と製品をすぐ統合するか、別法人のまま並べるかという問いへの答えである。イーエムシステムズは提携、持分法適用、過半数取得、完全子会社化と段階を踏み、グッドサイクルシステムを約5,000件の電子薬歴の顧客ごと別法人で抱えた。型としては、少数持分から買い増す同業の取り込みに当たる。2026年10月に親会社への吸収合併を決めたが、効力の発生は2027年1月の予定で、統合の成果を測る数字はまだ出ていない。

別法人で迎え、数年後に吸収する手順は、この会社が以前にもとっている。2013年にユニコン、2014年にコスモシステムズ、2019年にエムウィンソフトを子会社化し、2020年10月と2021年4月に親会社へ吸収合併した。同じ2020年7月には開発機能を切り出し、EMテクノロジー研究所を新設した。営業は親会社に集め、開発は子会社に置くという当時の分け方を、2026年の合併は開発機能についても改める。グッドサイクルシステムの別法人での運営は、この手順をもう一度なぞる途中にあったとみられる。

統合の後に別法人を並べた他社の例に、マクニカ・富士エレホールディングスがある。2015年4月に共同株式移転で持株会社を設立して2社を並立させ、2020年10月にマクニカが富士エレクトロニクスを吸収合併した。並立は5年半続いた。イーエムシステムズの並立は、子会社化から合併の予定日まで約4年である。違いは統合の起点にある。マクニカは2社の経営統合から入り、イーエムシステムズは38.85%の少数持分から買い増した。買い増しの各段で、相手の顧客と開発陣を手元に残せるかを確かめる時間を取ったのだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年10月

数字で見る

イーエムシステムズ:調剤システム事業の推移

イーエムシステムズ:調剤システム事業の推移

調剤システム事業 売上高(百万円)調剤システム事業 営業利益率(%)

連結2年目の2024年12月期に営業利益は5,255百万円まで増加

イーエムシステムズ:調剤システム事業の推移
(百万円)調剤システム事業 売上高調剤システム事業 営業利益備考
2019年3月期10,4762,389区分名は「調剤システム事業及びその関連事業」
2020年3月期10,8231,667
2020年12月期7,4501,079決算期変更で4〜12月の9か月決算
2021年12月期11,2281,852
2022年12月期13,5303,031グッドサイクルシステムは持分法適用関連会社
2023年12月期16,1592,939グッドサイクルシステムは4月から連結。ユニケも6月に取得
2024年12月期20,6995,2552社の通年連結。6月にグッドサイクルシステムを完全子会社化
2025年12月期19,2363,967電子処方箋の導入需要が一巡
出所:イーエムシステムズ 有価証券報告書 第36〜43期【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(セグメント間の内部売上高を含む)
出所:イーエムシステムズ 有価証券報告書 第36〜43期【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(セグメント間の内部売上高を含む)
イーエムシステムズ:のれんと無形固定資産の推移

イーエムシステムズ:のれんと無形固定資産の推移

のれん(百万円)のれん以外の無形固定資産(百万円)
イーエムシステムズ:のれんと無形固定資産の推移
(百万円)のれん無形固定資産合計総資産備考
2019年3月期6691,93022,351
2020年3月期4562,53223,445
2020年12月期3832,59123,0969か月決算
2021年12月期2852,52124,809
2022年12月期1882,32326,349
2023年12月期1,4755,18629,387グッドサイクルシステムののれん532を計上。ユニケ分を含む
2024年12月期1,2653,49431,669
2025年12月期2,0634,02127,5069月に子会社化したプレカルののれんを含む
出所:イーエムシステムズ 有価証券報告書 第36〜43期【連結貸借対照表】
出所:イーエムシステムズ 有価証券報告書 第36〜43期【連結貸借対照表】
当時の取締役10名

取締役10名(2022年3月株主総会決議)

区分役員名役職
取締役業務執行担当領域
業務執行兼務國光宏昌取締役:代表取締役業務執行:社長執行役員担当:
青田玄取締役:監査等委員・常勤業務執行:担当:
大石憲司取締役:取締役業務執行:会長担当:
國光浩三取締役:取締役業務執行:最高顧問担当:
関めぐみ取締役:取締役業務執行:上席執行役員担当:管理本部長
松原康博取締役:監査等委員・常勤業務執行:担当:
独立役員宮田武志取締役:取締役業務執行:担当:
亀井美和子学者取締役:監査等委員業務執行:担当:
松田繁三法曹取締役:監査等委員業務執行:担当:
岡本しのぶ会計取締役:監査等委員業務執行:担当:
この一覧は2022年3月の定時株主総会の直後に提出された有価証券報告書の【役員の状況】による。
参考文献

参考文献

参考

  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第40期(2022年12月期)【重要な後発事象】・第41期(2023年12月期)【企業結合等関係】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第41期(2023年12月期)【企業結合等関係】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第39期(2021年12月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第39期(2021年12月期)【重要な後発事象】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第40期(2022年12月期)【連結損益計算書】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第43期(2025年12月期)【沿革】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第41期(2023年12月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第42期(2024年12月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • マクニカ・富士エレホールディングス 有価証券報告書 第6期(2021年3月期)【沿革】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第40期(2022年12月期)【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第41期(2023年12月期)【経営上の重要な契約等】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第43期(2025年12月期)【企業結合等関係】
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第36〜43期【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(セグメント間の内部売上高を含む)
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書 第36〜43期【連結貸借対照表】
  • イーエムシステムズ 臨時報告書「臨時報告書(特定子会社の異動・吸収合併の決定)」
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書「第39期(2021年12月期)【重要な後発事象】【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】」
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書「第40期(2022年12月期)【重要な後発事象】【関係会社の状況】」
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書「第41期(2023年12月期)【企業結合等関係】【経営上の重要な契約等】」
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書「第42期(2024年12月期)【企業結合等関係】」
  • イーエムシステムズ 有価証券報告書「第43期(2025年12月期)【沿革】【企業結合等関係】」

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