第4章 年〜年

インフロニア・ホールディングス:インフロニア・HDの設立と三井住友建設の完全子会社化

2020年〜前田道路への公開買付けと、3社の共同株式移転で生まれたインフロニア

前田建設工業は2019年の創業100周年を機に、10年計画「NEXT10」で請負と脱請負を融合した総合インフラサービス企業への転換を掲げた。2020年3月、持分法適用関連会社だった前田道路を公開買付けで取得し、議決権を24.7%から51.3%に高めた。理由には、インフラに関わる全サービス領域への事業拡大と、グループのガバナンス強化を挙げた。前田道路は4月の臨時株主総会で、買付け期間中の3月6日を基準日とする特別配当を可決した。岐部一誠氏(のちのインフロニア社長)は、親子上場の親会社は過大な配当を迫られる危険があり、実際にそれが起きたと振り返った。前田道路の社内には子会社化に強く反対した社員もいたという。この配当の流出は、親子上場のままでは一体経営が難しいことを経営陣に示したとみられる。

  • 前田建設工業 有価証券報告書 第75期(2020年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
    • [1]2019年の創業100周年を機に「NEXT10」を策定し、請負と脱請負の融合による総合インフラサービス企業への転換を目指す姿とした
  • 前田建設工業 有価証券報告書 第75期(2020年3月期)【企業結合等関係】
    • [2]2020年1月20日の取締役会で前田道路株式の公開買付けを決定し、3月19日に取得。議決権比率は24.7%から51.3%となり連結子会社化した
    • [3]企業結合の主な理由は、社会インフラの全サービス領域への事業拡大による総合インフラサービス企業グループへの昇華と、コンプライアンス・ガバナンス体制の強化
    • [4]前田道路は2020年4月14日の臨時株主総会で、3月6日を基準日とする特別配当の議案を可決。前田建設は2021年3月期に受取配当金13,299百万円を計上する予定
  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第2回 ホールディングス体制に移行した理由」(2021年)
    • [5]親子上場では親会社が外部株主から必要以上の配当を迫られるリスクがあり、後にその通りのことが起きた
  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第20回 三井住友建設のPMI」(2026年)
    • [6]前田建設が前田道路をTOBした際、子会社化に反対した急先鋒の社員がいた

前田建設工業・前田道路・前田製作所の3社は2021年5月14日、共同株式移転で持株会社をつくる経営統合契約を公表した。10月1日、3社の完全親会社としてインフロニア・ホールディングスが設立された。前田建設出身の岐部一誠氏が代表執行役社長兼CEOに就任した。岐部一誠社長は移行の理由に、脱請負とその成長戦略を速めることと、株式市場と時代の要請の2点を挙げた。海外投資家を訪ねるたびに上場子会社との関係を問われ、『前田道路と前田製作所を完全子会社化した方が企業価値は高まる』と言われ続けたという。空港や上下水道の運営は請負とは別の事業で、前田建設の中で抱えるべきかにも議論の余地があった。持株会社は、親子上場の解消と、請負と運営を別の会社で並べる体制とを一度に実現する形だった。

  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』策定に関するお知らせ」(2021年10月1日)
    • [7]3社は2021年5月14日に共同持株会社設立(共同株式移転)の経営統合契約の締結と株式移転計画の作成を公表した
    • [8]2021年10月1日、共同株式移転の方式により3社の完全親会社として設立された
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2023』トップメッセージ
    • [9]岐部一誠は1986年前田建設入社、2021年10月にインフロニア・ホールディングス取締役 代表執行役社長兼CEOに就任
  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第2回 ホールディングス体制に移行した理由」(2021年)
    • [10]持株会社体制へ移行した理由は、脱請負とそれに伴う成長戦略の加速と、株式市場と時代の要請の2点
    • [11]IR担当として海外投資家を訪問するたびに上場子会社の前田道路・前田製作所との関係を問われ、完全子会社化すべきだと全ての投資家から言われた
    • [12]空港・有料道路・上下水道のコンセッションは請負とは別のビジネスで、請負主体の前田建設工業で手がけるかは議論の余地があった

設立当日の取締役会は、長期計画「INFRONEER Vision 2030」と中期経営計画を定めた。計画の主旨は、3社の強みで事業領域を広げ、高い収益が安定して続く事業の形へ移ることにあった。2030年度の目標は売上高1.2兆円超、営業利益1,000億円、純利益700億円、ROE12%だった。中期計画は2024年度に営業利益590億円を置き、インフラ運営の売上総利益を2022年度の55億円から115億円へ引き上げるとした。統合報告書では、請負と脱請負の営業利益の比率を2030年度に50対50とする目標も示した。初日に数字をそろえたのは、3社がひとつの計画で動くと市場に示す狙いだったのだろう。

  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』策定に関するお知らせ」(2021年10月1日)
    • [13]設立日の取締役会で中長期経営計画「INFRONEER Vision 2030」と、その基盤構築フェーズの中期経営計画「INFRONEER Medium-term Vision 2024」を策定した
    • [14]3社の強みを活かしつつ事業領域を拡大し、安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することに合意した
    • [16]業績目標はFY24に売上高8,750億円・営業利益590億円・純利益400億円。インフラ運営の売上総利益はFY22の55億円からFY24に115億円
  • インフロニア・ホールディングス 長期ビジョン・中期経営計画『INFRONEER Vision 2030』(2021年10月1日)
    • [15]2030年度の経営目標は売上高1.2兆円超、営業利益1,000億円(利益率8%前後)、純利益700億円、ROE12%
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2023』トップメッセージ
    • [17]請負と脱請負の営業利益比は2030年度目標50:50
参考文献[1]-[17]
  • 前田建設工業 有価証券報告書 第75期(2020年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
    • [1]2019年の創業100周年を機に「NEXT10」を策定し、請負と脱請負の融合による総合インフラサービス企業への転換を目指す姿とした
  • 前田建設工業 有価証券報告書 第75期(2020年3月期)【企業結合等関係】
    • [2]2020年1月20日の取締役会で前田道路株式の公開買付けを決定し、3月19日に取得。議決権比率は24.7%から51.3%となり連結子会社化した
    • [3]企業結合の主な理由は、社会インフラの全サービス領域への事業拡大による総合インフラサービス企業グループへの昇華と、コンプライアンス・ガバナンス体制の強化
    • [4]前田道路は2020年4月14日の臨時株主総会で、3月6日を基準日とする特別配当の議案を可決。前田建設は2021年3月期に受取配当金13,299百万円を計上する予定
    • [5]親子上場では親会社が外部株主から必要以上の配当を迫られるリスクがあり、後にその通りのことが起きた
    • [10]持株会社体制へ移行した理由は、脱請負とそれに伴う成長戦略の加速と、株式市場と時代の要請の2点
    • [11]IR担当として海外投資家を訪問するたびに上場子会社の前田道路・前田製作所との関係を問われ、完全子会社化すべきだと全ての投資家から言われた
    • [12]空港・有料道路・上下水道のコンセッションは請負とは別のビジネスで、請負主体の前田建設工業で手がけるかは議論の余地があった
    • [6]前田建設が前田道路をTOBした際、子会社化に反対した急先鋒の社員がいた
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』策定に関するお知らせ」(2021年10月1日)
    • [7]3社は2021年5月14日に共同持株会社設立(共同株式移転)の経営統合契約の締結と株式移転計画の作成を公表した
    • [8]2021年10月1日、共同株式移転の方式により3社の完全親会社として設立された
    • [13]設立日の取締役会で中長期経営計画「INFRONEER Vision 2030」と、その基盤構築フェーズの中期経営計画「INFRONEER Medium-term Vision 2024」を策定した
    • [14]3社の強みを活かしつつ事業領域を拡大し、安定的に高収益を上げ続けるビジネスモデルへ転換することに合意した
    • [16]業績目標はFY24に売上高8,750億円・営業利益590億円・純利益400億円。インフラ運営の売上総利益はFY22の55億円からFY24に115億円
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2023』トップメッセージ
    • [9]岐部一誠は1986年前田建設入社、2021年10月にインフロニア・ホールディングス取締役 代表執行役社長兼CEOに就任
    • [17]請負と脱請負の営業利益比は2030年度目標50:50
  • インフロニア・ホールディングス 長期ビジョン・中期経営計画『INFRONEER Vision 2030』(2021年10月1日)
    • [15]2030年度の経営目標は売上高1.2兆円超、営業利益1,000億円(利益率8%前後)、純利益700億円、ROE12%

2022年〜コンセッションを軸にした脱請負と、約2,000億円の日本風力開発の買収

発足後初の通期となる2022年度、インフラ運営の売上高は7,096億円のうち225億円だったが、営業利益では405億円のうち81億円を稼いだ。それでも請負と脱請負の営業利益比は80対20で、2030年度の目標50対50には開きがあった。2022年には大阪工業用水に続き、管路を含む三浦市の下水道コンセッションを受注した。会社側は両案件の収益への影響は小さいと認めつつ、『日本で初めて管路のマネジメントをフルパッケージで行う案件』だと意義を強調した。設立後は前田道路や前田製作所の拠点と組んで自治体に営業し、営業力は設立前の数倍に広がったという。一方で、愛知の有料道路に並ぶ規模の案件はそう頻繁には出ないとも会社側は述べていた。

  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2023』トップメッセージ
    • [18]2022年度の売上高7,096億円のうちインフラ運営225億円、営業利益405億円のうちインフラ運営81億円
    • [19]請負と脱請負の営業利益比は2022年度実績80:20、2030年度目標50:50
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2022年8月10日)
    • [20]三浦市の下水道コンセッションを受注。大阪工業用水コンセッションに続く、管路を含めた下水道のコンセッション事業
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2022年11月14日)
    • [21]大阪工業用水と三浦市下水道は個々の収益インパクトは小さいが、管路のマネジメントを一括で行う国内初の案件で意義が大きい
    • [22]ホールディングス設立後、前田道路・前田製作所・前田建設子会社と連携してインフラ運営の営業を行い、営業力が数倍に拡大し自治体とのパイプラインが増えた
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2023年8月9日)
    • [23]コンセッションは愛知有料道路のような大型案件は簡単には出てこない

インフロニアは2023年12月に日本風力開発の買収を発表し、2024年1月31日に全株式を2,031億円で取得した。自前の開発では洋上風力が円安と資材高で採算を見込めず、当面は中小型の陸上風力が中心となる見通しだった。前田建設と日本風力開発はもともと受発注の関係にあり、共同で開発を進めた実績もあった。岐部一誠社長は、総容量3,800MWの案件と開発・保守の人員を持つ同社を『インフロニアがインフラビジネスを強化するための“特急券”』と呼んだ。評価額は稼働中と開発中の1,350MWだけで算定した。2030年の営業利益目標1,000億円のうち、250億円を同社で稼ぐ想定を置いた。前社長が贈賄疑惑で起訴されていたが、20人を超える弁護士で精査し、会社ぐるみではないと判断して買収を進めた。

  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第13回 日本風力開発を買収した理由」(2024年)
    • [24]2023年12月に日本風力開発の買収を発表。買収額2,031億円で、時価総額約4,250億円の半分近く。2024年1月31日に全株式を取得し子会社化した
    • [27]日本風力開発は総容量3,800MWの発電プロジェクトと、開発・運営・メンテナンスのリソースを持つ
    • [28]評価額の算定は3,800MWの35%に当たる1,350MW(運営中と開発中の案件)のみを対象とした
    • [29]2030年の営業利益1,000億円以上の目標のうち500億円をインフラビジネス、その半分の250億円を日本風力開発で稼ぐ想定
    • [30]日本風力開発は前社長が国会議員への贈賄疑惑で起訴された。20人超の弁護士で精査し、会社ぐるみではないと結論して買収提案を進めた
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2023年11月10日)
    • [25]洋上風力は円安と資材価格の高騰で収益性が見込めず当面厳しいため、バイオマスと陸上風力に注力し、来期は中小型の陸上風力がパイプライン
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2024』トップメッセージ
    • [26]前田建設と日本風力開発は元々受発注の関係にあり、一緒に開発を進めた実績もある

日本風力開発の買収で負債が膨らみ、市場には格付けの引き下げと資本コストの上昇を懸念する声が出た。インフロニアは2024年2月に社債型種類株式の発行検討を公表し、3月には5年物のグリーン転換社債600億円の発行を決めた。2024年に落札した新国立競技場の運営は、利益が出るのが5年目以降で、それまでは改修工事が建築の利益になる見通しだった。統合報告書2024で岐部一誠社長は、請負の比率が下がることはあっても『請負の事業自体を縮小することはまったく想定していません』と記した。同じ報告書は、2024年度を最終年度とする中期計画の事業利益目標590億円の達成を当面の鍵に置いた。運営の利益が立つまでの年数を請負で埋める構図が、請負側の規模を求める次の一手につながったと推察される。

  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第13回 日本風力開発を買収した理由」(2024年)
    • [31]買収発表後、市場関係者から買収金額の高さ、格付け引き下げと資本コスト上昇、業績寄与の時期、コンプライアンスの4点の指摘を受けた
    • [32]2月9日に社債型種類株式の発行検討を発表し、3月21日に5年物のグリーンCB600億円の発行を発表した
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2024年8月9日)
    • [33]落札した新国立競技場は最初に大規模な設備投資を行い、確実な利益貢献は計画5年目以降。それまではリニューアル工事で建築セグメントに利益貢献する
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2024』トップメッセージ
    • [34]脱請負が増えて請負の占める割合が下がっても、請負の事業自体を縮小することは想定していない。請負と脱請負は二項対立ではない
    • [35]2024年度を最終年度とする現中期経営計画は事業利益590億円を目標とし、その着実な達成をビジョン達成の鍵とした
参考文献[18]-[35]
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2023』トップメッセージ
    • [18]2022年度の売上高7,096億円のうちインフラ運営225億円、営業利益405億円のうちインフラ運営81億円
    • [19]請負と脱請負の営業利益比は2022年度実績80:20、2030年度目標50:50
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2022年8月10日)
    • [20]三浦市の下水道コンセッションを受注。大阪工業用水コンセッションに続く、管路を含めた下水道のコンセッション事業
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2022年11月14日)
    • [21]大阪工業用水と三浦市下水道は個々の収益インパクトは小さいが、管路のマネジメントを一括で行う国内初の案件で意義が大きい
    • [22]ホールディングス設立後、前田道路・前田製作所・前田建設子会社と連携してインフラ運営の営業を行い、営業力が数倍に拡大し自治体とのパイプラインが増えた
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2023年8月9日)
    • [23]コンセッションは愛知有料道路のような大型案件は簡単には出てこない
    • [24]2023年12月に日本風力開発の買収を発表。買収額2,031億円で、時価総額約4,250億円の半分近く。2024年1月31日に全株式を取得し子会社化した
    • [27]日本風力開発は総容量3,800MWの発電プロジェクトと、開発・運営・メンテナンスのリソースを持つ
    • [28]評価額の算定は3,800MWの35%に当たる1,350MW(運営中と開発中の案件)のみを対象とした
    • [29]2030年の営業利益1,000億円以上の目標のうち500億円をインフラビジネス、その半分の250億円を日本風力開発で稼ぐ想定
    • [30]日本風力開発は前社長が国会議員への贈賄疑惑で起訴された。20人超の弁護士で精査し、会社ぐるみではないと結論して買収提案を進めた
    • [31]買収発表後、市場関係者から買収金額の高さ、格付け引き下げと資本コスト上昇、業績寄与の時期、コンプライアンスの4点の指摘を受けた
    • [32]2月9日に社債型種類株式の発行検討を発表し、3月21日に5年物のグリーンCB600億円の発行を発表した
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2023年11月10日)
    • [25]洋上風力は円安と資材価格の高騰で収益性が見込めず当面厳しいため、バイオマスと陸上風力に注力し、来期は中小型の陸上風力がパイプライン
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2024』トップメッセージ
    • [26]前田建設と日本風力開発は元々受発注の関係にあり、一緒に開発を進めた実績もある
    • [34]脱請負が増えて請負の占める割合が下がっても、請負の事業自体を縮小することは想定していない。請負と脱請負は二項対立ではない
    • [35]2024年度を最終年度とする現中期経営計画は事業利益590億円を目標とし、その着実な達成をビジョン達成の鍵とした
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2024年8月9日)
    • [33]落札した新国立競技場は最初に大規模な設備投資を行い、確実な利益貢献は計画5年目以降。それまではリニューアル工事で建築セグメントに利益貢献する

2025年〜三井住友建設への公開買付けと、合算売上高1.3兆円の中期計画2027

2025年5月14日、インフロニアは三井住友建設への公開買付けを通じた経営統合を決め、三井住友建設の取締役会も賛同と応募推奨を決議した。両社は担い手不足と時間外労働の上限規制で人手が細るなか、競争の源泉となるエンジニアリング力の強化が要るという認識を共有した。岐部一誠社長は、コンセッション市場が広がる一方でグループの設計・施工の人員では需要を取りきれず、それを補うために買収したと説明した。両社の建設事業の年間売上高は、単純計算で1兆円を超える見込みとされた。買付けは8月6日に始まり、9月26日付で80.61%を取得した。三井住友建設は同日付でインフロニアの連結子会社となった。

  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「インフロニアと三井住友建設との経営統合について」(2025年5月14日)
    • [36]建設と建設サービスの両輪で成長する総合インフラサービス企業の創出を目的に、公開買付けを通じた経営統合を決定。三井住友建設の取締役会は賛同と応募推奨を決議した
    • [37]担い手不足と建設業界の2024年問題で人的リソース不足が顕在化し、競争の源泉であるエンジニアリング力の強化が求められているとの認識
    • [39]両社あわせた建設事業の年間売上高は単純計算で1兆円以上の規模となる見込み
  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第20回 三井住友建設のPMI」(2026年)
    • [38]国内のコンセッション市場の拡大は確実だが、グループのEPCを含むエンジニアリングのリソースが不足し需要を取りきれないため、それを補うために三井住友建設の買収を決めた
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「三井住友建設株式会社の完全子会社化について」(2025年12月23日)
    • [40]公開買付けを2025年8月6日から開始し、9月26日付で三井住友建設株式を80.61%取得した
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「三井住友建設株式に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ」(2025年9月19日)
    • [41]公開買付けは2025年9月18日に終了し、決済開始日の9月26日付で三井住友建設は連結子会社となる予定

9月30日、インフロニアは同年3月に公表した中期経営計画2027の最終年度目標を改め、事業利益を700億円から1,000億円へ引き上げた。根拠には、三井住友建設の建築事業の早期回復、海外事業への展開、金融収支の改善などを挙げた。会社側は、グループの資金管理と格付けを使った統合調達で三井住友建設の金利負担が下がると説明した。一方で売上高は目標に置かず、1兆3,000億円に達する可能性はあっても目標としないとした。期首から統合したと仮定した2026年3月期の売上高は1,303,275百万円だった。三井住友建設は11月18日の臨時株主総会で株式併合を承認し、12月23日に完全子会社となった。

  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画の業績目標修正に関するお知らせ」(2025年9月30日)
    • [42]2025年3月26日公表の中計2027の最終年度(2027年度)目標を修正。事業利益700億円→1,000億円、当期利益430億円→630億円
    • [43]グループ入りの主な効果は、請負で三井住友建設の建築事業の早期回復と競争力強化、脱請負で国内事業の拡大と海外展開、コーポレートで金融収支の改善と拠点の一体運用
  • インフロニア・ホールディングス「三井住友建設のグループ入りに伴う業績数値説明会における主な質疑応答」(2025年10月10日)
    • [44]三井住友建設の借入金やコミットメントラインのコストは、インフロニアの統合調達(CMSとA+の格付け)で金利負担が大きく低減する
    • [45]2028年3月期の売上目標は設定していない。結果として1兆3,000億円・1兆4,000億円となる可能性はあるが目標には掲げない
  • インフロニア・ホールディングス 有価証券報告書 第5期(2026年3月期)【企業結合】
    • [46]三井住友建設の企業結合が期首に行われたと仮定した場合の連結売上高は1,303,275百万円
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「三井住友建設株式会社の完全子会社化について」(2025年12月23日)
    • [47]2025年11月18日の三井住友建設臨時株主総会で株式併合が承認され、効力発生日の12月23日に完全子会社となった

公開買付けの成立後、インフロニアは統合委員会の下に会議体を設け、土木・建築・技術・コーポレートの4部門から統合作業を進めた。支店のオフィス集約では、移転先の建物に前田の名やマークがあることなどを理由に、三井住友建設側が難色を示したという。岐部一誠社長はこうした抵抗について、『こうした心理的な壁は不安とプライドに起因しています』と書いた。2025年度は海外を含む17カ所で社員との対話集会を開催した。合併の有無を問われると、現時点では考えておらず、成果は2〜3年かけて評価すると答えた。2026年5月の決算説明会で会社側は、前田建設と三井住友建設を個社のまま並べ、首都圏の高層マンションや海外で協業を進める方針を示した。同業を持株会社の下に並べる体制は、2021年に3社を統合した枠組みを広げたものだった。

  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第20回 三井住友建設のPMI」(2026年)
    • [48]2025年9月のTOB成立後にPMIを開始し、統合委員会の中に会議体を作って議論。まず土木・建築・技術・コーポレートの4部門で進めた
    • [49]支店などのオフィス統合で、建物が前田建設の所有で前田を想起させる名前やマークが入っていたことなどを理由に三井住友建設側が難色を示した
    • [50]PMIの心理的な壁は、先が見えない不安と、軍門に降りたくないというプライドに起因すると整理した
    • [51]2025年度は海外を含む17カ所の地域でタウンホールミーティングを実施した
    • [52]合併するのかとの質問に、現時点で合併は考えておらず、持株会社傘下に同業が複数あるメリットを追求し、成果は2〜3年かけて評価すると回答した
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2026年5月13日)
    • [53]前田建設と三井住友建設は個社として事業を展開し競合分野は限定的。首都圏の高層マンションでは合算で業界1位のシェアで、民間分野と海外事業を中心にシナジーを出す
参考文献[36]-[53]
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「インフロニアと三井住友建設との経営統合について」(2025年5月14日)
    • [36]建設と建設サービスの両輪で成長する総合インフラサービス企業の創出を目的に、公開買付けを通じた経営統合を決定。三井住友建設の取締役会は賛同と応募推奨を決議した
    • [37]担い手不足と建設業界の2024年問題で人的リソース不足が顕在化し、競争の源泉であるエンジニアリング力の強化が求められているとの認識
    • [39]両社あわせた建設事業の年間売上高は単純計算で1兆円以上の規模となる見込み
    • [38]国内のコンセッション市場の拡大は確実だが、グループのEPCを含むエンジニアリングのリソースが不足し需要を取りきれないため、それを補うために三井住友建設の買収を決めた
    • [48]2025年9月のTOB成立後にPMIを開始し、統合委員会の中に会議体を作って議論。まず土木・建築・技術・コーポレートの4部門で進めた
    • [49]支店などのオフィス統合で、建物が前田建設の所有で前田を想起させる名前やマークが入っていたことなどを理由に三井住友建設側が難色を示した
    • [50]PMIの心理的な壁は、先が見えない不安と、軍門に降りたくないというプライドに起因すると整理した
    • [51]2025年度は海外を含む17カ所の地域でタウンホールミーティングを実施した
    • [52]合併するのかとの質問に、現時点で合併は考えておらず、持株会社傘下に同業が複数あるメリットを追求し、成果は2〜3年かけて評価すると回答した
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「三井住友建設株式会社の完全子会社化について」(2025年12月23日)
    • [40]公開買付けを2025年8月6日から開始し、9月26日付で三井住友建設株式を80.61%取得した
    • [47]2025年11月18日の三井住友建設臨時株主総会で株式併合が承認され、効力発生日の12月23日に完全子会社となった
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「三井住友建設株式に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ」(2025年9月19日)
    • [41]公開買付けは2025年9月18日に終了し、決済開始日の9月26日付で三井住友建設は連結子会社となる予定
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画の業績目標修正に関するお知らせ」(2025年9月30日)
    • [42]2025年3月26日公表の中計2027の最終年度(2027年度)目標を修正。事業利益700億円→1,000億円、当期利益430億円→630億円
    • [43]グループ入りの主な効果は、請負で三井住友建設の建築事業の早期回復と競争力強化、脱請負で国内事業の拡大と海外展開、コーポレートで金融収支の改善と拠点の一体運用
  • インフロニア・ホールディングス「三井住友建設のグループ入りに伴う業績数値説明会における主な質疑応答」(2025年10月10日)
    • [44]三井住友建設の借入金やコミットメントラインのコストは、インフロニアの統合調達(CMSとA+の格付け)で金利負担が大きく低減する
    • [45]2028年3月期の売上目標は設定していない。結果として1兆3,000億円・1兆4,000億円となる可能性はあるが目標には掲げない
  • インフロニア・ホールディングス 有価証券報告書 第5期(2026年3月期)【企業結合】
    • [46]三井住友建設の企業結合が期首に行われたと仮定した場合の連結売上高は1,303,275百万円
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2026年5月13日)
    • [53]前田建設と三井住友建設は個社として事業を展開し競合分野は限定的。首都圏の高層マンションでは合算で業界1位のシェアで、民間分野と海外事業を中心にシナジーを出す

2020年〜2026年の業績

決算期 区分 売上高 営業利益経常利益純利益 主な投資
億円 YoY 億円 億円 億円 利益率
2020年03月期 連結 4,879 n/a 340 366 143 2.9% n/a
2021年03月期 連結 6,781 +39.0% 463 457 233 3.4% n/a
2022年03月期 連結 6,829 +0.7% 375 n/a 267 3.9% n/a
2023年03月期 連結 7,118 +4.2% 444 n/a 359 5.0% n/a
2024年03月期 連結 7,933 +11.4% 511 n/a 274 3.5% n/a
2025年03月期 連結 8,475 +6.8% 471 n/a 324 3.8% n/a
2026年03月期 連結 11,249 +32.7% 758 n/a 766 6.8% n/a

出所:有価証券報告書

出典・参考

21件
出典・参考
  • 前田建設工業 有価証券報告書 第75期(2020年3月期)【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
  • 前田建設工業 有価証券報告書 第75期(2020年3月期)【企業結合等関係】
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2022年8月10日)
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2022年11月14日)
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2023』トップメッセージ
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2023年8月9日)
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2023年11月10日)
  • インフロニア・ホールディングス『統合報告書2024』トップメッセージ
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2024年8月9日)
  • インフロニア・ホールディングス 有価証券報告書 第5期(2026年3月期)【企業結合】
  • インフロニア・ホールディングス 決算説明会 質疑応答(2026年5月13日)
  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第2回 ホールディングス体制に移行した理由」(2021年)
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「『INFRONEER Medium-term Vision 2024 中期経営計画』策定に関するお知らせ」(2021年10月1日)
  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第13回 日本風力開発を買収した理由」(2024年)
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「インフロニアと三井住友建設との経営統合について」(2025年5月14日)
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「三井住友建設株式会社の完全子会社化について」(2025年12月23日)
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「三井住友建設株式に対する公開買付けの結果及び子会社の異動に関するお知らせ」(2025年9月19日)
  • インフロニア・ホールディングス「三井住友建設のグループ入りに伴う業績数値説明会における主な質疑応答」(2025年10月10日)
  • インフロニア・ホールディングス 公式サイト 岐部一誠「岐ベログ 第20回 三井住友建設のPMI」(2026年)
  • インフロニア・ホールディングス 適時開示「INFRONEER Medium-term Vision 2027 中期経営計画の業績目標修正に関するお知らせ」(2025年9月30日)
  • インフロニア・ホールディングス 長期ビジョン・中期経営計画『INFRONEER Vision 2030』(2021年10月1日)

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