この買収の理屈には、資料の上では隙が少ない。アジア太平洋で最大の市場は豪州であり、その市場で首位の会社を丸ごと買えば、拠点をひとつずつ作るより早く上位に立てる。実際に連結売上高は2年で5,920億円から9,258億円へ伸び、海外売上高3,000億円という目標にも近づいた。ただ、市場の大きさと自社が稼げる利益とは別の量である。豪州の人材派遣市場が域内最大であることは、そこで買った会社が日本と同じ収益性で回ることを意味しない。減損の理由として挙げられたのは、想定していた収益が見込めなくなったという一文であった。
もうひとつ残るのは、施設メンテナンスという事業をどう位置づけるかという問いといえる。Programmedは買収時点でEBITAの6割をMaintenanceから得ており、人材派遣の会社であると同時にインフラ請負の会社でもあった。人材サービスの尺度で測れば異質な事業を、人材サービスのセグメントに収めたまま今日に至っている。有価証券報告書が海外での大型買収の優先度を下げると書き、投資委員会を設置したのは、金額の大きさへの反省であると同時に、買う対象の中身をどこまで見極めていたかへの問い直しでもあったのだろう。