この提案の核心は、候補者の適否ではなく、NTTグループの出身者が取締役会を占め続ける構図そのものへの異議だったのだろう。社内取締役8名のうち7名、過去5年では16名中14名がNTTグループの出身という数字は、会社が反論していない事実である。通信建設を長く担ってきた社にとって、これは歴史の産物であって不正ではない。だが資本市場から見れば、選ぶ者と選ばれる者が同じ出自でつながっているとき、指名委員会の独立性は形式の問題に終わる。提案株主はそこを「天下り人事の容認」と名指しした。
もっとも、賛成率4.8%という数字は、この論点が株主の支持を集めなかったことも示している。取締役会が示した反論は、システムソリューション事業の経験者はすでにいる、会社提案の三谷英一郎氏のほうが事業全体を見られる、というものだった。そのうえで独立社外取締役の比率を38%から50%へ引き上げている。提案は退けられ、会社は求められた方向へ半歩だけ動いた ── 株主提案がしばしばたどる帰結である。ただし外国法人等の持株比率は2020年3月期の19.77%から26.45%へ戻っており、次に同じ問いが立つとき、4.8%のままで済むとは限らないだろう。