Umios の歴史

創業

2007年

創業者

※マルハ+ニチロ

創業地

東京都

直近売上高(2025/3)

10,786億円

長期業績と転換点(1997/3〜2026/3)
売上高(億円純利益率(%)
Q 2007年のマルハとニチロの経営統合は、何を作り、何を課題として残したのか
A 2007年10月、水産最大手のマルハグループ本社が業界三位のニチロを株式交換で完全子会社化し、マルハニチロホールディングスが発足した。2006年3月期の両社単純合計は売上高9,700億円・営業利益150億円で、新会社は2010年3月期までに営業利益を300億円へ引き上げる目標を掲げた。売上構成比は水産75%のマルハと加工食品61%のニチロで正反対にあり、統合は互いの薄い側を補い合う組み合わせだった。一方で海外売上比率はマルハ8%・ニチロ9%と低いままで、海外と加工食品をどう伸ばすかが統合後の課題として残った
Q なぜ2013年末のアクリフーズ農薬混入事件が起き、その後どう立て直したのか
A 2013年12月末、子会社アクリフーズの群馬工場の冷凍食品から農薬マラチオンが検出され、自主回収に追い込まれた。アクリフーズは雪印乳業の冷凍食品部門を出自とし、2003年にニチロの子会社となって2007年の統合でグループへ入った。群馬工場の防犯カメラ5台は生産ラインに向いておらず、契約社員が従業員の6割超を占めるなど、出自の異なる会社が並ぶグループ内の管理の落差が背景として指摘された。社長辞任と立て直しを経て、2014年4月に就任した伊藤滋社長は2019年に品質管理の水準はトップクラスへ向上したと語っている。
Q なぜ2018年以降のマルハニチロは冷凍食品と養殖に集中し、Umiosへ改称したのか
A 魚介類の国内需要は2009年に肉へ逆転されて減り続け、漁獲量はピークの3分の1近くまで落ち輸入も買い負けで約4割減っていた。2018年3月の中期経営計画は加工と豪州・北米の海外事業を強化し2022年3月期に売上高1兆円を目指し、同年秋からは商品ブランドもマルハニチロへ順次統一する方針を決めた。養殖では2010年に民間で初めて完全養殖クロマグロを実現し、2024年3月期は生産量4,200トンで国内シェア3割弱の首位に立つ。2023年3月期には売上高が統合以来初めて1兆円を超え、2026年3月にUmiosへ改称した

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2007年〜 マルハとニチロの統合によるマルハニチロホールディングスの発足

  1. 2007年 マルハグループ本社とニチロの経営統合、マルハニチロホールディングスの発足 縮む市場と減る資源を前に、五十嵐勇二社長はなぜ水産一位と三位の統合を選んだか
  2. 2007年 ニチロを株式交換により完全子会社化
  3. 2007年 マルハグループ本社がマルハニチロHDに商号変更
  4. 2008年 事業会社のマルハがマルハニチロ水産に商号変更
  5. 2008年 食品事業をマルハニチロ食品に、畜産事業をマルハニチロ畜産に吸収分割で承継
  6. 2008年 子会社の神港魚類による中国産ウナギの産地偽装が発覚

持株会社の発足と事業単位での会社の組み替え

2007年10月、マルハグループ本社とニチロが経営統合し[1]、マルハグループ本社はマルハニチロホールディングスへ商号を改めてニチロを株式交換により完全子会社化した。水産最大手と業界三位の組み合わせで、2006年3月期の両社単純合計は売上高9,700億円・営業利益150億円[2]にとどまり、新会社は2010年3月期までに営業利益を300億円へ引き上げる目標を掲げた。持株会社の傘下にマルハ系とニチロ系の事業会社が並ぶところから出発し、一定期間の後に水産・食品・畜産・冷蔵物流の4事業へ再編・集約する方針[3]を示した。

  • マルハニチロ 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2007年10月 マルハグループ本社とニチロが経営統合しマルハニチロホールディングスへ商号変更、ニチロを株式交換で完全子会社化
  • The Headline ニュース最前線 食品 マルハ・ニチロ統合(週刊東洋経済 2006年12月23日号)
    • [2]2006年3月期の両社単純合計は売上高9,700億円・営業利益150億円、2010年3月期に営業利益300億円が目標
    • [3]一定期間後に水産・食品・畜産・冷蔵物流の4事業へ再編・集約する方針

2008年4月、事業会社のマルハはマルハニチロ水産へ商号を改め[4]、旧2社の別ではなく事業の別でグループの会社を組み替えた。自社の食品事業をニチロから商号変更したマルハニチロ食品へ、畜産事業をマルハニチロ畜産へ、それぞれ吸収分割で承継させ[5]、同時にマルハニチロ食品の水産事業をマルハニチロ水産が引き取っている。この組み替えによって、持株会社マルハニチロホールディングスの傘下には、水産を担うマルハニチロ水産、食品を担うマルハニチロ食品、畜産を担うマルハニチロ畜産という3つの事業会社が並ぶ形になった[6]

  • マルハニチロ 有価証券報告書【沿革】
    • [4]2008年4月 マルハがマルハニチロ水産へ商号変更
    • [5]食品事業をマルハニチロ食品へ、畜産事業をマルハニチロ畜産へ吸収分割で承継し、マルハニチロ食品の水産事業をマルハニチロ水産が承継
    • [6]組み替え後は水産・食品・畜産の3事業会社が持株会社の傘下に並んだ
  • マルハニチロ 有価証券報告書【沿革】
    • [1]2007年10月 マルハグループ本社とニチロが経営統合しマルハニチロホールディングスへ商号変更、ニチロを株式交換で完全子会社化
    • [4]2008年4月 マルハがマルハニチロ水産へ商号変更
    • [5]食品事業をマルハニチロ食品へ、畜産事業をマルハニチロ畜産へ吸収分割で承継し、マルハニチロ食品の水産事業をマルハニチロ水産が承継
    • [6]組み替え後は水産・食品・畜産の3事業会社が持株会社の傘下に並んだ
  • The Headline ニュース最前線 食品 マルハ・ニチロ統合(週刊東洋経済 2006年12月23日号)
    • [2]2006年3月期の両社単純合計は売上高9,700億円・営業利益150億円、2010年3月期に営業利益300億円が目標
    • [3]一定期間後に水産・食品・畜産・冷蔵物流の4事業へ再編・集約する方針

子会社のウナギ産地偽装が露わにしたグループ統制の穴

2008年6月25日、農林水産省はJAS法違反として[7]、卸業者の魚秀が中国産ウナギ蒲焼き256トンを国産品と偽ってマルハニチロホールディングス子会社の神港魚類へ販売[8]した経緯を公表した。発端は「食品表示110番」への告発で、製造者として記載された有限会社が、所在地に山林しかない架空の会社と判明した[9]ことにあった。神港魚類は6月中旬までにそのうち49トンを外部へ売り、15トンを魚秀へ売り戻していた[10]。取引には築地の零細業者2社が介在し、魚秀の社長から神港魚類の課長へ1,000万円の裏金が渡っており[11]、兵庫・徳島の両県警が不正競争防止法違反容疑で強制捜査に入った。

  • スペシャルリポート マルハニチロ子会社も関与 国産ウナギ偽装と水産業界の「闇」(週刊東洋経済 2008年7月12日号)
    • [7]2008年6月25日 農林水産省がJAS法違反として不正の概要を公表
    • [8]魚秀が中国産ウナギ蒲焼き256トンを国産品に偽装して子会社の神港魚類へ販売
    • [9]発端は「食品表示110番」への告発で、製造者とされた有限会社は所在地が山林の架空会社だった
    • [10]神港魚類は49トンを外部販売し15トンを魚秀へ売り戻していた
    • [11]魚秀社長から神港魚類課長へ1,000万円の裏金が渡り、兵庫・徳島県警が不正競争防止法違反容疑で強制捜査

マルハニチロホールディングスが偽造の報告を神港魚類から受けたのは、農水省の公表より1週間早い6月18日で、神港魚類は翌19日から出荷済み商品の回収をひそかに始めた。ただしその事実は一部の者だけで共有され、五十嵐勇二社長が神港魚類の社長から直接報告を受けたのは6月20日[12]、農水省が調査結果を公表した6月25日は同社の株主総会の当日にあたり、偽装を問う株主の質問に五十嵐社長は結果を知らないと答えた。統合を経てグループ子会社は200社を超えており[14]、五十嵐社長は「残念ながら末端まで届いていないのだろう」(週刊東洋経済 2008年8月2日号)と述べ、子会社の代表者を通じたコンプライアンスの徹底を課題に挙げた。同じ取材で五十嵐社長は、水産物の需要が世界的に増して資源の枯渇が進むなか資源へのアクセスが重要だとして、十数年ぶりに遠洋の大型巻き網船と沖合の巻き網漁船の2隻を建造する計画[15]を明かしている。 [13]

  • このひとに5つの質問 五十嵐勇二 マルハニチロホールディングス社長(週刊東洋経済 2008年8月2日号)
    • [12]五十嵐勇二社長が報告を受けたのは6月20日で、6月25日の株主総会では調査結果を知らないと回答
    • [14]グループ子会社は200社以上あり、コンプライアンスが末端まで届いていないと社長が述べた
    • [15]資源へのアクセスを重視し、十数年ぶりに遠洋の大型巻き網船と沖合の巻き網漁船2隻の建造を計画
  • スペシャルリポート マルハニチロ子会社も関与 国産ウナギ偽装と水産業界の「闇」(週刊東洋経済 2008年7月12日号)
    • [13]神港魚類は会社への報告翌日の6月19日から出荷済み商品の回収を始めていたが、その事実は一部で共有され社外へ公表されなかった
  • スペシャルリポート マルハニチロ子会社も関与 国産ウナギ偽装と水産業界の「闇」(週刊東洋経済 2008年7月12日号)
    • [7]2008年6月25日 農林水産省がJAS法違反として不正の概要を公表
    • [8]魚秀が中国産ウナギ蒲焼き256トンを国産品に偽装して子会社の神港魚類へ販売
    • [9]発端は「食品表示110番」への告発で、製造者とされた有限会社は所在地が山林の架空会社だった
    • [10]神港魚類は49トンを外部販売し15トンを魚秀へ売り戻していた
    • [11]魚秀社長から神港魚類課長へ1,000万円の裏金が渡り、兵庫・徳島県警が不正競争防止法違反容疑で強制捜査
    • [13]神港魚類は会社への報告翌日の6月19日から出荷済み商品の回収を始めていたが、その事実は一部で共有され社外へ公表されなかった
  • このひとに5つの質問 五十嵐勇二 マルハニチロホールディングス社長(週刊東洋経済 2008年8月2日号)
    • [12]五十嵐勇二社長が報告を受けたのは6月20日で、6月25日の株主総会では調査結果を知らないと回答
    • [14]グループ子会社は200社以上あり、コンプライアンスが末端まで届いていないと社長が述べた
    • [15]資源へのアクセスを重視し、十数年ぶりに遠洋の大型巻き網船と沖合の巻き網漁船2隻の建造を計画

2009年〜 統合効果の遅れとアクリフーズ農薬混入事件

Umiosの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2010年 民間で初めてクロマグロの完全養殖を実現
  2. 2013年 アクリフーズ農薬混入事件への危機対応と、純粋持株会社体制の解消・グループ6社の事業会社マルハニチロへの合併 意図的な農薬混入という異常事態に、発足間もない総合食品グループは統制の緩さをどう立て直そうとしたか
  3. 2013年 アクリフーズ製品の大規模な自主回収を実施

水産商事に依存した収益構造と海外の薄さ

統合を経ても収益の作りはすぐには変わらず、不採算事業をめぐる特別損失をマルハ時代から毎年のように計上した[16]。水産物のトレーディングで利ざやを稼ぐ水産商事が収益の主体だったため業績予想が立てにくく、統合後は証券会社のアナリストが相次いでカバレッジを取りやめている[17]。中期経営計画は「Double Wave」から「Challenge toward」「Innovation toward」へと引き継がれ[18]、統合で得た規模を利益へ変える作業が持ち越された。統合を発表した時点の時価総額はマルハニチロが1,300億円ほどで日本水産の1,900億円に及ばず[19]、五十嵐社長は、不良資産と不採算事業の整理が完了したのが2005年3月期であるため財務体質で見劣りするのはやむをえないと述べている。

  • 株高マルハニチロの“変身”(週刊東洋経済 2018年6月9日号)
    • [16]マルハ時代から不採算事業の特別損失を毎年のように計上していた
    • [17]水産商事のサヤ取り主体の収益構造で業績予想が難しく、統合後にアナリストが相次ぎカバレッジをやめた
  • マルハニチロ 統合報告書2019
    • [18]中期経営計画は Double Wave・Challenge toward・Innovation toward の系譜で続いた
  • TOP INTERVIEW 五十嵐勇二 マルハグループ本社社長(週刊東洋経済 2007年1月13日号)
    • [19]統合発表時の時価総額はマルハニチロ1,300億円・日本水産1,900億円で、不良資産と不採算事業の整理完了は2005年3月期

統合した二社は事業の偏りが正反対で、統合発表時点の売上構成比でマルハは水産事業が75%、ニチロは加工食品が61%を占めていた[20]。一方で海外売上比率はマルハが8%、ニチロが9%[21]と、加工食品52%・水産41%の構成に海外比率15%を持つ日本水産に見劣りし、海外の薄さは統合してもそのまま残った。その日本水産は国内市場の縮小をにらんで10年で海外4社を買収し、医薬部門が営業利益の4割を稼ぐまでに育てていた[22]。2006年9月中間期の営業利益率は日本水産の3%に対しマルハが1.7%、ニチロが1.6%[23]で、売上高で二倍に開いた差は利益率では逆になっていた。

  • The Headline ニュース最前線 食品 マルハ・ニチロ統合(週刊東洋経済 2006年12月23日号)
    • [20]売上構成比はマルハが水産75%、ニチロが加工食品61%
    • [21]海外比率はマルハ8%・ニチロ9%で、加工食品52%・水産41%の日本水産の15%を下回った
    • [22]日本水産は10年で海外4社を買収し、医薬部門が営業利益の4割を稼いでいた
    • [23]2006年9月中間期の営業利益率は日本水産3%・マルハ1.7%・ニチロ1.6%
  • 株高マルハニチロの“変身”(週刊東洋経済 2018年6月9日号)
    • [16]マルハ時代から不採算事業の特別損失を毎年のように計上していた
    • [17]水産商事のサヤ取り主体の収益構造で業績予想が難しく、統合後にアナリストが相次ぎカバレッジをやめた
  • マルハニチロ 統合報告書2019
    • [18]中期経営計画は Double Wave・Challenge toward・Innovation toward の系譜で続いた
  • TOP INTERVIEW 五十嵐勇二 マルハグループ本社社長(週刊東洋経済 2007年1月13日号)
    • [19]統合発表時の時価総額はマルハニチロ1,300億円・日本水産1,900億円で、不良資産と不採算事業の整理完了は2005年3月期
  • The Headline ニュース最前線 食品 マルハ・ニチロ統合(週刊東洋経済 2006年12月23日号)
    • [20]売上構成比はマルハが水産75%、ニチロが加工食品61%
    • [21]海外比率はマルハ8%・ニチロ9%で、加工食品52%・水産41%の日本水産の15%を下回った
    • [22]日本水産は10年で海外4社を買収し、医薬部門が営業利益の4割を稼いでいた
    • [23]2006年9月中間期の営業利益率は日本水産3%・マルハ1.7%・ニチロ1.6%

アクリフーズ農薬混入事件と背景にあったグループの落差

2013年12月末、マルハニチロホールディングスは、グループ会社アクリフーズの群馬工場で製造した冷凍食品から農薬マラチオンが検出されたと発表[24]し、約630万パック・販売額で13億円相当の自主回収[25]に追い込まれた。翌2014年1月には同工場でピザ生地の製造に携わっていた契約社員が逮捕され[26]、意図的な混入事件として社会を震撼させた。子どもが冷凍コロッケを8分の1個食べただけで健康に影響しうる高濃度[27]で、群馬工場は生産を止め、夕張工場も大幅な減産に追い込まれた。回収の対象は群馬工場で製造した冷凍食品の全般に及び、発表から2カ月が過ぎても工場は生産を止めたまま、従業員は製品を返送してきた消費者への対応に追われていた[28]

  • マルハニチロ事件の「必然」(週刊東洋経済 2014年3月15日号)
    • [24]2013年12月末 アクリフーズ群馬工場の冷凍食品から農薬マラチオンが検出されたと発表
    • [26]2014年1月に群馬工場でピザ生地を作っていた契約社員が逮捕された
    • [27]子どもが冷凍コロッケを8分の1個食べただけで健康に影響する高濃度で、夕張工場も大幅減産となった
    • [28]発表から約2カ月後も群馬工場は生産を止めたままで、従業員は回収対象製品を返送した消費者への対応に追われていた
  • 日本経済新聞(2013年12月29日)「マルハニチロHD会見『回収、販売額で13億円相当』」
    • [25]自主回収の規模は約630万パック・販売額で13億円相当

アクリフーズは雪印乳業の冷凍食品部門を出自とし、同社の食中毒事件を機に2001年に雪印冷凍食品として独立、2002年に発覚した雪印食品の牛肉偽装事件で「雪印」の名が消えるとアクリフーズへ社名を変え、2003年にニチロの子会社となって[29]2007年の統合でマルハニチロホールディングスのグループへ入った。群馬工場の防犯カメラ5台はいずれも外部からの侵入を防ぐためのもので生産ラインには向いておらず、生産ライン上を含めて最大35台を備えた[30]マルハニチロ食品の工場とは管理体制に差があった。逮捕された容疑者は勤続8年以上のベテランでありながら半年ごとの契約更新を繰り返しており[31]、契約社員が群馬工場の従業員の6割超を占め、初任給で正社員と3割の開きがあった[32]労務の実情も、事件の背景として指摘された。

  • マルハニチロ事件の「必然」(週刊東洋経済 2014年3月15日号)
    • [29]アクリフーズは雪印乳業の冷凍食品部門を出自とし、2001年に雪印冷凍食品として独立、2003年にニチロ子会社、2007年の統合でマルハニチログループに入った
    • [30]群馬工場の防犯カメラは5台で生産ラインに未設置、マルハニチロ食品の工場は最大35台を備えていた
    • [31]逮捕された容疑者は勤続8年以上で半年ごとの契約更新を繰り返していた
    • [32]群馬工場は契約社員が6割超を占め、初任給に正社員と3割の差があった
  • マルハニチロ事件の「必然」(週刊東洋経済 2014年3月15日号)
    • [24]2013年12月末 アクリフーズ群馬工場の冷凍食品から農薬マラチオンが検出されたと発表
    • [26]2014年1月に群馬工場でピザ生地を作っていた契約社員が逮捕された
    • [27]子どもが冷凍コロッケを8分の1個食べただけで健康に影響する高濃度で、夕張工場も大幅減産となった
    • [28]発表から約2カ月後も群馬工場は生産を止めたままで、従業員は回収対象製品を返送した消費者への対応に追われていた
    • [29]アクリフーズは雪印乳業の冷凍食品部門を出自とし、2001年に雪印冷凍食品として独立、2003年にニチロ子会社、2007年の統合でマルハニチログループに入った
    • [30]群馬工場の防犯カメラは5台で生産ラインに未設置、マルハニチロ食品の工場は最大35台を備えていた
    • [31]逮捕された容疑者は勤続8年以上で半年ごとの契約更新を繰り返していた
    • [32]群馬工場は契約社員が6割超を占め、初任給に正社員と3割の差があった
  • 日本経済新聞(2013年12月29日)「マルハニチロHD会見『回収、販売額で13億円相当』」
    • [25]自主回収の規模は約630万パック・販売額で13億円相当

2014年〜 持株会社体制の解消と冷凍食品・海外への集中

Umiosの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2014年 マルハニチロHDなど5社を吸収合併
  2. 2014年 マルハニチロに商号変更
  3. 2014年 東京証券取引所市場第一部に上場
  4. 2018年 社名ロゴを刷新

事業会社と持株会社の一体化、そして品質管理の立て直し

2014年4月、マルハニチロ水産はマルハニチロ株式会社へ商号を改め[33]、親会社のマルハニチロホールディングスとマルハニチロ食品・マルハニチロ畜産・マルハニチロマネジメント・アクリフーズの5社を吸収合併[34]して、事業会社と持株会社を一つの法人にまとめた。持株会社の下に旧2社系の事業会社を並べる体制は、2007年の統合から7年で解消された[35]ことになる。同時に東京証券取引所市場第一部へ上場し[36]、水産・食品を束ねる総合食品会社としての姿が定まった。合併の4カ月前に起きたアクリフーズの農薬混入事件[37]のため、新しいマルハニチロは発足と同時に回収と原因究明を抱えた。

  • マルハニチロ 有価証券報告書【沿革】
    • [33]2014年4月 マルハニチロ株式会社へ商号変更
    • [34]マルハニチロHD・食品・畜産・マネジメント・アクリフーズの5社を吸収合併
    • [35]持株会社体制は2007年の統合から7年で解消された
    • [36]2014年4月 東京証券取引所市場第一部へ上場
  • マルハニチロ事件の「必然」(週刊東洋経済 2014年3月15日号)
    • [37]合併の4カ月前にアクリフーズの農薬混入事件が起きた

農薬混入事件では社長が辞任し[38]、品質管理体制の立て直しが新会社の最初の仕事になった。2014年4月に社長へ就いた伊藤滋氏は、5年後の取材で「今では品質管理でトップクラスと自負できるまで水準が向上した。不採算事業整理も進み、前向きに経営できる態勢になった」(週刊東洋経済 2019年5月18日号)と語っている。伊藤社長は1972年に大洋漁業へ入社し、2001年にマルハ取締役、2007年にマルハニチロホールディングス取締役・専務執行役員を経て2010年に副社長[40]を務めた生え抜きで、事件後の立て直しは旧マルハの現場を知る経営者に託された。 [39]

  • 株高マルハニチロの“変身”(週刊東洋経済 2018年6月9日号)
    • [38]農薬混入事件で社長が辞任した
  • トップに直撃 マルハニチロ 社長 伊藤滋(週刊東洋経済 2019年5月18日号)
    • [39]伊藤滋社長は事件から5年後の取材で品質管理がトップクラスの水準へ向上し不採算事業整理も進んだと述べた
    • [40]伊藤滋は1972年に大洋漁業入社、2001年マルハ取締役、2007年マルハニチロHD取締役・専務執行役員、2010年副社長、2014年4月から社長
  • マルハニチロ 有価証券報告書【沿革】
    • [33]2014年4月 マルハニチロ株式会社へ商号変更
    • [34]マルハニチロHD・食品・畜産・マネジメント・アクリフーズの5社を吸収合併
    • [35]持株会社体制は2007年の統合から7年で解消された
    • [36]2014年4月 東京証券取引所市場第一部へ上場
  • マルハニチロ事件の「必然」(週刊東洋経済 2014年3月15日号)
    • [37]合併の4カ月前にアクリフーズの農薬混入事件が起きた
  • 株高マルハニチロの“変身”(週刊東洋経済 2018年6月9日号)
    • [38]農薬混入事件で社長が辞任した
  • トップに直撃 マルハニチロ 社長 伊藤滋(週刊東洋経済 2019年5月18日号)
    • [39]伊藤滋社長は事件から5年後の取材で品質管理がトップクラスの水準へ向上し不採算事業整理も進んだと述べた
    • [40]伊藤滋は1972年に大洋漁業入社、2001年マルハ取締役、2007年マルハニチロHD取締役・専務執行役員、2010年副社長、2014年4月から社長

冷凍食品とブランド統一、そして株式市場の再評価

再生の道筋は冷凍食品と海外に置かれ、2018年3月5日に発表した中期経営計画は、冷凍食品などの加工事業と豪州・北米を中心とする海外事業を強化して2022年3月期に売上高1兆円・営業利益310億円を目指すものだった[41]。2018年3月期の実績は売上高9,188億円・営業利益245億円で、成長領域への485億円を含む1,100億円の投資[42]を計画に置いた。4月には社名ロゴを刷新し、「マルハ」「あけぼの」「アクリ」に分かれていた商品ブランドも同年秋からマルハニチロへ順次統一する方針を決めた[43]。国内の冷凍食品生産量が過去最高を更新するなか、マルハニチロはニチレイと並ぶ国内最大手[44]として市場の拡大を取り込む位置にいた。

  • 株高マルハニチロの“変身”(週刊東洋経済 2018年6月9日号)
    • [41]2018年3月5日発表の中期経営計画は2022年3月期に売上高1兆円・営業利益310億円を目標とした
    • [42]2018年3月期の実績は売上高9,188億円・営業利益245億円、投資計画は成長領域485億円を含む1,100億円
    • [43]2018年4月に社名ロゴを刷新し、同年秋から商品ブランドをマルハニチロへ順次統一
    • [44]国内の冷凍食品生産量は過去最高を更新し、マルハニチロはニチレイと並ぶ国内トップメーカーだった

株式市場の評価も戻り、株価は2018年2月末の終値3,160円から5月18日には一時4,230円まで上げて上場来高値をつけた[45]。証券会社では2017年9月にカバレッジを開始した岡三証券が目標株価を4,100円へ引き上げている[46]。自己資本比率が2割を超えるなど財務体質の改善にも一定の目処がつき[47]、かつて「アナリスト泣かせ」(週刊東洋経済 2018年6月9日号)と呼ばれた会社の評価は、特別損失の減少とともに変わった。水産物取扱量では世界最大規模を持ち[48]、漁獲・買い付けから加工・販売までを一貫して抱える構造から、中国企業の買収対象として狙われるのではないかという観測まで市場に出た。

  • 株高マルハニチロの“変身”(週刊東洋経済 2018年6月9日号)
    • [45]株価は2018年2月末3,160円から5月18日に一時4,230円の上場来高値をつけた
    • [46]岡三証券が2017年9月にカバレッジを開始し目標株価を4,100円へ引き上げた
    • [47]自己資本比率が2割を超え財務体質の改善に一定の目処がついた
    • [48]水産物取扱量で世界最大規模を持ち、買収対象として狙われるとの観測が市場に出ていた

2019年5月、伊藤社長は成長の方向を「今後は攻め。世界で加工して世界で売る」(週刊東洋経済 2019年5月18日号)と説明した。国内では魚介類の需要が2009年に肉に逆転されて減り続け、漁獲量はピークの3分の1近くまで落ち、輸入も買い負けでピークから約4割減っていた[50]。国内の供給不足が続く一方で世界の需要は人口増から拡大するという読みに立ち、北米やオセアニアで押さえた漁業権をサケ・エビ・白身魚へ広げ、原料を国内外のグループ内で加工して最終商品として世界の市場で売る総合食品企業[51]を目指した。トップシェアのサバ缶は2018年の売上が前年から5割増え[52]、健康を軸にした加工食品の伸びが国内の魚離れを部分的に埋めた。 [49]

  • トップに直撃 マルハニチロ 社長 伊藤滋(週刊東洋経済 2019年5月18日号)
    • [49]伊藤滋社長は成長の方向を「今後は攻め。世界で加工して世界で売る」と説明した
    • [50]国内の魚介類需要は2009年に肉に逆転され、漁獲量はピークの3分の1近く、輸入もピークから約4割減
    • [51]北米・オセアニアの漁業権をサケ・エビ・白身魚へ広げ、自社グループ内で加工して世界で売る一気通貫型を目指した
    • [52]サバ缶の売上は2018年に前年から5割増えた
  • 株高マルハニチロの“変身”(週刊東洋経済 2018年6月9日号)
    • [41]2018年3月5日発表の中期経営計画は2022年3月期に売上高1兆円・営業利益310億円を目標とした
    • [42]2018年3月期の実績は売上高9,188億円・営業利益245億円、投資計画は成長領域485億円を含む1,100億円
    • [43]2018年4月に社名ロゴを刷新し、同年秋から商品ブランドをマルハニチロへ順次統一
    • [44]国内の冷凍食品生産量は過去最高を更新し、マルハニチロはニチレイと並ぶ国内トップメーカーだった
    • [45]株価は2018年2月末3,160円から5月18日に一時4,230円の上場来高値をつけた
    • [46]岡三証券が2017年9月にカバレッジを開始し目標株価を4,100円へ引き上げた
    • [47]自己資本比率が2割を超え財務体質の改善に一定の目処がついた
    • [48]水産物取扱量で世界最大規模を持ち、買収対象として狙われるとの観測が市場に出ていた
  • トップに直撃 マルハニチロ 社長 伊藤滋(週刊東洋経済 2019年5月18日号)
    • [49]伊藤滋社長は成長の方向を「今後は攻め。世界で加工して世界で売る」と説明した
    • [50]国内の魚介類需要は2009年に肉に逆転され、漁獲量はピークの3分の1近く、輸入もピークから約4割減
    • [51]北米・オセアニアの漁業権をサケ・エビ・白身魚へ広げ、自社グループ内で加工して世界で売る一気通貫型を目指した
    • [52]サバ缶の売上は2018年に前年から5割増えた

2020年〜 完全養殖クロマグロ、売上高1兆円、そしてUmiosへ

Umiosの業績推移:連結

売上高(億円)純利益率(%)
  1. 2020年 池見賢氏が社長に就任
  2. 2021年 北米ピーターパンシーフーズの鮭鱒事業を譲渡し撤退
  3. 2022年 中期経営計画「海といのちの未来をつくるMNV2024」を開始
  4. 2022年 養殖子会社6社をマルハニチロAQUAとマルハニチロMarineの2社に統合
  5. 2022年 プライム市場に移行
  6. 2023年 売上高が経営統合以来初めて1兆円を超える
  7. 2024年 マルハニチロアセットを吸収合併

池見体制の再定義と経営統合以来初の売上高1兆円

2020年4月、池見賢氏が社長に就任した[53]。2021年の統合報告書では存在意義を「世界一の水産会社」と再定義し[54]、経済価値だけではない価値の創造へ経営の物差しを置き直している。中期経営計画は「Innovation toward 2021」から、2022年度を初年度とする「海といのちの未来をつくるMNV2024」へ引き継がれた[55]。組織の側では2021年に北米ピーターパンシーフーズの鮭鱒事業を譲渡して撤退し[56]、北米・欧州とアジア・オセアニアに分かれていた海外の担当ユニットを一つにまとめ、漁業・養殖・商事・海外に分けていたセグメントも束ね直した。

  • マルハニチロ 統合報告書2020
    • [53]2020年4月に池見賢が社長に就任した
  • マルハニチロ 統合報告書2021
    • [54]2021年の統合報告書でパーパス「世界一の水産会社」を再定義した
  • マルハニチロ 統合報告書2022
    • [55]中期経営計画は Innovation toward 2021 から2022年度初年度の「海といのちの未来をつくるMNV2024」へ引き継がれた
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2021年5月27日
    • [56]2021年に北米ピーターパンシーフーズの鮭鱒事業を譲渡して撤退し、海外ユニットとセグメントを統合した

業績は2020年代に入って伸び、2023年3月期の売上高は1兆205億円と経営統合以来初めて1兆円を超え、営業利益296億円[57]・親会社株主に帰属する当期純利益186億円をあげた。欧州で買収した子会社の通期寄与に加え、北米の冷凍食品会社への出資や三菱商事との合弁で海外を厚くし、2024年3月には紀文食品と資本業務提携を結んでいる[58]。2025年3月期は売上高1兆786億円・営業利益304億円・純利益233億円[59]となり、営業利益は経営統合以降で最高を更新し、EBITDAやROICなど前中期経営計画に掲げた指標もすべて達成した[60]

  • マルハニチロ 決算説明会資料 2023年5月24日
    • [57]2023年3月期に売上高1兆205億円で経営統合以来初めて1兆円を超え、営業利益296億円・純利益186億円
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2024年5月17日
    • [58]北米冷凍食品会社への出資・三菱商事との合弁・2024年3月の紀文食品との資本業務提携で事業を広げた
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2025年5月15日
    • [59]2025年3月期は売上高1兆786億円・営業利益304億円・純利益233億円で、営業利益は統合以降で最高
    • [60]EBITDAやROICなど前中期経営計画に掲げた指標をすべて達成した
  • マルハニチロ 統合報告書2020
    • [53]2020年4月に池見賢が社長に就任した
  • マルハニチロ 統合報告書2021
    • [54]2021年の統合報告書でパーパス「世界一の水産会社」を再定義した
  • マルハニチロ 統合報告書2022
    • [55]中期経営計画は Innovation toward 2021 から2022年度初年度の「海といのちの未来をつくるMNV2024」へ引き継がれた
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2021年5月27日
    • [56]2021年に北米ピーターパンシーフーズの鮭鱒事業を譲渡して撤退し、海外ユニットとセグメントを統合した
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2023年5月24日
    • [57]2023年3月期に売上高1兆205億円で経営統合以来初めて1兆円を超え、営業利益296億円・純利益186億円
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2024年5月17日
    • [58]北米冷凍食品会社への出資・三菱商事との合弁・2024年3月の紀文食品との資本業務提携で事業を広げた
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2025年5月15日
    • [59]2025年3月期は売上高1兆786億円・営業利益304億円・純利益233億円で、営業利益は統合以降で最高
    • [60]EBITDAやROICなど前中期経営計画に掲げた指標をすべて達成した

完全養殖クロマグロと、育てる漁業の採算

養殖はマルハニチロが先行した領域で、クロマグロの種苗開発チームを発足させて種苗生産試験に入ったのはマルハ時代の1987年であった[61]。1996年に一度中断し、2006年に再開したときの生存率は0.1%未満だったが[62]、その2006年に生産した種苗が産卵に成功して稚魚・成魚・親魚へ育ち、2010年に民間で初めて完全養殖クロマグロを実現している[63]。生存率はその後3%程度まで上がり、2022年4月には養殖子会社6社を[64]マルハニチロAQUAとマルハニチロMarineの2社へ統合した。2024年3月期のグループの養殖クロマグロ生産量は4,200トンで、国内シェアの3割弱を占めて首位[65]に立つ。

  • 【特集 全解剖 日本の魚ビジネス】マルハニチロのクロマグロは人工ふ化から育った完全養殖だった(週刊東洋経済 2024年6月1日号)
    • [61]クロマグロの種苗開発チーム発足と種苗生産試験の開始は1987年
    • [62]1996年に中断、2006年再開時の生存率は0.1%未満で、2010年に民間初の完全養殖クロマグロを実現
    • [63]2010年に民間で初めて完全養殖クロマグロを実現した
    • [64]生存率は3%程度まで上がり、2022年4月に養殖子会社6社をマルハニチロAQUAとマルハニチロMarineの2社へ統合した
    • [65]2024年3月期の養殖クロマグロ生産量は4,200トンで国内シェア3割弱の首位

もっとも採算の水準は高くなく、2024年3月期の養殖部門はカンパチやブリを含めて売上高160億円・営業利益7億円[66]で、翌期は飼料価格の高騰とブリ相場の下落から4億円へ減る見込みだった。完全養殖は卵から育てるぶん出荷までに約4年かかり[67]、天然の種苗を使う養殖よりコストがかさむ。奄美事業所では引き上げの際に電気スタニングで気絶させ、完全養殖ではワクチンを100%接種するなど動物福祉に沿った育て方を採り、従業員98人の9割を地元の瀬戸内町で採用している[68]。育てる領域への投資はクロマグロにとどまらず、サーモンの陸上養殖を手がけるアトランドへは追加出資を行った[69]

  • 【特集 全解剖 日本の魚ビジネス】マルハニチロのクロマグロは人工ふ化から育った完全養殖だった(週刊東洋経済 2024年6月1日号)
    • [66]2024年3月期の養殖部門は売上高160億円・営業利益7億円で、翌期は4億円へ減益見込み
    • [67]完全養殖は出荷までに約4年かかり天然の種苗を使う養殖よりコストがかさむ
    • [68]奄美事業所の従業員98人のうち9割が瀬戸内町での採用で、完全養殖ではワクチンを100%接種している
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2024年5月17日
    • [69]サーモン陸上養殖のアトランドへ追加出資した
  • 【特集 全解剖 日本の魚ビジネス】マルハニチロのクロマグロは人工ふ化から育った完全養殖だった(週刊東洋経済 2024年6月1日号)
    • [61]クロマグロの種苗開発チーム発足と種苗生産試験の開始は1987年
    • [62]1996年に中断、2006年再開時の生存率は0.1%未満で、2010年に民間初の完全養殖クロマグロを実現
    • [63]2010年に民間で初めて完全養殖クロマグロを実現した
    • [64]生存率は3%程度まで上がり、2022年4月に養殖子会社6社をマルハニチロAQUAとマルハニチロMarineの2社へ統合した
    • [65]2024年3月期の養殖クロマグロ生産量は4,200トンで国内シェア3割弱の首位
    • [66]2024年3月期の養殖部門は売上高160億円・営業利益7億円で、翌期は4億円へ減益見込み
    • [67]完全養殖は出荷までに約4年かかり天然の種苗を使う養殖よりコストがかさむ
    • [68]奄美事業所の従業員98人のうち9割が瀬戸内町での採用で、完全養殖ではワクチンを100%接種している
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2024年5月17日
    • [69]サーモン陸上養殖のアトランドへ追加出資した

Umiosへの改称と海と健康へ向かう次の3年

2026年3月、マルハニチロは社名をUmios株式会社へ改めた[70]。海を意味する言葉を冠した新社名は、水産を核としながら健康価値の創造と持続可能性を前面に置く長期ビジョンの表明で、10年後を見据えた長期経営ビジョンとあわせて公表された[71]。改称にさきだつ2025年3月期の決算説明では、次の中期経営計画で営業利益400億円を掲げるとともにコーポレートアイデンティティの変更に着手する[72]と説明しており、社名の変更はその一環にあたる。欧州では地域の事情に通じた企業を買収して連結子会社に加え[73]、海外での販売と加工の足場を厚くした。

  • マルハニチロ 有価証券報告書【沿革】
    • [70]2026年3月 マルハニチロがUmios株式会社へ商号変更
  • Umios 統合報告書2025
    • [71]社名変更の意義を健康価値創造と持続可能性に置き、10年後を見据えた長期ビジョンとあわせて公表した
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2025年5月15日
    • [72]2025年3月期の決算説明で次期中計に営業利益400億円を掲げ、CI変更に着手すると説明した
    • [73]欧州で地域に精通した企業を買収して連結子会社化した

改称と同時に、2026年3月期を初年度とする中期経営計画「For the ocean, for life 2027」が始まった[74]。この計画のもとで漁業の不採算事業からの撤退や北米生産拠点の統合といった構造改革[75]を進め、改称後はじめての通期となった2026年3月期には、政策保有株式の縮減と不動産の売却で特別利益115億円を計上している[76]。株主還元では配当性向30%以上の累進配当を掲げ、期末配当を28円へ増やした[77]。2025年度からは池見氏が代表取締役会長・最高経営責任者、安田大助氏が代表取締役社長執行役員・最高執行責任者を務める体制へ移り[78]、国内加工食品の生産拠点の見直しを中期経営計画の期間内の課題に挙げている[79]

  • Umios 統合報告書2025
    • [74]2026年3月期を初年度とする中期経営計画「For the ocean, for life 2027」が始まった
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2026年5月15日
    • [75]中計のもとで漁業の不採算事業撤退や北米生産拠点の統合を進めている
    • [76]2026年3月期に政策保有株式の縮減と不動産売却で特別利益115億円を計上
    • [77]配当性向30%以上の累進配当を掲げ期末配当を28円へ増配
  • Umios 2026年3月期決算説明会 質疑応答要旨(2026年5月15日)
    • [78]2025年度から池見賢が代表取締役会長CEO、安田大助が代表取締役社長執行役員COO
    • [79]国内加工食品の生産拠点の見直しを中期経営計画の期間内の課題に挙げた
  • マルハニチロ 有価証券報告書【沿革】
    • [70]2026年3月 マルハニチロがUmios株式会社へ商号変更
  • Umios 統合報告書2025
    • [71]社名変更の意義を健康価値創造と持続可能性に置き、10年後を見据えた長期ビジョンとあわせて公表した
    • [74]2026年3月期を初年度とする中期経営計画「For the ocean, for life 2027」が始まった
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2025年5月15日
    • [72]2025年3月期の決算説明で次期中計に営業利益400億円を掲げ、CI変更に着手すると説明した
    • [73]欧州で地域に精通した企業を買収して連結子会社化した
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2026年5月15日
    • [75]中計のもとで漁業の不採算事業撤退や北米生産拠点の統合を進めている
    • [76]2026年3月期に政策保有株式の縮減と不動産売却で特別利益115億円を計上
    • [77]配当性向30%以上の累進配当を掲げ期末配当を28円へ増配
  • Umios 2026年3月期決算説明会 質疑応答要旨(2026年5月15日)
    • [78]2025年度から池見賢が代表取締役会長CEO、安田大助が代表取締役社長執行役員COO
    • [79]国内加工食品の生産拠点の見直しを中期経営計画の期間内の課題に挙げた

Umiosの沿革2007〜2026年における主な出来事を抜粋

年月社長・CEO出来事重要度
マルハグループ本社とニチロの経営統合、マルハニチロホールディングスの発足縮む市場と減る資源を前に、五十嵐勇二社長はなぜ水産一位と三位の統合を選んだか 詳細を読む★★★
ニチロを株式交換により完全子会社化★★
マルハグループ本社がマルハニチロHDに商号変更
事業会社のマルハがマルハニチロ水産に商号変更
食品事業をマルハニチロ食品に、畜産事業をマルハニチロ畜産に吸収分割で承継
子会社の神港魚類による中国産ウナギの産地偽装が発覚★★
民間で初めてクロマグロの完全養殖を実現★★
伊藤滋アクリフーズ農薬混入事件への危機対応と、純粋持株会社体制の解消・グループ6社の事業会社マルハニチロへの合併意図的な農薬混入という異常事態に、発足間もない総合食品グループは統制の緩さをどう立て直そうとしたか 詳細を読む★★★
伊藤滋アクリフーズ製品の大規模な自主回収を実施★★
伊藤滋マルハニチロに商号変更
伊藤滋マルハニチロHDなど5社を吸収合併★★
伊藤滋東京証券取引所市場第一部に上場
伊藤滋社名ロゴを刷新
池見賢池見賢氏が社長に就任★★
池見賢北米ピーターパンシーフーズの鮭鱒事業を譲渡し撤退
池見賢中期経営計画「海といのちの未来をつくるMNV2024」を開始
池見賢養殖子会社6社をマルハニチロAQUAとマルハニチロMarineの2社に統合
池見賢プライム市場に移行
池見賢売上高が経営統合以来初めて1兆円を超える★★
池見賢マルハニチロアセットを吸収合併
Umiosに商号変更
出典・参考
  • マルハニチロ 有価証券報告書【沿革】
  • The Headline ニュース最前線 食品 マルハ・ニチロ統合(週刊東洋経済 2006年12月23日号)
  • スペシャルリポート マルハニチロ子会社も関与 国産ウナギ偽装と水産業界の「闇」(週刊東洋経済 2008年7月12日号)
  • このひとに5つの質問 五十嵐勇二 マルハニチロホールディングス社長(週刊東洋経済 2008年8月2日号)
  • 株高マルハニチロの“変身”(週刊東洋経済 2018年6月9日号)
  • マルハニチロ 統合報告書2019
  • TOP INTERVIEW 五十嵐勇二 マルハグループ本社社長(週刊東洋経済 2007年1月13日号)
  • マルハニチロ事件の「必然」(週刊東洋経済 2014年3月15日号)
  • 日本経済新聞(2013年12月29日)「マルハニチロHD会見『回収、販売額で13億円相当』」
  • トップに直撃 マルハニチロ 社長 伊藤滋(週刊東洋経済 2019年5月18日号)
  • マルハニチロ 統合報告書2020
  • マルハニチロ 統合報告書2021
  • マルハニチロ 統合報告書2022
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2021年5月27日
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2023年5月24日
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2024年5月17日
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2025年5月15日
  • 【特集 全解剖 日本の魚ビジネス】マルハニチロのクロマグロは人工ふ化から育った完全養殖だった(週刊東洋経済 2024年6月1日号)
  • Umios 統合報告書2025
  • マルハニチロ 決算説明会資料 2026年5月15日
  • Umios 2026年3月期決算説明会 質疑応答要旨(2026年5月15日)

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