古河電工と汎用電線統合(2019年・SWCCの決断)更新:2026/07/24論点資本コスト割れの事業を整理するかSWCC:業績の推移売上高(億円)営業利益率(%)ROIC を経営指標に据えたことによる低資本効率事業の整理何をなぜ決めたか:ROIC を経営指標に据えたことによる低資本効率事業の整理概要2019年春、昭和電線ホールディングスの長谷川隆代社長が事業をセグメント制へ改編し、ROIC(投下資本利益率)を経営指標として導入した経営判断。事業別のROICと資本コストを突き合わせ、黒字でも資本コストを下回る事業を縮小・撤退の対象とした。同年6月には古河電気工業と汎用電線の販売事業を統合すると発表している。背景2004年3月期以降に四度の最終赤字を計上し、黒字の年も利益率は1%程度にとどまっていた。内容セグメント制と指名委員会・報酬委員会の設置、相談役制度の廃止、監査等委員会設置会社への移行を同時に進め、事業別ROICと事業別WACCの差を各事業に徹底した。建設・電販市場向け汎用電線は古河電工との共同出資会社SFCCへ販売機能を移し、昭和電線HDが60%、古河電工が40%を出資した。含意利益の絶対額ではなく投下資本に対する見返りで事業を測る枠組みが、創業以来の商域である汎用電線にも当てられた。SFCCは2022年に製造まで取り込み、出資比率は80対20へ、2026年3月末にはSWCCの完全子会社となる方針が示されている。いつ何が起きたか7件考察:物差しを替えるということ考察考察:物差しを替えるということ長谷川隆代社長が替えたのは事業の顔ぶれではなく、事業を測る物差しであった。電線の付加価値は低くて当然という社内の受け止めに対し、稼ぐのにいくら使ったかを問うROICを持ち込み、黒字であっても資本コストを賄えない事業は撤退する基準に改めている。創業以来の商域である汎用電線の販売を、競合の古河電気工業と一つにするところまで進めた点に、その徹底が表れているだろう。ただし、指標を軸にした経営には縮小均衡の危うさがついて回る。古河電工と分け合った汎用電線も、2026年3月末には持ち分をすべて買い取って自前へ戻す。物差しを替える判断は一度で終わらず、当てる対象が変わるたびに引き直しを迫られるとみられる。Yutaka Sugiura, 2026年7月参考文献参考文献参考SWCC「建設・電販市場向け汎用電線の製造事業統合完了に関するお知らせ」(2022年7月1日)SWCC 公式サイト「SWCCの歩み」SWCC グループレポート統合報告書2025昭和電線ホールディングス 有価証券報告書(2016年3月期・連結)昭和電線ホールディングス 有価証券報告書(2020年3月期・連結)次に読む決断SWCCの意思決定2011年SWCCSWCC中国・富通集団と資本提携第三者割当増資による筆頭株主の交代と、業務面にまで及ぶ協業2011年2023年SWCCSWCC商号をSWCCに変更純粋持株会社体制の解消と、旧社名を捨てた事業会社への回帰2023年同じ問い:集中のための事業売却2022年名村造船所名村造船所佐世保重工業の新造船休止子会社の新造船からの撤収と、伊万里への造船機能の集約2022年2023年東急不動産HD東急不動産HD東急ハンズなど非中核譲渡抜本的再構築による非中核事業の一斉譲渡(ゴルフ場・スキー場・フィットネス)2023年2002年岩谷産業岩谷産業戸建住宅撤退と水素ステーション規模を追う経営からの決別と、収益源を水素へ転換する先行投資2002年1999年名古屋鉄道名古屋鉄道名鉄グループ新中期経営計画と不採算事業整理赤字の観光・流通子会社からの撤退と損失の一括計上による財務再建1999年1992年ハウス食品グループ本社ハウス食品グループ本社チルド食品事業の撤退低シェア事業は持たないという方針に沿った全面撤退1992年×出所