シスメックス 機器・試薬セット販売 装置単体ではなく「計数結果を売る会社」への業態の設計
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何をなぜ決めたか
- 概要
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血球計数器を国産化した東亞医用電子(現シスメックス)が、機器を売り切るのではなく、機器(ハード)と専用試薬(消耗品)をセットで売り、据え置き後も検査のたびに試薬が継続して売れる"計数結果を売る会社"へと業態を設計した判断。今日の高収益・リカーリングモデルの型である。
- 背景
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血球計数という検査は、装置だけでは成り立たず、血液を希釈・溶血させる専用試薬が要る。国産化で国内首位に立っても、機器を一度売れば終わりの売り切りでは、4〜5年ごとの買い替えと価格競争に業績が左右された。
- 内容
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希釈液・溶血剤・洗浄剤などの試薬や検体容器を自前で商品化し、機器と消耗品をひと組で販売。一県一代理店制でメーカーが保守と試薬供給に直接あたり、試薬の専用工場を構えて装置と消耗品の双方を内製した。自社ブランドSysmexで押し通した。
- 含意
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装置を売る会社ではなく、その装置が生む"計数結果"を継続して売る会社と自らを定義した。据え置き後7〜8年は試薬が売れる収益の型が、神戸の中堅を世界首位級の高収益企業に育てる基盤となった。
いつ何が起きたか 5件
筆者の見解
装置ではなく、結果を販売する
この判断の芯は、自社を何を売る会社と定義したかにある。血球計数器のメーカーであれば、より速く正確な装置を作って売ることに向かうのが自然である。だが東亞医用電子は、装置そのものより、その装置が生む"計数結果"を売る会社だと自らを定義した。機器を入口に、試薬という消耗品で継続して稼ぐこの型は、装置単体の性能競争から一歩引いた場所に事業の重みを置く選択であったと思われる。
消耗品で継続課金する仕組みは、今日ではサブスクリプションの名で広く知られる。だが血液検査という、装置と専用試薬が分かちがたい領域で、創業まもない中堅がこの型を早くから徹したことの意味は小さくない。売り切りの規模を追うより、使われ続ける関係から稼ぐ——シスメックスが世界で選ばれ続ける利益体質の原点は、この地味な業態の選びにあったといえる。
Yutaka Sugiura, 2026年7月
業績の推移
同じ問いに直面した会社
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参考文献
- 毎日新聞大阪本社経済部編『シェア第一位 小さなガリバー』(毎日新聞社・1985年)
- 日刊工業新聞神戸支局編『Key persons Kobe 神戸の経営者群像』(日刊工業新聞社・1991年)
- 矢野経済研究所『注目ME機器の企業戦略と医療環境の徹底分析』(1982年)
- シスメックス 有価証券報告書【沿革・2025年3月期(連結・IFRS)】