この改革でアルバックが手放したものは、はっきりしている。国内グループの1割にあたる人員、大型テレビ用パネル向けの装置事業、マテリアル事業の不採算な製品と取引、そして周辺の子会社である。2年で300億円強の特別損失を一度に飲み込み、自己資本比率が14.8%まで低下したところを優先株150億円で支えた手当ては、資本市場の助けを借りて時間を買う選択にあたる。創立から60年、初めての事業構造改革という表現が有価証券報告書に残っている点に、この会社にとっての例外性がうかがえる。
興味深いのは、削っていた年に次の収益源の種が播かれていたことである。ロジック半導体向け装置の開発が顧客の打診から始まったのは2012年で、希望退職を募集し274億円の特別損失を計上していた期と重なる。縮小の判断と、6年かかる開発への着手が同じ年に同居していた。損失計上の期に何を残したかは決算書には出てこないが、2020年代の売上構成の変化はその答えを遅れて示している。半導体・FPDへの集中と一言でまとめられる決断の中身は、削った項目の一覧よりも、削らなかった一件のほうに表れていると推察される。