エクシオグループOASISの社外取締役選任提案を否決:社内取締役8名中7名がNTTグループ出身という独立性への批判を、指名委員会の答申を根拠に退けた選択

更新:

時期 2026年6月
当時の社長 梶村啓吾
論点 取締役会の独立性とシステムソリューション事業への監督
概要

2026年6月25日の第72回定時株主総会で、株主のOASIS JAPAN STRATEGIC FUND Y LTD.が社外取締役1名の選任を提案した。候補者は野村総合研究所で専務執行役員IT基盤サービス事業担当を務めた竹本具城氏で、所有するエクシオグループ株式は0株である。取締役会は指名委員会の審議を経て反対を決議し、議案は賛成率4.8%で否決された。同じ総会で会社提案の剰余金処分と取締役2名選任は、いずれも99%前後で可決している。

背景

提案が突いたのは取締役会の顔ぶれである。主力事業であるシステムソリューション事業の経験を持つ取締役がおらず、中長期の視点から経営陣を監督・助言できる社外取締役の選任が急務だというのが表向きの理由だった。 そのうえで提案株主は、現任の社内取締役8名のうち7名がNTTグループの出身者で、過去5年間では16名中14名が同グループの出身にあたるとして、独立性への重大な懸念を示した。現任の社外取締役を含む指名委員会もこの人事を容認しており、コーポレートガバナンスが十分に機能していない疑いがあるとした。

内容

取締役会は、過半数が独立社外取締役で構成され独立社外取締役が委員長を務める指名委員会で審議し、本候補者を含む複数の候補者と面談したうえで反対を決議した。候補者がシステムソリューション分野の専門的な知見を持つことは認めつつ、現時点の経営課題と中期経営計画の遂行で求められる役割との整合性、取締役会全体としてのスキルバランスの観点から、選任すべきとの結論には至らなかったとした。会社提案の候補者である三谷英一郎氏が三菱電機グループの常務執行役CIOとしてDX推進とシステムソリューション事業を総括した経験を持つことも、反対の論拠に置いた。

含意

取締役会の構成そのものは動いている。2026年6月の総会以降の体制で、独立社外取締役の比率を前期の38%から50%へ高めた。2026年5月13日に発表した中期経営計画(2026〜2030)では、通信インフラ・社会インフラ・システムソリューションの三事業の利益バランスを均等化する方針を掲げる。 賛成率4.8%は提案が支持を得なかったことを示すが、外国法人等(法人)の持株比率は2020年3月期の19.77%から2026年3月期には26.45%へ戻っており、NTTグループ出身者が社内取締役の大半を占める構図への視線は残る。

筆者の見解

天下りを突いた4.8%

この提案の核心は、候補者の適否ではなく、NTTグループの出身者が取締役会を占め続ける構図そのものへの異議だったとみられる。社内取締役8名のうち7名、過去5年では16名中14名がNTTグループの出身という数字は、会社が反論していない事実である。通信建設を長く担ってきた社にとって、これは歴史の産物であって不正ではない。だが資本市場から見れば、選ぶ側と選ばれる側が同じ出自でつながっているとき、指名委員会の独立性は形式の問題に落ちる。提案株主はそこを「天下り人事の容認」と名指しした。

もっとも、賛成率4.8%という数字は、この論点が株主の支持を集めなかったことも示している。取締役会が示した反論は、システムソリューション事業の経験者はすでにいる、会社提案の三谷英一郎氏のほうが事業全体を見られる、というものだった。そのうえで独立社外取締役の比率を38%から50%へ引き上げている。提案は退けられ、会社は求められた方向へ半歩だけ動いた ── 株主提案がしばしばたどる帰結である。ただし外国法人等の持株比率は2020年3月期の19.77%から26.45%へ戻っており、次に同じ問いが立つとき、4.8%のままで済むとは限らないだろう。

Yutaka Sugiura, 2026年9月

株主提案の条件

科目 概要 備考
提案株主 OASIS JAPAN STRATEGIC FUND Y LTD. 招集通知は議案名・内容・提案の理由を提出書面の原文のまま掲載した。所有比率の記載はない
対象の株主総会 第72回定時株主総会(2026年6月25日) 会社提案は剰余金処分の件(1株35円の期末配当)と取締役2名選任の件の2件
株主提案の議案 第3号議案 社外取締役1名選任の件
社外取締役の候補者 竹本具城氏(1964年10月2日生) 野村総合研究所で専務執行役員IT基盤サービス事業担当。所有するエクシオグループ株式は0株
会社提案と重なる議案 第2号議案 取締役2名選任の件 会社は三谷英一郎氏と山越伸子氏を社外取締役の候補とし、両氏とも独立役員候補
提案の理由 独立した監督とシステムソリューション事業への助言 社内取締役8名のうち7名がNTTグループ出身で、独立性に重大な懸念があるとした
取締役会の意見 反対 指名委員会で本候補者を含む複数の候補者と面談し、その答申を踏まえて反対を決議した
反対の論拠 経営課題・中期経営計画との整合性とスキルバランス 専門的な知見は認めつつ、取締役会全体の構成の観点から選任すべきとの結論に至らなかった
会社が示した体制 独立社外取締役比率を38%から50%へ 2026年6月の総会以降の体制。2026年5月13日に中期経営計画(2026〜2030)を発表した
議決の結果 否決(賛成率4.8%) 賛成81,493個・反対1,600,716個・棄権537個。会社提案の2議案はいずれも可決した
可決の要件 議決権の3分の1以上を有する株主の出席と出席株主の議決権の過半数

出所:エクシオグループ 第72回定時株主総会 招集ご通知(株主提案 第3号議案)・臨時報告書(2026年6月26日提出)

エクシオグループ:第72回定時株主総会の議案別賛成率

(%) 賛成率 備考
第1号 剰余金処分 99.5 会社提案。1株35円の期末配当。賛成1,696,075個・反対1,641個
第2号 三谷英一郎 99.3 会社提案の社外取締役。三菱電機グループの常務執行役CIOを務めた
第2号 山越伸子 98.8 会社提案の社外取締役
第3号 竹本具城(株主提案) 4.8 賛成81,493個・反対1,600,716個・棄権537個で否決

出所:エクシオグループ 臨時報告書(2026年6月26日提出)第72回定時株主総会の議決権行使結果

エクシオグループ:所有者別の持株比率

(%) 外国法人等(法人)金融機関個人その他 備考
2016年3月期 27.1830.3132.28 個人その他が最も厚かった局面。金融機関は3割にとどまる
2017年3月期 24.3733.0633.05
2018年3月期 25.5732.7932.07
2019年3月期 24.5339.7523.28
2020年3月期 19.7743.5324.64 外国法人等が最も薄い。以降は金融機関が4割台に定着する
2021年3月期 20.3343.9324.68
2022年3月期 20.8841.0426.96
2023年3月期 23.6439.5426.79
2024年3月期 27.7336.6226.45
2025年3月期 27.2337.3825.48
2026年3月期 26.4538.2225.3 株主提案を受けた総会の基準日となる期末。提案株主は大株主の上位10名に現れない

出所:エクシオグループ 有価証券報告書 第62〜72期【所有者別状況】

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出典・参考

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