第1章 年〜年

U-NEXT HOLDINGS:大阪有線放送社の創業から借金800億円継承までの父子経営

1985年〜違法電柱工事から始めた有線放送事業と逮捕の代償

大阪有線放送社の創業は、宇野元忠氏が飲食店で目にした非効率の着想に発する。店内の音楽が終わるたびに横のホステスが席を立ってレコードを替える様子から、レコード操作を一カ所で集中代行すれば効率的だと考えたのが事業の発端で、1961年6月に大阪市で個人事業として2チャンネル方式の有線音楽放送を開始した。場所を取り客層に合わない曲が流れがちなジュークボックスや、店に押しかける流しの弾き語りを断る口実としても有線放送は飲食店に歓迎され、加入軒数は開業から1か月で100軒、半年で300軒、1年で500軒を超えた。1964年の法人化時点で3000軒、1966年には1万軒に達し、発足当初は加入者の9割超を飲食店が占めた。新譜を最も早く広範囲に流せる有線放送は"新人歌手のテスト市場"として機能し、森進一・千昌夫・青江美奈ら有線がきっかけで売れた歌手を相次いで生んだ。

  • あさひ銀総合研究所『ユニーク企業の経営哲学 第2巻』(栄光出版社, 1994年3月)
    • [1]創業者は宇野元忠氏(後のUSEN初代社長)
  • USEN-NEXT HOLDINGS 有価証券報告書【沿革】
    • [2]1961年6月 宇野元忠氏が大阪有線放送社を個人創業(2チャンネル方式の有線音楽放送を開始)
  • あさひ銀総合研究所 編『ユニーク企業の経営哲学 第2巻』栄光出版社(1994年3月)
    • [3]創業の着想(飲食店で音楽終了のたびホステスがレコードを替える非効率→集中代行が効率的)/ジュークボックス・流し対策としての導入
    • [4]初期加入軒数(開業1か月100軒→半年300軒→1年500軒→1964法人化3000軒→1966年1万軒)・発足当初は飲食店が9割超
    • [5]有線放送が「新人歌手のテスト市場」として機能(森進一・千昌夫・青江美奈ら有線発のヒット歌手)

宇野元忠氏の事業拡大は"先手必勝"を旨とし、やがて伸びると見込んだ都市へ先行投資的に放送所を置く戦略で全国網を築いた。人口30万以下の都市への進出は無駄と言われたが、同氏は人口が1万あれば十分と考え、スケールメリットを重視して放送所を量産し、1か月で10か所を開設したことも離れ島に敷設したこともあった。東京では当初、環状線の内側にしか有線放送がなく、1970年代後半に春日部・所沢へ放送所を置いて周辺を固めたうえで、1977年に中央部への本格進出を開始し、1983年7月に渋谷へ東京本部を開設した。大半の業者が有線を飲食店相手の商売とみなすなか、同社は水商売以外へ市場を広げるべく学卒採用と人材育成を進めた。この先行投資型の全国敷設は電柱に無断でケーブルを張る無断使用工法と表裏一体で、許認可を取らない工事は1977年衆議院逓信委員会で問題視され、郵政省の告発を経て1985年8月20日に有線ラジオ法違反で宇野元忠社長ほか幹部が逮捕された。総延長2万4000kmの道路不法占用、240万本の電柱無断使用が明るみに出て、年換算で道路使用料5億円・電柱使用料15億円の未払いが認定された。事業の急成長は、先行投資型の全国網構築と、法令違反の対価として獲得した競争優位の上に立っていた。

  • あさひ銀総合研究所 編『ユニーク企業の経営哲学 第2巻』栄光出版社(1994年3月)
    • [6]「先手必勝」・先行投資型の全国網構築(人口1万でも放送所・1か月10か所・離れ島にも敷設)
    • [7]東京進出(環状線内側のみ→1970年代後半 春日部・所沢→1977年 中央部本格進出→1983年7月 渋谷に東京本部)※昭和52年=1977・昭和58年=1983に換算
  • USEN社史
    • [8]1985年8月20日 有線ラジオ法違反で宇野元忠社長ほか幹部が逮捕
  • 1977年衆議院逓信委員会議事録
    • [9]許認可を取らない工事が1977年衆議院逓信委員会で問題視(旧本文の『電気通信事業法上の許認可』は当時の規律=有線放送業務関連法・道路占用/電柱使用に照らし不正確なため『許認可を取らない工事』へ修正)
    • [10]逮捕時に道路総延長2万4000km不法占用・電柱240万本無断使用、年換算で道路使用料5億円・電柱使用料15億円の未払い

1994年に同社は関係正常化宣言を出し、ケーブル新設時には電力会社・NTTから事前許可を取る方針へ転換した。2000年4月には過去の電柱使用料の遡及清算が完了し、郵政省へ有線放送ラジオ事業者として届出を受理された。法令違反期の40年間で築いた店舗顧客網と全国敷設インフラは、許認可下の正規事業者として再出発した時点でも商業有線放送の国内シェア最大の位置を残した。同社の顧客基盤は飲食店・サービス業の店舗オーナーで、月額契約を続けるリピート顧客が経営の安定収入源となり、後年のUSEN-NEXT HOLDINGSが"830万事業者の顧客接点"と呼ぶグループ営業資産の出発点になった。

  • USEN沿革(公式IR)
    • [11]1994年 関係正常化宣言、2000年4月 電柱使用料の遡及清算完了・郵政省へ有線放送ラジオ事業者として届出受理
参考文献[1]-[11]
  • あさひ銀総合研究所『ユニーク企業の経営哲学 第2巻』(栄光出版社, 1994年3月)
    • [1]創業者は宇野元忠氏(後のUSEN初代社長)
  • USEN-NEXT HOLDINGS 有価証券報告書【沿革】
    • [2]1961年6月 宇野元忠氏が大阪有線放送社を個人創業(2チャンネル方式の有線音楽放送を開始)
  • あさひ銀総合研究所 編『ユニーク企業の経営哲学 第2巻』栄光出版社(1994年3月)
    • [3]創業の着想(飲食店で音楽終了のたびホステスがレコードを替える非効率→集中代行が効率的)/ジュークボックス・流し対策としての導入
    • [4]初期加入軒数(開業1か月100軒→半年300軒→1年500軒→1964法人化3000軒→1966年1万軒)・発足当初は飲食店が9割超
    • [5]有線放送が「新人歌手のテスト市場」として機能(森進一・千昌夫・青江美奈ら有線発のヒット歌手)
    • [6]「先手必勝」・先行投資型の全国網構築(人口1万でも放送所・1か月10か所・離れ島にも敷設)
    • [7]東京進出(環状線内側のみ→1970年代後半 春日部・所沢→1977年 中央部本格進出→1983年7月 渋谷に東京本部)※昭和52年=1977・昭和58年=1983に換算
  • USEN社史
    • [8]1985年8月20日 有線ラジオ法違反で宇野元忠社長ほか幹部が逮捕
  • 1977年衆議院逓信委員会議事録
    • [9]許認可を取らない工事が1977年衆議院逓信委員会で問題視(旧本文の『電気通信事業法上の許認可』は当時の規律=有線放送業務関連法・道路占用/電柱使用に照らし不正確なため『許認可を取らない工事』へ修正)
    • [10]逮捕時に道路総延長2万4000km不法占用・電柱240万本無断使用、年換算で道路使用料5億円・電柱使用料15億円の未払い
  • USEN沿革(公式IR)
    • [11]1994年 関係正常化宣言、2000年4月 電柱使用料の遡及清算完了・郵政省へ有線放送ラジオ事業者として届出受理

出典・参考

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出典・参考
  • USEN-NEXT HOLDINGS 有価証券報告書【沿革】
  • USEN社史
  • あさひ銀総合研究所『ユニーク企業の経営哲学 第2巻』(栄光出版社, 1994年3月)
  • あさひ銀総合研究所 編『ユニーク企業の経営哲学 第2巻』栄光出版社(1994年3月)
  • 1977年衆議院逓信委員会議事録
  • USEN沿革(公式IR)

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