この再上場を、PEファンドの成功した出口という言葉だけで読むと芯を外す。ファンドは2012年のカーブアウトの時点から新規上場を投資回収の道筋に据えており、2015年の再上場はその設計どおりに実った。ただ、出口を果たした時点でのデクセリアルズは、ソニーの素材子会社という来歴を抱えたまま、独立企業として市場に何を約束できるかをまだ示せていなかった。
もっとも、その後の歩みは、独立という方式が時間をかけて実を結ぶこともあることを示している。上場直後に評価されなかった機能性材料の技術は、コロナ禍の需要と技術トレンドの追い風のなかで3製品の世界シェア1位となって報われ、時価総額は数年で10倍近くに戻った。子会社のままなら投資判断は遅れたという新家由久社長の言葉が正しければ、市場へ戻したこと自体が復活の前提であったといえる。親会社の資本を出て独立企業になる価値は、上場の日ではなく、その後に何を積めたかで測られるのかもしれない。