この統合を、水産の二強が数を合わせて規模を得ただけの再編とみるのは、事の半分しか捉えていない。マルハグループ本社の五十嵐勇二社長は、縮む市場と減少する資源を前に国内で単独の成長機会を見つけるのは至難と言い切り、就任予定のトップ自らが市場の成熟を正面から認めていた。旧日本興業銀行出身の社長が率いた金融主導の色合いは濃いものの、127年のマルハと100年のニチロという二つの水産史を一つに経営統合した判断の芯は、需要の頭打ちを直視したところにあったと思われる。
もっとも、統合が実を結んだと言えるのは、その後の歩みを知っているからにすぎない。発足前後の産地偽装、2013年末のアクリフーズ農薬混入事件と、信頼を損なう出来事が続き、事業会社の一体化は2014年まで持ち越された。売上一兆円の規模はやがて達成したものの、冷凍食品の利益率は同業のニチレイに及ばず、統合が約束したはずの果実はなお課題を残す。規模をそろえた先で何を稼ぐかが、水産再編の成否を最後に決めるのだろう。