SBSホールディングス の歴史

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創業 1987年
創業者 鎌田正彦
創業地 東京都江東区
創業
1987年12月、鎌田正彦氏が東京都江東区で関東即配を設立した。日本通運・ヤマト運輸・佐川急便が全国網を握る宅配市場で後発が正面から競っても難しいとみて、関東圏に限った軽貨物の即日配送という、大手が採算面で扱いにくい小口領域から始めている。1989年4月に総合物流システム、1999年12月にエスビーエスへ商号を変更しながら、メーカーや小売の物流を一括受託する3PLへ業容を広げた。1999年には日産系のバンテック買収に挑んだが、売上高約150億円の規模では届かなかった。2003年12月に株式を店頭登録し、2004年7月に純粋持株会社へ移行、2006年4月にSBSホールディングスへ商号を変更した。
決断
上場した直後に、当時の収益源のひとつを売却した。2003年12月の店頭登録時点の売上高は194億円で、事業の一つは信書や小口を届けるメール便だった。郵政民営化の議論が進むなかで価格競争に飲み込まれると判断し、同事業を売却して3PLへ特化した。身軽になった財務で2004年5月に雪印グループから切り出された雪印物流を取得し、翌2005年6月には東急ロジスティックなど3社を取得総額160億円で一括取得した。資金は銀行のコミットメントライン200億円と転換社債50億円で賄っている。連結売上高は2003年12月期の194億円から2005年12月期の893億円へ4.6倍に伸びた。上場時の収益源を手放した判断が、その後20年繰り返される連続買収の最初の一歩になった。
現況
買収で積み上げた物流の利益率は2.6%で、倉庫の賃料に及ばない。2025年12月期の連結売上高は4,903億円、営業利益213億円、純利益118億円である。物流事業が売上4,602億円で全体の94%を占めながら利益は119億円にとどまり、売上193億円の不動産事業が利益91億円・利益率47.3%を上げる。3事業の利益合計217億円のうち42%を、売上の4%にすぎない不動産が出している。物流センター用地を自社で開発して賃貸する設計が、輸送の薄い採算を補う関係にある。2018年8月のリコーロジスティクス取得以降も東芝ロジスティクス・古河物流・NSKロジ・ブリヂストン物流と大手メーカー系を連続して取得し、売上は10年で3.1倍になった。それでも営業利益率は4.3%で、規模の拡大は採算の改善を伴っていない。
競合
同じ荷物を運ぶ前に、荷主が手放す物流子会社を取り合っている。大手メーカーが本業へ集中するために切り出す物流子会社は、社名と組織を残したまま引き取る買い手が現れなければ売却が進まない。SBSは2018年以降だけでリコー・東芝・古河・NSK・ブリヂストンの系列を取得し、2025年4月にはオランダのBlackbird Logisticsで欧州の拠点を確保した。同じ売り物を追うのはNIPPON EXPRESSホールディングスセンコーグループホールディングスで、いずれも売上規模でSBSを上回る。買収後も社名と現場に手を入れないことが、規模で及ばないSBSを売り手の選択肢に残している。
SBSホールディングス:長期業績の推移(売上高・利益率)売上高(億円純利益率(%)
2001年12月期2025年12月期

創業ストーリー 軽貨物即配からの創業と3PLへの足場固め (1987年〜)

江東区のスタートアップとして始まった即日配送事業

1987年12月、鎌田正彦氏は東京都江東区に株式会社関東即配を設立[1]した[2][3]。同社は軽貨物車両を用いた即日配送サービスを主力事業とする小規模物流ベンチャーで、創業時の従業員は数名規模だった。1980年代後半の日本の物流業界は、トラック輸送の規制緩和(1990年の物流二法施行)[4]を控えて新規参入の動きが活発化し、宅配・即配市場は日本通運・ヤマト運輸・佐川急便といった全国網運営の大手と、地域密着型の中小事業者が並存する構造だった。鎌田氏は関東圏に絞った軽貨物即配というニッチに足場を作り、創業から1990年代後半までの約10年は事業会社単体としての地味な拡張期を過ごした。

1989年4月、同社は商号を株式会社総合物流システムへ変更した[5]。社名変更は事業範囲の意思表示で、即配単独の事業者から物流業務全般を引き受ける総合事業者への進化を目指す経営方針の表明だった。1990年代に入ると、製造業の生産拠点海外移転・流通の多頻度小口化・コンビニチェーンの全国展開といった構造変化が物流需要を量から質へ移行させ、メーカーや小売の物流業務を一括受託する『3PL(サードパーティ・ロジスティクス)』[引用元]という業態が日本市場でも本格化した。物流業界の主要プレイヤーは、自社運輸事業から物流アウトソーシング受託へ事業モデルを切り替える動きを加速させ、鎌田氏もこの潮流を捉える設計を取った。

  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [5]1989年4月 商号を㈱総合物流システムへ変更
  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [1]1987年12月 ㈱関東即配(現SBSホールディングス)を東京都江東区に設立
    • [3]創業時の社名は㈱関東即配・本店は東京都江東区
    • [5]1989年4月 商号を㈱総合物流システムへ変更
  • SBSホールディングス 有価証券報告書(役員の状況)
    • [2]創業者は鎌田正彦
    • [4]物流二法(貨物自動車運送事業法・貨物運送取扱事業法)は1990年12月施行

持株会社化とM&A資金調達の前段としての店頭登録

1997年6月に軽作業請負事業の有限会社スタッフジャパン[6](現SBSスタッフ)、1998年3月にマーケティング事業のマーケティングパートナー株式会社を設立し[7]、物流以外の隣接領域へ事業範囲を広げた。1999年12月には商号を株式会社エスビーエスへ再度変更[8]し、物流+人材+マーケティングの複合事業者としてのブランド整理を行った。2003年12月、同社は日本証券業協会への株式店頭登録[9](現JASDAQ)を果たした。創業から16年での店頭登録は[10]、事業会社単体の物流ベンチャーとしては中堅水準だが、その後の連続M&Aを支える資金調達インフラとしての意味は大きかった。

  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [6]1997年6月 軽作業請負の㈲スタッフジャパン(現SBSスタッフ)を設立
    • [7]1998年3月 マーケティングパートナー㈱を設立
    • [8]1999年12月 商号を㈱エスビーエスへ変更
    • [9]2003年12月 日本証券業協会へ株式店頭登録
    • [10]創業(1987年)から16年で店頭登録

2004年7月、株式会社エスビーエス(現SBSホールディングス)は純粋持株会社へ移行した[11]。持株会社化は、外部から取得する事業会社を傘下にぶら下げる『グループ・ホールディングス型』の事業ポートフォリオを意識した制度設計で、買収した会社のブランドと組織文化を温存したまま、財務とガバナンスだけを統合する経営手法の前提条件となる。鎌田氏はこの持株会社移行と店頭登録の組み合わせで、向こう20年にわたる連続M&Aの仕組みを整えた。

  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [11]2004年7月 ㈱エスビーエス(現SBSホールディングス)を純粋持株会社へ移行
  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [6]1997年6月 軽作業請負の㈲スタッフジャパン(現SBSスタッフ)を設立
    • [7]1998年3月 マーケティングパートナー㈱を設立
    • [8]1999年12月 商号を㈱エスビーエスへ変更
    • [9]2003年12月 日本証券業協会へ株式店頭登録
    • [10]創業(1987年)から16年で店頭登録
    • [11]2004年7月 ㈱エスビーエス(現SBSホールディングス)を純粋持株会社へ移行

大企業物流子会社を次々と取り込む買収戦略の確立

2004年5月、SBSは雪印物流株式会社[12](現SBSフレック)の株式を取得した。これが鎌田氏のM&A戦略の本格的な開幕であり、以後20年にわたり同社は大企業から切り出される物流子会社を次々と取り込んでいくパターンを設定した。雪印物流は2000年の雪印乳業集団食中毒事件で[13]雪印グループが縮小するなかで切り出された物流子会社で、低温物流のノウハウと冷凍冷蔵設備を有する会社だった。SBSはこの企業を傘下に取り込み、低温食品物流という新領域への足場を獲得した。

2005年6月には東急ロジスティック[14](後のティーエルロジコム、現SBSロジコム)・日本貨物急送(現SBSフレイトサービス)・伊豆貨物急送ほか東急グループ系物流子会社を一括取得した。2006年1月には食品物流の株式会社全通(現SBSゼンツウ)を[15]、同年3月には保険代理事業の有限会社SBSインシュアランスサービス(現SBSファイナンス)を取得[16]した。2006年4月、同社は商号をSBSホールディングス株式会社へ変更し[17]、本社を東京都墨田区太平へ移転した。創業から19年で、軽貨物即配のベンチャーから、複数の大手物流子会社を傘下に持つ総合物流グループへ移行した[18]

  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [14]2005年6月 東急ロジスティック等の東急系物流子会社を一括取得
    • [15]2006年1月 食品物流の㈱全通(現SBSゼンツウ)取得
    • [16]2006年3月 保険代理の㈲SBSインシュアランスサービス(現SBSファイナンス)取得
    • [17]2006年4月 商号をSBSホールディングス㈱へ変更・本社を東京都墨田区太平へ移転
    • [18]創業(1987年)から19年で総合物流グループへ移行
  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [12]2004年5月 雪印物流㈱(現SBSフレック)の株式取得
    • [14]2005年6月 東急ロジスティック等の東急系物流子会社を一括取得
    • [15]2006年1月 食品物流の㈱全通(現SBSゼンツウ)取得
    • [16]2006年3月 保険代理の㈲SBSインシュアランスサービス(現SBSファイナンス)取得
    • [17]2006年4月 商号をSBSホールディングス㈱へ変更・本社を東京都墨田区太平へ移転
    • [18]創業(1987年)から19年で総合物流グループへ移行
    • [13]雪印乳業集団食中毒事件は2000年(6月・大阪工場の低脂肪乳等)

リーマンショックを挟む足踏みと海外進出の試行

2007年から2008年にかけてのリーマンショック前後、SBSの売上高は2007年12月期1471億円、2008年12月期1394億円と頭打ち局面に入った。同期の経常利益は2007年12月期79.0億円から2008年12月期40.0億円へ49%減と急縮小し、リーマンショック後の貨物需要急減が3PL事業者の経営を直撃した。同社は2009〜2010年にかけて新規M&Aを抑制し、既存事業の収益改善とコスト削減を優先する局面に入った。2010年12月期に経常利益42.9億円、2011年12月期16.3億円と回復は緩慢で、2009年は買収拡大の歩みが一旦停止した。

2010年代に入ると同社は海外進出を再開した。2010年4月にティーエルロジコム(現SBSロジコム)[19]がビクターロジスティクス(後のVLロジネット、2011年7月に同社へ吸収)の株式を取得し、2011年4月に同社が日本レコードセンターを取得(2019年7月に吸収合併)。[20]2011年10月にインドのアトラス・ロジスティクスを取得[21]、2012年5月にシンガポールに東南アジア地域統括会社SBS Logistics RHQを設立、2015[22]年8月にシンガポールに運輸通関事業のSBS Logistics Singaporeを設立した[23]。海外進出は積極的な拡大戦略というよりは、日系製造業の海外生産拠点での物流業務を取り込むための『追随型展開』だった。

  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [19]2010年4月 ティーエルロジコム(現SBSロジコム)がビクターロジスティクス取得
    • [20]2011年4月 日本レコードセンター取得(2019年7月に吸収合併)
    • [21]2011年10月 インドのアトラス・ロジスティクス取得
    • [22]2012年5月 シンガポールにSBS Logistics RHQを設立
    • [23]2015年8月 シンガポールに運輸通関のSBS Logistics Singaporeを設立
  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [19]2010年4月 ティーエルロジコム(現SBSロジコム)がビクターロジスティクス取得
    • [20]2011年4月 日本レコードセンター取得(2019年7月に吸収合併)
    • [21]2011年10月 インドのアトラス・ロジスティクス取得
    • [22]2012年5月 シンガポールにSBS Logistics RHQを設立
    • [23]2015年8月 シンガポールに運輸通関のSBS Logistics Singaporeを設立

東証一部上場とSBSブランドへの14社一斉統一

2012年3月、SBSは株式会社ゼロ[24]の株式を取得した。ゼロは自動車輸送(完成検査・陸送)に強みを持つ物流事業者で、SBSの取扱貨物のラインナップに自動車輸送が加わった。2012年12月、SBSは東京証券取引所市場第二部へ上場[25]し、2013年12月には同市場第一部へ指定替えした[26]

  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [24]2012年3月 ㈱ゼロの株式取得
    • [25]2012年12月 東証市場第二部へ上場
    • [26]2013年12月 東証市場第一部へ指定替え

2013年6月、SBSはグループ全体のブランド統一を実施し、新ロゴマークを導入[27]。物流子会社14社を一斉に『SBS〇〇』へ社名変更[28]した。雪印物流→SBSフレック、東急ロジスティック→SBSロジコム、全通→SBSゼンツウ、日本貨物急送→SBSフレイトサービスといった具合に、買収後5〜10年程度経過した時点で『SBSブランド』の傘下に統合し、グループ内のシナジーと知名度を高めた。買収先の組織文化は温存しつつ、対外ブランドは統一するという二段構えのガバナンス設計が、同社の連続M&Aの運営方針として定着した。

  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [27]2013年6月 グループ全体のブランド統一・新ロゴマーク導入
    • [28]物流子会社14社を一斉に「SBS〇〇」へ社名変更
  • SBSホールディングス 有価証券報告書【沿革】
    • [24]2012年3月 ㈱ゼロの株式取得
    • [25]2012年12月 東証市場第二部へ上場
    • [26]2013年12月 東証市場第一部へ指定替え
    • [27]2013年6月 グループ全体のブランド統一・新ロゴマーク導入
    • [28]物流子会社14社を一斉に「SBS〇〇」へ社名変更

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SBSホールディングスの沿革1987〜2025年における主な出来事を抜粋

時代年月社長・CEO出来事重要度
1987〜2003年軽貨物即配からの創業と3PLへの足場固め関東即配を設立
鎌田正彦商号を総合物流システムに変更
鎌田正彦軽作業請負事業のスタッフジャパンを設立
鎌田正彦マーケティング事業のマーケティングパートナーを設立
鎌田正彦商号をエスビーエスに変更
鎌田正彦メール便事業の売却と3PL特化への転換

2003年前後、SBSホールディングス(当時・株式会社エスビーエス)は、上場時点で中心事業の一つだったメール便事業を売却し、法人向け物流を一括受託する3PL事業への特化へ方針を変えた経営判断。鎌田正彦社長は、郵政民営化を控えたメール便市場の先行きに見切りをつけ、身軽になった財務体制を翌2004年以降の連続M&Aへ振り向けた。

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★★★
2004〜2017年連続M&Aによる大手物流子会社の取り込みと総合物流グループ化鎌田正彦雪印物流・東急ロジスティック等の連続買収による「大企業ノンコア物流子会社の受け皿」モデルの確立

2004年5月、SBSホールディングス(当時:株式会社エスビーエス)は雪印グループから切り出された雪印物流の株式を取得し、翌2005年6月には東急グループの東急ロジスティック・日本貨物急送・伊豆貨物急送をTOB・株式取得で一括取得した。鎌田正彦社長が2003年の店頭登録と2004年の持株会社化で整えた受け皿を使い、大企業が手放す物流子会社を連続して取り込む型を確立した経営判断である。

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★★★
鎌田正彦エスビーエスを純粋持株会社に移行★★
鎌田正彦不動産証券化事業のエーマックスを設立
鎌田正彦日本貨物急送と伊豆貨物急送の株式を取得
鎌田正彦食品物流の全通の株式取得
鎌田正彦保険代理事業のSBSインシュアランスサービスの株式取得
鎌田正彦商号をSBSHDに変更、本社を移転
鎌田正彦ティーエルロジコムがビクターロジスティクスの株式を取得
鎌田正彦ティーエルロジコムが日本レコードセンターの株式を取得
鎌田正彦国際物流会社Atlas Logistics Pvt. Ltd.の株式取得
鎌田正彦ゼロの株式取得★★
鎌田正彦東京証券取引所市場第二部に上場
鎌田正彦SBSフレックネットが発足
鎌田正彦SBS即配サポートが発足
鎌田正彦SBS Logistics Singapore Pte. Ltd.を設立
2018〜2026年大手企業物流子会社の連続買収と1兆円体制への準備鎌田正彦大企業物流子会社の受け皿としての連続買収と「1兆円企業」ビジョン

2018年8月にリコーロジスティクス(現SBSネクサード)を取得して以降、SBSホールディングスは東芝ロジ・古河物流・NSKロジ・ブリヂストン物流など大手メーカー系の物流子会社を相次いで取得し、売上高2000億円規模から『早期の年商1兆円』を掲げる総合物流企業へと事業規模を広げていった経営判断。

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★★★
鎌田正彦京葉自動車教習所と姉崎自動車教習所の株式を取得
鎌田正彦SBS三愛ロジスティクスが発足
鎌田正彦東芝ロジスティクスの株式取得★★
鎌田正彦東洋運輸倉庫の株式取得(2023年10月にSBSロジコムが同社を吸収合併)
鎌田正彦古河物流の株式取得
鎌田正彦NSKロジスティックスの株式取得
鎌田正彦3PL企業持株会社Blackbird Logistics B.V.の株式取得★★
鎌田正彦ブリヂストン物流の株式取得
出典・参考

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