1997年の買収でスターから受け取ったものを、製品の権利や工場だけで数えると小さく見える。参天製薬がタンペレで手にしたのは、欧州の規則に沿って薬を作り、各国の承認を取り、医師に説明して売るという一連の手続きを回せる組織であった。同じ時期に置いた米国と台湾の拠点が調査分析や販売の窓口にとどまったのに対し、欧州だけが製造の実体を伴っていた。
もっとも、この判断が正しかったと言い切れるようになったのは、ずっと後である。オランダに置いた持株会社は6年で任意清算し、欧州の営業損益が黒字化したのは2006年3月期であった。それでも、2014年に米メルクの眼科用医薬品を受け入れる際、参天製薬はイギリス・イタリア・スペインへ新たに法人を設立しながら、北欧・東欧では17年前から続く販売の網をそのまま使えた。1997年3月にフィンランドで買った会社は、2016年3月期に255億円を売る欧州事業の土台になっている。