ジャービス・ビー・ウェブ買収(2007年・ダイフクの決断)

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論点自動車偏重の北米事業を買収で広げるか
ダイフク:業績の推移
売上高(億円)経常利益率(%)
技術提携先の取り込みによる空港システム事業への参入

何をなぜ決めたか:技術提携先の取り込みによる空港システム事業への参入

概要

2007年12月20日、ダイフクは米国の搬送機械大手ジャービス・ビー・ウェブ社の議決権100.0%を現金で取得し、子会社化した。取得原価は株式の購入代価5,304百万円と付随費用305百万円を合わせた5,609百万円である。1957年に自動車工場向けチェン・コンベヤの技術を供与された相手を、半世紀を経て傘下に収めた買収で、自動車搬送の北米基盤と空港手荷物搬送という新しい事業領域を一度に得た。

背景

1919年にミシガン州デトロイトで創業したWebb社は、自動車業界向けリベットレスチェンコンベヤを開発し、空港向け手荷物搬送システムや無人搬送車へ製品を広げていた。ダイフクは中国・インドへ拠点を伸ばす一方、北米では自動車搬送が中心で、空港領域の事業を持たなかった。

内容

連結売上高が2007年3月期に2,327億円へ伸びたところで、ダイフクはWebb社の全株式を取得した。受け入れた資産は231億70百万円、引き受けた負債は169億65百万円で、時価純資産額が取得原価を上回った差額595百万円は負ののれんとして計上された。みなし取得日はWebb社の決算日である2007年12月31日にあたるため、2008年3月期の連結損益に同社の業績は含まれない。有報は、期首に結合していたと仮定した場合の売上高を351億12百万円、営業利益を7億16百万円と概算する。

含意

買収の直後に金融危機が訪れ、連結売上高は2009年3月期2,422億円から2010年3月期1,542億円へ減少した。それでも空港事業は2011年の英Logan Teleflex、2014年のニュージーランドBCS Group買収へ続き、EC物流・半導体とともにダイフクの四本柱の一つになった。

いつ何が起きたか6件
考察:教わる側から買収する側へ
考察

考察:教わる側から買収する側へ

北米で空港事業を買収した案件として整理すると、この買収の含みは失われてしまう。ダイフクが全株式を取得したのは、1919年創業のジャービス・ビー・ウェブ社、すなわち1957年にチェンコンベヤの技術を教えた側の会社であった。日本初の乗用車専用工場の一貫生産ラインは、その借りた技術で組まれている。半世紀のあいだに、教わる側と買う側が入れ替わったと思われる。

もっとも、この買収を因縁の完結として読むと実態から離れる。ダイフクが求めたのは空港手荷物搬送という自前では時間のかかる領域であり、Webb社の名はDaifuku Airport Americaへ改まって、1919年から続いた社名は残らなかった。買収の翌々年には金融危機で連結売上高が4割近く減少し、成果が数字に出るまでには年月を要した。技術提携は、貸した会社がいつまでも上位に立つ関係ではないといえる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
数字で見る3表

数字で見る

図と表

ダイフク:連結の売上高と経常利益の推移

売上高(百万円)経常利益率(%)
ダイフク:連結の売上高と経常利益の推移
(百万円)売上高経常利益備考
2003年3月期144,1083,389
2004年3月期138,6604,321
2005年3月期166,23110,399
2006年3月期198,81016,165
2007年3月期232,70318,487
2008年3月期231,61920,628Webb社の業績は含まない。連結子会社化は2007年12月20日
2009年3月期242,18214,882Webb社が通年で寄与した最初の期
2010年3月期154,208△135金融危機で売上高が4割近く減少し、経常損失に転じた
2011年3月期159,2631,345
2012年3月期198,0524,022
2013年3月期202,3377,999
出所:ダイフク 有価証券報告書 第90期・第94期・第97期(主要な経営指標等の推移・連結経営指標等)
出所:ダイフク 有価証券報告書 第90期・第94期・第97期(主要な経営指標等の推移・連結経営指標等)

ダイフク:北米子会社セグメントの推移

外部顧客への売上高(百万円)
ダイフク:北米子会社セグメントの推移
(百万円)外部顧客への売上高セグメント利益備考
2011年3月期15,757265JERVIS B.WEBB COMPANY。別にDAIFUKU AMERICAが売上8,367・利益583
2012年3月期28,2731,121北米子会社を統括するDWHCが報告セグメントになった最初の期
2013年3月期38,150562
出所:ダイフク 有価証券報告書 第95期・第97期(セグメント情報・報告セグメントごとの売上高、利益又は損失)
出所:ダイフク 有価証券報告書 第95期・第97期(セグメント情報・報告セグメントごとの売上高、利益又は損失)

買収の条件

買収の条件
科目概要備考
被取得企業Jervis B. Webb Company(米国)自動車産業向・一般製造業向マテリアルハンドリングと空港用手荷物搬送の製販
企業結合を行った主な理由米国における高いブランド力北米やインド現地法人が有する豊富な人材、グローバルネットワークによる顧客資産
企業結合日2007年12月20日みなし取得日は同社の決算日である2007年12月31日
企業結合の法的形式現金による株式の取得結合後企業の名称もJervis B. Webb Companyのまま変えていない
取得した議決権比率100.0%
株式の購入代価5,304百万円
付随費用305百万円
取得原価5,609百万円株式の購入代価5,304百万円と付随費用305百万円の合計
受け入れた資産の額23,170百万円流動資産15,706百万円、固定資産7,463百万円
引き受けた負債の額16,965百万円流動負債11,498百万円、固定負債5,467百万円
負ののれん595百万円企業結合時の時価純資産額が取得原価を上回ったため差額を認識した
負ののれんの償却5年から15年の定額法会計方針は「のれん及び負ののれんの償却に関する事項」にこの1文のみを記す
連結に含めた被取得企業の業績なしみなし取得日が期末に近く、2008年3月期の連結損益に業績は含まれない
通期換算した売上高35,112百万円期首に結合したと仮定した概算額。監査証明を受けていない
通期換算した営業利益716百万円同じ概算で経常利益566百万円、当期純利益1,945百万円
買付価格・買付期間記載なし非上場会社の相対取得で、【経営上の重要な契約等】は「該当事項はありません」
暫定的な会計処理の確定記載なし翌期の【企業結合等関係】は「該当事項はありません」で、確定の注記はない
出所:ダイフク 有価証券報告書 第92期(2008年3月期)【企業結合等関係】パーチェス法関係
出所:ダイフク 有価証券報告書 第92期(2008年3月期)【企業結合等関係】パーチェス法関係
参考文献

参考文献

参考

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