この統合で得たものを、相手企業の側から測ると小さく見える。ピープルスタッフの売上高301億円は、テンプスタッフの2,289億円に対して1割強にすぎず、東海の顧客基盤も後年には社名ごと吸収された。それでも、この判断が後の9年を決めたとみられるのは、統合の中身より形式のほうにある。株式移転で持株会社を新設し、事業会社を子会社として並べる構造は、1社を迎えるためには過大でも、2社目・3社目を迎えるには相応の仕組みであった。創業者が率いる単一の事業会社であり続けたなら、日本テクシードもインテリジェンスも、同じ手順では収まらなかったと思われる。
もっとも、その構造は買収の速度を上げる一方で、傘下に並べた会社をどう統括するかという課題を先送りにもした。2018年以降の国内10社再編、SBU体制への移行、そして買収した事業と社内で育てた事業の収益性の差は、いずれも"並べて抱える"ことの帰結として現れている。統合しやすい構造は、統合できているという意味ではない——2008年に選んだ形式は、規模を得る手立てであると同時に、その後の経営に長く残る問いも同時に引き受けたといえる。