ハウスコムの単独上場(2011年・大東建託の決断)

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論点 賃貸仲介子会社を単独上場させるか
大東建託:業績の推移
売上高(億円)営業利益率(%)
賃貸仲介子会社の単独上場と、14年後の親子上場の解消

何をなぜ決めたか:賃貸仲介子会社の単独上場と、14年後の親子上場の解消

概要

2011年6月、大東建託の連結子会社ハウスコムが大阪証券取引所JASDAQ市場(スタンダード)に上場した経営判断。大東建託の持株比率は2011年3月末の64.7%から2012年3月末に51.3%へ下がり、ハウスコムは親会社が過半を持つ連結子会社のまま、市場に外部の株主を迎えた。

以後ハウスコムは有価証券届出書と有価証券報告書を自ら提出する会社となり、親子上場の関係は2025年1月30日の上場廃止まで約14年続いた。

背景

ハウスコムは1994年1月に大東建託の全額出資で設立され、同年7月に業務を始めた。1998年7月には関西ハウスコムを設け、2004年1月に両社を統合・再編して、ハウスコムと株式会社ハウスコム不動産情報センターとして営業を始めている。

仕事は、大東建託が建設した賃貸建物への入居者の仲介斡旋に加え、それ以外の一般の賃貸住宅の仲介にも及んでいた。2011年3月期には、ガス供給・介護・入居者斡旋・保証人代行・火災保険などの派生事業の営業利益が約50億円となり、親会社は2016年3月期に約93億円を計画していた。

内容

2011年3月末から2012年3月末にかけて、ハウスコムの資本金は2億02百万円から4億24百万円に増え、大東建託の持株比率は64.7%から51.3%となった。ハウスコムは親会社の施工物件の客付を担い、役員1名を兼務する関係は上場後も変わらなかった。

同じ時期、親会社も資本構成を大きく組み替えていた。2011年2月1日から3月1日まで1株5,445円で自己株式の公開買付けを行い、3,691万株を取得した。取得した株式は消却され、消却前の発行済株式の31.41%にあたる。資金には長期借入金1,270億円を充て、自己資本比率は前期末から31.2ポイント下がり24.6%となった。

含意

上場後のハウスコムは2019年6月に東京証券取引所市場第二部、8月に市場第一部へ移り、2021年3月に宅都(現・大阪ハウスコム)の全株式、2023年6月にシーアールエヌの株式90%を取得するなど、自ら買収を重ねた。2023年10月にはスタンダード市場へ移っている。

大東建託は2024年10月29日の取締役会決議に基づき、2025年2月1日を効力発生日とする簡易株式交換でハウスコムを完全子会社とした。ハウスコム1株に大東建託0.08株を割り当て、理由には賃貸仲介店舗網・ブランドの共存や上場維持に係るコスト削減などを挙げた。

いつ何が起きたか 6件
考察:開くことと統合し直すこと
考察

考察:開くことと統合し直すこと

2011年の上場と2025年の非公開化は、逆向きの判断に見えて、同じ一つの問いへの答えであったと推察される。賃貸仲介という機能を、グループの内側で育てるか、外の市場に評価させながら育てるか。上場を決めた時期の大東建託は、創業者の持ち株を消し、外国人投資家と機関投資家を中心とする株主構成へ移っていた。子会社に独立した資本と看板を与えることは、この開き方と揃っていたといえる。

14年のあいだに前提は変わった。親会社が買収で不動産機能を集め、建てる・管理する・仲介するを統括する体制を強めるほど、上場子会社を挟む形の説明は難しくなる。市場の側も、親子上場に対して以前より厳しい目を向けている。ひとつの機能をどこまで独立させ、どの時点で統合し直すか——大東建託が2011年と2025年に出した二つの答えは、その時々の株主構成と事業構成に沿ったものであったと思われる。

Yutaka Sugiura, 2026年7月
参考文献

参考文献

参考
  • 大東建託 有価証券報告書 第38期(2012年3月期)【沿革】
  • 大東建託 有価証券報告書 第37期(2011年3月期)【関係会社の状況】
  • 大東建託 有価証券報告書 第38期(2012年3月期)【関係会社の状況】
  • 大東建託 有価証券報告書 第51期(2025年3月期)【注記事項(企業結合等関係)】
  • 大東建託 有価証券報告書 第38期(2012年3月期)【事業の内容】
  • 大東建託 決算説明会 質疑応答(2011年5月10日)「平成23年3月期」
  • 大東建託 有価証券報告書 第37期(2011年3月期)【自己株式の取得等の状況】
  • 大東建託 有価証券報告書 第37期(2011年3月期)【配当政策】
  • 大東建託 有価証券報告書 第37期(2011年3月期)【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
  • 大東建託 有価証券報告書 第51期(2025年3月期)【沿革】
  • 日経ビジネス 1994年3月21日号
  • 証券アナリストジャーナル(1994年6月・32巻6号) 多田勝美社長講演
  • 大東建託 有価証券報告書【沿革】
  • 大東建託 有価証券報告書(2011年3月期・連結)

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